市役所で土地探しができるの?市役所から「保留地」を購入する方法
土地を所有していない方は、家を建てるためにまず土地探しをしなければなりません。しかし、土地探しの経験がない方がほとんどだと思います。
いざ土地探しを始めようとしても、「どうやって探したらいいのか」「何に注意して探せばいいのか」わからないことだらけなのではないでしょうか。とりあえず不動産会社や工務店に相談しにいってみたけど、「理想の土地はなかなか見つからない…」と焦っている方も多いです。
良い土地がなかなか見つからない方には市役所で保留地を探すのもおすすめです。実は不動産会社や工務店ではなく市役所に相談することで良い土地と出会えることがあります。
保留地とはどのような土地なのか、市役所から保留地を購入するにはどうしたら良いのかを解説するので、ぜひ参考にしてください。
保留地があれば市役所で土地を探して購入できる
保留地は土地区画整理事業の事業費をまかなうための売却用の土地のこと
保留地は土地区画整理事業の過程で生まれる土地です。保留地を売却して事業に充てられます。
保留地はその地域の相場価格よりも安く購入できることが多いです。購入希望者が複数いれば抽選になることもあります。
土地区画整理事業とは複雑な区画を整えて快適な市街地を誕生させる事業のこと
土地区画整理事業とは、特定のエリアの土地の区画を整えることを指します。複雑な区画や、初めて開発された区画に対しておこなう事業です。
土地の区画が整い境界が明確になるため宅地が利用しやすい
各区画の周囲には明確な境界線が引かれます。境界線によって区画が整理され、土地の大きさや形状が明確になります。具体的には、土地の活用計画や、建築計画を立てやすくなります。さらに、区画が整っていることで土地の売買がしやすくなるというメリットもあります。
街全体がきれいに整理されるので土地の評価が上がる可能性が高い
区画整理事業は、街をきれいに整理し、住みやすさを高めることが1つの目的です。街全体の見た目が改善されるだけでなく、土地の価値が上がる可能性があります。
きれいで住みやすい街は、土地の価格に反映されます。古い街並みが美しく整備されることで、物件の需要が増え、市場価格の上昇に繋がります。
また、区画整理事業は、道路や公園などの公共施設の整備も同時におこないます。公園が多く子どもを遊ばせるのに安心であったり、道路が広くて車が通行しやすいといった点も、地域の魅力となり、土地の価値をさらに高める要素になります。
上下水道、ガスなどのインフラ施設を一体的に整備できる
上下水道、ガスなどの都市基盤となるインフラ設備は、土地を開発するときに欠かせないものです。特に、区画整理事業は、旧来の複雑な地域を整理し、より住みやすい市街地をつくるために大事な役割を担うことになります。
インフラ整備により、生活に必要な設備がすべて揃った地域が誕生します。また、区画整理により不必要になった土地は保留地とされます。
保留地を市役所などが売却することで、事業の費用回収を図ります。保留地は買い求めやすい価格設定となっていることが多く、新たな住宅地を探している方にとって魅力的な選択肢になります。
ただし、保留地は早期に売り切れてしまうことが多いので、購入を検討している方は市役所での情報確認を怠らないようにしましょう。
街の憩いの場として公園が必ず設けられる
区画整理事業で、緑豊かな公園が設けられます。公園は私たちが日々の生活で疲れた心と体を癒す場所であるだけでなく、子どもたちが遊びながら体力をつけ、大人たちがスポーツや散歩を楽しむ場所になります。
また、公園は四季折々の草花や木々に触れ、自然とともに時を感じることができる大切な場所でもあります。さらに、公園は地域の景観を綺麗に保つ役割も果たしています。美しい公園があることで、街全体の印象が向上し、住み心地が良くなります。
保留地と一般宅地とのちがい
不動産会社を通さずに事業者が直接販売するため仲介手数料が不要
土地を探す際、市役所の保留地だけでなく直接事業者から購入するという方法もあります。事業者から直接購入するときのメリットは、仲介手数料が不要になるという点です。
不動産の購入は、売主と買主をつなげる仲介業者に対する手数料が発生します。しかし、事業者が直接販売する場合は、仲介手数料が必要ありません。つまり、売買における費用を抑える事ができます。
ただし、直接販売は両者間の交渉や契約手続きが自己責任となることに注意が必要です。不動産売買の知識が必要にはなりますが、購入費用を抑えることができ、高額な土地でも購入しやすくなります。
換地処分が終了するまで土地の所有権を事業者から買主に移転できない
土地を購入した時点で所有権は移転します。所有権が移転した段階から土地を自由に使用できるようになりますが、保留地の場合は少し違います。
保留地とは、都市計画による区画整理が行われるときに、一時的に指定される土地のことです。買主は事業が完了するまで所有権を手に入れることができません。つまり、換地処分(土地所有者に換地を割り当てること)が完了するまで、所有権は元の土地から新しい土地へと移転しません。移転されるまでの間、買主は土地を利用できますが、所有権はありません。
金融機関によっては住宅ローンの設定ができないので金融機関の制限がある
住宅を購入するとき、多くの方が住宅ローンを利用します。しかし、市役所で保留地を見つけて購入しようとした場合、金融機関によっては住宅ローンの契約ができないことがあります。保留地は一般の宅地とは異なり、所有権が確定していない場合が多いので、金融機関が制限してしまうためです。
保留地を購入するときの住宅ローンは、提携している金融機関が取り扱っています。提携しているのは、主に市区町村の土地区画整理組合、行政区内の銀行支店、地方銀行支店、農業協同組合などです。
