旗竿地とは?注文住宅を建てる方のためにメリット・デメリットについて詳細を解説!
注文住宅を建てる際、土地選びは非常に重要なポイントです。家づくりではついつい間取りや内装に気をとられてしまいますが、まずはより良い土地探しに注力しなくてはなりません。今回は土地の形状の中から旗竿地についてご紹介します。旗竿地とはどんな土地か、どんなメリット・デメリットがあるかをしっかり理解しておきましょう。
旗竿地とは?
Point 旗竿地とは、旗のような形をした、道路と接している面積が小さい土地のこと!
旗竿地(はたざおち)とは、道路に面している面積が小さく、その奥に広い敷地があるタイプの土地を指しています。上から見ると旗を立てたような形のため、こうした名前がつけられました。他にもいくつかの呼び方があり、図面に「旗竿敷地」「敷地延長」「路地状敷地」と書かれている場合も、この旗竿地のことを指しています。
道と設置している路地部分の幅は建築基準法で定められており、2mの幅が必要です。というのも、これより狭いと緊急事態時に救急車や消防車が通れないためです。幅が2m以下の土地でも一般的に売買されていますが、住宅を建てることはできないので注意しましょう。
旗竿地のメリット・デメリット
Point まずは旗竿地のメリットとデメリットをしっかり理解することが大切!
旗竿地にはメリットとデメリットがあります。
相場よりも安価に購入できる
旗竿地の最大のメリットは周辺の相場よりも安価なことです。「本当はこのエリアがよかったけど、諦めていた」という方も、旗竿地に絞って土地を探すと手の届く場所が見つかることもあります。平均すると相場の20%ほど安い価格がついていることが多いようです。
騒音が少ない
道路に面している割合が高いと、車のエンジン音や通行人の話し声など、騒音に悩まされることも多いです。特に大きな通りの場合は夜中も車が通り続けることも。しかし旗竿地は道路から奥まっているため、比較的静かな環境で暮らすことができます。また、飛び出しの危険が少ないので、小さな子どもがいる方も安心です。
駐車スペースを確保しやすい
旗竿地の道路から敷地に向かって細長く伸びている路地部分は、駐車場にぴったりです。きれいな正方形・長方形の土地では、まず車を置く場所を考え、それ以外のスペースに家を作ることになります。その一方で、旗竿地は奥の敷地全面を居住スペースとして設計できるため、この点は大きなメリットです。
外構へのこだわりを最小化できる
旗竿地に建てられた住宅は他の家に囲まれているがゆえに、通行人の目線を気にする箇所が少なくなります。よって、外構へのこだわりは最小限で済むといえるでしょう。その分、インテリアなどにお金と時間をかけることができます。
日当たり、風通しが悪い
旗竿地はすぐ隣に住宅が建っている場合が多く、基本的に日当たりはあまり良くありません。うまくプランニングしないと、家の奥まで光が届かない暗い家になってしまうでしょう。日当たり同様、風通しもよくありません。空気がこもりやすいので、設計上で工夫したり空調に気を使うなど意識する必要があります。
工事費が割高になる
旗竿地は道路から敷地に向かう路地部分が狭いと、工事用の重機が入れません。その場合、家の建築や解体は主に人力で進めることになり、工事費が高くなってしまいます。さらに電線や水道管の引き込み工事を行うケースも多く、旗竿地でなければ発生しなかったはずの工事費が生まれる可能性があります。
停められる車のサイズに制限がある
旗竿地は駐車場を確保しやすい点がメリットですが、奥の敷地に続く路地の幅が狭いと、大きな車を停められません。ギリギリ駐車できる程度では乗降車しにくく非常に不便になるため、ある程度の余裕が必要です。旗竿地を購入する前に、今所有している車やこれから購入しようと思っている車のサイズを確認してください。
無駄なスペースが生まれる可能性がある
車を持たない生活スタイルの場合、路地部分を何も活用しないのは非常にもったいないでしょう。空間を無駄と捉えるか贅沢と捉えるかは考え方次第です。例えばプライバシーが確保された庭空間と考え、通行人の目や車通りを気にすることなくBBQやプール遊びを楽しむ、というのはいかがでしょう。他にもどんな活用ができそうか、事前に考えておくことをおすすめします。
防犯対策が必要
旗竿地は他の建物に囲まれており非常に隠れやすいことから、空き巣や強盗にとって侵入しやすい形状です。そのため防犯対策は必ず行うようにしましょう。道路に接する部分に防犯カメラを設置したり、センサーライトなどを置くとよいでしょう。また、通路部分に音の鳴る砂利を敷いておくと、不審者が近づく音に気付きやすくなります。
除排雪が難しい
雪が多く降る地域に住んでいる場合は、除排雪について事前に何らかの対策を考えておく必要があります。また、よけた雪をどこに捨てるかも検討しておきましょう。
引っ越し料金が割高になる
引っ越しを業者に依頼する際は、建物のすぐそばにトラックを停められるか確認されます。これは、車を入れられない場合、人が家具を運ぶことになるためです。労力がかかる分、料金も上がります。旗竿地も例外ではありません。
売りに出しにくい
将来土地を手放すことなった場合、旗竿地は売りにくいというデメリットがあります。他の土地に比べて買い手がつきにくく、計画通りに進まないことも考えられます。周辺エリアの相場より安く設定する必要が出てくることも頭に入れておきましょう。
旗竿地を購入する際の注意点とよく聞く後悔ポイント
Point 旗竿地を買ってから後悔しないよう、注意点に気をつける!
