注文住宅で便利なつなぎ融資とは?不要な場合や返済までの流れを解説
注文住宅の建築を計画中で、資金面に不安を感じている方もいるでしょう。建築費用の支払いと住宅ローンの融資の時期にずれが生じ、一時的な資金不足に悩むかもしれません。そんな時に役立つのが「つなぎ融資」です。
この記事では、注文住宅におけるつなぎ融資の仕組みや必要性、メリット・デメリット、さらには不要になるケースまで詳しく解説します。つなぎ融資について理解を深めることで、スムーズな注文住宅の建築と資金計画が可能になるでしょう。
目次
注文住宅のつなぎ融資について
注文住宅の建築を計画中の方には、建築費用の支払いと住宅ローンの融資の時期にずれが生じ、資金繰りに不安を感じる方も多いでしょう。
ここでは、注文住宅におけるつなぎ融資の基本的な仕組みや必要性、住宅ローンとの違い、そして具体的な活用場面について詳しく解説します。つなぎ融資について理解することで、安心して家づくりを進められるようになるでしょう。
つなぎ融資の仕組み
つなぎ融資は、注文住宅の建築過程で生じる資金不足に対応するための融資です。つなぎ融資は、住宅が完成し住宅ローンが実行されるまでの期間、必要な資金を一時的に借り入れることが可能です。
具体的には、着工時、上棟時、竣工時などの各段階で発生する工事費用の支払いに充てられます。つなぎ融資は、多額の資金を自己資金で賄うことが難しい場合に、建築期間中の資金繰りを支援するのが特徴です。
住宅ローンが完成した建物にのみ適用される一方、つなぎ融資は建築中の物件にも利用できるため、注文住宅の建築過程における重要な資金調達の手段となっています。
つなぎ融資が必要な理由
つなぎ融資が必要とされる主な理由は、注文住宅の建築過程における複数の支払いタイミングと、住宅ローンの融資実行時期のずれにあります。注文住宅では、土地取得時、着工時、上棟時、引き渡し時と、通常4回程度の大きな支払いが発生します。
一方、住宅ローンは物件完成後に一括で融資されるため、それまでの期間の資金不足をカバーできません。そのため、つなぎ融資が重要な役割を果たします。これにより、自己資金が十分でない場合でも、各段階での支払いを滞りなく行い、注文住宅の建築を進めることが可能になります。
つなぎ融資と住宅ローンの違い
つなぎ融資と住宅ローンは、注文住宅の建築過程において異なる役割を果たします。住宅ローンは、完成した住宅の引き渡し時に融資が実行されるのに対し、つなぎ融資は建築中の資金不足をカバーします。
ただし、つなぎ融資の利用には住宅ローンの事前審査が必要で、使いみちも限定されるため、注意が必要です。住宅ローンは完成後の長期的な返済に対応し、つなぎ融資は短期の「つなぎ」役を果たします。
つなぎ融資を活用する場面
つなぎ融資の活用について、具体例を紹介します。例えば、総工事費3,000万円の注文住宅を建てる場合を考えてみましょう。着工時に30%(1,000万円)、中間金として30%(1,000万円)の支払いが必要になると、建物完成前に合計2,000万円もの資金が必要です。
さらに、土地購入費用2,000万円を加えると、建物完成前の必要資金は5,000万円にも上ります。これだけの金額を自己資金で用意するのは多くの方にとって困難です。
そのため、つなぎ融資を利用することで、一時的な資金不足を満たし、スムーズに建築を進めることができます。
注文住宅購入時につなぎ融資が不要になる3つのケース
注文住宅の建築を検討している方の中には、つなぎ融資が必ず必要だと思い込んでいる方もいるのではないでしょうか。しかし、つなぎ融資を利用せずに注文住宅を建てられるケースもあります。
ここでは、つなぎ融資が不要になる3つの具体的なケースを紹介します。
自己資金で諸費用を賄う
注文住宅の建築において、自己資金で諸費用を賄うことができれば、つなぎ融資は不要となります。この方法は、融資手続きや金利・手数料の負担がなく、最もコスト効率が良いと言えるでしょう。
親からの贈与を活用する方も多く、例えば1,000万円の贈与を受けることで、諸費用の大部分をカバーできます。ただし、土地購入費用も含めると総額が数千万円に達することもあるため、全額を自己資金で賄うのは困難な場合が多いのが現状です。
分割融資を利用する
