浄水器は、家庭の水道水をおいしく安全な水に変えてくれる器械です。とはいえ、種類や形状によって使い勝手や性能は異なるため、安易に選ぶのはおすすめできません。浄水器の種類や選び方、さらにはおすすめの浄水器をタイプ別に紹介します。
目次
浄水器の種類は主に4タイプ
現在『家庭用品品質表示法』では、水道水に混入する13種類の物質を除去対象としています。浄水器は、特製のフィルターで水道水をろ過し、こうした不純物や不要物を取り除いてくれるアイテムです。
「水道水を安全に口にしたい」というニーズに合わせ、近年ではさまざまな種類・形状のものが販売されるようになりました。
目星を付けずにいきなり店頭に足を運んでも、自身の家庭に適した浄水器を選ぶのは難しいかもしれません。まずは主な浄水器のタイプと特徴を知ることから始めましょう。
蛇口直結型
蛇口直結型とは、水道の蛇口にろ過カートリッジをセットするタイプの浄水器です。
このタイプはわざわざ業者を呼んで設置してもらう手間がない上、設置のためのスペースも必要としません。設置の簡単さや手軽が受け、浄水器の中では最もポピュラーです。
ただし蛇口直結型は、水道水をろ過するためのカートリッジが小さめです。サイズに比例してろ過量はさほど多くはなく、カートリッジの交換頻度も高くなります。
どのようなカートリッジを選ぶかにもよりますが、およそ3~6カ月に1回は交換が必要です。価格は1万5000円から2万円程度のものが多いでしょう。
ビルトイン型
ビルトイン型は浄水器本体やホースをシンク下に収納して使う浄水器です。その形状から『アンダーシンク型』ともいわれます。
ビルトイン型は、シンク上では浄水器と水道が一体化しており、シンクを広く使えるメリットがあります。カートリッジの交換頻度も少なく、およそ1年に1回程度です。
ただし、ビルトイン型は業者による本体設置工事が必要な上、シンク下にスペースが必要となります。導入コストは高額になりがちで、価格はおよそ1~10万円程度です。
据え置き型
据え置き型は、シンクに浄水器を設置して使うタイプです。設置するときは、蛇口の分岐水栓と浄水器をホースでつなぎます。
シンク周りには浄水器分のスペースが必要となりますが、特別な取り付け工事は必要ありません。説明書を見ながら自分で取り付けられます。
据え置き型のメリットとしては、カートリッジが大きめであることです。カートリッジの交換頻度も少なめで、およそ1年に1回程度で済むでしょう。
また、据え置き型の浄水器の中には『整水器』の機能を持つものも多くあります。このタイプなら、浄水後にアルカリイオン水や水素水などを生成できます。価格はおよそ1~10万円程度です。
ポット型
ポット型は、容器の中にフィルターが設置されている浄水器です。水道水を容器に注ぎ、ろ過されるのを待ちます。麦茶を作るような感覚で浄水でき、手軽に使えるのが魅力です。
またデザインやサイズのバリエーションが多く、携行用やタンブラーサイズの小型のものも見つかるでしょう。価格も安価で、相場は2000~6000円程度です。
ただし、ポット型は『浄水までに時間がかかる』『雑菌が繁殖しやすい』などのデメリットもあります。フィルターの交換頻度も比較的多く、2~3カ月に1回です。
どうやって選べばいいの?