金利が低いインターネット銀行では、低金利にもかかわらず保留地を担保にすることがむずかしいため住宅ローンを組むことができない場合が多いです。また、保留地の境界が未確定であれば、土地の資産価値が落ちてしまいます。
資産価値が落ちた結果、住宅ローンの担保に設定できないという問題が起きます。担保に設定できないと、本来住宅ローンを借りて不動産を購入する予定だった方が、お金を借りられない場合があります。
市役所で土地探しをしよう!保留地を購入する方法
保留地の有無を市役所や町役場のウェブサイトで確認する
保留地の有無は、まず市役所や町役場のウェブサイトの区画整理のページをチェックしてみましょう。そこには、土地区画整理事業によってできた保留地の情報が公開されています。
新たに販売が開始される保留地の情報も掲載されているため、土地探しに役立ちます。さらに、区画整理事業や保留地の仕組みや購入の流れも確認することができます。
申込条件を確認して申込書を提出する
申込みを考えている方は、市役所の区画整理事業を担当する部署に申込条件を確認しましょう。また、保留地買受申込書をもらい、住民票や身分証明書などの必要書類を準備します。
公開抽選か随意契約にて売却先が決定される
市役所が販売する土地は土地によっては、公開抽選や随意契約(競争入札によらずに任意で決定した相手と契約すること)のいずれかで売却先が決まります。具体的には、公開抽選で応募者の中から選び出された人が、選定されます。
一方で、随意契約の場合には、市役所が直接、売却直接に売却先を決定し、設定した条件を満たす人や企業と契約を結びます。公開抽選は、多数の応募が予想される場合や、希少性が高い土地の売却に向いています。
どちらの方法でも市役所は公正に選定することを目的としています。また、応募するときには必要な手続きを誤りなくおこない、指定された期限内に申し込みましょう。
保留地売却決定通知書が送付される
保留地売却決定通知書が送付されたら、10日間以内に、契約を進めないといけません。通知書を受け取った人物が契約者となり、土地の所有権移転登記の権利者になります。
もしも、複数の人が共有で契約を希望する場合には、保有分をあらかじめ決定しておきましょう。土地を売買するときには、契約金の1割を契約保証金として支払う必要があります。詳細は、市役所から発行される通知書をご確認ください。
事業者と保留地の売買契約を結ぶ
契約保証金の支払い後、所有権移転登記が行われます。保留地売買契約書と契約金額の記載のある納入通知書兼領収書が送付されてきます。
契約代金をすべて支払う
納入通知書兼領収書に記載された金額を支払います。契約を結んだ日から指定された期日の間に支払いましょう。契約期間や金額、支払い方法などは市役所や土地の売主との間で話し合い、確認しましょう。
保留地の引き渡しをおこない使用収益権(一定の目的のために土地を使用・収益する権利)を得る
保留地を購入すると、使用収益権が得られます。使用収益権とは、土地を使って物を作ったり、何かを育てたりする権利のことです。
たとえば、土地を使って家を建てたり、畑を作って野菜を育てることもできます。しかし、保留地には普通の土地とは違う特別な決まりがあります。
まず、保留地を手に入れるためには市町村がおこなっている手続きにしたがって行動する必要があります。また、保留地を購入したあとでも、市町村が決めたルールにしたがって土地を利用する必要があります。
換地処分が行われたら所有権移転の登記をおこなう
換地処分が行われると、土地の所有者は所有権移転の登記をおこなうことになります。換地処分とは、土地所有者に換地を割り当てることです。
所有権移転の登記は、法律で規定された手続きに従い、法務局で実施します。
登記をしなければ、新しい土地の所有者は法的に認められません。また、所有権移転の登記には費用がかかります。登記費用は新しい所有者が負担するものです。
市役所から保留地を購入する際の注意点
換地処分までの工事期間中は土地の売却が禁止される場合がある
工事期間中に、市役所で土地を購入するときは注意が必要です。換地処分が行われている期間から新たな土地が配分されるまでの間は売却が制限されることがあります。
具体的には、土地の売却が禁止されている事業計画が進行中であったり、特定の約束事(特約)によって売却が制限される場合があります。売却が制限されている間は、土地を使うことは認められていますが、売却のときには注意が必要です。
換地処分までに区画整理に変更が生じて保留地の面積が狭くなる場合がある
市や町役場がおこなう土地区画整理事業の過程で、換地前の土地( 従前地)の位置や面積が変わることがあります。区画整理が完了していても、最終的な土地( 換地)が割り当てられるまで変わる可能性があります。
最終的には、換地処分までに保留地( 売却できる土地)の面積が狭くなる可能性もあります。面積が狭くなった場合は、整備された新しい土地と交換され、清算金( 精算金)として差額を受け取ることができます。
また、場合によっては新たに整備された土地の価値が前もって所有していた土地と同等以上の価値を持つこともあります。一方で、場所が変わる可能性もあります。
換地処分後も土地を「宅地」以外に使用することは制限される場合がある
換地処分後、土地の使用方法には一定の制約が設けられる場合があります。地区の利用促進を目指した地区整理事業の性質上、宅地として使用することが想定されています。
もしも、商業施設や工場などの建築を計画する場合など、宅地利用以外の目的で土地を使用する場合には、使用制限を確認することが必須です。
使用制限は地区整理事業が完了した後も引き続き適用され、遵守が求められます。違反すると罰則が科されることもありますので、注意してください。
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