地主から物件を購入するメリット・デメリットとは?失敗しないコツも紹介


都心部や駅に近い好立地での住まいを希望していても、物件価格の高さから購入をためらってしまう方は多いのではないでしょうか。実はそれを解消する選択肢のひとつとして「地主から物件を購入する」という方法があります。

この記事では、地主から物件を購入する仕組みからメリット・デメリット、そして失敗しないためのコツまでを徹底的に解説します。正しい知識を身につけることで、後悔のない賢い物件選びができるようになるでしょう。

地主から物件を購入する仕組みについて

「地主さんから直接物件を購入する」と聞くと、少し特別な方法のように感じるかもしれません。しかし、その仕組みを正しく理解すれば、理想の住まいを手に入れるためのとてもいい選択肢のひとつになります。ここでは購入の具体的な方法から、よく耳にする「借地権」という言葉の意味、そして一般的な不動産購入との違いまでを丁寧に解説します。まずは基本をしっかり押さえて、賢い物件選びの第一歩を踏み出しましょう。

地主からの物件を購入する方法

地主から物件を購入するには主に2つの方法が存在します。ひとつは土地の所有者である地主から直接、土地や建物を買い取る方法です。この場合、一般市場には出回らないような物件に出会える可能性があります。

もうひとつの代表的な方法が「借地権付き物件」の購入です。これは土地を借りる権利が付いた建物を購入するもので、不動産仲介会社を介すこともあれば、当事者間で契約することもあります。どちらの方法を選ぶかによって手続きや注意点が違うため、まず選択肢の全体像を把握しておくことが大切です。

借地権とは

借地権とは地主から土地を借り、その上に自分の建物を建てて所有できる権利を指します。この仕組みの最大の特徴は、土地そのものを購入するわけではない点です。土地の購入費用が発生しないため、物件取得にかかる初期費用を抑えることができます。

ただし、土地はあくまで借りている状態であるため、その使用料として「地代」を毎月または毎年地主に支払う必要があります。つまり、建物は自己所有でありながら土地は賃借するという形態が、借地権付き物件の本質といえるでしょう。

一般的な不動産購入との違い

地主からの購入、特に借地権付き物件の購入は、一般的な不動産購入と大きく違う点があります。最も大きな相違点は、土地の所有権が買主に移らないことです。土地と建物の両方を所有する「所有権」とは違い土地は借りているので、地代を継続的に支払い続ける必要があります。

また、将来的に家を増改築したり売却したりする際には、土地所有者である地主の承諾が必要になるなど、一定の制約があることも少なくありません。このように、初期費用が安いというメリットの裏側には、契約内容の複雑さや長期的に地代がかかったりするという側面があります。

地主から物件を購入する6つのメリット

地主から物件を購入することには一般的な不動産探しでは得られない、たくさんのメリットが隠されています。多くの方がまず注目するのは費用の安さですが、実はそれだけではありません。

憧れのエリアに住める可能性や、税金面での優遇、さらには将来的な資産形成に至るまで、その恩恵はいくつもあります。ここでは、知っておくと物件選びの視野が広がる6つのメリットを、ひとつひとつ見ていきましょう。

購入費用を大幅に抑えられる

地主から物件を購入する代表的なメリットは、初期費用を大幅に抑えられる点にあります。特に借地権付き物件では土地を購入しないため、不動産価格の多くを占める土地代がかかりません。その結果、住宅ローンの借入額を減らすことができ、資金計画に余裕が生まれます。浮いた予算を建物の品質向上や設備の充実に充てることで、より理想的な住まいを実現しやすくなるでしょう。

都心部や駅近の好立地を狙いやすい

都心部や駅に近い人気エリアの物件は希少ですが、地主からの購入であればそうした好立地に出会える可能性が高まります。なぜなら、地主が代々受け継いできた土地は、古くからの市街地や交通の便が良い一等地にあることが多く、一般の不動産市場には出てこない場合が多いからです。すでに周辺の住環境が整備された場所で、通勤や通学に便利な理想の立地を見つけられるチャンスが生まれます。

