競売物件とは?概要やメリット・デメリットを徹底解説!


不動産購入を考える中で、通常の物件より安価な競売物件が気になっている方も多いのではないでしょうか。しかし、競売物件は一般的な不動産売買とは異なり、内覧ができないことや入居者が残っている可能性があるなどの注意点があります。

 

また、住宅ローンの利用や購入後の引き渡しまでの流れなど、通常の不動産取引とは異なる部分も多くあります。

 

この記事では、競売物件の基本的な情報から、メリット・デメリット、購入の流れ、物件の探し方まで詳しく解説します。さらに、実際に起こりうるトラブルとその対策についても紹介するため、競売物件の購入を検討している方はぜひ最後までご覧ください。

 

 

競売物件について

競売物件は、通常の不動産取引とは異なる特徴を持つため、その仕組みを理解していないと思わぬトラブルに直面する可能性があります。特に「競売物件」と「公売物件」は似ているようで異なる点が多く、混同してしまうケースが少なくありません。

 

ここでは、競売物件の基本的な特徴から公売物件との違いまで、詳しく解説します。

 

競売物件ってどんなもの?

競売物件とは、債権者である金融機関の申し立てにより裁判所が売却手続きを進める不動産のことです。対象となるのは、マンションや一戸建て、土地などの居住用物件から、事務所やビルなどの商業用物件まで幅広く存在しています。

 

主な競売物件は住宅ローンの返済が困難になった住宅となります。所有者が任意売却を選択しなかったり、任意売却が不調に終わったりした場合には、競売手続への移行が必要です。任意売却とは、住宅ローンが支払えなくなった時に債権者の同意のもと、所有者の希望がある程度加味された条件で売却されるというものです。そして裁判所は債権者の申し立てを受けて競売を公告後、定められた期間内で入札を実施します。

 

最高価格をつけた入札者が落札者となって、物件取得の権利を手にすることができます。

 

公売物件との違い

競売物件と公売物件は、どちらも債務や税金の支払いが困難になった際に売却される不動産ですが、その性質は大きく異なります。競売物件は住宅ローンを貸し付けている金融機関などの債権者から申し立てを受け、裁判所が売却を進める物件です。

 

一方、公売物件は所得税や相続税などの滞納により、国税局や税務署が国税徴収法に基づいて売却する物件となっています。

 

競売物件には前の入居者が使っていた家財道具が残っていたり、占有者がいる可能性が高く、そのトラブルに対処するための費用を落札者が負担する必要があるため落札価格が安くなる傾向にあります。これに対し公売物件は、基本的にきれいな状態で引き渡されるため、市場価格に近い金額で取引されることが多いです。ただし、公売物件でも占有者がいる場合は価格が下がることもあるため、物件の状況をよく確認する必要があります。

 

 

競売物件の探し方

競売物件に興味を持っても、どこで物件を探せばよいのか、具体的な購入の手順がわからないという方も多いのではないでしょうか。通常の不動産取引と異なり、競売物件は一般的な不動産サイトには掲載されていません。

 

そのため、専用の情報サイトを利用する必要があり、入札の手続きも独特のルールがあります。ここでは、競売物件の探し方から購入までの具体的な流れを、初めての方にも分かりやすく解説します。

 

不動産競売物件情報サイト

競売物件の情報を探すには、裁判所が運営する公的なデータベース不動産競売情報サイト(BIT)の利用が一般的です。このサイトでは、全国の裁判所に持ち込まれた競売物件を検索できるため、効率的に物件情報を集めることが可能となります。

 

新聞や情報誌にも競売情報は掲載されますが、掲載時期が不定期なため、不動産競売物件情報サイトの活用がより現実的な選択肢となっています。ただし、不動産競売物件情報サイトでは所有者などの個人情報は非公開であり、また裁判所への持ち込み情報がすぐには反映されないため、より詳しい情報を得るためには裁判所での物件情報の確認も必要です。

 

競売物件を購入する際の流れ

競売物件の購入手続きは、まず不動産競売物件情報サイトや裁判所で物件情報を収集することから始まります。気になる物件が見つかったら、最低入札価格を確認し、落札予定価格の2割を保証金として納付して入札を行います。

 

