長期優良住宅のデメリット7つ!メリットや判断ポイントまで解説
長期優良住宅の認定を受けることで、税制優遇や住宅ローン減税など魅力的なメリットが得られます。しかし同時に、建築コストの増加や手続きの煩雑さなど、いくつかのデメリットも存在するのではないでしょうか。
この記事では、長期優良住宅の概要から、7つのデメリット、そしてメリットや判断のポイントまで詳しく解説します。この情報を知ることで、長期優良住宅が自分に適しているかどうかを見極め、より良い住宅選びにつながるでしょう。
長期優良住宅について
長期優良住宅は、2009年に施行された法律に基づく基準を満たした、高品質で長寿命な住宅のことです。この認定を受けることで、税制面での優遇措置が適用されるため、多くの方にとって魅力的な選択肢となっています。
ここでは、長期優良住宅の概要と認定条件について解説します。
長期優良住宅の概要
長期優良住宅は、長期にわたり良好な状態で使用するための措置がとられているため、世代を超えて利用でき、経済的にも環境的にも優れた選択肢です。従来の「スクラップ&ビルド」の考え方を見直し、SDGsの理念に沿った持続可能な住まいづくりを実現します。
国も長期優良住宅の普及を推進しており、補助金や税制優遇などの支援策を用意しています。これらの特徴により、長期優良住宅は現代の社会ニーズに応える、理想的な住まいの形として注目を集めています。
認定条件
長期優良住宅の戸建て住宅認定には、多岐にわたる厳格な基準が設けられています。耐久性や耐震性に優れ、数世代にわたって使用できる構造躯体を持つことが求められます。
また、維持管理のしやすさや省エネルギー性能の確保も重要な要素です。良好な居住水準を確保するための適切な住戸面積や、周辺環境への配慮もしなければなりません。
さらに、定期的な点検や補修計画の策定が必要となります。これらの条件を満たすことで、長期にわたり快適で安全な住まいを実現できます。なお、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)も高性能住宅の選択肢の一つとして検討する価値があるでしょう。
長期優良住宅のデメリット
長期優良住宅にはデメリットが存在することをご存知でしょうか。建築コストの上昇や煩雑な手続き、工期の長期化など、予想外の課題に直面する可能性があります。
ここでは、長期優良住宅の7つの主要なデメリットについて詳しく解説します。これらのデメリットを理解することで、長期優良住宅の認定を受けるかどうかを判断する際の重要な材料となるでしょう。
建築コスト
長期優良住宅の建築コストは、通常の住宅と比較してやや高額になる傾向があります。これは、耐久性や省エネ性能の向上に必要な高品質な材料や設備の使用が主な要因です。
例えば、断熱性能を高めるための特殊な断熱材や、耐震性を強化する構造部材などが必要となるでしょう。ただし、建築会社によってその差は大きく異なる可能性があります。
標準仕様で既に高性能な住宅を提供している会社では、追加コストが比較的少ない場合もあります。一方、ローコスト住宅では、基準を満たすための追加費用が相対的に高く感じられるかもしれません。
手続きの煩雑さ
長期優良住宅の認定取得には、一定の費用と手間がかかります。申請手数料は地域によって異なりますが、2階建て戸建ての場合、自己申請で約5万円、代行申請では20万円程度を見込む必要があるでしょう。
この費用には、必要書類の作成や提出、審査対応なども含まれます。さらに、認定後は設計変更に制限があり、増築やリフォーム、維持保全計画の変更時には「計画変更手続き」が求められます。
これには追加の費用と時間がかかる可能性があります。こうした煩雑な手続きは、長期的な住宅の品質維持のために必要不可欠ですが、住宅所有者にとっては負担となる場合もあるでしょう。
着工前に申請が必要
長期優良住宅の認定には、必ず着工前の申請が必要です。この手続きを忘れたり、申請漏れがあったりすると、建物が完成しても認定を受けられない事態に陥る可能性があります。
例えば、基礎工事が始まってしまうと、もはや申請することができません。そのため、経験豊富なハウスメーカーに依頼することが賢明でしょう。ただし、ハウスメーカーの実績だけでなく、担当者も重要です。
長期優良住宅の申請に精通した担当者であれば、細かな要件や地域ごとの特殊な規制にも対応できるでしょう。こうした専門家のサポートを受けることで、スムーズな申請と確実な認定取得が期待できます。
工期の長期化が懸念
長期優良住宅の建設では、高性能な材料や設備の使用により、一般住宅と比べて建築コストが上昇する傾向があります。例えば、耐久性の高い構造材や高効率な断熱材の使用が必要となるでしょう。
