冷蔵庫を処分する際には、家電リサイクル法で定められた方法に則った対応が必要です。自治体や家電量販店、専門業者、引越し業者など、然るべき所に依頼しましょう。フリマアプリなども一案です。費用の相場や、処分する際の注意点も要チェックです。
目次
冷蔵庫が粗大ごみで処分不可の理由とは?
冷蔵庫が、普通の粗大ゴミとして処分不可能な理由として挙げられるのが『家電リサイクル法』です。
この法律により冷蔵庫を含むいくつかの家電は、粗大ゴミなどの普通のゴミとして捨てられません。具体的にどのような背景があるのか、知っておきましょう。
冷蔵庫は家電リサイクル法の対象
2001年に『家電リサイクル法』が施行され、冷蔵庫・冷凍庫・エアコン・テレビ・洗濯機・衣類乾燥機は、一般のゴミとしては捨てられなくなりました。
使える部品や資源などのリサイクルが義務づけられ、廃棄物の減少を目指す施策です。この法律があるため、冷蔵庫を普通の粗大ゴミのように捨てることはできません。間違えて無断でゴミ捨て場に捨てないように、注意しましょう。
処分にかかる費用はリサイクル料と運搬費
冷蔵庫を処分する際には、一般的には捨てる側が『リサイクル料金』と『収集・運搬料金』を払う必要があります。リサイクル料金は製造メーカーごとに決めれており、『家電製品協会家電リサイクル券センター』のサイトで確認することができます。
再商品化等料金一覧(家電リサイクル料金) | RKC 一般財団法人家電製品協会 家電リサイクル券センター メーカーによって多少の差はあるものの、目安の金額は170L以下の冷蔵庫で約3700円、171L以上になると約4700円が一般的な相場です。
収集・運搬費用の目安は3000円程度ですが、回収してくれるメーカーや業者、自治体などによって変わります。また、搬出に手間がかかる場合などは追加料金が発生することもあるので、その都度確認が必要です。
適正価格での取り引きが前提とされているので、費用相場を目安として押さえておくと安心です。もしも法外な金額を請求するような業者の場合は、依頼するのは避けましょう。
購入元が分かる場合は販売店へ
冷蔵庫を新しく買い換える場合には、購入店舗へ処分をお願いするのがスムーズです。また、同じ店舗で買い換えなくても、新しく冷蔵庫を購入した店舗に古い製品の処分依頼をすれば、引き取ってもらえるでしょう。
買い換え時に処分してもらう
冷蔵庫を買い換える際には、新しい冷蔵庫を購入する販売店に処分を依頼するとスムーズです。家電量販店などの小売店が、家電リサイクル券を発行し、収集・運搬の手配もしてくれます。
リサイクル料金や運搬料は発生するのが一般的ですが、自分でリサイクル券や業者の手配をする必要がないので、手間がかからずとても便利です。場合によっては、リサイクル費用を無料にしてもらえたり、別途ポイント還元してもらえたりするケースもあります。購入時に確認しておきましょう。
処分のみの受付も可能
処分だけを依頼したい場合は、冷蔵庫を購入した店舗に問い合わせてみると良いでしょう。実店舗ではなくインターネットで購入したようなケースであっても、小売店には『家電リサイクル法』の対象となっている家電を引き取る義務があります。
遠方に引越して購入店が近くにない場合でも、まずは購入店に相談してみましょう。場合によっては運搬料が高くなることも考えられますので、事前に料金を確認することが大切です。
冷蔵庫の購入元が不明の場合
時間がたっており、冷蔵庫をどこで買ったのか分からなくなっている場合には、以下の方法があります。
自治体に相談すると、自分で見積りなどを取らなくて良いのでスムーズです。引越しを控えている場合には、引越し業者が対応してくれることもあるので便利でしょう。
自治体に相談する
冷蔵庫の処分をどこに依頼して良いか分からない場合は、まずは自分が住んでいる自治体の市区町村に問い合わせてみましょう。
自治体によって、処分方法は異なります。自治体指定の回収業者を案内してくれる場合は、自分で業者を探す手間が省けるでしょう。自治体が認可している業者なので、取り引きも安心できます。
回収業者に連絡したあとは、事前に家電リサイクル券を購入するなど、リサイクル料を回収日よりも前に支払うケースが多いです。詳しい方法は自治体の指示に従いましょう。
そのほか、自分で指定の引き取り場所に持ち込む方法を教えてくれる場合もあります。
「指定引取場所」へ自分で搬入する
自治体が指定している特定の引き取り場所へ、自力で持ち込む方法です。引き取り場所は、家電リサイクル券センターのサイト内にある『指定引取場所検索』で確認しましょう。
RKC 一般財団法人家電製品協会 家電リサイクル券センター この方法の場合は、自力で指定の場所まで冷蔵庫を運搬することになるため、運送費用は発生しません。手間はかかりますが、直接の負担金額は『リサイクル料金』のみとなります。
コスト面では一見お得ですが、重い冷蔵庫を運ぶ労力や、準備にかかる手間も検討した上で選択しましょう。