分割融資は、注文住宅の建築過程で発生する資金不足に対応する効果的な方法です。メリットは、つなぎ融資より低金利で借りられる可能性があることです。ただし、分割融資は住宅プランが決定してからでないと申し込めないなど、いくつかの制約もあります。
完成時一括支払いの施工会社を選ぶ
完成時一括支払いの施工会社を選ぶことは、つなぎ融資を回避する有効な方法です。
しかし、この選択肢には注意点もあります。完成時一括支払いを提供する施工会社は限られています。また、この支払い方法を選択する場合、支払い能力の証明が求められることがあります。
さらに、指定金融機関での住宅ローン契約を求められる場合もあり、その金利が市場平均より高いこともあるでしょう。そのため、完成時一括支払いを選択する際は、総合的なコストの比較が重要です。
つなぎ融資のメリットとデメリット
注文住宅の建築を検討する中で、つなぎ融資の利用を迷っている方も多いのではないでしょうか。つなぎ融資は便利な選択肢ですが、同時にいくつかの注意点もあります。
ここでは、つなぎ融資のメリットとデメリットを詳しく解説します。
つなぎ融資のメリット
つなぎ融資には、デメリットだけではなく注目すべきメリットも存在します。
自己資金が少なくても注文住宅購入が可能
つなぎ融資の活用により、自己資金が十分でない方でも注文住宅の建築を実現できる可能性が広がります。例えば、土地代2,000万円、建築費3,000万円の物件で、自己資金が500万円しかない場合でも、つなぎ融資で不足分を賄えます。通常、住宅ローンは完成後にしか実行されないため、それまでの支払いが大きな壁となりがちです。
しかし、つなぎ融資を利用すれば、土地購入代金や着工時の頭金などの初期費用を無理なくカバーできるのです。
現在の住居に住みながら新居購入
つなぎ融資の活用は、住宅を所有している方が売却する前に、新居を購入する際にも有効です。新居完成までの間、現在の住居に住み続けることが可能になるのです。
住宅を売却した後、引越しの必要がないので、引越し費用や、敷金・礼金などの賃貸初期費用を節約できます。さらに、物件探しや荷物の梱包・整理といった家族の負担もなくなります。
担保が不要での融資
つなぎ融資の大きな特徴は、担保不要で資金を調達できる点です。通常の住宅ローンでは土地や建物に担保を設定する必要がありますが、つなぎ融資ではこれが不要となります。これにより、登記費用の節約が可能です。
つなぎ融資のデメリット
つなぎ融資には注意すべきいくつかのデメリットがあります。
金利が高め
つなぎ融資の高金利は、注文住宅の建築過程で大きな金銭的負担となる可能性があり、融資額が大きくなるほど負担も増加します。
そのため、つなぎ融資を利用する際は、追加のコストを考慮に入れ、できるだけ借入期間を短くするなどの工夫が必要です。慎重に計画をすることで、金銭的負担を最小限に抑えることが可能となります。
住宅ローン控除が適用されない仕組み
住宅ローン控除が適用されないことは、つなぎ融資の重要な特徴の一つです。ただし、注意すべき点として、つなぎ融資後の住宅ローンには控除が適用されます。そのため、つなぎ融資自体に控除がなくても、長期的な税制上の不利益はありません。重要なのは、つなぎ融資の期間中の金利負担と、本来の住宅ローンの控除の効果を総合的に考慮することです。
手数料の負担
つなぎ融資の利用には、金利以外にも手数料が発生し、これが利用を躊躇させる一因となっています。手数料の金額は金融機関によって異なりますが、一般的に10万円前後が目安です。住宅建築の総費用と比較すれば僅かに思えるかもしれません。
しかし、日常生活では大金と言える10万円を、融資利用のためだけに支払うことに抵抗を感じる方は少なくありません。つなぎ融資を利用しなければ、この手数料を節約できるため、コスト意識の高い方にとっては無視できない出費となるでしょう。
借入期間が限定的
つなぎ融資の借入期間は住宅ローンの融資実行までと限定的で、この短期間内に利息を支払う必要があります。借入金額が多ければ、利息だけでも数十万円に達する可能性があります。このため、一時的に家計が圧迫されることもあるでしょう。つなぎ融資の利用を検討する際は、利息の総額だけでなく、支払いのタイミングも考慮して綿密な資金計画を立てることが重要です。
つなぎ融資を返済するまでの流れ
つなぎ融資の利用を検討している方の中には、申し込みから返済までの具体的な流れがイメージできず、不安を感じている方もいるのではないでしょうか。また、利息の返済方法についても疑問を持つ方が多いかもしれません。
