除湿機は湿気除去のほか、製品によっては衣類乾燥や空気清浄などさまざまな機能を備えています。梅雨時期は部屋干しする日が多くなるため、生乾きの臭いに悩まされている人もいるでしょう。この記事では、除湿機の選び方のポイントを中心に解説します。
除湿機を利用するメリット
梅雨時期など、湿気が気になる季節に活躍するのが除湿機です。まずは除湿機で室内の湿気を取り除くことで得られる、メリットを解説していきます。
湿気を取り除き室内環境を快適にする
室内の湿気を取り除き、湿度を下げるのが除湿機の持つ機能です。湿度を下げることで、体感温度も下げることが可能です。
例えば空気には、気温が上がるほど、空気中に含める水蒸気量が増える特徴があります。『気温10℃・湿度50%』と、『気温20℃・湿度50%』では、空気中に含まれている水蒸気量は気温20℃の方が多くなります。
そのため、除湿機で室内の水分量を減らすことで涼しく感じるわけです。
また高い湿度は、カビ・ダニの発生原因になります。カビやダニはアレルギー疾患を引き起こすリスクがありますが、湿気を取り除くことで発生を抑えられます。
湿気を取り除いてくれる除湿機を置くだけで、過ごしやすい快適な室内環境を得られるでしょう。
部屋干しに使える衣類乾燥除湿機が人気
除湿以外の機能を備えた『衣類乾燥除湿機』は名前の通り、室内で衣類乾燥ができることもあって人気を集めています。暖かい空気を取り込んで冷やしてくれるので、湿度・温度を上げずに部屋干しが可能です。
また種類によってはヒーター機能を搭載しているので、洗濯物の乾きにくい季節にも活躍してくれるでしょう。
衣類乾燥除湿機の最大の特徴は、その乾燥時間のスピードです。通常の部屋干しと比べて約70%短い時間で衣類を乾かすことができます。共働きや子どもも多い家族にとって、非常に便利な家電なため人気を集めているわけです。
除湿方式は3タイプ
一口に除湿機といっても、種類によって湿気を取り除く除湿方式が異なります。方式の違いによって使用に適した季節が変わってきますので、選ぶ際の参考にしましょう。
高温時に効果的なコンプレッサー方式
『コンプレッサー方式』は、空気を冷やすと発生する結露を利用した方式の除湿機です。備え付けられたタンクに水がたまっていくのは、除湿機内部の冷媒で空気を冷やして水滴に変えているためです。
ほかの方式と比べて高い除湿機能を持っているので、梅雨や夏場などのジメジメとした季節に適しています。
ただサイズが大きく、重量もあるため、部屋の隅に置いても存在感があるのがデメリットです。また製品によっては静音性が劣るものもあるので、就寝時での使用を想定している人は、静音設計であるかを購入前にチェックしましょう。
冬に向いているデシカント方式
吸い込んだ湿気をヒーターで蒸発し、熱交換器で除湿させるのが『デシカント方式』の特徴です。
ヒーターを活用するため、徐々に室温が上がる傾向にあります。そのためデシカント方式は、冬に向いている除湿機といえるでしょう。
またコンプレッサー方式よりもコンパクト・軽量であるため、部屋に置いても邪魔になりにくいのもメリットです。気温が低い環境下でも十分な除湿機能があるので、冬場の部屋干しにも重宝するでしょう。
ただしヒーターを使う分、消費電力が大きいのがデメリットです。室温が上がってしまうので、気温の高くない季節での使用は考えた方がよいでしょう。
1年中快適なハイブリッド方式
『ハイブリッド方式』は、コンプレッサー方式とデシカント方式の機能を搭載した除湿機です。
梅雨時期は、コンプレッサー方式で大量の水分を取り除き、冬場はデシカント方式で室温を上げながら除湿ができます。また、気温が高いときはヒーター機能をオフにすることで、消費電力を抑えられます。
ただしハイブリッド方式は製品本体が大きく、重いのがデメリットです。ほかの方式よりも割高な場合も多いので、置き場所・予算を考慮して購入は慎重に検討していきましょう。
また、種類によって対応可能な部屋の広さが異なるので、設置を検討している場所がある人は事前に部屋の広さも確認しておくと安心です。
除湿機選びのポイント
除湿機は除湿方式だけではなく、メーカーによっても特徴に大きな違いがあります。いざ除湿機を買おうと考えても、価格や性能が多様のため迷ってしまうこともあるでしょう。
