自分に合った枕を見つけることは、良質な睡眠をとるために、とても大切なことです。正しい寝姿勢をキープすることで体の負担が軽くなり、睡眠の質は上がります。この記事では、自分に合った枕の選び方やおすすめ商品、さらに洗濯の仕方を解説します。
枕の役割
枕の役割は、睡眠中の寝姿勢を自然な状態に保つことと首を支えることです。質の良い睡眠をとるためには、体に負担をかけない自然な寝姿勢を保つことが非常に重要です。
睡眠中に自然な姿勢を保つ
人間は真っすぐに立ったときの姿勢を横から見ると、首が少し前に出ています。二足歩行をする人間にとって、重い頭を支えるのにベストなバランスがこの姿勢と言われています。
そのため寝姿勢を取ったときにも、顔の角度を5度前後にするのが理想的です。
また首から続く背骨は緩やかなS字型になっており、その背骨を自然な状態に保つことも非常に重要になってきます。
寝姿勢を取ったときにできる頸椎の隙間を埋め、頸椎に負担をかけることなく背骨の自然なS字型をキープすることも、枕の大切な役割です。
うまく体圧を分散させることができれば、体のどこの部位にも負担がかかりにくい寝姿勢を取ることができ、睡眠の質の向上が期待できます。
首を支える
睡眠中に自然な姿勢を保つために、枕が果たす大きな役割は、首を支えることです。首を支えることは、頭を支えること以上に重要な役割といえます。
枕がない状態で寝姿勢を取ると、頭から首筋、肩にかけて隙間ができます。この状態を続けると首に負担がかかり続け、首の痛みや肩こりにつながるでしょう。またいびきや不眠にもつながりかねません。
加えて枕に頭だけが乗っていたり、枕の硬さが適切でなかったりする場合も、肩こりや痛みなどの症状がでることがあるため注意が必要です。
頭から肩にかけて生じる隙間を埋め、しっかり首を支えることは、寝姿勢の安定や睡眠中の体の負担軽減に大変重要です。
自分に合った枕の選び方
自分に合った枕を選ぶために重要なポイントは、大きさ・高さ・素材・形です。快適な睡眠を得るためにも、自分の寝姿勢や体形、心地よいと感じるものを選ぶようにしましょう。
大きさを決める
快適な寝心地を得るために、枕の大きさは自分の体形や好みに合った大きさのものを選ぶことが大切です。現在市販されている枕のサイズには以下の種類があります。
サイズ | 特徴 |
43cm×63cm | 最も標準的なサイズで、種類も豊富です。男女問わず使えます。 |
50cm×70cm | ゆったりした大きめサイズで、ホテルでよく使われているサイズです。 |
35cm×55cm | 昔主流だったサイズで、小さめです。子どもや女性におすすめです。 |
29cm×40cm | 子ども用のサイズです。 |
43cm×90cm | シングルサイズの布団の横幅とほぼ同じサイズです。寝返りが打ちやすく、抱き枕としても使えます。 |
43cm×120cm | ダブルサイズの布団の横幅とほぼ同じサイズです。抱き枕としても使えます。 |
基本的に自分の好みで決めればよいですが、迷ったときは43cm×63cmの標準サイズを選んでおくのが無難でしょう。
高さを決める
睡眠中の体の負担を軽減するために、高さは重要なポイントです。自分に合わない高さの枕で寝ると、首の痛みや肩こりにつながったり、いびきや不眠症の原因になったりすることもあります。
枕の高さの目安は、体型によって異なります。体格のよい人は8cm以上の高めのタイプを選ぶとよいでしょう。一方、細身の人や子どもには5cmほどの低めのタイプがおすすめです。標準的な体型の人は6cm程度が目安です。
また睡眠時に、仰向けの寝姿勢を取ることが多いか、横向きの寝姿勢を取ることが多いかでも高さの目安は変わります。
仰向け姿勢を取ることが多い人は、頸椎が緩やかなS字になるよう、まっすぐ見たときの目線がやや下になることが目安です。一方、横向きの寝姿勢が多い人は、横向きになったときに頸椎と床が平行になる高さがよいでしょう。
素材を選ぶ
