ポリウレタンは、衣服や小物に使われている化学繊維です。伸縮性や吸湿性などの特徴があり、機能性の高いスポーツウェアなどの衣類にも使用されています。劣化しやすい素材であるため、洗濯などのお手入れには注意が必要です。
目次
ポリウレタンとはどんな素材?
ポリウレタンは、化学繊維の一つです。天然繊維にはないさまざまな特徴があるため、幅広い用途で使われています。
ポリウレタンの発祥や主な用途
ポリウレタンは、ウレタン素材を配合して作られた化学繊維です。元々は、天然ゴムの代替品としてドイツで開発され、正式名称は『スパンデックス』といいます。
ポリウレタンは500%~1000%の伸縮性があり、軽くて染色しやすいのが特徴です。素材にポリウレタンを数%配合するだけでも、伸縮性や吸湿性がアップし、体にフィットして動きやすくなります。
そのため、スポーツウェアや下着、伸縮性のあるデニムなどに使われる素材です。衣服以外にも、スマホケース・軽量バッグ・シューズ・フェイクレザーなどにも使用されています。
一方で、劣化しやすい素材でもあります。洗濯やクリーニングに出す際には、注意が必要です。
ポリウレタンのメリット、デメリット
ポリウレタンには、メリットとデメリットがあります。
ポリウレタンのメリットは、機能面です。ゴムのような伸縮性の高さに加えて、軽さ・耐久性にも長けています。ほかの素材と比較しても、洗ったり汗をかいたりした後に乾きやすく、シワになりにくいでしょう。
一方で、摩擦や湿気に弱い点がデメリットです。ポリウレタンは乾きやすくはありますが、水に弱い素材です。ぬれたまま放置してしまうと加水分解され、劣化が早くなります。
そのため、取り扱い方にもよりますが、ポリウレタンの衣服は製造後2〜3年ほどが寿命の目安です。寿命近づいてくると、伸縮性が弱くなったり、シミやベタツキなどが発生したりしてきます。
また、ポリウレタンは水分・湿度・紫外線などの条件でも、劣化の速度が変わります。
長持ちさせたいポリウレタンの衣服は、正しくお手入れする必要があるでしょう。
ポリウレタン衣類の洗濯の仕方を解説
(出典) photo-ac.com
ポリウレタンは、条件によっては劣化が早くなってしまう素材です。ポリウレタン素材の衣類のお手入れ方法を知り、長持ちさせましょう。
洗濯前に洗濯表示や注意点をチェック
ポリウレタンの衣類をお手入れする際には、必ず洗濯表示を確認しましょう。
水洗いできるものは、自宅での洗濯が可能です。水温は30℃以下で、手洗いや洗濯機弱流洗いをする表示が多いでしょう。特に、ポリウレタン混紡製品は熱に弱いため、水温は30℃以下が望ましいです。
洗剤は、おしゃれ着用洗剤を使用しましょう。洗濯ネットを利用し、コースは『手洗いコース』や『ドライコース』などを利用します。
ぬれた状態で劣化が進んでしまうため、つけ置き洗いは避け、短時間で洗濯します。洗剤残りもポリウレタンの劣化につながるので、すすぎをしっかりと行いましょう。
また、洗濯機による脱水はダメージが大きいため、長くても1分以内にとどめ、その後は日陰で自然乾燥させます。
なお、水洗い可能な素材でも、ポリウレタンの劣化が進んでいる衣類は、クリーニング屋に相談することをおすすめします。
縮むポリウレタンを自宅で洗濯するには
ポリウレタンは縮んだり、劣化しやすい素材です。自宅で洗濯機や手洗いでお手入れする際には、以下の方法が望ましいでしょう。
<ポリウレタンを洗濯機で洗濯する方法>
- 衣類を裏返しで折り畳む
- 同じくらいの大きさのネットに入れる
- ドライもしくは手洗いコースなどを選択する
- 十分な量の水と洗剤で洗う
- 10秒ほど脱水する
- 日陰で、風通しのよい場所に干す
<ポリウレタンを手洗いで洗濯する方法>
- 洗面器・おしゃれ着用中性洗剤・柔軟剤を用意する
- 洗面器にぬるま湯を入れ、おしゃれ着用中性洗剤を入れる
- 5分ほど軽く手で押し洗いする
- 洗面器の水を2回ほど変え、優しくすすぐ
- 静電気の発生を防ぐために柔軟剤を入れて、すすぐ
- 日陰で、風通しのよい場所に干す
ポリウレタンマスクを洗濯する場合
ポリウレタン製のマスクも、劣化しやすく、繊細な素材です。正しい方法でお手入れしましょう。
<ポリウレタン製のマスクを洗濯する方法>
- バケツなどにぬるま湯2lを入れる
- 濃縮洗剤なら小さじ約1/6杯分(約0.7g)、レギュラータイプの洗剤なら小さじ約1/3杯分(約1.7g)を入れる
- マスクを入れ、手で優しくつかみながら洗う
- マスクを両手で押しつぶすようにして絞る
- 水を変えて、洗剤の香りがしなくなるまで、1〜2回すすぐ
- タオルに挟んで水気を切る
- 日陰で、風通しのよい場所に干す
正しい干し方や保管方法は?
(出典) photo-ac.com
ポリウレタンの衣類は、紫外線や熱に弱い素材です。劣化を防ぐために、干し方や保管方法にも気を付けるポイントがあります。
乾燥は自然乾燥、陰干しで
ポリウレタンを乾燥させる際には、日陰の風通しのよい場所で、自然乾燥させましょう。
ポリウレタンは熱に弱いため、乾燥機での乾燥は、縮みの原因となる傾向があります。また、湿気そのものや、ぬれた状態で力を加えることも、劣化の原因です。
脱水後にはすぐに形を整え、陰干ししましょう。このとき、衣服を裏返しにして厚手のハンガーで干すと、乾きにくい縫いしろ部分が表になるためおすすめです。
アイロン使用時は低温で
ポリウレタンは、温度に気を付ければアイロンも使用できます。
アイロンがけの際にも、事前に洗濯表示を確認しましょう。点が一つ記載されたアイロンマークが表示されている衣服なら、アイロン温度を110℃以下の低温に設定して、使用します。
ポリウレタンの場合、当て布をした状態でドライアイロンをかけます。スチームアイロンは高温・多湿で、ポリウレタンを縮ませる原因になるため、使用を避けましょう。
長持ちさせるための保管方法
ポリウレタン製品を保管するときは、風通しがよくて湿気が少ない場所を選びます。直射日光や高温になる場所は避けましょう。
クローゼットや引き出しなどに、除湿剤・シリカゲル・ピレスロイド系防虫剤などを設置して、湿気や虫食いから守ります。
また、クリーニング後のビニール袋や箱などに入れて、長期間放置しないようにします。ビニール袋や箱は湿気をため込み、カビが発生する原因になるためです。
クローゼットなどで保管する場合、隣接する衣服にカビが生えると、ポリウレタンの衣服にもカビが移ることがあるため気を付けましょう。
ポリウレタンは優しく洗濯しよう
(出典) photo-ac.com
ポリウレタンは伸縮性の高さや軽さに優れており、ストレッチの効いたスポーツウェアにも使用されるなど、機能的で便利な素材です。
その一方で、摩擦や湿気に弱く、劣化しやすい繊細な素材でもあります。
熱や摩擦、湿気などに注意してお手入れし、機能的なポリウレタンの衣服を長持ちさせましょう。