重量鉄骨造ハウスメーカーを大手・中小あわせて一覧表で徹底比較
住宅の構造には木造や鉄筋コンクリートの他に鉄骨造があります。重量鉄骨造は鉄骨造に分類され、耐震性が高いことで注目されています。しかし重量鉄骨造の住宅を扱うハウスメーカーは複数あるため、どこを選べばいいか迷われている人も多いはずです。
この記事では、具体的なハウスメーカーの例を挙げながら紹介していきます(掲載情報はすべて2023年8月時点の内容です)。
それぞれの特徴を把握できるためハウスメーカーを選びやすくなるはずです。また、重量鉄骨造の住宅を選ぶ際のデメリットや注意点も確認し、快適な暮らしを実現してください。
目次
重量鉄骨住宅のハウスメーカー一覧
重量鉄骨住宅を扱うハウスメーカーを、大手から中小住宅メーカーまで一覧で紹介します。
ハウスメーカー | 扱っている構造 | 特徴 |
積水ハウス | 重量鉄骨造 軽量鉄骨造 木造 |
大空間を実現できる |
ダイワハウス | 重量鉄骨造 軽量鉄骨造 木造 |
高い天井高を実現できる |
トヨタホーム | 重量鉄骨造 軽量鉄骨造 木造 |
車の生産技術を活かす |
パナソニックホームズ | 重量鉄骨造 軽量鉄骨造 木造 |
細かい設計ができる |
ヘーベルハウス | 重量鉄骨造 軽量鉄骨造 |
耐震性が高い |
中村建設 | 重量鉄骨造 木造 |
コストパフォーマンスを重視 |
アイホームズ | 重量鉄骨造 木造 |
地域密着型(城東・城北エリア限定) |
アーキッシュギャラリー | 鉄筋コンクリート造 重量鉄骨造 |
デザイナーズハウスを実現できる |
ZEROHOME | 重量鉄骨造 | 重量鉄骨専門 |
複数のハウスメーカーがありますが、それぞれ特徴があります。ハウスメーカーを選ぶときは、住居に欠かせない条件や希望のデザインを実現してくれるかにおいて、各ハウスメーカーの強みを確認してください。
重量鉄骨住宅のおすすめの大手ハウスメーカー5選
大空間を実現できる「積水ハウス」
設計における高い自由度
積水ハウスの戸建住宅のコンセプトは邸別自由設計。一邸ずつ自由な設計を実現します。フレキシブルβシステムでは各階の柱の位置を自由に動かすことができ、「通し柱」を使わずコーナーに窓を設置することもできます。大きな窓の吹き抜けや、屋内と一体感のあるバルコニーといった開放感のある住居が叶います。
技術力が高いチーフアーキテクトが在籍
チーフアーキテクトは厳しい審査を経た一級建築士に与えられる称号で、積水ハウスのトップクリエイター集団です。センスと技量を持ち合わせた住宅設計のプロに、世界で一つだけの住居の設計、デザインを相談できます。
公式サイト:積水ハウス
高い天井高を実現する「ダイワハウス」
強靭な構造体
ダイワハウスは強靭な構造体により、通常の天井の高さ2m72cmより30cm以上高い天井や7m10cm幅の大きな窓を実現できます。断熱性も優れているため、大きな窓を設置しても室内の温度は快適です。
さまざまな設計を形にできる
高い天井や広い開口部を実現できるのは、強い構造だけでなくさまざまな設計を形にできるためです。間取りは22.7cm刻みで変えることができ、吹き抜けや小屋裏収納といった空間設計によって、広々と快適な暮らしができるようになります。
公式サイト:ダイワハウス
車の生産技術を活かす「トヨタホーム」
工場生産により狂いの少ない精密さ
トヨタホームは品質を追求するトヨタ生産方式でつくられています。高品質を実現するために約85%を工場で生産し500項目に及ぶ検査体制を整えています。バラツキの少ない安定した家づくりを目指せます。
ユニット工法で工期を短縮
工場でユニットを組み立てるため、現場ではユニットの据え付けから屋根の組み立てまで1日で完了します。天候に左右されにくく近隣への影響も最小限に抑えられます。
公式サイト:トヨタホーム
細かい設計ができる「パナソニックホームズ」
業界最小の150mmピッチで設計
パナソニックホームズは、住宅が密集する都市部でも重量鉄骨造を建てられます。業界最小の150mmピッチで設計ができるため、狭い敷地での法的建築制限や空間の有効活用を実現できます。建物の内部から施工する工法により、近隣との境界線が狭い場所でも施工できます。
快適に過ごせる全館空調システム
