中庭がある平屋の間取りの種類とデメリットとメリット


 


中庭を取り入れた平屋を検討した場合、どのような種類があるのか、デメリットやメリットを把握する必要があります。

 

中庭がある平屋は、おしゃれで自然と共に暮らすことができる良さがありますが、メンテナンス面や排水対策、生活動線を工夫する必要があるなど、ケアすべきデメリットも存在します。

 

本記事では、中庭がある平屋の間取りの種類とデメリットやメリット、なぜ建築費用が高くなるのか、知っておくべき内容を紹介します。中庭を検討している方は是非一読してみてください。

 

 

中庭がある平屋のデメリットとメリット

中庭がある平屋のデメリット

建築費用が高くなる可能性がある

中庭を取り入れると外壁の面積が増えるため、材料費があがります。また、家の形状が複雑になることで、強度の高い鉄骨構造や耐震性のある補強コンクリートなどを取り入れて強度を確保するための工夫が必要になり、費用が増加してしまいます。さらに、外の光を部屋に取り入れようと大きな窓を多く設けるため、費用が高くなります。

 

家の中心に中庭を取り入れ、他の部屋との移動しやすさを重視する場合、いくつか設置すべき設備があります。

 

屋外照明 建物周辺や駐車場などの屋外空間を照らす
給水設備 庭での水の利用を考え、外部に水道の供給管や蛇口を設置する
排水設備 雨水や庭の散水などによる排水を効果的に処理する

以上の設備を設置することで費用がさらに高くなります。

 

土地の広さに限りがあるので間取りの自由度が下がる

平屋で土地の広さに限りがある場合、中庭を設けることで、室内の面積が狭くなることがあります。狭い土地で中庭も取り入れたい時は、家の廊下に接するように中庭を導入するといったコンパクトなプランがおすすめです。

 

中庭を取り入れると、日光や風を入れられる良さもありますが、敷地が狭い場合、主に利用する居間や寝室などの部屋が狭くなってしまいます。床面積が十分に確保できないと感じた時は、室内の広さを優先して中庭を設けない方が良いこともあります。

 

生活動線や家事動線が長くなる

生活するうえで頻繁に通る場所や家での仕事をおこなう場所を効率的に配置することで、動線がすっきりし、動きやすく無駄のない暮らしをすることができます。たとえば平屋の場合、二階建ての家と違い生活する部屋が広がって配置されているため、リビングからキッチンや寝室、トイレなどの移動距離が長くなります。距離が長い場合、家の中での移動を煩わしく感じさせ、ストレスを感じることに繋がります。また、頻繁に通る場所には、邪魔にならないような家具を置くことで、すんなりと通ることができる動線を作ることができます。

 

生活導線とは、家の中を移動するときに通る道のりです。家事動線とは、家事をするときに動く道のりを表します。よく使う通路がシンプルな経路で配置されていないと、生活が不便に感じられることがあります。

 

生活動線が長くなると、寝室から居間への移動が遠くなることで、寝室でくつろいでおり、携帯などを忘れてしまった時に取りに行くのに時間がかかりストレスを感じることがあります。他には、キッチンから食事をする場所への移動が遠い場合、食事で使用する食器やコップ類などを運ぶのに手間がかかるといったストレスなどがあります。

 

家事動線が長くなってしまった場合、冷蔵庫と調理場が離れており、料理の準備に時間がかかるなどのストレスがあります。

 

家での動きを効率的におこなえた場合、家事をしている間に子どもや家族がくつろいでいる場所との距離が近いため交流がとりやすく、家族との会話や交流が円滑になることも期待できます。

 

中庭がある平屋のメリット

日当たりが良くなる

中庭があることで、夏の暑い日も、家の中の風通しがよくなり、冬は太陽のあたたかさが部屋の中に届くため、温かい空間が作れます。

 

家の中心に中庭を設けることで、通常では日当たりが良くない部屋であっても、太陽の光が家中すべての部屋に均等に届きます。特に、北側の部屋は日が差し込まず暗くなりがちですが、中庭があると日当たりの悩みも解消されます。

 

