第一種低層住居専用地域とは?制限やメリット・デメリットを解説


土地探しや家づくりを検討すると「第一種低層住居専用地域」という言葉を目にすることがあるかもしれません。この地域に建物を建てる際は、様々な制限があります。そこで今回は、第一種低層住居専用地域の特徴やメリット・デメリットを解説します。

第一種低層住居専用地域とは

Point 用途地域の一種

 

第一種低層住居専用地域とは、都市計画法で定められた用途地域の一種で、一戸建てや低層マンションなど低層住宅のための地域です。

用途地域の中で一番高さの制限が厳しく、低層住宅が立ち並ぶ住宅街が形成されることが多いです。

 

 

 

 

第一種低層住居専用地域の制限とは

Point 高さや建ぺい率など様々な制限がある

高さ

建物の高さを10メートルあるいは12メートルまでと定めています。この高さとは、地盤面から屋根のトップまでの距離のことで、自治体によって高さの制限が異なります。

 

高さに関しては、後述する道路斜線や北側斜線などの影響を受けるため、この規制は「絶対高さ制限」とも呼ばれ、低層住宅が立ち並ぶ理由の1つとなっています。

建ぺい率と容積率

建ぺい率(敷地に建てられる建築面積の割合)や容積率(敷地に建てられる延床面積の割合)にも制限があります。

 

第一種低層住居専用地域では、建ぺい率は30%、40%、50%、60%で、容積率は50%、60%、80%、100%、150%、200%となっています。

 

なお、建ぺい率や容積率ついて詳しく知りたい方は「建ぺい率とは?計算方法、緩和措置について解説。」や、「容積率とは?計算式や建ぺい率との違い、緩和措置について解説」を参考にしてください。

道路斜線

道路や隣地に建つ建物の採光や通風を確保することを目的として、道路斜線制限があります。この制限は、敷地が面した道路の反対側の境界線(道路中心線の高さ)から一定の勾配で敷地に向かって引いた斜線内に建物を収めなければいけないという制限です。

 

建物の高さは、敷地と接する道路の反対側の境界線までの距離の1.25倍にする必要があります。ただし、道路から一定の距離を超えている場合は、制限がなくなります。

北側斜線

北側斜線制限は敷地の北側の住宅に日差しを確保するために定められており、北側隣地境界線の5メートルの高さから、一定の角度で引いた斜線内(1.25倍以下)に建物の高さが制限されるものです。

なお、斜線制限については「斜線制限とは?用途別の制限や計算方法を解説」を参考にしてください。

日影規制

日影規制は、冬至の日を基準に建物の周囲に日照を確保するための規定で、軒高が7メートルを超える建物または3階建てに適用されます。

 

軒高とは、地盤面から柱の上部を結ぶ梁までの高さのことです。一般的に、2階建ての場合、軒高が7メートルを超えることはほとんどありません。3階建てを建築する場合には気を付けましょう。

外壁の後退

日照・通風・防火などの面で良好な環境を作るため、建物の外壁や柱面を敷地境界線から1メートルまたは1.5メートルは後退しなければいけない規制があります。ただし、自治体により制限がない地域もあります。

建物の種類

建築基準法により、第一種低層住居専用地域で建築できる建物の種類が決められています。具体的には、住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、兼用住宅(諸制限あり)、幼稚園、保育所、小・中・高等学校、図書館、公衆浴場、老人ホームなどを建てることができます。一方で、店舗や事務所は建てられません。

 

第一種低層住居専用地域のメリット

Point 閑静な住宅街で建物が密集せず、高い建物が建つ心配がない

閑静な住宅街になる

厳しい制限があるため、広さに余裕のある住宅が立ち並びます。また、店舗や事務所などの商業施設が建てられないため、住民以外の往来が少なく、閑静な住宅街になることが多いです。

日当たりや風通しが良い

建ぺい率が小さいため、建物同士に一定の距離があります。そのため、それぞれの建物の日当たりや風通しが良くなり、騒音被害も少なくなります。

近隣に高い建物が建つ心配がない

建物の高さ制限があるため、近隣に高い建物が建つ心配がありません。例えば、購入時は隣が空き地になっており、窓を見ると解放感があったものの、新しくマンションが建ち、眺望や日当たりが悪くなってしまう恐れがありません。

 

第一種低層住居専用地域の場合、周辺環境が大きく変わることが少ないです。

第一種低層住居専用地域のデメリット

Point 近隣に店舗がなく、生活の利便性が低い

近隣に店舗や病院がない

店舗や事務所が建てられないため、基本的には、スーパーやコンビニエンスストアなどが近くにありません。医療施設も診療所規模の建物しか建てられないため、不便だと感じるでしょう。

 

しかし、生活利便性の観点で、近年では第一種低層住居専用地域でも一定の基準を満たすことで商業施設を作れるように規制が緩和されました。

 

例えば、東京都世田谷区では「世田谷区コンビニエンスストア設置許可基準」が策定されています。

まとめ

第一種低層住居専用地域は、様々な建物の制限があるため、低層住宅が立ち並ぶ閑静な住宅街が形成されることが多い地域です。建物が密集せず、近隣に高い建物が建つ心配がないメリットがあります。

 

ただし、店舗がなく、生活の利便性が低いと感じるかもしれません。家を建てる時は、どの地域に区分されているかきちんと確かめましょう。

 

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