また、認定基準への適合性チェックや申請手続きに時間を要するため、着工までに通常より1ヶ月程度の遅れが生じることがあります。これは、構造計算書の作成や省エネ性能の詳細な検証などが必要となるためです。
こうした状況を踏まえ、長期優良住宅の施工経験が豊富で、手続きに精通したハウスメーカーを選ぶことが重要です。複数社に相談し、コストと工期のバランスを考慮しながら、最適な選択をすることをおすすめします。
維持管理・点検費用の負担
長期優良住宅では、30年以上にわたる「維持保全計画」の作成が義務付けられています。この計画では、10年以内ごとの定期点検や調査、修繕、改良が求められます。
点検項目には、基礎や土台、柱、梁といった構造躯体の状態確認や、シロアリ被害のチェックなど、専門的な知識を要する箇所も含まれます。例えば、基礎のひび割れや柱の傾きなどは、素人目では判断が難しいでしょう。
自己点検も可能ですが、見落としのリスクを考えると、専門家による点検を定期的に実施することが望ましいです。これにより、住宅の長寿命化と快適性の維持が期待できますが、同時に継続的な費用負担も考慮する必要があります。
将来の改修・リフォームの制約
長期優良住宅制度が開始された2009年から15年近くが経過し、初期に建てられた住宅でもライフスタイルの変化に応じたリフォームや設備更新の需要が高まっています。
例えば、子どもの成長に伴う個室の増設や、高齢化に対応したバリアフリー化などが考えられるでしょう。しかし、長期優良住宅の認定を受けた住宅では、こうした改修やリフォームを行う際に計画変更の手続きが必要となります。
これは、間取り変更による耐震性の低下や、窓の交換による断熱性能の変化など、住宅の基本性能に影響を与える可能性があるためです。
違反の場合は罰金・認定取消・補助金返金の可能性
長期優良住宅の認定を受けた場合、定期点検やメンテナンスが義務付けられており、所管行政庁による調査が行われる可能性があります。この調査に応じない、または虚偽の報告をすると、最大30万円の罰金が科される場合があります。
さらに、基準を満たさない箇所が発見され、改善命令に従わないと認定取り消しのリスクにも注意が必要です。認定取り消しとなれば、これまで受けた補助金や税控除分の返還を求められる可能性も出てきます。
長期優良住宅のメリット
長期優良住宅のデメリットを気にしている方も、そのメリットについて知りたいと思うのではないでしょうか。実は、長期優良住宅には税制優遇や住宅ローンで金利の優遇がある、さらには補助金制度の活用など、家計に優しい特徴がいくつもあります。
ここでは、長期優良住宅の主要なメリットについて詳しく解説します。これらのメリットを理解することで、デメリットとのバランスを考慮し、より賢明な判断ができるようになるでしょう。
税制優遇措置
長期優良住宅の所有者は、さまざまな税制優遇措置を受けることができます。例えば、住宅ローン減税では住宅ローン残高の0.7%を最大13年間所得税から控除され、借入限度額が拡大されます。また、不動産取得税の控除額も増加します。登録免許税は税率が引き下げられ、固定資産税の減税期間も延長されるでしょう。
さらに、住宅ローンを使わずに長期優良住宅を取得した場合、投資型減税により所得税が控除され、贈与税の非課税限度額も拡大されます。これらの優遇措置により、長期優良住宅の取得や維持にかかる金銭的負担が軽減されます。
ただし、各措置には適用期間や要件があるため、利用前に詳細を確認することが重要です。適切に活用すれば、長期的な視点で家計の負担を大幅に減らすことができるでしょう。
住宅ローンで金利の優遇がある
長期優良住宅の取得を検討している方には、住宅金融支援機構と民間金融機関が連携する「フラット35」を利用するのもよいでしょう。特に、高品質な住宅向けの「フラット35S」では、長期優良住宅購入時に金利優遇が適用されます。
この優遇措置により、長期優良住宅の取得がより家計に優しくなり、質の高い住まいを手に入れやすくなります。ただし、適用条件や金利の詳細は変更される可能性があるため、最新情報を確認しましょう。
補助金制度の活用
長期優良住宅の建築を検討する際、活用できる補助金制度があります。その一つが子育てエコホーム支援事業で、最大100万円の補助金を受けられます。ただし、2024年9月時点では予算枠は埋まっていませんが、枠が埋まり次第募集が終了するため、利用する際は早めに申請しましょう。
このような補助金制度を活用することで、家づくりの金銭的負担を軽減できる可能性があるでしょう。
地震保険料が割引
長期優良住宅の所有者は、地震保険料の大幅な割引を受けられる可能性があります。この割引は建物の耐震性能に基づいて適用され、耐震等級が高いほど割引率も大きくなります。