引越しの際に対応可能な業者もある
引越しの際に冷蔵庫が不要になって処分したい場合には、引越し業者に処分をお願いするという手段もあります。
ただし、これは業者によって対応している所としていない所があるので、引越し見積りの際に相談しておくと良いでしょう。業者によっては、買い取りサービスも対応可能なケースもあります。
引越し業者は引き取り専門ではないので、割高になることもあります。金額を確認した上で、他の所に依頼する自分の手間も考慮しながら検討してみましょう。
冷蔵庫を売って処分したい場合
冷蔵庫を自分で売って処分したい場合、可能な手段を紹介します。買い取り専門業者やリサイクルショップ、もしくは最近増えているオークションやフリマアプリを使っての出品です。それぞれ、メリット・デメリットを知って検討しましょう。
自分で買い取り専門業者に依頼する
冷蔵庫は壊れていても、買い取ってもらえることがあります。一部の部品の損傷で、ほかの状態が良い場合などは特に、一度相談してみることをおすすめします。
買い取り金額は業者によって変わるので、複数見積りを依頼して比較しましょう。対応の良さや価格などの条件を比べることで、良い業者が見つかります。
使用状況にもよりますが、ファミリーサイズの冷蔵庫で1年使用くらいのものだとおよそ1~5万円、3年使用で5000~3万円などが目安になります。およその目安と複数の見積りがあれば、極端に安く買い取ろうとする悪質な業者を避けることが可能です。
リサイクルショップへ売却する
リサイクルショップに買い取ってもらうという手段もあります。この方法のメリットは、冷蔵庫の状態が良く、使用年数も短く、型番も新しいという場合には、引き取り査定の金額が上がる点です。また、売却成立となれば、リサイクル料金は不要となります。
ただし、逆に全く値段がつかないこともあります。その場合には買い取り不可となり、リサイクル料金と回収費用だけが発生するでしょう。
査定額を上げるためには、なるべく汚れや霜をしっかり落としてからのぞむなど、できるだけきれいな状態にしておくのがポイントです。この場合も、数社に査定してもらうと相場を把握できます。
ネットオークションやアプリを利用する
最近増えているネットオークションや、フリーマケットのアプリを利用して処分することも可能です。この場合は、リサイクル料は発生しません。ただし、冷蔵庫の運搬費用が発生します。
冷蔵庫などの大型家電を発送することは、普段なかなかないことなので、配送料のおよその金額も把握しておきましょう。梱包の手間もいつもよりかかってしまうことが想定されるので、注意が必要です。
また、すぐに売れるとは限りません。処分するまでに時間がかかる可能性があることも、デメリットの一つとしてあらかじめ把握しておきましょう。
冷蔵庫を処分する際の注意点
冷蔵庫を処分する際に、注意すべき点を押さえておきましょう。無料回収をうたう業者は、原則避けるのが無難です。運搬前の下準備も、安全に冷蔵庫の処分を完了するために抜かりなく行っておきましょう。
無料で回収する悪徳業者に要注意
冷蔵庫は『家電リサイクル法』の対象であり、正規のルートでは『料金が発生する』のがルールです。「無料で回収します」という売り文句は一見お得に感じられますが、違法業者であるケースが大半なのでくれぐれも注意しましょう。
もし不当に廃棄された場合、違法業者だけでなく、自分にも重い罰則がかかってしまうケースも考えられます。不適切な方法での廃棄は環境にも影響が出てしまうでしょう。
信頼できる業者を選び、適切に処理してもらうことが大切です。
冷蔵庫の運搬には下準備が必要
冷蔵庫を運搬する前には、『水抜き』『霜取り』が必須です。水漏れが起こると、運搬途中に冷蔵庫が故障してしまうことがあります。また、トラックの中を水浸しにしてしまう可能性もあるのです。
運搬する前日には電源コードを抜き、冷蔵庫内の霜はしっかり溶かして取り除いておきましょう。このときに製氷皿の氷や、蒸発皿(水受けトレー)にたまった水も捨てておきます。
電源コードを抜いてから蒸発皿に水が溜まるまでは、目安として最短でも10時間ほどかかります。運搬の予定時刻から逆算して、余裕を持って対処することが重要です。
適切な方法で冷蔵庫を処分しよう
冷蔵庫を処分する際には、家電リサイクル法に従って、ルール通りに対応しましょう。自治体などに依頼して専門の業者を紹介してもらうとスムーズです。
購入店が分かる場合や、新しく買い換える場合は、家電量販店に相談すると引き取ってもらえます。引越しの場合には、引越し業者が対応してくれる場合もあるでしょう。
自分で指定場所に持ち込んだり、フリマアプリを使ったりすることもできますが、運送や梱包に思わぬ手間やコストがかかることもあります。費用だけではなく、手間と合わせて検討するのがおすすめです。
無料で回収する業者には、くれぐれも注意しましょう。法律違反に巻き込まれるリスクがあります。引き取り前の下準備もしっかりとした上で、スムーズに冷蔵庫を処分しましょう。