日本の気候は四季があり、季節で太陽の位置が大きく変わります。たとえば、夏は太陽が高く昇り、冬は太陽が低い位置にあるため、家の中に差し込む光の量が違います。中庭を取り入れていると、季節や日中の時間帯に関係なく、部屋が明るく過ごしやすい環境が整います。

 

風通しが良くなる

中庭があることで風通しが良くなり、爽やかな風が部屋中に流れ心地よい空間が生まれます。特に、大きな窓を取り入れることで、より風が通りやすくなり、過ごしやすい環境を作り出せます。

 

周りに建物がある場合、風の通り道が限られてしまい、空気をうまく循環させることができません。中庭を部屋の中心に配置することで、庭に面した部屋に新鮮な空気が入り、自然な換気がおこなわれるので、家全体が快適に過ごせる空間になります。

 

また、中庭には、室内の湿気や生活臭を除去する効果もあります。風の通り道ができることで、空気の入れ替えが円滑におこなわれ、中庭の窓は、視線を気にせず開閉することができるので、個人の空間を守ることができます。

 

壁や塀で住宅を囲んでいるので防犯につながる

防犯対策として、壁や塀を上手く活用することで、外からの視線を遮断し、個人的な空間を守ったうえで、外部からの侵入者対策ができます。

 

平屋を柵やフェンスで隠している場合、外から室内の様子が見えづらくなるだけでなく、中庭での日常生活が外から見られにくくなります。子どもがいる家では、快適で安全な遊び場を作ることができ、家族と楽しむプールや昼寝など、気兼ねなくスポーツや遊びをおこなうことができます。
柵やフェンスは侵入者が入りづらい高さの1.5〜2mに設定し、鉄やアルミニウムなどの金属製の頑丈な材料を使用することで侵入を諦めるきっかけにもなります。

 

自宅の外から見られにくいプライベートな空間ができる

家の中心部に中庭を設計することで、家族だけが楽しめる空間となり、周囲からの視線が遮られ、家族の様子が外から見られにくくなります。

 

中庭を使って、バーベキューや子どもたちの遊び場としても有効活用することもでき、外の目を気にせずに家族や友人たちと楽しい時間を過ごすことができます。また、洗濯物を干すのにも、外からの視線を気にする必要がなく、盗難や風で飛んでしまうことを防ぐことができます。

 

さらに、中庭と隣接する空間を活用すれば、非日常的な体験ができる特別な場所を作ることができます。具体的には、お風呂から中庭の風景を楽しむことができるような作りにすることによって、リラックスしながら豊かな気分に浸ることもできます。

 

 

中庭がある平屋の間取り別の種類

中庭を3方から囲むコの字型

コの字型の平屋は、隣人や外からの視線から中庭を守りつつ、開放感も持たせることができるため魅力的です。コの字型は、3つの建物の壁で庭を囲むような作りで、残りの1つの側面を開放的にすることで、視線を遮りながらも風通しと日当たりを良くすることができます。

 

また、コの字型の平屋は、利便性と自由な間取りを実現できるという点でも優れています。

 

たとえば、利便性の観点では中庭や中心部に沿って各部屋が配置されているため、中心部から各部屋に簡単に移動することができます。

 

自由な間取りの観点では、内部の壁を最小限にすることで、部屋の構造や配置を自分の好きなように変更できます。リビングと区切られた場所に個室を設けることで、1人で人目を気にすることなくのんびりする空間を確保することができます。

 

中庭を4方から囲むロの字型

ロの字型の家では、家のすべての部屋に中庭から光が入り、明るい空間が作られます。家の中央部分に庭が設置され、四方から中庭を囲むため、個人でリラックスしたり静けさを追求するための場所を徹底して守ることができます。

 

ロの字型の家は、各部屋が中庭に面しているため、開放感と自然の一体感を感じることができます。中庭には、植栽や庭園など自分の好みのものを取り入れることができ、風の流れを把握し、窓や出入り口の位置を計画することで、自然の風と日光を最大限に取り入れることができます。

 

ロの字型とくらべるコの字型のデメリットとメリット

コの字型のデメリット

平屋の建てる向きによって屋外から家の中が見られやすくなる

コの字型の家は、道路に面している場合や、隣接する家との間に空き地がある場合、部屋の中が外から見える形になってしまいます。対策としては、フェンスや囲いを設置して個人的な空間を確保する方法があります。また、カーテンやブラインドを取り付けたうえで、窓を開けることにより、室内への視線を遮断する環境が整い、風通しも良くなります。

