中古住宅の購入って実際どう?メリット・デメリットや購入の際の注意点を解説


これから一戸建ての購入を検討している方の中には、新築にこだわらず中古住宅を視野に入れている方もいるかと思います。そこで今回は、中古住宅のメリット・デメリット、購入の注意点について具体的に解説します。

中古住宅購入のメリット

中古住宅にはメリットもあればデメリットもあります。まずはメリットをご紹介します。

価格が安い

価格の安さは中古住宅を購入する上で、最大のメリットです。住友不動産販売の三大都市圏新築中古一戸建て市場動向の新築一戸建て住宅平均価格と中古一戸建て住宅平均価格によると、2022年1月の首都圏の新築一戸建ての平均価格は、4,093万円でした。同月の中古一戸建ての平均価格は、3,761万円です。その差額は、332万円となっています。

詳細を見ていくと、東京都に限ると新築住宅が6,183万円、中古住宅が4,885万円となり、差額は1,298万円です。関西では大阪府で新築住宅が3,467万円、中古住宅が2,887万円と、差は580万円になります。

住宅平均価格(2022.1月) 新築住宅 中古住宅
東京都 6,183万円 4,885万円
大阪府 3,467万円 2,887万円
愛知県 3,510万円 2,933万円
福岡県 3,409万円 2,209万円
 住友不動産販売 三大都市圏新築中古一戸建て市場動向(2022年1月)

このように数百万円単位の費用を抑えることができるので、少しでも安く住宅を購入したい方にとって中古住宅は魅力的な選択肢です。

より良い条件の住宅を選びやすい

価格を抑えられるため、より良い条件を選びやすくなります。例えば駅からの距離や延べ床面積の広さなど、「この予算では無理かもしれない」と思っていた住宅に手が届きます。より都心のエリアに住むこともできるようになるので、通勤・通学時間が楽になり、便利な生活を送りやすくなります。

実物を見てから購入できる

新築住宅の場合はイメージ図や住宅展示場のモデルハウスを見て頭の中でイメージを膨らませることになりますが、中古住宅であれば実際に購入する物件を見学することができます。壁や床などだけでなく、どの時間帯に日差しが入るかなど、詳細にチェックをすることで実際の暮らしが容易に想像できます。

リフォームやリノベーションができる

価格を抑えることで、リフォームやリノベーションといった選択肢も生まれます。リビングが和室になっている中古住宅を安く購入した後に、フローリングやタイルを敷くなど好みにあわせて手を加えることもできます。

中古住宅のデメリット

中古住宅の購入にはメリットだけでなくデメリットもあります。それらを事前に理解した上で購入しましょう。

住宅ローンが通りにくい

新築住宅に比べて中古住宅は資産価値が低いため、担保価値が低くなり住宅ローンの審査が通りにくくなります。場合によっては、手元の資金を増やして借入額を減らし、仮審査を複数受ける工夫が必要です。

修繕が必要になる

住宅は築年数が経つほど老朽化するため、新築住宅であれば不要な修繕も、中古住宅では購入してすぐに必要になることがあります。一見して問題なさそうに見えても、水回りが古くなっているなど様々な可能性があるので、購入前にはしっかり確認をすることが大切です。

住宅診断が必要

中古住宅では建物に不具合がないか、詳細な部分まで見なくてはなりません。耐震構造や床下の状態など、一目確認しただけではわからない不具合があることもあります。購入してから思わぬ修理箇所を見つけるといった事態にならないよう、築年数に関わらず、ホームインスペクションという住宅診断を受けることがおすすめです。

鍵の交換が必要

中古住宅を購入する際、鍵の交換が必要です。そのままにしておくと、以前の持ち主も入れる状態になってしまい、防犯上リスクのある状態になります。鍵交換の費用は鍵の種類によって変動しますが、数万円はかかることがほとんどです。

中古住宅購入する際の注意点

中古住宅を購入する際は、いくつかの注意点があります。後々トラブルにならないよう、契約前にしっかり確認しましょう。

中古住宅の構造

中古住宅を購入する際は、構造に注目しましょう。もっとも重要なのは「耐震構造」です。住宅の耐震性は、建築基準法によって何度か変更されてきました。1981年5月31日までに建築確認をされた建物は旧耐震基準と呼ばれ、震度5強程度に耐えられる構造でした。以降は新耐震基準となり、震度6強〜7程度の揺れでも倒壊しないよう定められています。

中古住宅を購入する前にいつ建てられたものなのかを確認し、どの程度の耐震性があるのかをチェックしてください。

中古住宅の状態

住宅の状態も細かく確認しましょう。まずは、歪みです。頭痛やめまいなどの体調不良が起こる場合があるので、水平器などを使って簡易的に検査しましょう。明らかな傾きがある場合は専門家に測定を依頼しましょう。また、ドアや窓はすべて開閉して、隙間なく締まるか、スムーズに開閉してきしみがないか、パッキンが消耗していないか、ロックはかかるか、シャッターや網戸、雨戸の状態もあわせて確認しましょう。