枕の素材は自分の好みに合ったものを選びましょう。枕の素材には以下のものがあります。
- パイプ
- わた(ポリエステルなど)
- ウレタンフォーム
- ビーズ
- そばがら
- 羽根・羽毛
どれも一長一短があり、どの素材が優れているとは一概には言えません。
衛生面が気になる人は水洗いできるもの、蒸れたりするのが嫌な人は通気性がよい素材を選ぶとよいでしょう。できれば店舗で試させてもらい、自分の好みのかたさ・音・臭いのものを選ぶのが1番です。
形を選ぶ
現在市販されている枕の形状には、次のようなタイプがあります。
タイプ | 特徴 |
標準タイプ | 最も一般的な形で、素材をそのまま袋に詰め込んだだけなので中央部にボリュームがあります。 |
くぼみタイプ | 中央部分がくぼみ、サイドが少し高くなるように設計されています。 |
ウェーブ形 | 低反発枕によくある形で、首部分が高いため首をしっかりサポートしてくれます。 |
ハート形 | 丸みを帯びたハート形をしていて、低反発枕によく見られる形です。首もとのボリュームを抑えることで、首への負担を減らします。 |
肩までサポートタイプ | 頭だけでなく肩まで乗せることができるタイプです。寝返りを打ちにくい可能性があるため、よく試した上で検討することをおすすめします。 |
分割タイプ | 高さや素材の違ういくつかのユニットから成るタイプです。寝返りを打ちやすいよう、サイドが少し高くなるように設計されています。 |
枕の形はさまざまにありますが、基本的には真ん中が低く、サイドが少し高くなっていている『くぼみタイプ』がおすすめです。首を支えながら後頭部の丸みも受け止め、さらに寝返りも打ちやすいよう工夫された形であることが多いためです。
また、人は寝ている間に何度も寝返りを打つものですので、仰向けにも横向きにも対応できるものがよいでしょう。
枕の洗濯方法
毎日使う枕は実は、結構汚れるものです。枕カバーを毎日洗濯していたとしても、皮脂や汗といった汚れは、枕カバーを通過して枕本体にも浸み込みます。枕カバーだけでなく、枕本体を定期的に洗濯し清潔を保ちましょう。
洗える素材と洗えない素材
枕に使われる素材には洗えるものと洗えないものがあります。主な素材が洗えるかどうかについては、下記の通りです。
素材名 | 洗えるかどうか |
パイプ | 〇 |
わた(ポリエステルなど) | △ |
ウレタン | × |
ビーズ | × |
そばがら | × |
羽根 | × |
洗える素材には、パイプとポリエステルがあります。パイプは耐久性に優れ丸洗いできますが、ポリエステルは洗濯できないこともあります。ポリエステルの場合は、洗濯の表示を確認してから洗うようにしましょう。
一方、ウレタン・ビーズ・そばがら・羽根素材は洗えません。これらの素材の枕は、週に一回程度、定期的に陰干しをするとよいでしょう。陰干しをすることで、枕に溜まった湿気を取り除くことができるので、カビ対策になります。
洗濯の手順
洗える素材の場合は、洗濯機を使って洗うことができます。ただし洗える枕でも、洗濯機はNGの場合もありますので、事前に確認しておきましょう。
洗濯機を使う場合は、以下の手順で洗います。
- 枕カバーを外し、枕を洗濯ネットに入れて洗濯機へ入れます
- 中性洗剤を入れ、ドライコースや手洗いコースを選んで洗濯します
- 全体を軽く叩き、中身が偏らないようにしてから天日干しします
枕が大きすぎて洗濯機が回らない場合などは、優しく手洗いをするようにしましょう。
おすすめの枕「柔らかい編」
柔らかく頭を包み込んでくれるタイプの枕が好きな方に、おすすめの枕を紹介します。柔らかい枕は頭を安定させつつ、首のサポートもしっかりしてくれるので、起きたときに首や肩のこりが気になる人に効果が期待できます。
昭和西川「ホテルモード GP-1950 HYF」
ホテルの枕のように柔らかい枕で、頭だけでなく首元まで包み込まれるような安定感を感じながら眠ることができます。
