ガルバリウム屋根の7つの欠点!メリットやメンテナンス項目も解説


ガルバリウム屋根は、軽量で耐久性に優れた屋根材として人気がありますが、初期費用の高さや施工技術による品質の差など、いくつかの気になる欠点があります。また、振動が伝わりやすい、熱膨張による変形の可能性があるといった特有の問題もあるため、採用を検討する際には慎重な判断が必要です。

 

この記事では、ガルバリウム屋根の7つの欠点を中心に、特徴や性能、メリット、費用相場、メンテナンス項目まで詳しく解説します。屋根材の選択に失敗しないよう、必要な情報をすべて紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

 

ガルバリウム屋根について

住宅の屋根材として注目を集めているガルバリウム鋼板ですが、その欠点を正しく理解するためには、まずは特徴を知ることが大切です。ここでは、ガルバリウム屋根の構造や性能について詳しく説明します。

 

ガルバリウム屋根の特徴

ガルバリウム屋根に使われるガルバリウム鋼板は、鉄板の表面にアルミニウムや亜鉛、シリコンでメッキ加工を施した建材で、腐食や錆びに強いのが特徴です。瓦屋根などと比較すると軽いため、建物への負担も少なくなります。


また、軽量のメリットを活かし、リフォームの際は既存の屋根の上から新しい屋根を被せる「屋根カバー工法」にもよく使われます。

 

ガルバリウム屋根の性能

ガルバリウム屋根は金属建材ならではの高い防水性を持ち、雨漏りのリスクを大幅に軽減できます。また、防火性能も高く、建築基準法で不燃材料として認定されたものは防火地域や準防火地域に設置することができます。

 

 

ガルバリウム屋根の7つの欠点

ガルバリウム屋根には、軽量で耐久性が高いというメリットがありますが、一方で注意すべき欠点もいくつかあります。初期費用の高さや振動の伝わりやすさ、補修の難しさなど、生活に影響を与える可能性のある問題点があるため、採用を検討する際には慎重な判断が必要です。

 

ここでは、ガルバリウム屋根の7つの主な欠点について、詳しく解説します。

 

初期コストが高い

ガルバリウム屋根の建築費は、特殊な技術が必要なため、他の外装材より高額になります。銅やステンレスなど異なる金属との接触により電食(電気化学的な腐食)が発生するため、施工時には専用の部材や工具を使用する必要があります。

 

また、透湿性がなく、建物内部の湿気を溜める原因となるため、通気層の確保や換気システムの設置など、追加の施工が必須です。さらに、雨音対策として遮音シートや断熱材を入れると、追加の費用が発生します。

 

振動が伝わりやすい

ガルバリウム鋼板は厚さが平均0.4mmと極めて薄いため、雨粒が当たった際の振動が室内に伝わりやすい特徴があります。振動と騒音を抑えるには、グラスウールなどの断熱材を天井裏に敷き詰めたり、制振性の高い遮音シートを挟み込んだりする必要があります。

 

熱膨張で変形する可能性がある

ガルバリウム屋根は、夏の強い日差しと冬の厳しい冷え込みによる伸縮が避けられず、変形する可能性があります。また、熱膨張時に「ポコン」と音が発生することがあります。

 

外観に高級感や重厚感が欠ける

ガルバリウム屋根は、金属特有のシャープな光沢を持つため、モダンでスタイリッシュな印象を与える一方、瓦や天然石のような伝統的な重厚感には欠けます。表面の質感は工場や倉庫で使用される金属パネルに近く、住宅の外装材としては都会的で無機質な印象を与えることもあります。

 

最近では表面に木目調や石目調の加工を施したタイプもあるので、従来の金属的な印象を和らげることができるでしょう。

 

補修が難しい

専門的な技術がないと、ガルバリウム屋根の補修作業は難しい側面があります。塗料が付着しにくい特徴を持つため、一般的な塗装では数年で剥がれ落ちてしまう可能性が高くなります。

 

また、薄い材質であるため、施工時の衝撃や鉄粉により腐食が進行するリスクもあるため、傷には特に注意が必要です。

 

施工技術による品質に差が出る可能性がある

ガルバリウム鋼板は軽量で扱いやすい半面、繊細な特徴を持つ屋根材料です。薄い建材のため、施工時の衝撃で傷がつきやすく、鉄粉が付着したまま放置すると錆びの原因となってしまいます。

 

このような特性から、施工には熟練の技術と細心の注意が求められるため、業者の技術力によって仕上がりに大きな差が生じる可能性があるでしょう。そのため、施工は、ガルバリウム鋼板の取り扱いに精通した施工業者に依頼することが重要です。

 

特定の環境下では錆が進行しやすくなる可能性がある

ガルバリウム鋼板は優れた耐久性を持つ屋根材ですが、設置環境によって腐食のリスクが高まることがあります。特に沿岸部や、工場の近くや工業地帯では錆びが進行しやすくなります。このような環境では、定期的なメンテナンスが欠かせないため、瓦などの別の屋根材を検討すると良いでしょう。

 

ガルバリウム屋根のメリット

これまでガルバリウム屋根の欠点について紹介しましたが、メリットも知ることも重要です。軽量性や耐震性、防錆性といった特徴は、屋根材として非常に優れた性能と言えます。

 

ここでは、ガルバリウム屋根の主なメリットについて詳しく解説します。欠点だけではなく、これらのメリットも含めて総合的に判断することで、自身の条件に合った屋根材を選ぶことができるでしょう。