 

コの字型のメリット

壁の面積が少なくなり建築費用が抑えやすい

コの字型の家は、壁面の面積を最小限に抑え、シンプルなデザインが特徴なので、ロの字型とくらべ建物の建設費用や修繕修理の費用を抑えることができます。壁の塗装や修繕、屋根の補強や破損の確認など、維持管理にかかる費用を抑えることは長く住んでいくうえで経済的なメリットがあります。

 

壁の面積が少ない設計は外壁材や屋根材の使用量が減るため、材料費を抑えられます。外観のデザインをシンプルにすることが多いので、建物の形状の凹凸が少なくなり、足場代や人件費も減らせます。

 

建築面積が広がるので間取りの自由度が高くなる

コの字型は、個別の部屋や居間の空間を広く確保し、家族が自由に過ごせる場所をつくることができます。

 

たとえば、家の周りに収納できる物置を設置したり、リビングや個室に十分な広さを確保することで、ゆとりを持って暮らすことができ、各生活空間に収納空間を取り入れることが可能です。

 

また、広い建築面積を活かして、配置や動きにこだわりを持たせることができます。たとえば、玄関から居間への通路と、各個室への通路を分けることで、自分以外の家族に来客があった場合も他の家族の個人的な空間を守りつつ、ストレスなくお客さんとの時間を楽しむことができます。

 

コの字型とくらべるロの字型のデメリットとメリット

ロの字型のデメリット

設計が複雑で間取りの自由度が低くなる

ロの字型の、設計をする場合は、日常生活や家事を基準にした総合的な移動の流れを大切にしましょう。たとえば、よく利用する可能性の高い玄関から居間までの経路や、キッチン周りの動き、寝室とトイレの距離などを把握したうえで、近い距離に設計し、簡単に移動することができるようにする必要があります。

 

ロの字型の設計は、中庭を中心に部屋で囲むような作りのため、外壁に窓を配置する必要があり、配置方法や大きさに制限がでてくる場合があります。また、中庭の形や大きさによっても制限がでてくるので狭くなりすぎないように注意が必要です。

 

壁の面積・基礎面積が多くなるので建築費用が高くなりやすい

庭に面した壁の数が多くなることで、外壁の材料費がかかり建築するための費用が高額になります。また、形状が複雑になることで、強度を確保するための工事や、明るさを保つための窓の数が増えるため、費用が増加します。

 

中庭を家族が利用する場所として設計する場合、建物の周辺や敷地内の外部空間をデザインする外構工事や屋外空間を照らすための照明、庭での水の利用を考えた給水設備、雨水などを効率良く処理するための排水設備の設置などを取り入れることによって、費用が増えます。以上の要因が重なり、中庭のある住宅は一般的な住宅にくらべて建築費用がかかる傾向になります。

 

土地面積が多くなるので間取りによって空調の効きが悪くなる

ロの字型は、冷暖房の効果を向上させるために、冷暖房機器の配置や換気システムの設計に工夫を凝らす必要があります。

 

ロの字型は、中庭を囲むように配置されるため、遠隔の部屋への冷暖房効果が低下する可能性があります。中庭から近い場合は、風が通り抜けやすく新鮮な空気が届きやすいため冷暖房がききやすいですが、中庭から遠い場合は、風が通りが悪く、冷暖房を運ぶ力が乏しいため効果が十分に行き届かない場合があります。特に、長い廊下や角にある部屋は、冷暖房の効きが弱まる可能性があります。

 

中庭の配置や形状を把握したうえで、部屋ごとに断熱性能を高めるための絶縁材を使用したり、必要なところだけに冷暖房を供給することができるゾーニングシステムを取り入れることによって、冷暖房が均等にいきわたるよう心がけましょう。

 

囲まれているので排水対策によって水はけが悪くなる

ロの字型の中庭は、雨が降った後などの水はけが悪く、中庭に湿気がこもった場合に家の中まで湿気の影響が及ぶことがあります。

 

