断熱材ランキングTOP11!選ぶ際のチェック項目まで解説
家づくりにおいて、断熱材の選択は重要な決断の一つです。しかし、性能や価格、環境への配慮など、考慮すべき点が多く、どの断熱材を選べば良いか悩む方も多いのではないでしょうか。
この記事では、断熱材の熱伝導率によるランキングTOP11を紹介し、さらに断熱材を選ぶ際のチェック項目まで詳しく解説します。これらの情報を知ることで、最適な断熱材を選択する手助けとなるでしょう。
断熱材は何がいい?熱伝導率順ランキングTOP11
断熱材選びで悩んでいませんか?性能や価格、施工のしやすさなど、考慮すべき点が多く、最適な選択に迷う方も多いでしょう。
ここでは、断熱性能を示す熱伝導率を基準に、人気の断熱材をランキング形式で紹介します。熱伝導率は、熱の伝わりやすさを示す数値のことで、数値が小さければ小さいほど断熱性能が高いです。
各断熱材の特徴やメリット・デメリットを理解することで、最適な断熱材を見つけるヒントが得られるでしょう。
1位:硬質ウレタンフォーム
硬質ウレタンフォームは、高い断熱性と耐久性を誇る優れた断熱材として知られています。工場生産のボード状と現場吹き付け型の2種類があり、特に後者の需要が近年増加しています。その優れた断熱性能と強力な接着力により、長期間にわたって性能を維持できる点が大きな魅力です。
一方で、燃焼時の有毒ガス発生やシロアリへの弱さが課題です。熱伝導率0.024、厚み7mmで熱抵抗値0.29を実現し、主に外張り工法で使用されます。高価格帯ではありますが、その性能の高さから多くの建築現場で採用されています。
2位:フェノールフォーム
フェノールフォームは、優れた耐久性と高い断熱性能を持つ断熱材として注目されています。劣化速度が遅く、耐水性と耐熱性に優れているため、長期間にわたって安定した性能を維持できます。熱伝導率0.026、厚み15mmで熱抵抗値0.58を実現し、使用されているのは主に外張り工法です。
高価格帯に位置しますが、その性能の高さから多くの建築現場で選ばれています。一方で、シロアリに弱いという課題もあります。なお、ポリエチレンフォームとは異なる材料であり、それぞれ特性が異なるため、用途に応じて適切な選択が必要です。
3位:炭化コルク
炭化コルクは、ワインの栓やコルクボードに使用されるコルクを炭化させて固めた、環境にやさしい断熱材です。高い調湿性能と吸音効果、さらに防虫効果を兼ね備えており、木材由来の自然素材ならではの特性を活かしています。熱伝導率0.034、厚み25mmで優れた断熱性能を発揮し、使用されているのは主に外張り工法です。
多くの製品で接着剤不使用のため、アレルギーを気にする方にも適していますが、良質なコルクの希少性や材料費の高さから、価格帯は高めに設定されています。自然素材にこだわる方や、高い調湿性能を求める方にとって、魅力的な選択肢となるでしょう。
4位:ロックウール
ロックウールは、鉱物を原料とした燃えにくい断熱材として知られています。その優れた耐火性に加え、入手のしやすさや取り扱いの容易さから、多くの建築現場で重宝されています。熱伝導率0.038、厚み50mmで熱抵抗値1.31を実現し、使用されているのは主に充填工法です。
軽量で吸音性が高く、害虫対策にも効果的ですが、防湿対策が必要となります。グラスウールと性質が似ていますが、やや高価格です。ヨーロッパの住宅で広く使用されていますが、日本ではグラスウールの方が一般的となっています。
5位:羊毛(ウールブレス)
羊毛(ウールブレス)は、自然素材の持つ優れた調湿性能を活かした断熱材です。湿気を吸収し放出する特性により、季節や天候に応じて室内環境を自然に調整します。熱伝導率0.039、厚み60mmで熱抵抗値1.50を実現し、使用されているのは主に充填工法です。
防虫効果も備えていますが、高価格帯に位置し、取り扱うハウスメーカーが限られています。熱伝導率の面では他の断熱材に劣るため、コストパフォーマンスは高くありません。しかし、自然素材にこだわる方や、調湿性能を重視する方にとっては魅力的な選択肢となるでしょう。
6位:セルロースファイバー