次に、水回りの状態です。他の部分に比べて経年劣化しやすく、リビングや寝室はきれいに見えても、キッチンやトイレで年代を感じることは少なくありません。シンクの下を空けて、汚れや異臭がないか、水を流して濁りや水漏れがないか確認しましょう。トイレは流して給水管から水が漏れていないかを確認し、浴室のタイルにひび割れがないか、カビ、換気扇、給湯器など細かく確認しましょう。

また、中古住宅では雨漏りをしていることもあります。明らかな箇所は売買契約書に明記されていますが、押し入れなどわかりにくい部分で雨漏りしている場合もあります。ライトを持参して天井や壁に雨のシミがないかを確認しましょう。雨や雪、天候の悪い時に確認に行くのもお勧めです。

最後に、シロアリにも注意しなくてはなりません。新築住宅はシロアリ防除を施工しますが、多くの場合、保証期間は5年です。つまり、築6年以上の物件にはシロアリがいる可能性が高くなります。特に、ドアや窓の近くに羽アリの死骸がある住宅や、湿った木材を好む性質から庭に木材やウッドデッキがある住宅はリスクが高いです。

中古住宅の周辺環境

中古住宅の周辺環境も調べましょう。平日・土日、朝・昼・夜で雰囲気が変わることも多いので、可能であれば様々なタイミングで訪れることがおすすめです。家の周りを歩いて住民やゴミ捨て場を確認して「自分がこの家で暮らしたら、どんな生活になるか」を想像してください。

中古住宅購入後に行うリフォーム

住宅は建築されてから時間が経つほど劣化し、リフォームが必要になります。リフォームのタイミングは様々な要因によって変わりますが、一般的には外壁や水回りは新築から10〜20年、壁紙は10年、建具は20〜30年で修繕することが多いようです。

築年数の古い中古住宅を購入する場合、リフォーム費用についても考慮しなくてはなりません。国土交通省のリフォームの内容と価格についてによると、下記のような相場となります。

<水回り>
 バスタブの交換:14~20万円
 洗面所の改装:20~100万円
 I型システムキッチンの交換:40~80万円
 壁付キッチンから対面型への交換:75~200万円

<内装>
 畳からフローリングへの交換:15~60万円
 壁クロスの張替え:6~30万円
 2室を1室にまとめる:50~80万円
 天然素材を用いたエコリフォーム:300~1,000万円

<設備>
 大型収納棚の設置:40~90万円
 段差の解消:8~20万円
 バルコニー改修:20~100万円
 床暖房の設置:50~150万円

<外壁・構造>
 雨どい交換:5~40万円
 シロアリ防止処理:15~30万円
 瓦屋根交換:70~120万円
 耐震補強:20~60万円

このように、リフォームは一か所につき数十万円の費用がかかり、複数個所を修繕するなら100万円単位の資金が必要です。「中古住宅は安い」というイメージで安易に購入してしまうと、意外な出費で資金計画が狂ってしまうので注意しましょう。

特に無人の期間が長かった住宅は風通しをしていない影響で傷みが激しい場合があるので、メンテナンスを行っていたかもあわせて確認しましょう。

中古住宅の検査と注意点

中古住宅を購入してから後悔しないためには、ホームインスペクションを受けることがおすすめです。これは一級建築士が、中古住宅の劣化状態や不具合、改修すべき箇所とその費用などについて、第三者の立場からアドバイスするサービスです。

ホームインスペクションでは、専門知識を持つプロが住宅を目視でチェックし、詳細な調査が必要な箇所を明らかにしてくれます。不具合のある箇所があれば、その分野に特化した業者にチェックを依頼するという流れで行われます。

イメージとしては、「ホームインスペクションで家全体の健康診断をして、不具合については専門医に精密検査をしてもらう」と考えるとわかりやすいでしょう。費用は5万円〜7万円程度が相場です。

まとめ

今回は、中古住宅の購入を考える方にメリットやデメリット、注意点について解説しました。中古住宅は、比較的安く購入できる点が大きなメリットです。しかし築年数が経つほどリフォームが必要になり、場合によってはその費用が新築の注文住宅を購入する価格とそれほど変わらないこともあります。

また、住宅の状態や劣化・不具合についての調査も必要です。見えないところが古くなっていて、修繕しなければ生活できなくなってしまうケースも多々あります。

こうしたリスクがあるため、中古住宅を購入する方はより注意深く住宅をチェックする必要があります。また、最近ではローコスト住宅という低価格の新築住宅もあるため、費用優先で住宅購入を検討している方は、中古住宅と低価格の新築住宅の両方を視野に入れると、より広い選択肢を持てるでしょう。

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