どのような浄水器が必要かは、家庭によってまちまちです。種類ごとの特徴を踏まえ、使いやすいものを選びましょう。
設置する場所に合わせて選ぶ
浄水器を設置するときは、キッチンの空きスペースや蛇口の形状などをきちんとチェックしておきましょう。シンクを広く使いたい場合は、蛇口直結型・ビルトイン型、ポット型がおすすめです。
据え置き型は常にシンク上に置いて使うため、キッチンの形状や状態によっては邪魔に感じるかもしれません。加えて、蛇口直結型や据え置き型は蛇口の形状を選びます。例えば、変形水栓やセンサー式水栓などには取り付けられないケースが多いようです。
なお、ビルトイン型はシンク上はすっきりするものの、シンク下の収納スペースは狭くなります。こちらも事前の確認が必須です。
コストで選ぶ
コストを考えるとき注意したいのが、カートリッジそのものの価格だけではなく、交換頻度も考えることです。安価なカートリッジでも、頻繁に交換が必要ならばコストがかさみます。カートリッジの寿命が長い方が、結果的には安く済むかもしれません。
一般にカートリッジの交換頻度が高いのは、蛇口直結型やポット型です。
据え置き型やビルトイン型はカートリッジが大きい分、交換回数も少なくなります。ただし、両者とも本体価格はより高額な上、ビルトイン型は工事費も必要です。
浄水器のコストは、本体代・設置費用・カートリッジの交換費用などを合わせた額を想定しましょう。
蛇口直結型のおすすめ浄水器
取り付け工事が不要で、気軽に使えるのが蛇口直結型の浄水器です。飲料用はもちろん、調理、洗浄用などにも使えます。家庭に必要な機能やコストなどを見極めて、最適なものを選びましょう。
トレビーノ「カセッティMK309SMX」
水道水のミネラル分はそのままに、家庭用品品質表示法で指定される13種類の物質を除去します。ろ過流量は同社の2倍にアップしており、浄水スピードも速くなりました。『浄水』『原水』『シャワー』に切り替え可能で、さまざまな用途に使えます。
また、シャワー径は0.4mmと極細です。出てくる水は手当たりがやわらかく、水はねも気になりません。原水シャワーに切り替えると、およそ30%の節水が可能です。
なお、カートリッジの寿命は約2カ月で、2lのペットボトル約300本分の水を浄水できます。交換時期は、交換目安ダイヤルを見れば一目で分かるでしょう。
取り外して洗浄可能な吐水口カバーが付いて、浄水器の清潔を保ちやすい仕様です。
トレビーノ カセッティMK309SMX
パナソニック「浄水器 TK-CJ12」
蛇口直結型であるにもかかわらず、カートリッジの寿命が長い浄水器です。ごく普通の使い方をしていれば、約1年間は交換せずに使えます。浄水できる水の量は、1年で約4000lです。つまり2lのペットボトルを約2000本浄水できます。
また、浄水機能については、家庭用品品質表示法で指定される物質のうち11種類の除去が可能です。このほか浄水器協会(JWPA)が定めた6種類の物質も除去します。
水垢がたまりやすいシャワー部分を取り外して洗えたり、カートリッジの交換日を書き込めるシールが入っていたりと、細やかな配慮があるのもうれしいポイントです。
パナソニック 浄水器 TK-CJ12
クリンスイ「CSP901」
浄水器本体に、大型の液晶画面が付いています。ボタンを押せばカートリッジの浄水残量とろ過水量の表示が可能です。
シャワーの水がはねにくいよう水の粒子を細かくしたり、お手入れしやすいよう浄水キャップ・シャワーキャップを脱着可能にしたりなどの配慮もあり、使う人のことを考えた仕様です。
また浄水性能については、家庭用品品質表示法で指定される物質13種類、さらに浄水器協会が指定する2種類の物質について除去が可能です。
カートリッジの寿命は約3カ月あり、900lの水を浄水してくれます。これは、2lのペットボトル約450本分です。
クリンスイ CSP901
ビルトイン型のおすすめ浄水器
ビルトイン型の浄水器なら、浄水器の存在を感じさせません。キッチンの見た目を損ないたくない人やキッチンを広々使いたい人におすすめです。ビルトイン型の浄水器から、おすすめの商品を見ていきましょう。
メイスイ「Ge-1Z-FA4S」
コンパクトながら、たっぷりの流量と大容量を実現しました。スリムなボディで、設置時に余計なスペースを取りません。シンク下の空きがあまりない家庭でも設置しやすい浄水器です。