入札期間はおよそ1週間で、入札箱に投函された入札書を開封する時までに最高額を付けた入札者が落札者です。落札が決まれば、残りの代金である8割を支払って物件の引き渡しを受けることができます。そのため、競売物件を購入するためには、入札価格の全額を事前に準備しておく必要があります。

 

競売物件を購入するメリット

不動産投資や住宅購入を考える中で、競売物件の価格の安さに魅力を感じる方は多いのではないでしょうか。しかし、価格面以外にも競売物件ならではのメリットがあり、通常の不動産取引とは異なる特徴を持つからこそ、一般的な売買では出会えない物件と出会える可能性も高くなります。

 

ここでは、競売物件を購入する際の具体的なメリットを詳しく解説します。

 

価格が安い

競売物件の最も大きな魅力は、一般の不動産市場と比べて大幅に安価で購入できる点にあります。通常の取引価格より3割程度も安く取得できる可能性があるため、住宅購入の予算に制約がある方にとって有力な選択肢です。

 

この価格の低さは「競売市場修正」と呼ばれる価格調整によるもので、内覧ができないことや、物件の引き渡し義務がないことなど、競売物件特有のリスクを考慮して設定されています。ただし、物件の状態や立地条件によって価格差は変動するため、一概に3割安いとは限らない点にも注意が必要となります。

 

特殊な物件が多い

競売物件の特徴的な点は、一般の不動産市場では見つけにくい特殊な物件が多く出品されることです。不動産会社を介さない直接取引のため、三角形の変形地や極小地、地方の農地などの珍しい物件も見つかります。

 

そのため、独自のニーズを持つ購入者にとって魅力的な選択肢となっています。競売物件は従来の不動産市場では出会えない特殊な物件との出会いをもたらしているといえるでしょう。

 

手続きの負担が少ない

競売物件の大きなメリットの一つに、購入手続きの簡便さがあります。通常の不動産売買では、売買契約書の作成や所有権移転登記、抵当権抹消登記など、複雑な手続きを司法書士に依頼することが必要です。

 

一方、競売物件では、これらの煩雑な手続きを裁判所が一括して行ってくれます。購入者は入札用紙の提出と暴力団員でないことを証明する書類の提出、そして保証金と残代金の支払いのみで手続きが完了します。

 

競売物件を購入するデメリット

競売物件は魅力的な価格で不動産を手に入れられる一方で、通常の不動産取引では起こりにくい問題に直面することがあります。特に物件の状態確認が難しく、購入後のトラブルにつながるケースも少なくありません。

 

また、入居者の問題や修繕費用の負担など、購入前に把握しておくべき重要な注意点もあります。ここでは、競売物件特有のデメリットについて詳しく解説します。

 

内覧や下見ができない

競売物件は、内部の状態を事前に確認できないという大きな特徴があります。競売にかけられた時点では、まだ元の所有者が住んでいることが多いため、内覧や見学は基本的にできません。

 

そのため、裁判所が作成する「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」という3つの書類でしか物件の状態を知ることができません。通常の不動産売買では当たり前の内覧や下見ができず、書類の情報だけで入札を決断しなければならないため、購入を検討する際には慎重な判断が必要です。

 

売主にメンテナンス費用を請求できない

競売物件は、購入後に見つかった不具合や損傷について、売主である裁判所や元の所有者に修繕費用を請求することができません。例えば、屋根からの雨漏りで天井や壁が腐食していたり、シロアリの被害で床が抜けそうになっていたりしても、全て購入者自身の費用で修理する必要があります。

 

一般的な不動産売買では売主に補修や費用負担を求めることができますが、競売物件は「現状渡し」が原則のため、どれほど大きな問題が見つかっても自己負担で対応しなければなりません。

 

入居者が居座っている可能性がある

競売物件は、落札後も元の住民が居住し続けているケースがあり、この問題の解決には多くの時間と労力がかかることがあります。例えば、退去費用を支払って話し合いで解決を試みたり、最終的には裁判所を通じた強制退去の手続きが必要になったりする場合もあります。

 

特に、元の住民が家への思い入れから感情的になっていると、退去交渉は長期化する可能性があるでしょう。

 