 

軽量で耐久性が高い

ガルバリウム屋根は一般的な瓦屋根と比べて非常に軽量なため、建物への負荷が少なく、耐震性の向上にもつながります。重い屋根材では建物本体の強度を上げる必要がありますが、ガルバリウム鋼板なら躯体への負担を抑えることができます。

 

耐久性も高く、適切なメンテナンスを行えば40年以上使用できる優れた建材です。ただし、15年に1回程度のメンテナンスは必要になるため、定期的な点検を怠らないことが大切です。

 

耐震性能に優れている

ガルバリウム鋼板は厚さが平均0.4mmと非常に薄く軽量なため、建物の耐震性能を高める効果があります。窯業系サイディングと比べても4分の1程度の重さしかないため、建物への荷重負担を大幅に減らすことができます。

 

建材が重いほど地震の揺れが増幅されやすい性質があるため、軽量なガルバリウム屋根を採用することで、建物全体の揺れを抑制し、耐震性を向上させることが可能です。

 

錆びに対して耐久性に優れている

ガルバリウム鋼板は、一般的な金属製建材と比べて優れた防錆性能を持っています。従来のトタンやアルミニウムと比較すると、錆びへの耐性が数倍以上も高く、長期間にわたって美しい外観を保つことができます。

 

金属製建材で錆びの発生を抑制できることは、外壁材の選択において大きなメリットとなります。錆びは建物の見栄えを大きく損なうため、美観を重視する方にとってガルバリウム鋼板は理想的な建材と言えるでしょう。

 

ガルバリウム屋根の費用相場

ガルバリウム鋼板の屋根材としての価格帯は、加工度合いによって大きく異なります。原材料の状態では1㎡あたり1,000円程度ですが、屋根材として加工すると、付加機能なしの安価品で5,000~9,000円、断熱材入りのノーマル品で9,000~12,000円、断熱材と石粒表面仕上げを施した上級品で12,000~20,000円程度です。

 

リフォームの際の施工費用を見ると、撤去費用が1㎡あたり1,200~3,000円、新規施工費用が5,000~10,000円、足場代などの付帯工事費用が9,000~18,000円となり、瓦やスレートと比較して中程度の価格帯に位置します。ただし、これらの価格は地域や施工条件によって変動するため、具体的な見積もりは専門家に確認することが大切です。

 

ガルバリウム屋根のメンテナンス項目

ガルバリウム屋根は耐久性に優れていますが、その性能を長く保つためには適切なメンテナンスが欠かせません。特に、棟板金のゆるみや錆びの発生など、早期発見で大きな問題を防げる項目があります。

 

ここでは、ガルバリウム屋根を長持ちさせるために必要な点検のポイントを具体的に解説します。

 

棟板金の固定具がゆるんでいないか

築15年が経過したガルバリウム屋根は、棟板金を固定している釘の緩みに特に注意が必要です。釘が緩むと、強風で棟板金が外れやすくなり、そこから雨水が侵入する危険性が高まります。

 

棟板金は屋根の防水性を保つ重要な部位のため、不具合を放置すると深刻な雨漏りにつながる可能性があるでしょう。そのため、築15年を目安に点検を依頼し、問題があれば棟板金と下地木材の交換をしましょう。

 

錆びが発生していないか

ガルバリウム鋼板は優れた耐錆性を持つ屋根材ですが、降雨量の多い地域では経年劣化により錆びが発生することがあります。錆びの初期段階では、発生箇所を削り落としてさび止めを塗布することで、屋根材の寿命を大幅に延ばすことができます。

 

しかし、放置してしまうと錆びの範囲が拡大し、最悪の場合は穴があき、雨漏りが発生する可能性があるため、定期的な点検を行い、早めの補修やメンテナンスを心がけることが大切です。

 

屋根に穴が空いていないか

ガルバリウム鋼板は飛来物の衝突や経年劣化による錆びが原因で、屋根に穴が開くことがあります。強風で飛ばされた物が直接衝突した場合は、その部分だけを補修することで対応できますが、錆びが原因の場合は異なります。

 

特に錆びの範囲が広範囲に及んでいる場合は、部分的な補修では対応できず、屋根全体の葺き替えが必要になる可能性があるため、定期的な点検と早めのメンテナンスが重要です。

 

釘が浮いていないか

屋根材を固定する釘は、強風による揺れや経年劣化により緩んで浮き上がることがあります。このまま放置すると、浮いた釘の周辺から雨水が侵入し、雨漏りに発展するリスクもあるため、専門業者による点検を依頼しましょう。

 

まとめ|ガルバリウム屋根の欠点を理解した上で屋根材を決めよう

この記事では、ガルバリウム屋根の欠点とメリット、そしてメンテナンス項目について詳しく解説しました。ガルバリウム屋根には、初期コストの高さや振動の伝わりやすさ、熱膨張による変形の可能性など、いくつかの欠点があります。

 

その一方で、軽量で耐久性が高く、耐震性や防錆性に優れているというメリットもあります。屋根材の選択は住宅の耐久性や快適性に大きく影響するため、これらの特徴を十分に理解した上で判断することが重要です。

 

また、棟板金の固定具のゆるみや錆びの発生など、定期的なメンテナンスも必要になります。施工会社の選定も含め、長期的な視点で検討し、自身の条件に合った屋根材を選びましょう。

 

 

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