また、本体は『高性能成型活性炭』『中空糸膜』の二つのフィルターが水道水のにおいや不純物を取り除きます。家庭用品品質表示法で指定される物質13種類についての除去率は、ほぼ90%以上です。
なお、浄水器は1年に1回のメンテナンスが必要です。『フルメンテナンス』『セルフメンテナンス』のうち、フルメンテナンスはスタッフが訪問し交換から配管の洗浄・点検までを行なってくれます。
メイスイ Ge-1Z-FA4S
TOTO「浄水器専用自在水栓(ビルトイン形) TK301AS」
水道水をろ過する『ろ材』として、『不織布』『イオン交換繊維』『活性炭』『中空糸膜』を使用しています。浄水性能は高く、家庭用品品質表示法で指定される13種類の物質の除去が可能です。
また、本体は水の流れを利用して発電させ、その電力を蓄電する仕様です。別途電源を確保する必要がなく、電源が遠くても不自由はありません
1日20lを浄水した場合、約1年に1回はカートリッジの交換が必要です。
TOTO 浄水器機能付水栓(ビルトイン形)TK301AS
三菱ケミカル「クリンスイ 浄水器(アンダーシンク専用水栓) A103ZC」
クリンスイ独自の3重ろ過システムを搭載しています。高性能カートリッジが、水道水に含まれる不純物を逃しません。家庭用品品質表示法に指定される13種類の物質を高度除去してくれます。
また、設置時は水栓を分岐させて浄水器用の専用水栓を作ります。混合水栓・浄水用の水栓を同時に使うことが可能です。
1日20lを浄水した場合、カートリッジは約1年に1回交換する必要があります。
クリンスイ アンダーシンクタイプ専用水栓 A103ZC
据え置き型のおすすめ浄水器
据え置き型は、「高性能な浄水器が欲しいけれど、工事は面倒…」という家庭に向いています。近年は浄水機能に加え、アルカリイオン水や水素水などを生成できるものも登場しました。水にこだわりのある人も、据え置き型の検討がおすすめです。
据え置き型の中から、特におすすめの浄水器を紹介します。
パナソニック「アルカリイオン整水器 TK-AS46」
セラミック入り活性炭を使ったカートリッジが採用されており、業界最高レベルの浄水性能を誇ります。家庭用品品質表示法に指定される13種の物質のほか、浄水器協会が指定する6種類の物質の除去が可能です。
また、本品は整水器といわれる通り、pHの異なる5種類の水を生成できます。これにより、「赤ちゃんのミルクには浄水を」「炊飯にはpH9.0の水を」などと、用途に合わせた使用が可能です。
本体には選んだ水の種類を色で示してくれる『水質シグナル』が付いており、現在どの水を選んでいるかが一目で分かります。
パナソニック アルカリイオン整水器 TK-AS46
エアリバー「ハイテク・ヘルスウォーターⅡ」
アメリカ生まれの新型酸化還元浄水器です。搭載された酸化還浄水システムがトリハロメタンや遊離残留塩素といった汚染物質を取り除くほか、水道水特有のカルキ臭もカットしてくれます。
またこの浄水器の特徴は、カートリッジの寿命が長い点です。1日20lの水道水を浄水した場合、8年間はカートリッジの交換をする必要がありません。電源も不要なので、ストレスなく長く使えます。
エアリバー ハイテク・ヘルスウォーターⅡ
日本ガイシ「C1 CW-101-NB」
水処理のトップメーカーとして知られる『日本ガイシ』からは、水道水の安全を徹底追求した浄水器がラインアップされています。
浄水器には、超微細孔で細菌や不純物を99.999%取り除くファインセラミックフィルター、塩素や化学物質などを吸着する高性能活性炭、鉛除去セラミックスが採用されています。
これにより、家庭用品品質表示法に指定される13種の物質について、基準を大きく上回る除去率を達成しました。
また通水量が多いため、水の使用時にストレスを感じません。飲用から料理まで、さまざまなシーンで安全な水を使えます。
本体は、約18カ月でカートリッジの交換が必要です。交換のタイミングは本体の赤色LEDランプが点滅して教えてくれます。
日本ガイシ C1 CW-101-NB
ポット型のおすすめ浄水器
最も扱いやすく気軽に使えるポット型は、バリエーションが豊富です。形状や容量などを考慮して、冷蔵庫に保存しやすいものを選びましょう。
ポット型の浄水器から、おすすめの商品を紹介します。
パナソニック「ポット型ミネラル浄水器 TK-CP21」