枕の中には調整パッドが二つ入っており、取り出すことで高さを4段階に調節することができます。さらに高さを出したい場合は、自宅にあるタオルを入れて調整し、自分にとって快適な高さに調整可能です。
またポリジン加工が施されていることで防臭抗菌効果もあり、衛生面にも配慮されています。中素材はポリエステルで、手洗い洗濯もできます。
昭和西川 ホテルモード GP-1950HYF
アイリスプラザ「肩サポート低反発枕 LRP-SS」
頭や首だけでなく、肩や腕までサポートしてくれる低反発枕です。
素材には『低反発弾性メモリーフォーム』という、一般的なウレタンよりもさらに衝撃吸収性に優れた素材を使用しています。体圧分散性が高いため、体への負担はかなり低減されるでしょう。
また枕の高さは付属の調整用ウレタンフォームを、頭部や肩の下に入れることで調整することができます。横幅は95cmと広く、寝返りも打ちやすいでしょう。
アイリスプラザ 肩サポート低反発枕LRP-SS
アイリスプラザ「CCM 空間FITの夢まくらプレミアム SMHW001 」
ふわふわもちもちの感触が気持ちよく、頭を包み込んでもらえる安定感のある枕です。頭と枕の間の隙間にぴったりフィットするので、首への負担が軽減されます。
寝返りが打ちやすいデザインを採用しており、また横向き姿勢で寝ても首と肩に負担がかかりにくいよう設計されているため、一晩中快適に眠ることができるでしょう。
さらに枕本体は洗濯ネットに入れれば、洗濯機で丸洗いもできるので、いつも清潔に使うことができます。
アイリスプラザ CCM 空間FITの夢まくらプレミアム SMHW001
テンピュール「シンフォニーピロー」
もっちりふわふわのマシュマロを思わせるような柔らかさの枕です。
表裏の形状が異なり、両面使用可能なのが大きな特徴です。仰向け寝に適した緩やかなカーブのA面と、横向き寝に適したフラットな形状のB面とがあります。どちらを使うかは、その日の気分に合わせて選ぶのもよいでしょう。
素材はテンピュールなので、体温と頭の重みに合わせて形を変えてフィットします。しっかりフィットすることで、首や肩の筋肉の緊張を緩めることができるため、起きたときの首や肩のこりにも効果が期待できるでしょう。
テンピュール シンフォニーピロー
おすすめの枕「硬め編」
硬めの枕は反発力が高く、寝返りをサポートするよう設計されたものが多くあります。寝返りには、睡眠中の血液・リンパ液などの流れを促進させる役割があり、良質な睡眠をとる上でも重要な行為です。
ラテックス「高反発枕 ネックサポートピロー QX02」
体圧分散性に優れたラテックス製の高反発枕です。硬すぎることもなく、体にフィットしながら頭の重さをしっかり支えてくれるので、常に正しい寝姿勢を取りながら眠ることができます。
またラテックスは強い反発力も備えており、寝返りも打ちやすい素材です。自由に寝返りを打てるようサポートすることで、さらに快適な睡眠を実現してくれます。
加えて天然殺菌効果も実証されているので、衛生面でも安心です。通気性にも優れ、熱がこもりにくい枕です。
LOHATEX 高反発枕 ネックサポートピロー QX02
APA HOTELS&RESORTS「Air Relax」
硬めの高反発枕で、アパホテルで実際に使用されている枕です。
通気性と透湿性に優れた3Dメッシュ素材を採用し、硬すぎずにちょうどよい快適な寝心地を感じることができるでしょう。仰向け・横向き・うつ伏せと、どの姿勢を取っても眠りやすい形状です。
通気性に優れているため臭いもつきにくく、透湿性にも優れているので寝ている間の蒸れが気になる人におすすめです。枕カバーも2枚付属しているので、洗濯にも困らず清潔な枕をキープできるでしょう。
APA HOTELS&RESORTS Air Relax
ショップジャパン「トゥルースリーパー セブンスピロー TR7PAMS2」
首や肩のこりにお悩みの人に特におすすめの枕です。頭や首だけでなく背中まで支えてくれる、縦68cmの長さが特徴です。
