容積率とは?計算式や建ぺい率との違い、緩和措置について解説


家を建てる場合、さまざまな基準や規制がありますが、「容積率」もその一つです。容積率を無視して家を建ててしまうと建築基準法違反になるため、容積率は家づくりを検討している人が最低限把握しておきたい用語と言えます。そこで今回は容積率の意味や混同しやすい用語「建ぺい率」との違い、緩和条件について解説します。

容積率とは

Point 容積率とは敷地面積に占める延べ床面積の割合のこと

 

容積率とは、敷地面積に占める延べ床面積(床面積の合計のこと)の割合を指します。容積率は地域別に基準が決まっており、基準以上の建物は建てることができません。

 

<計算式>

容積率=延べ床面積÷敷地面積×100

 

例えば、敷地面積が100平方メートル、1階の床面積が55平方メートル、2階の床面積が20平方メートルの場合の容積率は以下のとおりです。

 

  • 延べ床面積75平方メートル(1階の床面積+2階の床面積)÷100平方メートル×100=75%

容積率は、特定のエリアに過度に人口が集中するのを抑え、電力や水道などの各種インフラを住民が快適に利用するための基準として設けられています。

建ぺい率との違い

容積率と混同しやすい用語に「建ぺい率」があります。建ぺい率とは、「敷地面積に占める建築面積(建物を真上から見たときの面積)」の割合です。つまり、建ぺい率は敷地面積の「建築面積」で計算されます。

 

建ぺい率は防災や日照・風通しの観点から設けられた基準です。例えば、敷地面積が100平方メートル、建築面積が40平方メートルの場合、建ぺい率は40%(40平方メートル÷100平方メートル)になります。

 

 

用途地域別の容積率

Point エリアによって容積率は大きく異なる

 

容積率は、用途地域によって割合が異なります。用途地域とは、建てることができる建物の種類や用途等を定めた地域を指します。以下、住宅に関わる用途地域別の容積率をまとめました。

用途地域

概要

容積率

第一種低層住居専用地域

一戸建てや低層マンションなど低層住宅のための地域

50・60・80・100・150・200%

第二種低層住居専用地域

低層住宅に加え、小規模店舗も建てられる地域

第一種中高層住居専用地域

中高層住宅のための地域

100・150・200・300・400・500%

第二種中高層住居専用地域

中高層住宅に加え、中規模店舗や事務所も建てられる地域

第一種住居地域

住環境保護のための地域。大型店舗やホテルも建てられる

第二種住居地域

住環境保護のための地域。第一種住居地域の建物に加え、スケート場やカラオケボックスなども建てられる

準住居地域

道路沿線にて、自動車関連施設などと住居が調和した環境を保護するための地域

 

例えば、「第一種低層住居専用地域」で容積率80%のエリアであれば、敷地面積100平方メートルに対し、延べ床面積80平方メートルまでの建物を建てることができます。

前面道路の幅員が12m未満の場合は要注意

土地の前にある前面道路が12m未満の場合、容積率の上限が設けられます。用途地域ごとに定められている容積率と前面道路の幅員によって決められる容積率のうち、低い方の割合が適用されます。

 

<計算式>

前面道路の幅員×0.4※×100

※地域によっては0.6

 

例えば前面道路の幅員が3mの場合の容積率は、120%(前面道路の幅員3m×0.4×100)です。このとき、用途地域による容積率が150%と定められていたとしても、120%が適用されます。

容積率の緩和措置について

Point 容積率の緩和措置が適用されれば、より大きな家を建てることができる

 

特定の条件下において、容積率の緩和措置が設けられています。その条件について解説します。

特定道路(幅員15m以上の道路)から一定範囲内にある土地

幅員15m以上の道路を特定道路と言い、その特定道路までの距離が70m以内かつ前面道路の幅員が6m以上12m未満の土地は容積率が緩和されます。

 

<計算式>

(前面道路の幅員+加算値※)×0.4×100

※加算値=(12-前面道路の幅員)×(70-特定道路までの距離)÷70

 

例えば、特定道路までの距離が35m、前面道路の幅員が8mの土地の容積率は以下のとおりです。

 

  • 計算式:(8+2)×0.4×100=400
  • 加算値:(12-8)×(70-35)÷70=2

 

上記の計算のとおり、容積率は400%です。緩和措置が適用されない場合の容積率は、320%(8m×0.4×100)のため、より大きい家を建てることができます。

駐車場やビルトインガレージ

屋根のある駐車場およびビルトインガレージは、延べ床面積の5分の1を上限に、容積率の計算から除外されます。例えば、容積率100%、敷地面積100平方メートルの土地の場合、建てられる家の延べ床面積は100平方メートルです。同条件の土地に、20平方メートルの駐車場を含む延べ床面積120平方メートルの家を建てる場合、120平方メートルの5分の1にあたる、24平方メートルまでの駐車場の面積を容積率の計算から除外することができます。したがって、100平方メートルの土地であっても、駐車場の面積20平方メートルを含む延べ床面積120平方メートルの家を建てることができることになります。なお、屋根のない駐車場は建築面積には含まれません。

地下室

以下の3つの条件を満たす地下室は床面積の3分の1を上限に容積率の計算から除外されます。

 

  • 地下にあること
  • 天井の高さが地盤面から1m以下であること
  • 住宅として使用されること

 

例えば、容積率の上限が100%の土地、敷地面積100平方メートルの場合、建てられる家の延べ床面積は最大でも100平方メートルです。しかし、地下室を設けることで、1階50平方メートル、2階50平方メートル、地下室50平方メートルの延べ床面積が合計150平方メートルの家を建てることも可能になります。

 

まとめ

敷地面積に対する延べ床面積の割合「容積率」は、用途地域や前面道路の幅員により異なります。また条件をクリアすれば容積率が緩和され、より大きな建物を建てることができます。容積率が何%なのか、事前に自治体の都市計画図で確認しておくことが大切です。

 

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