長期優良住宅の固定資産税は6年目を境にどうなる?シミュレーションを交えて解説!


新築から5年間享受した固定資産税の減税が、6年目でどのように変わるのか気になっている方も多いでしょう。長期優良住宅が受けられる減税措置ですが、6年目を迎えるとその状況は一変します。この記事では、長期優良住宅の固定資産税の仕組み、6年目に入ってからの変化、そしてそれにどう対応すれば良いのかを解説します。減税措置が終了する前に、何を準備し、どのように行動すべきか、この記事を読むことで疑問を解消しましょう。

 

 

長期優良住宅の固定資産税の仕組みは

長期優良住宅の所有者として、固定資産税の計算方法について理解できていない方も多いのではないでしょうか。長期優良住宅に認定されると、新築から5年間、税額の軽減措置を享受できますが、6年目に入ると状況は大きく変わります。ここでは、新築後5年間と新築後6年目での固定資産税の違いを解説します。住宅の将来的な負担を理解し、適切な計画を立てるために、正しい知識を身に付けておきましょう。

 

新築後5年間の場合

新築後5年間において、長期優良住宅の所有者は、固定資産税の軽減措置を受けることができます。この制度は、住宅の評価額が一部減額されることにより、税負担が軽くなるというものです。特定の割合で評価が下がり、結果として支払う固定資産税も減少します。

 

この措置の背景には、質の高い住宅建設を促し、居住環境の向上を目指す政策があります。住宅所有者にとっては、この期間中の税金の軽減は大きなメリットとなるため、家計の負担を軽減しつつ、快適な住まいを維持することができるでしょう。

 

新築後6年目の場合

新築後6年目を迎えると、住宅の固定資産税に関する軽減措置は一旦終了し、通常の評価額での課税が再開されます。税金の負担が大きくなるため、税金が上昇したように勘違いをしてしまうかもしれませんが、通常の税額に戻るということを理解しておきましょう。

 

 

長期優良住宅の固定資産税減税措置を受けるには

長期優良住宅を所有している方にとって、固定資産税の減税措置は魅力的な制度です。この恩恵を受けるためには、いくつかの要件を満たす必要があるため、具体的な条件を解説します。具体的な条件を理解しておくことで、6年目以降における税負担の見通しをより明確にし、将来にわたって住宅を賢く維持していくための準備ができるようになるでしょう。

 

所在地の情報を確認する

減税措置を利用しようとする際、最初に行うべきは、自宅が位置する地域が減税の適用を受けられるかどうかの確認です。この確認作業は、地域によって異なる支援策が存在するため特に重要になります。

 

このような情報は直接、市区町村の役場に問い合わせることで得ることが可能です。役場では、固定資産税の減税に関する詳細や申請に必要な手続き、必要書類などについて具体的な案内をしてくれます。したがって、適切な支援を受けるためには、まず自治体への確認から始めることが肝心です。

 

建築・購入時期や延床面積が条件を満たす

長期優良住宅の固定資産税減税を享受するには、住宅の建築や購入が特定の時期内に行われることが求められます。また、延床面積が定められた条件をクリアしていることが求められます。対象となる住宅は、高いエネルギー効率や優れた耐震性など、特定の基準を満たすことが必要です。このような基準は、環境に優しく安全な住宅環境を促進するために設けられています。

 

また、延床面積に関しても、快適な居住空間を提供しつつ、エネルギー効率の良い設計が求められます。具体的な条件や基準は地域によって異なるため、詳細は住宅を建築または購入する地域の自治体に問い合わせることが必要です。これらの要件を事前に把握し、準備を整えることで、減税のメリットを受けられます。

 

適切な申請がされている

固定資産税の減税を受けるためには、適切な手続きを経て正確な申請をすることが必須です。この手続きには、詳細な住宅情報を含む申請書類の提出などがあります。そして、長期優良住宅としての基準を満たしていることを示すための証明書や資料も必要です。申請は、一般的に住宅が所在する地域の市区町村役場で受け付けられます。

 

しかし、申請に関する具体的な指針や必要な書類は自治体によって異なります。そのため、申請前には、役所の窓口で必要な情報を確認し、申請期限内に正確な書類を準備し提出することが重要です。適切な申請を行うことで、減税措置の適用をスムーズに進めることができ、住宅所有者にとって大きな金銭的利益につながります。

 

長期優良住宅の認定通知書を得ている

長期優良住宅の固定資産税の減税措置を適用するためには、住宅が長期優良住宅としての認定を受ける必要があります。そして、その証として認定通知書を保有していることが欠かせません。この認定通知書は、住宅が設定された厳格な基準に適合していることを公式に証明する書類です。

 

認定を受ける過程では、住宅の設計や構造が長期にわたる優良性を保持するための基準を満たしているかが詳細に審査されます。認定された住宅は、認定通知書をもって固定資産税の減税申請時に提出することで、減税の恩恵を受ける資格を得るのです。そのため、認定取得のための適切な申請と審査の通過は、減税措置を受けるための重要なステップとなります。

 