素材には、体圧分散性に優れた独自の低反発素材『スムース・ヴィスコエラスティック』を採用し、首や肩への負担軽減を実現しています。
また横幅も90cmと長く、寝返りも打ちやすい設計です。専用の枕カバーは防臭抗菌仕様になっているため、汗や加齢臭などの臭いも消臭してくれます。
ショップジャパン トゥルースリーパー セブンスピロー TR7PAMS2
おすすめの枕「大きめ編」
大きめの枕にも体への負担を軽減してくれる設計のものが多々あります。また睡眠時以外にも使えたり、2人で使うことができたりするものなど、用途に特徴があるものも多いため、目的に合わせて選ぶとよいでしょう。
フォスフレイクス「コンフォートUピロー」
本体サイズ80×110cmで、U字型をした枕です。そのまま仰向けに寝ることもできますし、抱き枕のように使うことでうつぶせ寝にも対応します。
枕の素材に使われている『フォスフレイクス素材』は弾力性・復元性に優れ、どんな寝姿勢を取ってもしっかりと体圧を分散させ、体への負担を軽減します。
また寝るときだけでなく、リラックス時のボディクッションとしても使えますし、ストレッチやトレーニング時にも使用可能です。
フォスフレイクス コンフォートUピロー
セルプール「オブロンピロー」
横幅が100cmもあり、2人でシェアして使うこともできる枕です。ユーカリの木由来の『テンセルパウダー』をマットレスに結合させることで、蒸れにくさを実現しています。
また素材はウレタンですが、一般的なウレタン枕の2倍の密度にすることで、適度に柔らかく、体圧分散性にも優れた作りになっています。そのため柔らかくはありますが、沈みこんでしまうことはありません。
体への負担も軽減され、快適な睡眠を得ることができるでしょう。
セルプール オブロンピロー
枕を決めたらカバーもそろえよう
枕を決めたら、カバーもこだわって選びしょう。洗濯がしやすいものやカラーバリエーションが豊富なもの、枕本体を清潔に保てる高機能なものと、枕カバーにもさまざまな種類があります。
AYO「枕カバー B07KKC3Y6S」
素材は綿100%、なめらかで肌触りの柔らかい枕カバーで、快適に眠りにつけます。
吸水性・発散性・通気性に優れているので、暑い夏の夜にも蒸れにくいのがうれしいポイントです。気軽に丸洗いできる上、抗菌防臭加工・防ダニ加工もされているため、さらに清潔を保ちやすいでしょう。
カラーバリエーションも17色あり、シーツや布団カバーに合わせて選べるのも魅力です。
AYO 枕カバー B07KKC3Y6S
アイリスオーヤマ「まくらカバー CMP-4363」
ファスナータイプで着脱しやすい枕カバーです。素材は綿100%で吸水性・吸湿性がともに高く、肌触りもよいため心地よく眠りにつけるでしょう。
デザインはシンプルながらカラーバリエーションは8色展開しており、パステルカラーなどかわいくおしゃれなカラーが多いのも魅力です。
価格もリーズナブルなので色違いで複数そろえ、季節や気分に合わせて楽しむのもよいでしょう。
アイリスオーヤマ まくらカバー CMP-4363
プロテクト・ア・ベッド「ピロープロテクター プレミアム 50×70cm」
枕にかぶせるだけで、睡眠中にかいた汗・よだれ・はがれた皮膚・フケ・ダニが枕本体に侵入することを防いでくれる枕カバーです。
ラミネート加工を施した裏生地との二重構造で枕本体を守ってくれます。清潔を保てる優れた構造で、いつでも安心して使えるのが何よりうれしいポイントです。
カラーはホワイト・オーキッド・アースベージュの3色があります。
プロテクト・ア・ベッド ピロープロテクター プレミアム 50×70cm
自分好みの枕を見つけて安眠しよう
質のよい睡眠をとるためには、自分に合った枕で眠ることはとても大切です。高さや大きさ、自分好みの素材や形状の枕など、こだわるポイントはさまざまにあります。
睡眠中の寝姿勢を自然な形にキープすることができれば、体の負担が軽くなり、睡眠の質は格段に上がります。
自分に合った好みの枕を見つけて睡眠の質を向上させ、より充実した毎日を送りましょう。