はじめまして。国際災害レスキューナースの辻直美です。私は災害看護に関わり、今年で27年目のワーママナースです。
救命救急と災害看護の現場でフリーのナースとして働いています。今では防災啓蒙のため、一般の方を対象とした防災講座をはじめ、企業向けの防災セミナーを開催したり、コンサルタントをしたりしています。
防災は専門グッズを駆使しなくてもできる!
「防災の専門家として、防災対策はどうしてますか?」と質問されることがよくあります。実は、私の自宅の防災対策は専門のものを駆使するのではなく、家にあるものかプチプラグッズでほとんど対応しています。
防災対策はグッズを買うことではなく、少ない種類の備蓄でたくさんの使い方を実践することです。「防災ってお金かけてやるんじゃないの?」「家にあるものでどうやってやるの?」という方も多いと思うので、そのメソッドを紹介したいと思います。
防災ってやらなきゃって思うけど、なかなかやる気にならない
2018年の大阪府北部地震で、震度6弱の被災直後の私の家と隣の家のキッチン。同じマンションでも地震対策をしているかどうかで大きな差が!
防災対策はやらなきゃいけないとほとんどの方が思っているはず。しかし、大抵の方は実際に対策するまで至っていません。その理由は、「わざわざ用意するのが面倒くさい」「お金をかけるのに抵抗がある」「いつ起きるかわからないことのために準備するスイッチが入らない」の3つ。これを解決するには「日常の中にあるもので備える」ということを意識することが大事です。
私が考える防災は日常の延長線です。専門のグッズを買い揃えることは、精神的な安心にはなりますが、グッズは無数にあるし、使いこなせる人もほとんどいません。「いつも家にあるもの」「使ったことがあるもの」なら、あなたにもできるはず。日常で使っているグッズやアイテムの使い方から発展させて「防災にも使える」ようになれば、気軽にいつでも防災対策に取り組んでいけるのです。
日常で使っているもので災害トイレも作れる
大災害が起きたら、ライフラインが断絶します。すると、今ある生活のほとんどはできなくなる可能性があります。
その時にまず考えるべきことは、排泄対策。人は飲まず食わずでも排泄はします。ここで必要なのは災害トイレです。しかし、わざわざ用意するのが面倒ですよね。でも、家にあるもので代用できたらどうでしょうか?
実は「45リットルゴミ袋」「新聞紙」「ペット用トイレシート」で災害トイレが作れるんです。上の写真のように、いつも使っている便座を活用して、ゴミ袋を広げ、ペット用トイレシートを敷き、そのうえから新聞紙をかぶせます。
この3つのグッズは日常で使っている人も多いはず。防災のためだけに購入する必要がないのがポイントです。
災害は怖いけど“防災はおもろい”を伝えたい
家にあるものや身近なグッズのいろいろな使い方を知っているだけで、災害時に助かる可能性はぐっと上がります。
私が自分で実践してきたスキル、そして被災者からの声を活かした具体的なテクニックをまとめたのが、私の著書3冊です。
『防災クエスト』は、RPG(ロールプレイングゲーム)ゲームのように家族でミッションをクリアしながら防災を学べます。『レスキューナースが教える 新型コロナ×防災マニュアル』では、コロナ対策とコロナ禍における災害対策について書きました。そして地震対策の基本的なスキルは『レスキューナースが教える プチプラ防災』で詳しくご紹介しています。
私がご提案する防災対策を実践すると、家が片付き、決断力が上がり、アレンジ力がアップします。つまり、生活の質を上げることにもつながるのです。備蓄も、スキルも、やり方も、知らないのはもったいない。防災をするためだけにやるのはなかなか行動にはつながらない。でも生活が変わるなら、やってみる価値ありです。
「災害は怖いけど、防災はおもろい」。あなたが知っている防災を、ガラッとパラダイムシフトするきっかけになれば嬉しいです。
辻 直美
国際災害レスキューナース
一般社団法人育母塾 代表理事
Instagram:@nao_saigairescue
『レスキューナースが教える プチプラ防災』(扶桑社)
税込1,320円
『レスキューナースが教える 新型コロナ×防災マニュアル』(扶桑社)
税込1,210円
『防災クエスト』(小学館クリエイティブ)
税込1,320円
※2021年06月10日時点