ここでは、つなぎ融資の利用から返済までの一連の流れと、3つの利息返済パターンについて詳しく解説します。
つなぎ融資利用までの流れ
つなぎ融資の利用は、綿密な計画と手順を踏む必要があります。まず、資金計画を立て、ハウスメーカーと共に建築プランや見積もりを作成します。次に、金利や手数料を比較しながら、つなぎ融資を扱う金融機関を選定しましょう。
審査では、年収の証明や建築プランなどを提出し、本融資とつなぎ融資の審査を受けます。承認後、つなぎ融資で土地代や着工金を支払い、住宅完成時に本融資で精算します。この流れを理解し、慎重に進めることで、円滑な住宅建築が実現できるでしょう。
利息返済は3つのパターン
つなぎ融資における利息返済には主に3つの方式があります。まず、毎月返済方式では、本融資実行までの間、毎月利息のみを自己資金で支払います。これは建設期間中の追加支出が必要になりますが、分割払いで負担が分散されるのがメリットです。
次に、一括後払い方式では、本融資実行時に元金と利息をまとめて返済します。この方法では建設期間中の支払いはありませんが、本融資時の返済額が大きいです。
最後に、前払い方式では、つなぎ融資実行時に利息を差し引いて入金されます。これも建設期間中の支払いはありませんが、初期段階で多額の資金が必要になります。
つなぎ融資を利用するかを決める3つのポイント
注文住宅の建築を検討する中で、融資は資金計画の重要な部分でありながら、判断に必要な情報が不足していると感じる方も多いでしょう。ここでは、つなぎ融資を利用するかどうかを決める3つの重要なポイントを解説します。
金利や諸費用、融資の制限、金融機関ごとの条件の違いなど、具体的な判断材料を理解することで、あなたの家づくりに最適な資金計画を立てられるようになるでしょう。
金利と諸費用の把握
つなぎ融資を利用する際は、金利と諸費用の詳細な把握が不可欠です。また、金融機関によっては融資実行時の金利が適用されるため、申込時と実行時で金利が変動する可能性も考慮に入れる必要があるでしょう。
これらの費用は、住宅建築の総コストに大きな影響を与えます。そのため、複数の金融機関に詳細を確認し、比較検討することで、最適な選択ができるでしょう。
融資の制限を確認
つなぎ融資を利用する際は、各金融機関が設定する融資の制限を詳細に確認することが重要です。例えば、融資期間が1年以内に制限されているケースなどでは、建築工程を適切に管理する必要があるでしょう。
さらに、融資回数が3回までと制限されている場合、資金需要のタイミングを慎重に計画しなければなりません。これらの制限を事前に把握し、自身の建築計画と照らし合わせることで、円滑な資金調達が可能になります。
金融機関ごとの条件を比較
つなぎ融資の条件は金融機関によって異なります。
つなぎ融資だけでなく、分割融資や土地先行融資といった代替手段を提供する金融機関も存在します。これらの融資では、建築費全体を一度に借りるのではなく、土地購入時、着工時、中間時など、段階的に融資を受けられる可能性があります。
このように、住宅ローンの金利だけでなく、建築過程全体の資金計画を考慮に入れて金融機関を選択することが重要です。綿密な比較と計算を行うことで、自分に最適な融資方法を見出すことができるでしょう。
まとめ|注文住宅購入時につなぎ融資を利用するかはメリットとデメリットを基に判断しよう
つなぎ融資は、注文住宅の建築過程で一時的な資金不足を補う重要な選択肢です。その仕組みや必要性、住宅ローンとの違いを理解することが大切です。ただし、自己資金が十分な場合や分割融資を利用する際、完成時一括支払いの施工会社を選ぶ場合は不要となることもあります。
つなぎ融資には高金利や手数料負担などのデメリットがありますが、自己資金が少なくても注文住宅購入が可能になるなどのメリットもあります。利用を検討する際は、金利や諸費用を把握し、融資の制限を確認した上で、各金融機関の条件を比較することが重要です。
注文住宅購入時につなぎ融資を利用するかどうかは、自身の資金状況やライフプランを考慮し、メリットとデメリットを慎重に検討した上で判断しましょう。適切な選択により、円滑な注文住宅の建築と資金計画が実現できるでしょう。
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