排水対策としては、地面に勾配をつけて水が流れやすくしたり、排水溝や砂利を設置して雨水を効率よく流す方法が効果的です。さらに、家の中に湿気が侵入しないように、窓を断熱性の高いものに変えたり、壁に隙間を設けて外気を通しやすくし湿気や熱がたまらないように工夫する方法もあります。

 

長期間にわたって水はけが悪い状況が続いた場合、蚊などの虫が発生する可能性が高まります。中庭の床と家の間に高低差を設け、虫の侵入を防いだり、木材、プラスチック、金属などの素材で土や芝生を庭園エリアから区切るなどの対策をすることで、虫被害を減らすことができます。

 

ロの字型のメリット

壁に囲まれているので完全にプライベートな空間が実現できる

ロの字型の中庭は外からの視線を気にする必要がないので家族だけの時間を楽しむことができる空間になります。たとえば、家族でバーベキューを楽しんだり、子どもが安心して外で遊ぶことができます。日中の生活でも、外部からの視線が気にならない生活することができ、洗濯ものを干す場合でも、人目を気にする必要が減るため、気兼ねなく干すことができます。

 

中庭がある平屋で後悔しないための工夫

設計する段階で生活動線・家事動線を工夫する

中庭がある平屋で、生活や家での仕事がしやすいようにするためには、設計段階で生活動線と家事動線をシンプルにすることが大切です。

 

生活動線は、キッチンやトイレ、お風呂など、毎日頻繁に利用する場所は、できるだけ直線的に配置をし、交差点を作らずに簡単にたどり着ける経路を取り入れる必要があります。家族が何度も行き来する経路はシンプルに設計しましょう。

 

家事動線では、料理をおこなう場合に使うキッチンや調理器具、冷蔵庫などを短い距離でつなぐことによって効率的に料理の支度をおこなうことができます。

 

設計する段階で排水対策をして水はけ良くする工夫をする

中庭の床面や舗装に、水はけや透水性の良い舗装材や素材を使用し排水対策をおこなうことによって、清潔な中庭を長期間保つことができます。

 

排水対策としては、水が溜まりにくいように中庭の地面に勾配をつけることによって、雨水が自然に流れるよう設計することができます。排水溝や砂利の設置をおこなうのも排水対策となり、排水溝は雨水を効果的に排出するのに役立ち、砂利は地面を水はけの良い状態に保つことができます。

 

中庭の湿気は室内環境にも影響を与えるため、窓の断熱性能を高めることも大切です。断熱性能の高いものを選ぶことで、外気の湿気が室内に入りにくくなるといった良さがあります。

 

中庭の手入れの方法を決めておく

中庭に植物が多い場合は、手入れが簡単な植物を選ぶか、植物の数を減らし、見た目もすっきりさせましょう。たとえば、プランターや鉢を使って植栽することで、手間を減らすことができます。

 

除草作業を楽にする方法は、砂利を地面に敷いたり、ウッドデッキやタイル貼りにすることで雑草がはえる期間を長くすることができます。砂利を敷くことで歩くと音がなり、防犯対策の効果が期待できます。

 

また、平屋の中庭は、風通しが良いため、葉やごみが積もる可能性があります。定期的な庭の清掃の頻度を決めておくことで、美しい状態を保つことができます。

 

空調の効率を良くするために間取りを工夫する

家の形状や窓の素材や配置を工夫することで、外気と室内空気の交換性を上げ、空調効果を高めることができます。

 

冬場の暖房費や夏場の冷房費を抑えることができるガラスの種類は3種類あります。

 

ペアガラス 2枚のガラス板を使用し、構成される窓ガラス。ガラス板の間には断熱効果を高めるための空気が存在し、外部からの熱や音の伝達を減少させる
トリプルガラス 3枚のガラス板を使用し、構成される窓ガラス。ガラス板の間には空気層や断熱性能を向上させる特殊なガスを入れる
低放射ガラス 薄い金属酸化物の膜をガラスの一方または両方の表面にコーティング。コーティングは、窓からの熱の伝達をへらすために太陽熱を反射する

などの取り入れを検討してみましょう。

 

また、断熱性の高いドアや窓枠・外壁、屋根、床などの建材を使用することによって、外気温の影響を受けにくくすることも、空調効率を向上させられます。

 

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