セルロースファイバーは、古紙や段ボール、おがくずなどを原料とした環境にやさしい断熱材です。木質系素材でありながら、ホウ酸や難燃剤の添加により、優れた耐火性と防虫効果を発揮します。熱伝導率0.040、厚み100mmで熱抵抗値2.50を実現し、充填工法で使用されます。
高い調湿性能と吸音性を持ち、防音効果も期待できるため、快適な室内環境をつくることができますが、重量が重く、高価格帯に位置することが課題です。また、施工には専門知識が必要なため、専門会社への依頼が不可欠となります。環境配慮と高性能を両立したい方にとって、魅力的な選択肢となるでしょう。
7位:押出法ポリスチレンフォーム
押出法ポリスチレンフォーム(XPS)は、優れた断熱性と湿気に強い特性を持つ断熱材です。ビーズ法ポリスチレンフォームと同じ原料を使用しますが、製造過程で発泡剤や難燃剤を混ぜ合わせ、押し出してボード状に成形します。熱伝導率0.040、厚み10mmで熱抵抗値0.50を実現し、使用されているのは主に外張り工法です。
軽量で取り扱いやすく、切断も容易なため、多様な現場で重宝されています。EPSよりも断熱性に優れ、価格も手頃ですが、熱や衝撃に弱く、性能低下が早い点には注意が必要です。コストパフォーマンスと施工性のバランスが取れた選択肢として、多くの建築現場で採用されています。
8位:ポリスチレンフォーム
ポリスチレンフォームは、優れた断熱性と耐水性を兼ね備えた使いやすい断熱材です。熱伝導率0.042、厚み25mmで熱抵抗値0.59を実現し、主に充填工法で使用されます。取り扱いが容易で、複雑な形状の空間にも対応できる柔軟性が特徴です。
また、吸音効果も備えているため、静かな室内環境の創出にも貢献します。価格帯は中程度で、コストパフォーマンスに優れています。ただし、80度程度の耐熱温度しかないため、高温環境下での使用には注意が必要です。軽量で施工しやすいため、DIYにも適しており、幅広い用途で活用されています。
9位:ビーズ法ポリスチレンフォーム
ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)は、一般的に発泡スチロールとして知られる軽量で扱いやすい断熱材です。熱伝導率0.043、厚み10mmで熱抵抗値0.23を実現し、主に外張り工法で使用されます。優れた耐水性と耐久性を持ち、経年劣化が遅いのが特徴です。
価格帯は中程度で、コストパフォーマンスに優れています。しかし、熱に弱いという欠点があるため、メインの断熱材としてではなく、補助的な役割で使用されることが多いです。その軽量性と加工のしやすさから、建築現場だけでなく、梱包材や緩衝材としても広く活用されています。
10位:インシュレーションボード
インシュレーションボードは、木材を細かく粉砕し、はっ水加工を施したボード状の断熱材です。熱伝導率0.050、厚み50mmで熱抵抗値1.00を実現し、主に充填工法で使用されます。木材の自然な特性を活かしつつ、一定の品質を保持できる点が特徴です。
高い吸音性と調湿性能を持ち、快適な室内環境の創出に貢献します。ただし、高価格帯に位置し、セルロースファイバーとは異なりホウ酸などを含まないため、シロアリ被害のリスクがあります。自然素材の良さを活かしつつ、安定した性能を求める方にとって魅力的な選択肢となりますが、防虫対策には考慮が必要です。
11位:グラスウール
グラスウールは、木造住宅で最も一般的に使用される断熱材です。熱伝導率0.050、厚み50mmで熱抵抗値1.00を実現し、主に充填工法で使用されます。優れた燃焼性と害虫対策効果を持ち、入手や取り扱いが容易な点が特徴です。
また、高い吸音性を備えており、静かな室内環境の創出にも貢献します。厚みを調整することで断熱性を向上させられる柔軟性も魅力です。安価な価格帯に位置し、コストパフォーマンスに優れています。
ただし、湿気に弱く、吸水すると重くなってズレ落ちる可能性があるため、適切な防湿対策と高度な施工技術が求められます。これらの特性を考慮し、適切に施工することで、効果的な断熱性能を発揮します。
断熱材の比較一覧
住宅の断熱材選びは、快適な住環境と省エネ効果を左右する重要な要素です。グラスウールやロックウールなどの安価な充填型から、セルロースファイバーや硬質ウレタンフォームといった高性能な材料まで、多様な選択肢があります。