六甲山系の水質と同じ硬度の浄水を生成できる、ポット型の浄水器です。
水道水を容器に入れれば、水の硬度を60~90mg/lに変えられます。これは一般に『おいしい水』といわれる硬度です。また、家庭用品品質表示法に指定される13種の物質と、浄水器協会が指定する2種類の物質も除去します。
なお、本体は食洗機に対応するほか、ろ過時間も同社の従来品と比較して約2/3に短縮されています。カートリッジの交換目安はダイヤルで示してくれるなどの配慮もあり、使い勝手のよい浄水器です。
1日2lを浄水した場合、約4カ月でカートリッジの交換が必要となります。浄水部容量は2lです。
パナソニック ポット型ミネラル浄水器 TK-CP21
ブリタ「Aluna」
世界60カ国以上で愛用される、『ブリタ』の浄水器です。
カートリッジ1個で、約200lの水を浄水できます。1日3.5lを浄水した場合、約2カ月でカートリッジの交換が必要です。本体には替え時を教えてくれる液晶が付いているため、タイミングに迷うことはありません。
また、浄水性能については、家庭用品品質表示法に指定される13種の物質とそのほか2種類の物質の除去が可能です。
ヤシ殻を原材料とするマイクロカーボンパールとイオン交換樹脂が、水道水から不純物や余分なミネラル分を取り除きます。浄水部容量は2Lです。
ブリタ Aluna
クリンスイ「CP012」
『片手で持ちやすい形状』『フタを外さなくても給水できる』など、ストレスなく使いやすい浄水器です。
中空糸膜フィルターを採用したカートリッジが、家庭用品品質表示法に定められた除去対象13物質のほか、浄水器協会で定められた除去対象2物質も除去します。
また、カートリッジは、2lのペットボトル約100本分を浄水できます。家庭で毎日2lの水を使った場合、カートリッジの交換は3カ月に1回程度です。
コンパクトでスリムなボディなので冷蔵庫のドアポケットにもすっきりと収まるでしょう。
クリンスイ CP012
月額契約のレンタル浄水器もある
転勤が多く引越しが頻繁な人や、購入前に使い勝手を確認したい人は、浄水器をレンタルする方法があります。月額契約で浄水器をレンタルした場合、どのようなメリットや注意点があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
レンタル浄水器のメリット
浄水器をレンタルするメリットとしては、以下のようなものがあります。
- メンテナンスを任せられる
- 故障したとき困らない
- 最新・高性能な浄水器を使える
浄水器を購入した場合、メンテナンスは各自の責任です。しかしレンタルなら、業者がメンテナンスまで対応してくれます。故障したときも自己対応せずに済み、新しいものに取り替えてくれることがほとんどです。
また、最新だったり高性能だったりする浄水器は高額で、手が出ないことも多いかもしれません。しかしレンタルなら月額制なので、大金を支払わずに済みます。
使ってみたいと感じた最新型・高性能の浄水器もレンタルのラインアップにあるかもしれません。
注意点はある?
浄水器をレンタルする注意点としては、以下のようなものがあります。
- 解約月によっては解約金が発生することがある
- 取り付け工事は自己負担
契約する会社にもよりますが、浄水器の契約は年単位で行なわれます。この場合、契約月以外で解約すると解約金が発生し、不要な料金を支払う必要があります。
また、浄水器の取り付け工事については『自己負担』とするケースが少なくありません。例えばビルトイン型などを設置する場合は、工事費用が高額になるケースがあります。
いずれにせよ、詳細は契約する会社によってまちまちです。レンタル契約をする際は契約書をきちんと読み、納得の上で契約しましょう。
環境に合わせて使いやすい浄水器を選ぼう
浄水器は、主に蛇口直結型・ビルトイン型・据え置き型・ポット型の4種類があります。
普段の料理から飲料まで全て浄水したいなら、ろ過量の多いビルトイン型や据え置き型がよいでしょう。一方、気軽に使いたい場合は設置の手間がない蛇口直結型やポット型がおすすめです。
ただし、浄水器を選ぶときは、本体価格だけではなくカートリッジ費用も含めて考えなければなりません。カートリッジのコストや交換頻度についてもきちんとチェックする必要があります。
家庭のニーズと環境とをよく考え、使いやすい浄水器を選びましょう。