斜線制限とは？用途別の制限や計算方法を解説

土地探しや家づくりで「斜線制限」という単語を耳にし、「斜線制限とは何？計算方法は？」と疑問を持たれた方も多いでしょう。家を建てる際にはさまざまな規制や制限があります。今回はその中から「斜線制限」について解説します。

斜線制限とは
用途地域別の斜線制限について
まとめ

斜線制限とは

Point 斜線制限とは、採光や通風確保を目的として建築物の高さを制限すること

斜線制限とは、道路や隣地に建つ建物の採光や通風を確保するために、建築物の各部分の高さを制限することを指します。斜線制限には以下の3種類があります。

道路斜線制限
隣地斜線制限
北側斜線制限

ここではそれぞれの斜線制限について解説します。しっかり区別しながら理解しましょう。

道路斜線制限

道路斜線は、敷地が面している前面の道路の反対側の境界線かつ道路の中心線の高さより、一定の角度（勾配）で引いた斜めの線です。

道路斜線制限とは、「敷地と面する道路の反対側の境界線から、一定の角度で敷地に向かって引いた斜線を超えないように建築物を建てなければならない」という制限のことです。道路斜線制限で引かれる斜線の勾配は用途地域によって異なります。

第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域など住居系地域の場合の斜線の勾配は、1:1.25、近隣商業地域や商業地域といった商業系および準工業地域や工業専用地域といった工業地域では1:1.5の三角形でつくられる角度になります。引かれる斜線のイメージは上の図のとおりです。

ただし、道路から一定の距離（適用距離）を超えると、高さ制限はなくなり、道路斜線の延長線上を超えた高さで建てることができます。この適用距離も用途地域によって異なります。

隣地斜線制限

隣地斜線制限とは、隣地に建つ建築物の通風および採光を確保するために高さや形状を制限することです。20mもしくは31mを超える部分に関する制限のため、一軒家ではなく、マンションやビルを対象としています。

街に建つマンションやビルの上部が上記イメージ図のように斜めになっている場合は、この隣地斜線制限によるものだと考えられます。

北側斜線制限

北側斜線制限とは、北側の隣地にある建物の日照を確保するために、敷地の北側の道路や隣地から引かれた斜線の範囲内で建築物を建てなければならない制限のことです。具体的には、北側の隣地との境界線から5mもしくは10mの高さより、傾斜を1:1.25以下の傾斜をつけ、その範囲内で建物を建築しなければなりません。なお、基準となる高さは、用途地域によって異なります。

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用途地域別の斜線制限について

Point 用途地域および自治体により斜線制限が異なる

用途地域とは、建てることができる建物の種類や用途等を定めた地域を指します。斜線制限はこの用途地域によって制限内容が異なるほか、適用される地域と適用されない地域に分かれます。さらに自治体によっても制限内容は異なるため、お住まいの自治体に問い合わせてみましょう。以下、用途地域別の斜線制限の例として、東京都における斜線制限の用途地域の概要および斜線制限についてまとめました。

用途地域	道路斜線制限		隣地斜線制限		北側斜線制限
	適用距離（m）	勾配	制限の起点となる高さ（m）	勾配	斜線の起点となる「基準の高さ」（m）	勾配
第一種低層住居専用地	容積率200%以下：20m	1:1.25	–	–	5m	1:1.25
第二種低層住居専用地
田園住居地域
第一種中高層住居専用地域	容積率200%以下：20m 容積率200%超300%以下：25m 容積率300%超：30m～		20m	1:1.25	10m	1:1.25
第二種中高層住居専用地域
第一種住居地域					–	–
第二種住居地域
準住居地域

参考：用途地域と高さの制限（建築基準法第５６条の図解）｜東京都都市整備局

まとめ

斜線制限は、採光や通風を確保するために建築物の高さを制限することで、「道路斜線制限」「隣地斜線制限」「北側斜線制限」の3種類を理解しておくことで、打ち合わせの場で「斜線制限」に関する話が出た際にもスムーズに話を進めることができるでしょう。

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