高い断熱性能を求めるなら熱伝導率の低い材料を、コストを抑えたい場合は安価な充填型を選ぶなど、バランスの取れた選択が求められるでしょう。
無機繊維系
無機繊維系断熱材は、住宅の断熱対策において広く使用されている材料です。代表的なものにグラスウールとロックウールがあり、これらは鉱物を原料とした細かい繊維で構成されています。
布団のような質感を持ち、繊維の隙間に空気を閉じ込めることで優れた断熱効果を発揮するのが特徴です。施工が比較的容易で、コストパフォーマンスに優れているため、多くの住宅で採用されています。
また、軽量であることから建物への負荷が少なく、リフォームにも適しています。環境への配慮から、リサイクル材を使用した製品も増えており、エコ志向の方にも人気があるのが特徴です。
木質繊維系
木質繊維系断熱材は、環境に配慮した家づくりを目指す方に注目されている選択肢です。セルロースファイバーやインシュレーションボードなどがあり、これらは木片や古紙などの天然素材を圧縮して製造されます。
自然素材を活用しているため、化学物質に敏感な方や、エコ志向の強い方に適しています。この断熱材の特徴は、優れた吸音性と吸放湿性を持ち、室内の音環境や湿度調整に効果を発揮することです。ただし、無機繊維系と比較すると価格が高めになる傾向があるため、予算と性能のバランスを考慮する必要があるでしょう。
発泡プラスチック系
発泡プラスチック系断熱材は、高い断熱性能と多様な用途で注目を集めています。ポリエチレンフォーム、ビーズ法ポリスチレンフォーム、押出法ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォームなど、さまざまな種類があります。
これらの断熱材は、プラスチック素材内に無数の微細な泡を形成し、その中に空気やガスを封じ込めることで優れた断熱効果を実現できるのが特徴です。耐水性や耐久性に優れ、薄い厚みでも高い断熱性能を発揮するため、限られたスペースでの施工に適しています。
天然素材系
天然素材系断熱材は、環境や健康に配慮した住宅づくりを目指す方々の間で注目を集めています。代表的なものに羊毛(ウールブレス)や炭化コルクがあり、これらは自然界に存在する素材を加工して作られています。
この種の断熱材の特徴は、優れた調湿性能を持ち、室内の湿度を適切に保つ効果があることです。化学物質の放出が少なく、アレルギーやシックハウス症候群のリスクを軽減できるため、健康住宅の分野で重宝されています。ただし、高価格帯であることや、取り扱うハウスメーカーが限られているという課題があります。
断熱材を選ぶ際の5つのチェック項目
断熱材の選び方に迷っていませんか?単に性能だけではなく、価格や施工方法など、考慮すべき点が多く、最適な選択に悩む方も少なくないでしょう。
ここでは、断熱材を選ぶ際に押さえておくべき5つの重要なチェック項目を詳しく解説します。これらの項目を理解することで、最適な断熱材を見つけ出し、快適で省エネな住環境を実現するための判断材料が得られるでしょう。
熱伝導率
熱伝導率は、材料の断熱性能を示す重要な指標です。この数値は「W/m・K」という単位で表され、数値が低いほど優れた断熱性を持つことを意味します。例えば、熱伝導率の高い金属は熱を素早く伝えますが、断熱材として使用される発泡スチロールなどは非常に低い熱伝導率を持ちます。
建築物の設計において、適切な断熱材の選択は省エネルギーや快適な室内環境の実現につながるため、熱伝導率の理解は極めて重要です。住宅の断熱性能を向上させるには、熱伝導率の低い材料を効果的に活用することがカギとなるでしょう。
熱抵抗値
熱抵抗値は、断熱材の性能を実践的に評価する重要な指標で、断熱材の熱伝導率と厚みから、実際に熱の伝わりにくさを表す数値です。この値は、断熱材の厚みを熱伝導率で割って算出されます。例えば、熱伝導率0.038W/m・Kの断熱材を使用する場合、100mmの厚さでは熱抵抗値が2.631m2・K/Wです。