競売物件で起きるトラブル例と対策

競売物件は、低価格で不動産を取得できる反面、さまざまなトラブルに遭遇するリスクがあります。特に入居者の問題や修繕費用の想定外の高額化など、購入後に深刻な事態に直面することも少なくありません。

 

しかし、これらのトラブルの多くは、事前の対策や適切な準備によって防ぐことができます。ここでは、実際に起こりやすいトラブルの具体例と、その対処法について詳しく解説します。

 

入居者が退去しない

先述したとおり、競売物件で最も頭を悩ませるのが、元の居住者の退去問題です。特に住宅ローンの滞納で競売になった物件は、転居費用を工面できない元の居住者が退去を渋るケースが少なくありません。

 

このような場合、裁判所に「引渡命令」を申し立て、強制執行により退去してもらうことも可能ですが、そのための費用や時間がかかってしまいます。そのため、元の居住者と話し合いを持ち、転居費用を支援するなどの対応をとることもあります。

 

また、競売開始決定よりも前に賃貸契約が結ばれている物件の場合は、法律で6か月の猶予期間が設けられており、その間は即座に建物を使用することができません。ただし、新たに賃貸借契約を結び直して、賃料収入を得ることも選択肢の一つとなっています。

 

売主と連絡が取れない

競売物件では、元の所有者と連絡が取れないまま、家財道具が残されているケースがあります。このような状況で困るのは、競売で取得できるのは不動産だけであり、残された家財は勝手に処分できないという点です。

 

強制執行の手続きを経て処分する必要がありますが、運搬費用や保管費用は全て落札者の負担となってしまいます。特に、所有者が亡くなっている場合は、遺品として扱う必要があるため、相続人や管財人との話し合いが必要です。

 

そのため、入札前に「現況調査報告書」「評価書」「物件明細書」で家財の状況をしっかりと確認し、処分費用も考慮した入札価格を検討することが大切です。

 

修繕費用が高額になった

競売物件の購入後に、建物のシロアリ被害や傾きなどの深刻な問題が見つかり、多額のリフォーム費用が発生することがあります。例えば、天井裏の雨漏りや外壁の亀裂など、書類だけでは確認できない不具合が発覚しても、全て購入者の自己負担で修繕しなければなりません。

 

そのため、建物が古い物件や破損が目立つ物件では、リフォーム費用を見込んだ入札価格の設定が必要です。また、不動産会社に入札を代行してもらい、プロの目線でのアドバイスを受けることも賢明な選択の一つとなっています。

 

競売物件を購入する際に住宅ローンを利用できるのか

競売物件の購入時における住宅ローンの利用は、通常の不動産取引とは異なり、かなり制限があります。一部の金融機関では、競売物件は内部の確認が実施できず、給排水設備の状態や耐震性の調査が事前にできないことから、住宅ローンの対象として認められないケースもあります。

 

ただし、金融機関では競売物件専用の融資プランを展開しているため、有効活用しましょう。具体例として、全国保証株式会社と提携している地方銀行では、不動産担保ローンやフリーローン、事業者向けのビジネスローンといった住宅ローン以外の方法で資金調達ができる可能性もあります。

 

そのため、競売物件の購入を検討する際は、落札希望額が決まった段階で、最低でも3〜4社の金融機関に相談することをおすすめします。その際は、金融機関ごとに審査基準や金利条件、融資比率が異なるため、できるだけ詳細な条件を確認し、比較検討することが重要です。

 

まとめ|競売物件はメリット・デメリットを把握して購入を検討しよう

この記事では、競売物件の基本情報から、メリット・デメリット、購入の流れまでを詳しく解説しました。競売物件は一般的な売買に比べて価格が安く、希少性のある物件に出会える可能性もあります。

 

また、不動産会社を通さないため、手続きの負担が少ないというメリットもあります。一方で、内覧や下見ができないこと、入居者のトラブル、修繕費用の負担などの注意点も覚えておきましょう。購入を検討する際は、これらのリスクを十分に理解し、住宅ローンの利用可否も確認しておく必要があります。

 

ただし、デメリットを把握し、事前の情報収集をしっかり行えば、競売物件は魅力的な不動産購入の選択肢となるでしょう。競売物件を探す際は、専門サイトを活用し、トラブルが起きた場合の対策も事前に考えておくことをおすすめします。

 

 

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