自分に合った1台を選ぶための、四つのポイントを紹介していきます。
除湿能力
梅雨時期での使用を想定している人は、『除湿能力』が優れているか必ず確認しましょう。
除湿能力は、1日当たりで除湿する水分量で比較ができます。また、除湿能力は木造や鉄筋コンクリートなど、住宅の種類によっても変わってきます。
例えば1日で5〜6lもの水分を取り込める除湿機なら、木造で6〜8畳・鉄筋で13〜15畳の広さの部屋に最適です。
部屋が広かったり、よりパワフルな除湿機を求めていたりする人は、除湿能力が15lを超えるような製品を探しましょう。木造で19~20畳・鉄筋なら38~40畳もの広い部屋でも対応できます。
使いやすさとメンテナンス性
毎日使う除湿機ですから、お手入れのしやすさも選ぶ際の大切なポイントになってきます。
例えば、タンクの大きさが挙げられるでしょう。除湿能力の優れた除湿機であっても、すぐにタンクが一杯になってしまえば、毎回の水を捨てる作業が面倒になってしまいます。
また、タンクの取り付けが簡単な商品である方が、余計なストレスを抱えることもありません。
さらに、頻繁に除湿機を移動することを考えると、本体のサイズと重量も選ぶポイントになります。オールシーズン利用できるハイブリッド方式は便利な反面、大型な製品が多い傾向にあるので、無理せず持ち運べるサイズ感か確認しておきましょう。
ランニングコスト
除湿能力や除湿方式によって、電気消費量は異なってきます。1日中稼働させていることも少なくない機器のため、月々のランニングコストも考慮に入れておきましょう。
デシカント方式は、コンプレッサー方式の約3倍もの電気代がかかるといわれているので、長時間の稼働を想定している人は要注意です。
例えば除湿能力7lの場合、コンプレッサー方式が1時間当たり約5円なのに対して、デシカント方式では最大で17円ほどの電気代が発生します。またハイブリッド方式は、両方の除湿方式を採用しているため、中間の電気消費量になります。
その他の機能
除湿機には『空気清浄』や『衣類乾燥』など、除湿以外の機能が備わっている製品があります。1台でさまざまな役割を担ってくれるので、部屋のスペースに限りのある人は、ほかの機能にも目を向けてみましょう。
例えば、衣類乾燥除湿機なら、湿気を気にせずに素早く部屋干しを済ませられます。また、ナノイー・プラズマクラスターといった空気清浄機能が付いた除湿機なら、梅雨だけではなく、花粉の季節にも活躍してくれることでしょう。
小さな子どもがいる場合は、静音性に優れた製品を選ぶのも大切です。コンプレッサー方式は一般的に稼動時の音が大きいので、『おやすみモード』など音を抑える機能があるものを選びましょう。
おすすめのコンプレッサー方式除湿機
除湿性能に優れたコンプレッサー方式の除湿機には、どのような製品があるのでしょうか?ここでは、おすすめのコンプレッサー方式の除湿機を、3点紹介していきます。
シャープ 衣類乾燥除湿機 CV-L180
家電製品で有名なメーカー『シャープ』では、独自技術であるプラズマクラスターを搭載した衣類乾燥除湿機を販売しています。
自然界にも存在するプラス(H+)とマイナス(O2-)のイオンを応用し、室内に存在するカビ菌・浮遊菌などを除去するのが、プラズマクラスターの特性です。
コンプレッサー方式ということもあって、1日16lもの水分を取り込んでくれる除湿能力となっています。カビ菌を除去しながら衣類を乾燥してくれるので、梅雨時期でも部屋干し特有の臭いに悩まされることもないでしょう。
シャープ 衣類乾燥除湿機 CV-L180
山善 衣類乾燥除湿機 除湿量10L YDC-C100(W)
真っ白でシンプルな見た目が特徴の『山善』の衣類乾燥除湿機は、楽に設置場所を変えられる製品です。重量が12.4kgとやや重めながら、キャスターが付いているため女性でも無理せずに扱えます。
また4.5lのタンクには取っ手が付いているので、手をぬらさずにたまった水を捨てられるのもうれしいポイントです。
除湿面積は木造11〜13畳・鉄筋17〜19畳となっていますが、6lや12lなどほかのサイズも展開されています。部屋の広さに合わせたサイズを選べるのも、本商品のメリットの一つです。
