盆栽に興味はあるものの、難しそうなイメージから、育ててみるのをちゅうちょしてしまうという人も少なくないでしょう。しかし種類によっては、初心者でも育てやすいものもあります。この記事では、選び方や育て方など、盆栽の基本を解説します。
目次
盆栽ってどんなもの?
盆栽というと、まずイメージするのは松かもしれません。盆栽には松もありますが、他にもさまざまな種類のものがあります。
また鉢植えと違って、自然観や宇宙観を表現する芸術でもあり、育てがいもあります。盆栽の魅力を知れば知るほど、はまってしまう人もいるでしょう。
盆栽の種類は主に四つ
盆栽には『松柏』『葉物』『花物』『実物』の四つの種類があります。
盆栽の王道、松を使ったものが『松柏』盆栽です。松の種類によっては、初心者でも育てやすいものもあり、中でも五葉松や黒松などは丈夫なので、挑戦しやすいでしょう。
また初心者向きなのは『葉物』盆栽です。楓やケヤキなど、秋になると紅葉するものを選べば、四季の移ろいによる美しさも楽しめます。
さらに『花物』盆栽は花をつける樹木を盆栽にしたもので、梅や桜、百日紅(さるすべり)が代表的です。種類によっては管理や手入れが大変なものもありますが、きれいな色の花をつけると華やぎますし、他の種類の盆栽とは違った魅力があります。
果実をつける樹木を盆栽にし、見た目にかわいい種類が『実物』盆栽です。姫リンゴやカリンなどが特に人気で、初心者でも比較的育てやすいでしょう。
鉢植えとの違い
盆栽と鉢植えとの違いは、育てる意味に違いがあるといえます。鉢植えは、単に植物を育てて花や実を愛でるものです。
一方盆栽は、鉢に植えた樹木の形を整えることで、『自然』を表現するものであり、もはや一つの芸術に属するともいえるでしょう。
また盆栽において、特に重要視されるのが、『席』という空間の概念です。空間の配置によって表現される世界が変わります。盆栽はそこにないものを想像させることで、その美を楽しむ芸術作品なのです。
盆栽の魅力や楽しみ方
盆栽の最大の魅力は、長い歳月をかけてゆっくり育てることにあります。季節や時間の流れとともに、緩やかに姿を変えていくさまを眺めていると、日々の忙しさに疲れた心も、じんわり安らいでいくでしょう。
毎日様子を見て、世話をすることでいつの間にか愛着も湧き、かけがえのない存在になることもあるかもしれません。
また、来客の際や特別なお祝いを自宅で行うときなどに盆栽を飾れば、インテリアとして楽しむこともできるでしょう。
空間の演出に一役買わせたり、誰かに鑑賞してもらったりすることは、大切に育ててきた盆栽の晴れ舞台のようで、少し誇らしい気持ちになるかもしれません。
盆栽の育て方、作り方は?
盆栽は、風通しと日当たりのよい場所に置いて育てるのが基本です。またここでは水やりの仕方、剪定や針金かけ、植え替えなど、正しく管理するために知っておくべきことを紹介します。
風通しのよい場所に置く
盆栽を育てるにあたって、正しい置き場所で管理することは大切です。盆栽は基本的に室内ではなく、風通しのよい場所に置いて育てます。
風通しをよりよくするために、また害虫対策のために地面に直接置くのではなく、60cmほど高さのある台の上などに置きましょう。
さらに日当たりがよいところに置きますが、真夏の西日など日差しが強すぎる場合には、すだれなどで遮光します。一方雪が降ったり、寒波の影響を受けたりしそうな日には、一時的に室内に避難させ凍らせないように気を付けましょう。
四季で異なる水やりの仕方
盆栽は、四季に応じて水やりの仕方が異なります。季節ごとの水やりの頻度は以下の通りです。
- 春:1日1回しっかり与えます。
- 夏:1日2~3回、朝・夕に与え、水切れしないように気を付けましょう。
- 秋:1日1~2回、たっぷり与えましょう。
- 冬:2日に1回程度、気温の高い昼間に与えます。
水の与え方は土が乾いていることを確認したら、じょうろでゆっくり、鉢底穴から水が流れ出るくらいたっぷり与えるのが基本です。『ドブ漬け』という、水を入れたバケツに鉢ごと漬ける方法で与えてもよいでしょう。
剪定作業や針金かけが必要