長期優良住宅の6年目までの税額シミュレーション

長期優良住宅を所有している方にとって、固定資産税は大きな関心事です。特に、新築後の初期年度に適用される税額軽減措置が6年目にどのように変化するのか、その影響を理解することは重要です。ここでは、長期優良住宅の固定資産税が6年目を境にどう変わるのかを、シミュレーションを通して解説します。この知識を基にすることで、より賢い資金計画を立てられるでしょう。

 

3年目までの固定資産税額

住宅の固定資産税は、新築後最初の3年間、軽減措置が適用されます。例えば、新築時の固定資産税評価額が3,000万円の住宅に対して、通常の固定資産税率が1.4%である場合、税額は年間42万円です。しかし、軽減措置が適用されることで、この税額が50%減少し、実際の税額は21万円となります。この軽減措置は、新築後3年間続き、住宅の維持費用を大きく抑えることにつながるでしょう。

 

5年目までの固定資産税額

新築後4年目と5年目における固定資産税の軽減措置は継続されますが、長期優良住宅に認定されていなければ軽減措置は築3年間までしか利用することができません。さらに、3年ごとに土地や家屋の評価額の見直しがある為、固定資産税も変わります。経年減点補正率が前期の水準から変更される可能性もあります。

 

例えば、経年原点補正率が0.5%に設定された場合、先述した住宅の税額は約21万円です。この期間中も税金の軽減は享受できるものの、初期の3年間に比べて軽減額が減少することになります。

 

しかし、この軽減率の調整は、長期優良住宅を適切に維持し続けることへの奨励として位置づけられます。この税額軽減の仕組みは、持続可能な高品質の住環境を促進する目的があるため、住宅の長期的な品質維持につながることが期待できるでしょう。

 

6年目の固定資産税額

6年目に入ると、長期優良住宅と認定されていても固定資産税の軽減措置は終了し、通常の税率が適用されます。軽減措置がなくなった場合、税額は42万円に戻ります。この変化は、長期優良住宅の所有者にとって重要なポイントです。家計の負担が増えることを理解し、準備しておくことが必要です。

 

しかし、長期優良住宅はその他の面でのメリットが多く、質の高い住宅環境を長期間維持できることが期待されます。また、6年目以降も、省エネ性能や耐震性などの維持・向上に努めることで、住宅の価値を高め、生活の質を保つことが可能です。

 

税額の増加に備えて、所有者は予算計画を見直し、必要なメンテナンス計画を立てることが推奨されます。長期優良住宅の維持管理費も計画に含めることで、住宅の価値を長期にわたって保持し、快適な居住環境を維持できるでしょう。

 

長期優良住宅の固定資産税はどのくらい得をするか

長期優良住宅の所有者が固定資産税でどのくらい得をするかは、多くの方が関心のあることです。ここでは、長期優良住宅の税額軽減の具体的な節約と、その節約額が申請費用とどのように相殺されるのかを解説します。税制優遇措置を活用しようとする方にとって、将来の家計の計画を立てる上で不可欠なものと言えるでしょう。

 

固定資産税は10万円ほど得する

長期優良住宅としての認定を新築または購入時に受けることで、初年度から5年間にわたり固定資産税の軽減が適用されます。3,000万円の建築費となる場合の節約額は、年間で約10~20万円ほどになることが見込まれます。計算式は以下のとおりです。

  • 固定資産税評価額の推定値:建築費3,000万円×0.5=1,500万円
  • 固定資産税額:1,500万円×1.4%=21万円
  • 節約額:21万円×2分の1=10万5,000円

 

先ほどのシミュレーションでも紹介したとおり、住宅の固定資産税評価額が3,000万円の場合は年間の固定資産税額が21万円に軽減されます。このように、長期優良住宅の認定を得ることで享受できる固定資産税の減税効果は、家計に大きな恩恵をもたらすものです。この制度は、質の高い住宅の普及を奨励し、住宅所有者にとっての金銭的負担を軽減することを目的としています。

 

申請費用が発生するので大きくは得しない

長期優良住宅に認定されることで固定資産税の負担は軽減されますが、認定を受けるためには、申請にあたって一定の費用が必要になります。申請費用は、認定を受ける住宅の種類や地域によって異なりますが、施工会社に書類を作成してもらう費用を含めると数万円から数十万円程度かかることが一般的です。

 

これらの初期費用を考慮すると、短期間での「得」は大きくはないと言えます。しかし、長期にわたって住宅を所有し、固定資産税の軽減効果を享受し続ける場合には、これらの費用も相殺可能です。そして、快適な住環境を持てるのは何よりもメリットとなるでしょう。

 

まとめ|長期優良住宅の固定資産税は6年目以降減税措置がなくなる

長期優良住宅の固定資産税減税は、新築後5年間有効であり、6年目からは通常税率に戻ります。減税を受けるには、所在地確認、建築・購入時期や延床面積が条件を満たし、適切な申請と認定通知書の取得が必要です。シミュレーションによると、節税が可能ですが、申請費用を考慮すると得られる利益は少ないかもしれません。長期優良住宅の税制優遇は一時的なものではあるものの、長期的な快適な住環境になることも考慮して、最適な住宅選びをしましょう。

 

 

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