全館空調システムを取り入れることで、エアコン1台で家中を快適温度に保てます。また、電気代や換気にかかる費用を削減できます。洗面所や脱衣所など温度差を感じやすい空間も快適に過ごせます。
公式サイト:パナソニックホームズ
耐震性が高い「ヘーベルハウス」
制震構造の種類が充実
ヘーベルハウスは、独自の制震フレームにより地震から建物を守る「重鉄制震・デュアルテックラーメン構造」や、強さを確保しながら設計の自由度に対処する「ハイパワード制震ALC構造 」、柱と梁を強固な接合により大空間も実現できる「重鉄・システムラーメン構造」と、制震構造の種類が充実しています。設計に合わせて構造を選べ、強くありながら希望のデザインを実現できます。
耐久性・耐火性が高い「ALCコンクリート」を使用
ALCコンクリートは、高い強度、耐火性、耐久性、寸法安定性、遮音性、断熱性、調湿性を兼ね備えた建材です。強度に優れているのはもちろん、遮音性や断熱性といった快適な住まいに欠かせない性能も併せ持っているため、住み心地の良さを追及できます。
公式サイト:ヘーベルハウス
重量鉄骨住宅のおすすめの中小住宅メーカー4選
コストパフォーマンスの良い「中村建設」
注文住宅の中で低価格化を実現
中村建設は、コスパの良い重量鉄骨造住宅「YONBACO(ヨンバコ)」を扱っています。YONBACOは、重量鉄骨による耐震性がありながら、規格住宅ではなく自由設計でパッケージにできないかという想いから誕生しました。総合建設業の経験を活かし、高性能でありながらリーズナブルなマイホームを目指すことができます。
自由なプランニングができる
四角い箱(空間)の中身を暮らしに合わせてデザインできます。大手ハウスメーカーの場合、基本プラン以外の間取りはオプション料金がかかる場合がありますが、YONBACOはベースのプランを参考に、思い通りにプランニングできます。
公式サイト:中村建設
地域密着の「アイホームズ」
強い家にこだわる
アイホームズは耐震性や機密性、断熱性、防音性に強い家づくりを提供しています。また、地盤保証は最大3億円(10年間)、液状化保証は最大1億円(10年間)、免震保証も最大1億円(10年間)と長期保証が充実している点も安心です。
地域を限定し費用を抑える
アイホームズは地域密着工務店です。できるだけ早く駆け付けられるように施工エリアを以下に限定しています。
墨田区、江東区、台東区、荒川区、足立区、葛飾区、江戸川区、北区(東側)、 文京区、千代田区、中央区、千葉県市川市、松戸市(南部)、埼玉県八潮市
広告費の削減や移動時間の短縮によって費用を抑えることを目指しています。
公式サイト:アイホームズ
デザイナーズハウスを実現する「アーキッシュギャラリー」
高いデザイン力
アーキッシュギャラリーでは、希望に合った建築家を選出してもらえるため、高いデザイン性の戸建て住宅を実現できます。機能性や安全性も保ちながらオリジナリティのあるマイホームを建てたい方におすすめです。
3つの建築計画から選択できる
アーキッシュギャラリーでは以下の3つの建築計画を用意しており、依頼内容や条件にあったコースを提案してくれます。
・SSコース:設計・施工一体型
・KSコース:企画・設計監理業務型
・Sコース:施工請負型
設計も施工もお願いするのか、設計のみお願いするのか、施工のみお願いするのかによって、建築計画が変わります。
公式サイト:アーキッシュギャラリー
重量鉄骨専門の「ZEROHOME」
普段使いのできるシェルター
ZEROHOMEでは、大地震や台風の際の避難場所となる「ガイアシェルター」を提案しています。
万一の時に備えてゼロリスクを目指しつつ、普段使いする空間とすることで日常でも無駄にしません。地下シェルターのため高い防音性能を実現。普段は楽器の練習部屋やスクリーンで映画を見る場所として利用できます。
土地探しからサポート
ZEROHOMEは、土地を持っていない場合は土地探しからサポートしてくれます。土地が見つからない、探し方がわからないといった方の悩みに寄り添い、重量鉄骨造の住宅を建てるのに理想的な土地を提案してくれます。
公式サイト:ZEROHOME
重量鉄骨と軽量鉄骨の違い
鋼材の厚みが6mm以上が重量鉄骨
重量鉄骨と軽量鉄骨の違いは、以下の通り鋼材の厚みです。
・重量鉄骨:鋼材の厚みが6mm以上
