提供:ヤクモ家具製作所
「ヤクモ家具製作所」がつくる家具に使われる木材は、樹齢70~100年を超えるものばかりです。木は長い年月、育った場所や気候など、自然環境の影響を受けながら生きてきたさまざまな痕跡を体内に留め、それらの痕跡はその木の表情として、独特の趣を生み出します。今回は、自然がつくりだす木の個性のお話。普段何気なく見ている家具の木目や節などの模様を知ることで、木が生きてきたストーリーを感じることができ、その魅力をより深く味わうことができます。
目次
木の歴史を物語る奥深い表情「木目」
木目とは、丸太を切ったときの断面に見える年輪などの模様のことです。
年輪は年に1本刻まれます。木の成長の証でもある年輪が作りだす木目は1本1本の木で異なりますが、これらは大きく分けて「板目(いため)」と「柾目(まさめ)」の2種類に分類されることをご存知でしょうか?
板目は年輪に対して平行に切り出した木目、柾目は年輪に対して垂直に切り出した木目のことを言います。ひとえに木目といっても、実は丸太の切り出し方によって模様の現れ方は大きく変わります。
多彩な表情で木の存在感を際立たせる「板目」
板目は山型やタケノコ型のような波打った模様をしており、同じ木から切り出しても、ひとつとして同じ模様はなく、その変化に富んだ唯一無二の表情が魅力です。
1本の丸太からとれる量が多いため比較的安価で、ランダムに曲線を描く個性溢れる木目は、ダイナミックな力強さから柔らかな印象まで楽しむことができます。
まっすぐに流れる、スッキリとした美しい「柾目」
柾目は年輪が直線状に並び、端正で凛とした表情が上質で落ち着きのある印象を与えます。
丸太から材料になる過程でのロスが大きいことに加え、原木(丸太)もより大きいものから加工されるため、板目材より価格の高い材料ですが、反りにくく、収縮や狂いも少ないという特徴もあります。
生きた刻印から天然木の趣を感じる「節」
節とは、木の成長の過程で枝の根元の部分が幹の中に取り込まれて出来た枝の跡のことです。
木は枝を伸ばし、葉を茂らせ、光合成でつくり出した養分により成長していきます。木によって成長の速度や枝葉の出方が違うため、節の表情や数も多種多様です。
白太
丸太の中央部の濃い色をした部分を「心材(しんざい)、赤身」 、その周りの淡い色をした部分を「辺材(へんざい)、白太」 といい、白太は乳白色に近い色合いをしています。
ガムポケット
ブラックチェリーに見られる特徴的な痕。木材の成長の過程で細胞の隙間に堆積した樹脂分が、点や黒い帯状の模様として現れます。
ミネラルライン(ミネラルストリーク)
道管やその他の細胞中に堆積した炭酸塩などによって生じる痕。濃茶~黒系の色合いが筋のように現れます。
虎斑 (シルバーグレイン)
オークなどの木材の柾目に見られる特有の模様。
名前の通り、虎の縦縞模様に見えることからそう呼ばれています。立ち木の時は養分貯蔵の役割であった細胞で、天然の良質な木材である証とされています。
縮み杢
細かく波打つような模様が、繊維方向の木目と直行するように現れます。
時が経つほど味わい深く変化する色合い
天然木は歳月の経過に伴い、木目の表情が味わい深くなり、色味が変化していきます。まるで家族のように成長していく様子は、天然木でしか味わうことのできない価値ともいえるでしょう。
樹種によって、濃くなったり、明るくなったりと、その変化も様々です。
ホワイトアッシュ
明るい白~クリーム色系の色合いが、黄色みがかった色合いへ変化します。
オーク
他の素材に比べると、比較的色合いの変化が少ないといえます。
ほのかに桃色がかった色~淡い黄色に近い色合いが、黄色みがかった色合いへ変化します。
チェリー
チェリーは色変化の速度が速く、変化の度合いも大きいのが特徴です。
淡い紅褐~濃い紅褐色の木肌は、上質感漂う濃い飴色へ変化します。
ウォールナット
モダンで落ち着きのある雰囲気が特有のウォールナットは、紫~黒系の色合いが抜けていき、赤みがかった明るい色合いへ変化します。
木目や節などのマークから、木の個性を知って味わう
木の表情は、どれひとつとして同じものはありません。過酷な自然環境を生き抜いてきた無垢材には豊かな木目が現われ、節など個性が隠れています。
さまざまな個性から、木の成長した物語を感じ、ともに過しながら経年変わりゆく色合いを味わうことができるのは、無垢材ならではの魅力といえるでしょう。