接道部分が2m以下だった
道路に面した部分が2m以下の土地も販売されています。しかし、こうした土地に住宅を建てることはできません。古家付き土地として売り出されている場合がありますが、解体して建て替えするという選択肢は取れないので注意が必要です。注文住宅を建てる前提で購入する場合は、住宅建設ができる土地かどうか事前にしっかり確認しましょう。
高低差があった
地盤の関係で設置面の道路と敷地に高低差がある場合、注意が必要です。通路が階段になるため、車を入れることができません。また、建築コストがかさばる可能性もあるため、なるべく高低差のない土地を選びましょう。
近隣住民との関係性が重要
どんな住宅にも当てはまりますが、長く暮らすうえで近隣住民との関係構築は重要です。特に旗竿地の場合、通路部分のすぐ横には隣の住宅があるため、より密接な距離感になります。特別仲良くする必要はありませんが、騒音などのトラブルに発展しないよう注意して暮らす必要があります。
旗竿地でも上手に注文住宅を建てる
Point 工夫次第では旗竿地にも住みやすい住宅を建てられる!
旗竿地はネガティブなイメージもありますが、工夫をすれば快適な注文住宅を建てることができます。
リビングを上階につくる
日当たりの悪い旗竿地に住宅を建てる場合、リビングは2階や3階に作るのがおすすめです。フロアが上がる分、周りの遮るものも減って日光を取り入れやすくなります。特に寝室の利用は夜がメインになるため、日当たりが悪くてもさほど影響はないでしょう。
ただし、リビングを2階にした時は、テレビボードやソファなど大型家具の搬入経路を気にする必要があります。階段からが難しい場合は窓から入れることになるので、確認が必要です。
吹き抜けをつくる
旗竿地のデメリットである採光と風通しの対策として、吹き抜けをつくることもおすすめです。高窓をつけることで日光を取り入れやすく、部屋の高さを出すことで空気がこもりにくくなります。吹き抜けは広々としたゆとりを感じられるなど他にもメリットがあるので、ぜひ検討してみてください。
大きなテラスやベランダをつくる
日光を取り入れ風通しを良くするために、大きなテラスやベランダをつくるというのも一手です。特に旗竿地は道路に接している部分が小さく通行人の目も気にならないので、テラスでゆっくりした時間を過ごせます。ただし、隣家の窓の位置には注意しましょう。
路地部分を活用する
旗竿地ならではの路地部分をどう活用するかは、大きなポイントです。駐車スペースとしてだけでなく花壇などのガーデニングに凝るなど、趣味の空間にしてみるのもおすすめ。通るたびに楽しくなるような路地が作れれば、あえて旗竿地を購入する意義も大きくなります。デザイン次第では隠れ家のようなワクワク感を演出することもできるでしょう。
まとめ
旗竿地にはメリットもデメリットもあるため、一概に「買った方がいい」「避けた方がいい」とは言えません。その土地の細かい状況や暮らす人のライフスタイルによって、相性は変わります。
ただ、一見すると無駄が多いと思われやすい旗竿地でも、設計時に工夫をすることで暮らしやすい家を建てることは可能です。ポイントは、土地購入前に住宅メーカーに相談すること。どういった間取りができるか、どんな工事方法になるのかなどを確認したうえで購入すれば、失敗することはありません。専門的な知識を持ったプロの意見を取り入れることで、後悔のない家づくりに近づけることができます。
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