家の老朽化とは?建て替えのメリットや手順などを解説


家は月日が経つと老朽化します。そのため、修繕やリフォームの他に、新築への建て替えを検討する方もいます。建て替えには多くの時間と費用がかかるため、しっかり検討することが重要です。そこで今回は、老朽化した家の建て替えのメリットや手順、注意点などを解説します。

家の老朽化とは?

Point 老朽化すると様々な不具合が生じる

 

家は月日が経つと老朽化し、耐久性や耐震性などが下がります。家の寿命は、木造住宅は30~80年程度、鉄筋構造・鉄骨コンクリート造は30~90年程度が目安とされています。ある程度の築年数になると下記のような現象が起こる恐れがあります。

 

  • 湿気が溜まりカビが生える
  • シロアリやネズミなどの害虫・害獣が住みつく
  • 地震や台風などで倒壊する
  • 外壁の剥がれや雨漏りが発生する
  • 床が歪む

 

適切な換気やメンテナンスを行っていないとカビや家の内外に不具合が発生してしまいます。特に、キッチンや浴室、トイレなどの水回りは劣化しやすいです。

 

 

 

新築への建て替えのメリット

Point 好みの間取りや設備、性能の家に住めてメンテナンスまで期間がある

 

今のライフスタイルに応じた間取りや設備を見直せる

年齢によってライフスタイルが変わることがあります。例えば、30代の時は夫や子どもと一緒に住んでいたため、それぞれの部屋が必要であっても、60代になって子どもが巣立ち、夫と2人暮らしになった場合、多くの部屋は必要なくなるかもしれません。

 

一方で、より多くの部屋や設備が必要になることもあります。例えば、今までは夫と2人暮らしであっても、両親が高齢になり同居することになることもあります。二世帯住宅に変更したい時も新築への建て替えなら実現可能です。

 

また、最近では一人暮らし用の注文住宅を検討する方も増えてきています。一人暮らし用の注文住宅について知りたい方は「一人暮らし用の注文住宅とは?間取りや気を付けたいポイント、費用などを解説」を参考にしてください。

 

また、高齢になると手すりやホームエレベーターが必要になり、バリアフリーを意識した家を建てたくなるかもしれません。その場合は「注文住宅を建てる際に考えたいバリアフリーとは?作り方のポイントや注意点などを解説」という記事もあるため、参考におすすめです。

耐震工事や断熱工事を行って性能を高められる

耐震工事や断熱工事を行って家の性能を高められるところも建て替えのメリットです。例えば、高気密・高断熱の家を建てると、1年中適切な室温を保ちやすくなるため、快適に暮らせるようになります。そのため、特に夏や冬は光熱費が安くなります。

 

その他、ヒートショックが起きにくくなり、遮音性も高まるという効果も期待できます。こういった高気密・高断熱の家づくりについては「高気密・高断熱の住宅とは?メリット・デメリットや気を付けたいポイントなどを解説」でも紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。

害虫が発生しにくく、メンテナンスまで期間がある

新築の際にシロアリ防除などの処理を行うため、害虫が発生しにくくなります。また、全てが新しくなるため、家や設備のメンテナンスまでの期間が長くなります。

 

家は築10年を過ぎた頃から様々な場所で修繕が必要になります。目安となる修繕場所と修繕費は以下の通りです。

 

修繕する場所

修繕費(100平方メートルの場合)

水回り(キッチンやトイレなど)

100~150万円

シロアリ防除

20万円

外壁塗装

100~150万円

屋根塗装

100万円

フローリング張り替え

(8畳あたり)15~20万円

給水管

50万円

 

築年数を考えると、新築に建て替える方が効率的で費用が抑えられることもあります。

老朽化した家の建て替え手順

Point 希望条件を明確にして住宅メーカーを選定し、建築する

 

老朽化した家の建て替えの手順は以下の通りです。

  1. 希望の明確化
  2. 業者の選定(家の解体も含む)
  3. 敷地調査依頼
  4. 間取り図作成と工事請負契約の締結
  5. 建築確認申請書の提出
  6. 住宅ローン契約
  7. 建て替え工事・引き渡し

 