固定資産税の負担が軽くなる

借地権付き物件は毎年の固定資産税の負担が軽くなるのもメリットです。土地の所有者は地主であるため、土地部分にかかる固定資産税や都市計画税は地主が納税します。このため、物件の所有者は自分が所有する建物部分の税金だけを負担することになります。特に地価の高いエリアでは土地にかかる税負担が大きくなるため、この差は魅力的でしょう。毎月の地代は発生しますが、長期的なランニングコストを抑えることにつながります。

地主と関係を築きやすい

地主と良好な関係を築きやすい点も見逃せないメリットのひとつです。借地契約は数十年単位の長期にわたるため、自然とコミュニケーションの機会が増え、信頼関係が育まれていきます。

その土地に長く暮らす地主からは地域の歴史や便利な施設、近所付き合いのコツといった、インターネットでは得られない貴重でリアルな情報を得られることもあります。何か困った際に気軽に相談できる相手がいることは、日々の暮らしにおける大きな安心感につながるでしょう。

将来的に土地を買い取れる可能性がある

「借地」というと土地を借り続けるイメージがありますが、将来的にその土地を買い取れる可能性も残されています。地主にも相続や資産整理などの事情で、土地の売却を考えるタイミングが訪れることがあります。

その際に長年良好な関係を築いてきた借地人に対して、優先的に売却の話を持ちかけてくれるケースは少なくありません。借地権がついた土地である底地と借地権をあわせて取得できれば、完全な所有権となり資産価値も向上します。住みながら将来の選択肢を広げられる可能性があります。

住宅ローンの月々の返済が楽になる

購入時の借入額を抑えられるため、住宅ローンの月々の返済負担が軽くなる点も大きなメリットです。前述のとおり土地代がかからない分、物件購入のための借入額そのものが少なくなります。借入額が少なければ、毎月の返済額も低く抑えることが可能です。

家計にゆとりが生まれれば教育費や趣味など、暮らしを豊かにするためのお金を確保しやすくなるでしょう。また、手元資金に余裕があれば、計画的な繰り上げ返済によって総支払利息をさらに減らすことも考えられます。

地主から物件を購入する5つのデメリット

地主からの物件購入には多くのメリットがある一方で、もちろん注意すべき点も存在します。特に借地権付き物件を選ぶ場合は、その特性を十分に理解しておくことが大切です。

毎月の地代の支払いや住宅ローンの審査、将来の売却やリフォームに関する制約など、事前に知っておかないと「こんなはずではなかった」と後悔につながる可能性もあります。ここでは、後悔しない物件選びのために、知っておくべき5つのデメリットを見ていきましょう。

毎月の地代を払い続ける必要がある

借地権付き物件の大きな特徴として、毎月の地代を支払い続ける必要がある点が挙げられます。この支払いは住宅ローンを完済した後もその土地に住み続ける限り続きます。さらに、地代は固定ではなく周辺の地価や固定資産税の上昇にあわせて値上げされる可能性も考えなければなりません。長い期間で支払う地代の総額が土地を購入した場合の金額を上回るケースも起こりえます。

住宅ローンが組みにくくなることがある

住宅ローンの審査が厳しくなる傾向があることもデメリットのひとつです。金融機関は融資の際に物件の担保価値を重視しますが、借地権付き物件は土地の所有権がないため、一般的な所有権付きの物件よりも担保価値が低いと評価されてしまいます。その結果、融資を断られたり、利用できる金融機関が限られたりすることがあるでしょう。融資を受けられても、金利が通常より高く設定されるケースも少なくありません。

増改築や売却に制限がかかる

建物の所有権は自分にあっても、土地は地主のものであるため、自由に増改築や売却ができない場合があります。たとえば、大規模な増改築を行う際には、事前に地主の承諾を得なければなりません。同様に、将来家を売却する場合も、地主の同意なしに借地権を第三者へ譲渡することは不可能です。これらの承諾を得る際に「承諾料」などの名目で、別途費用を請求されるのが一般的です。

契約を更新できない可能性がある

借地契約には期間が定められており、満了時には更新手続きが必要です。しかし、地主に立ち退きを求める正当な理由がある場合、更新を断られるリスクがゼロではないことを知っておく必要があります。また、更新はできても高額な更新料を求められたり、地代の値上げといった契約条件の変更を提示されたりする可能性もあるでしょう。

将来の資産価値が読みにくい

借地権付き物件は将来の資産価値が見通しにくいという側面も持っています。物件の価値は借地権の残存期間に大きく影響され、期間が短くなるにつれて下落していくのが一般的です。そのため、売却したいと思っても買い手を見つけるのが難しかったり、希望価格で売れなかったりすることがあります。