ただし、この割引を受けるには保険会社に耐震性能を証明する書類の提出が必要です。そのため、長期優良住宅の認定書類や耐震等級を示す資料は大切に保管しておくことが重要になるでしょう。
長期優良住宅の認定申請前の検討ポイント
長期優良住宅の認定を受けるべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。認定申請前には、デメリットだけでなく、いくつかの重要な検討ポイントがあります。
ここでは、長期優良住宅の認定申請前に押さえておくべき3つの重要なポイントについて解説します。これらを理解し、十分な検討を行うことで、長期優良住宅が自分に適しているかどうか、より確実な判断ができるようになるでしょう。
費用対効果を検討する
長期優良住宅の建築を検討する際は、税制優遇措置の実際の効果を慎重に見極めることが重要です。住宅ローン減税制度の控除額は、借入金額や年収によって大きく変動します。
しかし、所得が低い場合や借入額が少ない場合は、この拡大分を十分に活用できない可能性があります。また、長期優良住宅の建築費用は一般的に高くなる傾向があるため、税制優遇と追加のコストを比較検討することが重要です。
優遇措置だけでなく、長期的な維持費や耐久性なども含めて総合的に判断することで、最適な選択ができるでしょう。
建築実績のある会社を選定する
長期優良住宅の認定取得を目指す際、最も重要なのは信頼できるハウスメーカーの選定です。実績豊富な会社を選ぶことで、認定取得の手続きがスムーズになるでしょう。
また、耐震性能や省エネ技術、バリアフリー設計などに優れた会社を選ぶことで、より高品質な住宅を実現できます。具体的には、耐震等級3や断熱等性能等級5以上の施工実績がある会社が望ましいでしょう。
さらに、建築コストと税制優遇のバランスを検討する際は、ファイナンシャルプランナーの助言も有効です。ただし、コンサルティング費用が発生するため、総合的な判断が求められます。
他制度との併用ができるか確認をする
新築住宅の建築時には、住宅ローン控除や、ZEH支援事業など、さまざまな補助金や税制優遇制度が利用可能です。ただし、これらの制度の中には併用できるものとできないものがあるため、事前の確認が重要です。
国や自治体の特例を上手に活用することで費用削減につながるだけでなく、これらの制度に精通したハウスメーカーを選ぶことで、より良質な住宅建築が可能となります。
長期優良住宅の申請方法
長期優良住宅のデメリットを理解した上で、実際に申請を考えている方もいるのではないでしょうか。しかし、申請の流れや必要な書類、費用について不安を感じている方も多いはずです。
ここでは、長期優良住宅の申請方法について、具体的な流れと必要な書類、そして申請にかかる費用を詳しく解説します。これらの情報を把握することで、申請に関する不安を解消し、スムーズに手続きを進められるようになるでしょう。
申請の流れ
長期優良住宅の認定プロセスは、設計、技術審査、行政審査の3段階で構成されています。
まず、9つの認定条件を満たす設計です。これには劣化対策、耐震性、省エネルギー制などが含まれ、専門的な評価基準に基づいて設計されます。
次に、登録住宅性能評価機関による技術審査を受け、適合証を取得、最後に適合証と必要書類を所管行政庁に提出し、認定申請を行います。
審査に合格すると認定通知書が発行され、着工が可能です。この過程は専門性が高いため、経験豊富なハウスメーカーや工務店に依頼することで、スムーズな認定取得が期待できます。
必要書類・申請費用
長期優良住宅の認定申請には、認定申請書や設計内容説明書、配置図、各種図面、計算書など、専門的な書類が必要です。これらの書類作成は通常、ハウスメーカーが担当するため、申請者自身が詳細を把握する必要はありません。
ただし、申請をスムーズに進めるため、必要書類や提出タイミングについて、事前にハウスメーカーと確認しておくことが大切です。申請費用は自治体によって異なり、1万円から5万円程度が一般的です。
まとめ|長期優良住宅のデメリット・メリットを把握して判断しよう
長期優良住宅は、税制優遇や住宅ローン減税、補助金制度の活用、地震保険料の割引など、多くのメリットがある一方で、建築コストの増加や手続きの煩雑さ、工期の長期化など7つのデメリットも存在します。
認定を受けるかどうかを判断する際は、これらのメリットとデメリットを十分に理解し、自身の状況に照らし合わせて検討することが重要です。
認定申請前には、費用対効果の検討や建築実績のある会社を選び、他制度との併用ができるか確認しましょう。また、申請の流れや必要書類、費用についても事前に把握しておくことで、スムーズな申請手続きにつながります。
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