出産祝いのご祝儀袋を準備する際にはいくつかのマナーがあります。ご祝儀袋や水引の選び方、表書きと中袋の書き方、連名の場合の記入方法など、ルールを守って書けば、贈る相手にもお祝いの気持ちが伝わるでしょう。
この記事では、正しいご祝儀袋の作り方を解説します。
目次
出産祝い用ご祝儀袋の選び方
親しい人やお世話になった人など、大切な人が出産したときには、気持ちを込めてご祝儀を贈るのが一般的です。しかし、いざとなるときちんとマナーを守って準備できるかどうか、不安に思う人も多いのではないでしょうか。
まずは、肝心要のご祝儀袋の選び方について、確認しておきましょう。
水引は『蝶結び』を選ぼう
出産祝いに使うご祝儀袋は、蝶結びの水引のものがふさわしいでしょう。蝶結びは花結びとも呼ばれ、ひもを引っ張れば簡単にほどけ、また簡単に結び直せることから、何回あっても嬉しいお祝いごとに使われます。
子どもの誕生は何回あってもおめでたいことなので、蝶結びの水引のご祝儀袋を選びましょう。
(※水引とは、ご祝儀袋の外側に付ける鮮やかな色のひものこと)
『結びきり』は結婚式向けなのでNG
水引は、おめでたいシーンで使われるものではありますが、結びきりのものは避けましょう。結びきりには、『一度結ぶとほどけないため、二度目はない方がよい』という意味があります。そのため、結婚式のご祝儀袋として使われ、離婚や再婚を連想させないようにすることが多いです。
結びきりを出産祝いに使うと、まるで2人目以降の出産を望んでいないような意味合いが生まれ、失礼に当たります。同様にあわじ結びも、一度結ぶとなかなかほどけない結び方であることから、出産祝いにふさわしくありません。
表書きの書き方
ご祝儀袋には、表書きに記入する文字にもマナーがあります。しかし、ご祝儀袋に何をどうやって書くのか分からないという人も多いでしょう。
出産祝いの場合、表書きには何を書けばいいのか、込められた意味と併せてマナーを確認していきます。
筆記用具は黒の筆ペンがベター
出産祝い用のご祝儀袋には濃い黒の筆ペンがよいでしょう。もちろん、手書き文字に自信のある人や、より気持ちを込めたいという人は、毛筆でも構いません。
お祝いごとの場合、濃い黒色でお祝いの気持ちをはっきり表すことができます。逆に、薄い墨や灰色のインクは、お葬式などに使われるためNGです。『悲しみの涙で墨が薄くなった』という意味が込められてしまうからです。そのため、ご祝儀袋を書く際には、インクや墨の色の濃さにはよく注意しましょう。
また、筆に不慣れだからといって、万年筆やボールペンを使うことは避けたほうが無難です。贈る相手の両親・義両親など、年配の人が見ると手抜きのように見え、不快に思われることがあります。当然、書いてもすぐに消せる鉛筆や、消えるボールペンを使うことはもってのほかです。
上段には贈る目的にふさわしい言葉
ご祝儀袋は、水引を境目に上段と下段に分かれています。表書きの上段には、贈る目的にふさわしい言葉を選んで書きましょう。出産祝いの場合は『御出産御祝』や『祝 ご出産』、『御祝』がおすすめです。
ただし、つい書いてしまいそうになる『御出産祝』は、4文字で『死』を連想させるためふさわしくありません。『寿』も一見おめでたくてよい言葉に思えますが、結婚祝い向けの言葉であるため避けましょう。
(※表書きとは、ご祝儀袋の上包みの正面に書く文字のこと)
下段には贈り主の名前
表書きの下段には贈り主、つまり自分の名前を書きます。姓だけ、もしくは氏名をフルネームで書いてもかまいません。
上段に書いた言葉とのバランスを見ながら、まっすぐ一直線上に揃えるように書きましょう。
連名で送る場合の書き方
出産祝いでご祝儀を贈るときは、自分1人だけで準備するとは限りません。夫婦やカップルの共通の知人、会社や友達関係でご祝儀をまとめて贈るという場合もあるでしょう。
出産祝いを連名にしたい場合、ご祝儀袋にはどのように書けばいいのかをご紹介していきます。