これまで見てきたように、地主からの物件購入はメリットとデメリットの両面をあわせ持っています。では、デメリットを回避し、メリットを最大限にいかすためにはどうすれば良いのでしょうか。次に、失敗しないための具体的なコツを紹介します。

地主から物件を購入する際に失敗しないための5つのコツ

ここまで地主から物件を購入するメリット・デメリットを見てきましたが、いざ購入するとなると不安な点も多いですよね。しかし、いくつかの重要なポイントを押さえておけば、リスクを最小限に抑え、満足のいく物件購入を実現することは十分に可能です。大切なのは、情報収集を怠らず、専門家の力を借り、そして何よりも誠実な姿勢で臨むことです。ここでは、地主からの物件購入で失敗しないために、ぜひ実践してほしい5つのコツを紹介します。

周辺相場をきちんと調べる

まず基本となるのは、提示された価格が適正かどうかを自分で見極めることです。購入を検討しているエリアで似た条件を持つ借地権付き物件の取引事例を確認して、妥当かどうかを判断しなければなりません。不動産会社に尋ねるほか、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」などを活用するのも有効な手段です。

情報も多く専門的な事柄ですので、可能なら不動産鑑定士に相談し、専門的な視点から価格を評価してもらい、客観的な根拠を持って調査するのがおすすめです。

信頼できる専門家にサポートを頼む

地主との直接交渉や複雑な契約手続きには、専門的な知識が欠かせません。そのため、ひとりで進めようとせず、早い段階で信頼できる専門家のサポートを求めることをおすすめします。特に、借地権付き物件の取引経験が豊富な不動産会社や、不動産問題に強い弁護士への相談が有効です。専門家は、契約内容に不利な点がないかを精査し、適切な助言を与えてくれるでしょう。また、妥当な価格が提示されているかも判断の上で価格交渉に協力してもらうことも方法のひとつです。

地主との関係作りを大切にする

直接購入する場合、地主とは契約後も数十年という長い付き合いになります。だからこそ、購入を検討する段階から良好な関係を築くことを意識することが重要です。何よりも誠実な態度で接し、約束の時間を守る、丁寧な言葉遣いを心がけるといった基本的な礼儀を徹底しましょう。これだけでも相手に与える印象は大きく変わります。一時的な取引相手ではなく、将来のパートナーとして敬意を払う姿勢が地主の信頼を得ることにつながり、将来的なトラブルの防止にもつながるでしょう。

契約内容を細かくチェックする

契約書は地主との間のルールを定めた最も重要な書類です。少しでも疑問や不安な点があればそのままにせず、必ず質問して納得できるまで説明を求めましょう。特に借地期間、地代の改定ルール、更新料があるかどうか、増改築や売却時の承諾料など、金銭に関わる条項は念入りに確認する必要があります。

複数の選択肢を比較検討する

目の前の物件がどんなに魅力的に見えても、すぐに決断することは避けるべきです。必ず他の物件とも比較検討し、客観的な視点を持つことが大切でしょう。同じエリアの一般的な所有権物件や、他の借地権付き物件など、複数の選択肢と条件を比較することで、その物件の本当の価値が見えてきます。

さらに、自分の家族構成や将来のライフプランをあらためて考え、その物件が本当に自分たちの暮らしに合っているのかを冷静に判断する時間も必要です。この比較検討のプロセスが、後悔のない選択をするための最後の砦になります。

まとめ|地主からの物件購入で理想の住まいを手に入れよう

地主から物件を購入する方法、特に借地権付き物件は、初期費用を抑えて都心部などの好立地に住める可能性がある、魅力的な選択肢です。その一方で、毎月の地代支払いや増改築時の制約といった、事前に理解しておくべきデメリットも存在します。

成功の鍵は、メリットとデメリットの両方を正しく理解した上で、行動することです。周辺相場をきちんと調査し、契約内容は細部まで確認しましょう。また、借地権に詳しい不動産会社などの専門家の力を借り、地主と良好な関係を築くことも大切です。

この記事で解説したポイントを参考に、自分のライフプランと照らしあわせながら慎重に検討することで、後悔のない賢い選択が可能になります。

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