一方、同じ材料でも厚さを50mmに減らすと、熱抵抗値は1.315m2・K/Wに半減します。このように、熱抵抗値は断熱材の厚さと熱伝導率の両方を考慮するため、実際の断熱効果をより正確に把握できます。住宅の断熱設計において、この値を理解し活用することで、効果的な断熱対策が可能となるでしょう。
断熱材の厚み
断熱材の厚みは、住宅の断熱性能を決定づける重要な要素です。例えば、熱伝導率0.04W/m·Kの断熱材を使用する場合、厚さ50mmと100mmでは断熱効果が2倍も異なります。一般的に、寒冷地では200mm以上、温暖地でも100mm程度の厚みが推奨されます。
断熱工法
住宅の断熱工法には主に3種類があり、それぞれ特徴が異なります。外張り断熱は構造体の外側に断熱材を施工し、結露防止や木材保護に効果的ですが、コストが高くなります。
充填断熱は木造住宅で一般的で、構造体内に断熱材を充填するため家計に優しいですが、防湿対策が必要です。付加断熱は両方の利点を組み合わせた工法で高い断熱効果が得られますが、費用も最も高くなります。
例えば、寒冷地の住宅では付加断熱が推奨されますが、温暖地では充填断熱で十分な場合もあります。断熱工法の選択は、気候条件や予算、建物の構造を考慮して決定することが重要です。
価格
断熱材の価格は、住宅建築の資金計画において重要な要素です。例えば、一般的なグラスウールは1平方メートルあたり600円から1,800円程度ですが、高性能な硬質ウレタンフォームでは3,000円から6,000円程度です。
200平方メートルの住宅で比較すると、断熱材の選択によって数十万円から数百万円の価格差が生じるでしょう。ただし、高価な断熱材を選択することで、長期的には冷暖房費の削減につながる場合もあります。
そのため、断熱材の価格を検討する際は、初期費用だけでなく、ランニングコストも含めた総合的な視点が必要です。実際の住宅プランを比較検討することで、より現実的な価格相場を把握できるでしょう。
断熱リフォームをする際のポイント
断熱リフォームを検討しているものの、その効果や費用対効果に不安を感じていませんか?断熱材の選択だけでなく、施工方法や補助金の活用など、考慮すべき点が多く、どこから手をつけるべきか迷う方も多いでしょう。
ここでは、断熱リフォームを成功させるための重要なポイントを解説します。適切な施工技術の重要性や利用可能な補助金制度について理解することで、効果的な断熱リフォームを実現するための指針が得られるでしょう。
断熱材の効果には施工技術が影響
断熱材の効果を最大限に引き出すには、適切な施工技術が不可欠です。硬質ウレタンフォームのような吹き付け断熱材では、隙間のない施工が比較的容易ですが、適切な厚みと密度を確保するには熟練の技術が必要です。
また、硬質ウレタンフォームでは、吹き付けの厚さが断熱性能を大きく左右します。そのため、住宅建築の際は、使用する断熱材に精通したハウスメーカーを選ぶことが重要です。例えば、特定の断熱工法に特化した専門業者を選ぶことで、高品質な断熱施工が期待できるでしょう。
断熱リフォームは補助金対象
断熱リフォームは、住宅の省エネ性能を高める効果的な方法です。例えば、2024年の「子育てエコホーム支援事業」では、外壁や屋根、窓の断熱改修工事が補助金の対象となります。
このような補助金を活用することで、初期費用を抑えつつ、長期的な光熱費の削減につながる断熱リフォームを実現できるでしょう。
まとめ|断熱材のランキングから最適な断熱材を選択しよう
この記事では、断熱材の熱伝導率によるランキングTOP11を紹介し、さまざまな種類の断熱材の特徴を比較しました。また、断熱材を選ぶ際の5つのチェック項目として、熱伝導率、熱抵抗値、断熱材の厚み、断熱工法、価格について解説しました。
断熱材の選択は、家の快適性やエネルギー効率に大きく影響します。ランキングでは硬質ウレタンフォームが1位でしたが、必ずしもこれが全ての家に最適とは限りません。それぞれの断熱材の特性を理解し、自宅の条件や予算に合わせて選択することが大切です。
適切な断熱材の選択と施工により、快適で省エネな住環境を実現できるでしょう。
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