夫婦やカップルが連名する場合
夫婦やカップルが連名で出産祝いを贈る場合、下段に書く名前は2列になります。その際、贈る相手との親しさの度合いや関係性などは関係なく、右側に男性、左側に女性の名前を書くことが一般的です。
夫婦の苗字が同じ場合、夫はフルネームで、妻は下の名前だけを書きましょう。このとき、夫は真ん中に、妻は左寄りに書くこともあります。もしくは、全体がバランスよく見えるように、苗字だけを真ん中に書き、夫婦の名前はその下に左右振り分けて書いてもOKです。
また、夫婦別姓をとっている場合や、入籍前のカップルは苗字が異なるため、2人ともフルネームで書きましょう。
2~3人連名は全員の名前を
2~3人の連名にする場合は、全員分の名前を書きます。このとき、同僚や友達同士など、上下関係がない場合は、名前を五十音順に並べて書きましょう。
また、役職・立場・年齢の差がある場合は、一番上にあたる人を右側にし、左に続けて書いていきます。この他に、最も上の立場の人をご祝儀袋中央に書くケースもありますが、どちらも誤りではありません。
4人以上はまとめて書こう
4人以上の連名で贈る場合、全員分の名前は書きません。この場合は、代表者1名の名前を中央に書き、左寄りには代表者名よりもやや小さめの文字で『他一同』『外一同』などと書いて省略します。また、会社の場合は『営業部一同』や『管理部一同』など、所属している組織の名前を書きましょう。
そして、省略された人たちの名前は奉書紙に書き、中包みに同封します。こうすることで、表書きはシンプルに見栄えをよくしつつ、ご祝儀には誰が参加したのかしっかりと伝えることができます。
(※奉書紙とは、大事なことを記す和紙のこと)
中袋の書き方
ご祝儀袋に入れるお金は、中袋と呼ばれる封筒か、中包みと呼ばれる半紙に入れてから上包みで包みます。この中袋に記入する内容も決まっており、守るべきマナーがあるのです。
ここでは、中袋の書き方について、一つ一つ確認していきましょう。
金額は旧字表記の漢数字で
中袋には、ご祝儀として包んだ金額を記入します。このとき、金額は壱萬円・弐萬円・参萬円など、旧字表記の漢数字での記載が一般的です。
金額の頭には、『金』を記入して『金壱萬円』などと表記しましょう。より細かく丁寧に記載する場合は、最後に『也』を記入し『金壱萬円也』としますが、現在では省略されることも多いです。
裏に住所と氏名を書く
中袋の裏面には、ご祝儀を出した人の住所と名前を記入します。この際、ご祝儀を贈られた側がお礼状やお返しを出すことにも配慮し、住所には郵便番号も添えて記入するとよいでしょう。
また、現在販売されているご祝儀袋には、中袋に氏名と住所を記入する欄が印刷されているものが多いので、この場合は記入欄に沿って書き込んでいきます。
中袋がなくてOKなケースも
出産祝いの場合、中袋を省略したご祝儀袋でも問題ないことがあります。一般的に、包む額が比較的少額となるケースが多いからです。
中袋を使わない場合、ご祝儀を出した人の住所を記入しないことになるので『お返しはいりません、お気遣いなく』という意味も込められます。そのため、家族や友人など親しい間柄で、マナーを細かく気にする関係でなければ、中袋は省略してもよいでしょう。
反対に、高額を包む場合や、上司・先生などの目上の人、あまり親しくない友人や遠縁の親戚などの場合は、中袋を用意します。そうすることで、マナーをきちんと押さえ、相手がお返しをする際にも手間がかからないようにという気遣いが込められます。
お祝いの気持ちが大切
出産祝いのご祝儀袋を準備する際には、お祝いの気持ちを込めることが何より大切です。ご祝儀袋の選び方や書き方、連盟の場合の記入の仕方など、ここでしっかり押さえておきましょう。
相手を喜ばせたいという気持ちがあれば、贈る相手の気持ちや立場に配慮したご祝儀袋を準備しようと思えるものです。きちんとマナーを守った出産祝いを贈れば、お祝いの気持ちはしっかり伝わります。