・軽量鉄骨:鋼材の厚みが6mm未満
1〜2階建の住宅や小規模の店舗は鉄骨でも軽量鉄骨であることも多いです。しかし、狭い土地で広さが限られている、あるいは1階を駐車場にしたいといった場合もあり、一般住宅でも重量鉄骨が選ばれることも増えています。重量鉄骨なら少ない柱の本数での家づくりができます。
軽量鉄骨のハウスメーカーが重量鉄骨を扱うとは限らない
鉄骨には重量鉄骨の他に軽量鉄骨があり、重量鉄骨を扱うハウスメーカーでは軽量鉄骨も扱うことが多いです。しかし、なかには軽量鉄骨しか扱わないハウスメーカーもあります。
鉄骨造のうち軽量鉄骨のみを扱うハウスメーカー
ユニット工法が特徴の「セキスイハイム」
セキスイハイムの住宅は、工場で部材を組み立てて作ったユニットを、現場で連結させて組み立てます。建築工事は天候の影響を受けますが、ユニット工法は作業の大部分を屋内でおこなうため天候の影響を受けにくく、工期が早いという特徴があります。
ZEHが標準仕様の「サンヨーホームズ」
サンヨーホームズは環境のことを考え長く住み続けられる住宅を提案しています。
国が掲げるZEHの水準を超える高性能な住宅を標準化しています。太陽光発電やオール電化、全熱交換式換気システム等が標準仕様です。脱炭素社会の実現を目指し、省エネ対策に取り組んでいます。
重量鉄骨ハウスメーカーの比較ポイント
保証期間やアフターサービスの手厚さ
ハウスメーカーは「住宅の品質確保の促進等に関する法律」によって、新築住宅を引き渡した時から10年間の保証が義務付けられています。瑕疵担保責任によって、引き渡しから10年以内に基礎、壁、柱といった構造的な欠陥があったときは無償で補修してもらえます。
ハウスメーカーによっては10年保証より長い保証期間や独自の保証範囲を設けているため、保証制度を確認して比較することをおすすめします。
通気性や断熱性の性能
重量鉄骨造は木造と比較すると、湿度調整がしづらい構造です。夏は暑く冬は寒いため、通気性や断熱性が高いハウスメーカーが安心です。
断熱方法には、建物を断熱材で覆う方法や室内に断熱材を用いる方法があり、断熱材にはグラウウールやロックウール、硬質ウレタンフォームといった多くの種類があります。対策はいくつかありますので、説明を聞いて納得のいくハウスメーカーを選んでください。
坪単価を確認
坪単価もハウスメーカーによって異なります。
坪単価とは1坪(約3.3平米)あたりの費用のことで、総建築費用の目安になります。たとえば、60坪で3,000万円の住宅なら、坪単価は50万円です。坪単価は、面積を延べ床面積か施工面積とするかによっても変わります。また、登記の費用といった諸費用が含まれるかによっても変わります。
坪単価を確認するときは、面積の定義や諸費用の有無を確認した上でくらべてください。
なお、施工面積とは、延べ床面積にバルコニーや玄関ポーチなど延べ床面積に含まれない部分も含めた面積を言います。
重量鉄骨の住宅のメリット
耐震性・耐久性が高い
重量鉄骨造は鋼材に厚みがあり、耐震性・耐久性に優れています。
重量鉄骨造はビルやマンションに用いられる構造で、骨組みと基礎が頑丈です。土台から垂直に伸びる柱と、柱と柱をつなぐ梁の接合部分は、鋼接合で柱と梁を一体化しています。力が加わっても接合部分が変形しにくく、強度が高い構造です。
広い空間づくりができる
骨組みが頑丈なことから広い空間や大きな窓を設けることが実現します。
重量鉄骨は、柱と梁で建物を支える「ラーメン構造」を用います。柱と梁の接合部分は溶接によって固定され、斜め材が不要です。構造がシンプルなため広い空間を確保でき、窓や扉といった建具の位置を自由に決められます。
斜め材を用いる「ブレース構造」や面で構成する「壁式構造」といった他の構造とくらべて、デザインの自由度が高い点が特徴です。
防音性が高い
市街地や道路沿いに家を建てる場合は防音性も気になりますが、重量鉄骨は木造や軽量鉄骨と比較すると防音性に優れています。柱が太いため壁も厚くなり、厚くなる分、防音効果が期待できます。
ただし、コンクリート造とくらべると防音性は低くなります。車の音や騒音が気になる環境の場合は、外壁素材においてALCのように防音性の高い素材を用いられることが多いです。