建て替えを依頼する住宅メーカーを選んで、家の敷地の形状や土地の高低差、既存の建物状況、ガス管・水道管の敷設状況などを調べる「敷地調査」を行います。

 

その後、間取りを決め、工事請負契約を締結し、建築確認申請書の提出および住宅ローンの契約をします。そして、建て替え工事を行い、引っ越します。

 

この建て替えの手順や期間について詳しく知りたい方は「住宅の建て替え費用はいくらかかる?相場や費用項目、費用シミュレーションを紹介」を参考にしてください。

建て替える際の参考費用

Point 解体費用や建築費用の他にもお金がかかる

 

建て替える際の参考費用は以下の通りです。30坪の場合をシミュレーションしています。

 

解体費用:150万円(木造)、210万円(鉄骨造)、240万円(鉄筋コンクリート造)

現在建っている住宅を解体するための費用。

 

建物本体費用:2,500万円

新しい住宅を建てるのにかかる費用。大きさや設備によって大幅に変動する。

 

敷地調査費用:5~10万円

家の敷地の形状や土地の高低差、ガス管・水道管の敷設状況などを調べるための費用。住宅メーカーによっては無料の場合もある。

 

地盤改良費用:60万円(表層改良工法)、90万円(柱状改良工法)、180万円(鋼管杭工法)

地盤調査の結果、必要だと判断された場合に発生する費用。

 

建物滅失登記費用:5万円

住宅解体後、建物滅失登記のための費用。

 

登録免許税:18万円

新築した住宅の所有権を登記するための税金。

 

不動産取得税:60万円

新築した住宅に対して支払う税金。

 

固定資産税・都市計画税:35万円・7万5,000円

所有不動産にかかる税金。

 

印紙税:2万円

業者との契約書を作成する際の税金。

 

仮住まい費用:50万円

建て替え工事中に住む住宅の費用。家賃の他、敷金や礼金、仲介手数料などが発生する。

 

引っ越し費用:7万円

現在の住宅から仮住まい先へ、その後、新築した住宅への2回引っ越しが発生する。

 

新しい家の建築費用はケースバイケースですが、注文住宅の所要資金の全国平均は、注文住宅のみの場合は3,500万円程度、土地付きの場合は4,500万円程度です。予算3,000万円くらいから、強いこだわりも実現しやすくなる傾向があります。

 

注文住宅の相場については「注文住宅の相場はいくら?費用の内訳や実例を解説!」を参考にしてください。

建て替え前に確認すること

Point 建て替えができる土地や建物かを確認し、電気やガス、水道などの手続きをスムーズに行う

 

老朽化した家を建て替える際にいくつか確認をしなければならないことがあります。

再建築不可物件

再建築不可物件とは、今建っている家を解体して更地にすると、新たに家を建てられない土地です。

 

接道や隣地境界線などの状況が変わると、再建築不可物件となることがあります。土地と接する道路の幅が狭い場合は、建築基準法の要件を満たすことができないため、建築許可が下りません。

 

再建築不可物件の場合、建て替えができなくてもリフォームはできることもあります。

既存不適格建築物

既存不適格建築物とは、建築基準法や都市計画法に適合していない建物です。

 

以前は法的に認められていても、その後に建築基準法や都市計画法が変わり、既存不適格建築物になることがあります。例えば、道路拡張のためにセットバックが必要になったり、その地域の建ぺい率や容積率が変更になったりすることがあります。

 

建て替えの際は、現在の法律に適用させる必要があるため、今と同じ場所に同じ大きさの建物が建てられないこともあります。

電気やガス、水道などの手続き

解体工事の前には、電気やガス、水道などの停止手続きが必要です。ガスメーターの撤去やガス管切断には立ち合いが必要になるため、事前に申し込みを行いましょう。

 

また、仮住まい先や新築に引っ越す度に停止・開始の手続きが必要です。手続きが遅れると全体のスケジュールに影響を及ぼすことがあるため、スムーズに進めましょう。

まとめ

家には寿命があるため、老朽化してきたら新築に建て替えることも検討すると良いでしょう。建て替えを考える時は、全体の流れやかかる費用を確認し、リフォームなど他の方法と比較しましょう。また、その際に再建築不可物件や既存不適格建築物ではないかの確認も併せて行います。

 

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