盆栽には、剪定作業は不可欠です。剪定は正面から見たバランス・樹高・枝の方向や間隔など、全体の樹形を見ながら行っていきますが、初心者にはなかなか難しいものです。
慣れないうちは、樹形を崩さない程度に伸びすぎた枝や、数が多く重なり合っている枝を取り除き、枝の分かれ目をはっきりさせることを意識しながら剪定してみるとよいでしょう。
また樹形を作る上で、針金かけも必要です。針金かけとは、針金を枝に巻き付けることで、枝の向きや形を変えるものです。樹形がよくなるだけでなく、樹幹への日当たりや風通しが改善されたり、病害虫の予防になったりします。
銅線の針金を使うのが一般的ですが、初心者にはアルミ製の2~3mmほどの太さの針金が曲げやすいのでかけやすいでしょう。下から上に向かって、太い健康な枝からかけていくのが基本です。
定期的に植え替えを
盆栽は2年に1回程度の頻度で、定期的に植え替えをするのが理想的です。長く同じ鉢に植えていると、根詰まりを起こしてしまい、水や栄養を吸収できなくなってしまうためです。
また水やりをしたときに、鉢に水が浸み込みにくくなっていたら、根詰まりを起こしている可能性があります。その場合は、前回の植え替えからあまり時間が経っていなくても植え替えをしましょう。
また植え替えを行う時期としては、新芽が出る前の3月や4月ごろが最適です。
盆栽の選び方や事前準備
まだ盆栽についての知識が少ない初心者の場合は、手入れのしやすいものを選ぶことが長く楽しむためのコツです。必要な道具をそろえ、事前準備もしっかりしておきましょう。
初心者は手入れのしやすいものを選ぶ
盆栽は小まめな手入れと行き届いた管理が必要なものも少なくありません。まだ管理についての知識が浅い初心者は、手入れや管理のしやすいものを選ぶとよいでしょう。育てやすくおすすめなのは葉物盆栽です。
逆に水を頻繁にしっかり与える必要のあるもの、病気になりやすいものなどを選ぶのは避けましょう。
また水やりの頻度を減らせるので、小さすぎない鉢を用いるのもおすすめです。
盆栽を育てるために必要な道具
盆栽を育てるために、最低限そろえておくべき道具は以下の七つです。
- ジョーロ
- 盆栽はさみ
- 又枝切り
- ピンセット
- 針金切り
- 針金
- 樹種に合った害虫除け薬剤
これらは、道具セットとして販売されたものを購入しても便利です。
鉢を用意する際には、鉢底に穴が開いているもの、かつ樹種に合った大きさのものを選ぶようにしましょう。底に穴が開いていないと、水はけが悪く根腐れの原因になります。また浅い鉢だと根の成長が妨げられ、不安定になってしまうためです。
おすすめの盆栽をチェック
盆栽妙「本格四国黒松 盆栽と初心者道具のセット gft003」
初心者にも育てやすい四国高松産の黒松です。種まきから3年目で、何度か剪定もされているので、樹形も整っています。
剪定はさみ・ピンセット・害虫用薬剤スプレー・園芸トレーの4点がセットになって付いてくるので、届いた日からお手入れ可能です。
万古焼の鉢は、天然石の敷物付きの瑠璃紺と、受け皿付きの月白の2種類から選べます。
盆栽妙『本格四国黒松 盆栽と初心者道具のセット gft003』
こぼんさい「八重桜 旭山桜盆栽 8847」
お祝いの贈り物にもぴったりな桜の盆栽です。桜の花をつけるのは4〜5月ごろまでですが、花後は10月ごろまで涼しげな葉物盆栽として楽しめます。育て方の説明書付きですので、盆栽初心者にも安心です。
高さは20cmほどのコンパクトサイズなので、リビングのテレビ台などにも置いて鑑賞できます。わざわざ公園などに出かけなくても、家でお花見を楽しむことができるでしょう。
こぼんさい『八重桜 旭山桜盆栽 8847』
新しい趣味「盆栽」を始めよう
盆栽は育て、作り、鑑賞することで楽しむものです。毎日様子を見て、世話をすことで愛着が湧き、気づけば盆栽のとりこになっているという人も少なくないでしょう。
小まめな手入れが必要で管理が難しいものもありますが、初心者でも育てやすい種類を選べば、さほど知識がなくても始められます。新しい趣味として、ぜひ気軽に盆栽に挑戦してみましょう。