ALCは、気泡の入った珪石(ケイ酸質の鉱物や岩石)からできた外壁材で、内部の気泡が音を吸収し、外からの音を通しにくくします。防音性だけでなく、断熱性、耐火性にも優れています。
品質にバラツキが少なく工期が短い
鉄骨は品質のバラツキが起きにくい材料です。木造は水分量による木材の個体差があったり管理体制によって品質が変わりやすかったりしますが、鉄骨は個体差がなく環境による影響を受けにくいです。
また、組み立てにおいても木造は職人の力量によって仕上がりが変わりますが、鉄骨造は作業者によって仕上がりが変わることは少ないです。また、構造がシンプルなため工期は短い傾向です。
資産価値が落ちにくい
建物は、経年劣化により資産価値はゆるやかに低くなりますが、重量鉄骨造は資産価値が落ちにくいです。重量鉄骨造の住宅は頑丈に作られているため固定資産税が下がりにくく、資産価値が落ちにくいです。
固定資産税とは、固定資産を所有している場合にかかる地方税のことです。
火災保険料が安い
重量鉄骨造は木造にくらべて保険料が安くなる傾向があります。
火災保険とは住居や家財に損害が発生した場合に損害を補償する保険です。家を建てるときは火災保険に加入し、万一のときに備えておくのがおすすめです。
建物は材料や工法といった建物の構造によって燃えやすさが異なり、自然災害や火災による損害が出る可能性が高いほど保険料は高くなります。
ただし、保険料は建物の構造だけでなく、建物の価値(坪単価)や補償内容によっても変わるため、複数の保険会社から見積もりをとってくらべてください。
重量鉄骨の住宅のデメリット
建築費用がかかる
重量鉄骨造の住宅は、木造住宅より費用が高くなります。
鉄骨造は木造と違って建築現場で加工することはむずかしく工場で加工します。また、木造より総重量が重くなるため、重量に耐えられるように地盤や基礎をつくる必要があります。鉄骨の方が木材より材料費が高いだけでなく、加工や土台作りにおいても費用がかかります。
鉄骨造で建築費用を抑えたいなら軽量鉄骨
同じ鉄骨造でも軽量鉄骨の方が、建築費用は抑えられます。
先ほど紹介した通り、重量鉄骨と軽量鉄骨の違いは鉄骨の厚みです。厚みが薄くなる分、軽量鉄骨の方が材料費が安くなり建物の重量も軽くなるため、地盤強化や基礎工事にかかる費用を抑えられます。
重量鉄骨造の注文住宅を建てる際の注意点
土地によっては地盤強化が必要
重量鉄骨は重さがあるため、建物を建てる前に地盤強化が必要なこともあります。
家を建てる前に地盤を調査し、必要に応じて地盤の改良工事をおこないます。具体的には地面を強くするために固化材を混ぜたりコンクリートの柱を地中に立てたりします。地盤強化が必要な場合は費用がかかり、1坪あたり2万〜7万円ほどになるとされています。
複数のハウスメーカーで検討
住宅購入を検討する上では、希望が重量鉄骨であれ木造であれひとつのハウスメーカーだけで決めるのはおすすめしません。他とくらべて相対的に判断すると、各ハウスメーカーの強みを把握しやすくなります。ただし、選択肢が多すぎてもなかなか選べないという状況になりかねません。3つ程度に絞って選んでみてください。
例えば「ウチつく by Onnela」では、注文住宅を検討中の方に向けた無料のオンライン相談サービスをご用意しております。注文住宅を建てるときに役立つ情報をレクチャーするだけでなく、鉄骨の住宅にしたい、といったこだわりの条件や予算に合わせた住宅会社をご紹介しますので、ぜひご相談ください。
ランキング結果だけで選ばない
ハウスメーカーについて検索すると、住宅メーカーのランキング記事が多く存在していることがわかります。ランキング記事を閲覧するときは、何を評価したランキングであるかを確認してください。極端な例ですが、デザイン性を重視したい方の場合、坪単価の安いハウスメーカーのランキング結果は参考にならないはずです。
また、ランキング結果だけでハウスメーカーを選ぶことはおすすめしません。「営業スタッフの案内が良かった」「デザインに満足している」といった感想は人によって感覚が異なるため、不確実です。
一生で一番大きな買い物ともいえるマイホームを建てるときは、見積もりをとったり住宅展示場に足を運んだりして感じるご自身の感覚も大切にしてください。
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