山善 衣類乾燥除湿機 除湿量10L YDC-C100(W)
コロナ 衣類乾燥除湿機 Hシリーズ CD-H18A(K)
石油ストーブで有名なメーカー『コロナ』でも、梅雨時期に使えるコンプレッサー方式の衣類乾燥除湿機を販売しています。1日18lもの優れた除湿性能で広いリビング・クローゼットの中まで、しっかりと除湿してくれることでしょう。
また夜の部屋干しや厚手の洗濯物など、シーンに合わせた衣類乾燥モードが選べるのも特徴です。例えば夜干しモードなら、稼働音を抑えながら朝までにはカラッと洗濯物を乾かしてくれます。
加えて、タンクの水が一杯になったときは、自動で除湿機能がオフになるので安心です。
コロナ 衣類乾燥除湿機 Hシリーズ CD-H18A(K)
おすすめのデシカント方式除湿機
冬に最適なデシカント方式にも、さまざまな除湿機があります。小型で静かな製品もあるので、寒い時期の湿気対策を考えている人は参考にしてみましょう。
アイリスオーヤマ 衣類乾燥除湿機 デシカント式 IJD-H20
生活用品の製造・販売を行う『アイリスオーヤマ』では、割安なデシカント方式の除湿機を展開しています。1日当たりの除湿量は2.2lと控えめですが、1時間10円ほどのランニングコストがうれしいポイントです。
木造3畳・鉄筋6畳と、コンプレッサー方式と比べて除湿可能面積は狭めです。しかし、洗濯物に直接乾燥風を当てられるので、雨の日は重宝することでしょう。
重量は約4.4kgと軽量なので、使いたい場所に持ち運ぶ際にも便利です。
アイリスオーヤマ 衣類乾燥除湿機 デシカント式 IJD-H20
トヨトミ 除湿機 デシカント式 TD-Z80J
『トヨトミ』のデシカント方式除湿機は、風向きや強さを選べるので、洗濯物の量に応じた使い方が可能です。
トヨトミは、昔から石油コンロなどの暖房機器の製造・販売に携わっており、除湿機にもその技術が使われているので、その品質には納得できるでしょう。
『室内除湿モード』機能は、温湿度センサーによって快適な湿度に自動調整してくれます。急いで除湿したいときは『急速』、電力を抑えたいときは『エコ』など、自由に選べるのもうれしいポイントです。
トヨトミ 除湿機 デシカント式 TD-Z80J
パナソニック デシカント方式衣類乾燥除湿機 F-YZT60
『パナソニック』の衣類乾燥除湿機は、持ち運びができるコンパクトなサイズが特徴の製品です。本体重量約5.9kgで、移動に便利なハンドルも付いているため、さまざまな部屋を除湿できます。
また、小さいながらも約110cmもの幅に風を当ててくれるので、衣類が乾きにくい冬の季節でも安心でしょう。部屋干しできるスペースが限られている人や、毎日小まめに洗濯をする人に最適です。
パナソニック デシカント方式衣類乾燥除湿機 F-YZT60
おすすめのハイブリッド方式除湿機
最後に、コンプレッサー方式とデシカント方式の両方の機能を兼ね備えたハイブリッド方式除湿機を紹介していきます。
1台でオールシーズン使える便利な除湿機ですが、値段も張るので以下を参考にしてみましょう。
シャープ プラズマクラスター衣類乾燥除湿機CV-NH140
部屋のカビ発生を未然に防ぐ『カビバリア運転』が特徴の、シャープの衣類乾燥除湿機です。またプラズマクラスターによって、洗濯物の生乾き臭を消臭してくれるのはもちろん、部屋や衣類に付いたタバコ臭も分解・除去してくれます。
また、排水タンクにはハンドルが付いているので、お手入れも簡単です。市販のホースをつなげば、排水タンクに水がたまるのを気にせずに長時間稼働させられます。
シャープ プラズマクラスター衣類乾燥除湿機CV-NH140
部屋と用途に合った除湿機を選ぼう
部屋にこもった湿気を取り除いてくれる除湿機は、梅雨や夏場などジメジメとした季節には欠かせない製品です。
コンプレッサー方式やデシカント方式など、除湿方式の違いによってメリット・デメリットに違いがあるので、部屋と用途に合わせた除湿機選びが大切になります。
空気清浄機能など、ほかの機能を備えた製品も便利ですので、紹介した除湿機を参考に、自分に合った1台を見つけ出しましょう。