長期優良住宅の住宅ローン控除と優遇措置とは?条件と注意点
家は人生の中でも高額な買い物になるため、少しでもお得に建てたいものです。家をお得に建てるためには、控除や補助制度をうまく活用しましょう。
長期優良住宅を取得した場合、受けられる補助が多いのですが、内容を理解しておかないと、「長期優良住宅にする必要がなかった」や「わざわざ認定を受けなくてもよかった」と後悔することがあります。
長期優良住宅を目指す方は、住宅ローン控除の内容や注意点を事前に知っておくべきです。
まだ長期優良住宅を取得するか悩んでいる方も、すでに建築会社と打ち合わせを進めている方も、いますぐ確認して家づくりに活かしましょう。
長期優良住宅の住宅ローン控除
借入限度額について
2023年に入居する場合、長期優良住宅の借入限度額は5000万円です。2024年と2025年は4,500万円です。
最大控除額
控除は、毎年一定の金額を13年間にわたって、所得税や住民税から差し引くことができるため、長期優良住宅ではない住宅にくらべ住宅ローンの負担を減らすことができます。最大控除額は2023年入居は455万円、2024年と2025年は140万円です。
長期優良住宅の住宅ローン控除以外の優遇措置
不動産取得税の控除額について
不動産取得税は、不動産を取得したときに課される税金です。新築住宅には最高1,200万円まで控除されて税金が計算されますが、長期優良住宅の認定を受けると控除額は最高1,300万円に増えます。
たとえば家の価格が2,500万円の場合、一般住宅だと課税対象部分は1,300万円ですが、長期優良住宅の場合1,200万円が課税対象となり、支払う税金が減ります。
登録免許税が0.15%から0.1%に優遇される
登録免許税とは、不動産の所有権を変更したり、権利を設定、変更するときに支払う税金です。所有権保存登記に係る税率が0.15%から0.1%に優遇される措置は、2024年3月31日までに新築が建っているか確認できることが条件となっているので、注意が必要です。
具体的には、固定資産税評価額が5,000万円の場合、一般住宅は、5,000万円の0.15%の7万5,000円が税金としてかかってきます。一方、長期優良住宅だと、税金が0.1%の5万円となり、2万5,000円の差額が発生します。
固定資産税の減額措置が3年から5年に延長される
固定資産税とは、土地や建物などの不動産資産の所有者に対して、資産の価値に基づいて毎年課税されるもので、新築の住宅を購入したときに、固定資産税が半分になる軽減措置があります。一般住宅では軽減期間が3年ですが、長期優良住宅では5年間に延長され、2年間分の固定資産税を節約できます。
長期固定金利の住宅ローン「フラット35S」の金利が0.25%下がる
住宅ローン「フラット35S」を利用する場合、金利が0.25%引き下げられます。具体的には、10年間は0.25%引き下げられた低金利で借りることができます。
参考:フラット35S
地震保険料が30%〜50%割引される
地震保険は耐震等級が上がるごとに保険料の割引率もあがります。たとえば、耐震等級が2の住宅は、地震保険料が30%、耐震等級が3の場合は50%割引になります。長期優良住宅は耐震等級2の性能があります。
保険料の割引は、火災保険に加入する必要があり、耐震等級や免震建築物であるという証明の書類を保険会社に提出しなくてはなりません。割引が受けられれば、地震が起きた場合の危険性を抑えつつ、毎年の保険料の負担を減らせます。
いずれの優遇措置も2023年8月時点の情報です。
長期優良住宅に認定されるための条件
構造躯体の劣化対策をする
構造躯体の劣化対策とは、建物や構造物の主要な部分である建物の骨組みや基礎、壁、屋根などに生じる劣化や損傷を予防または修復するための対策をすることです。長期優良住宅に認定されるには劣化対策等級3かつ、木造であれば床下空間の有効高さ確保及び床下・小屋裏の点検口設置などが求められます。
劣化対策等級3はたとえば、耐久性の高い材料を使うことや、素材の結合部の強度を確保することなどがあります。また、定期的な点検や修理をおこない、早期に劣化を見つけ出し修繕することによって、構造体の持つべき強度を維持し続け、住宅全体の寿命を延ばします。
地震対策として耐震等級を満たす
日本は地震が多いため、地震に強い家つくりをすることは大切なことであり、実現するためには耐震等級を高めることが求められます。
耐震等級は1から3に分けられます。耐震等級3の家は、一度地震を経験しても、大きな損傷がなく、生活を続けられるほど強い家です。また、救護活動や復興のための拠点となる消防署や警察署の多くも、耐震等級3を満たしています。
断熱性能が高く省エネルギー
断熱性能が高い家は自然環境を考えたエコロジカルな生活を支える大切な要素です。エアコンやヒーターの電力消費を抑えることで環境問題に取り組めます。
また、四季がある日本の気候下でも室内温度を一定に保つことができることによって、住宅の寿命を長くし、耐久性を高めることにつながります。
設備配管のメンテナンスがしやすい
長期優良住宅は修繕や交換作業を効率よくおこなえる造りにすることで、住宅の長寿命化と快適な生活を両立する必要があります。たとえば、配管内部の清掃やパッキンの交換などの点検や修理作業を定期的におこなう必要があります。
地区計画や建築協定といった法規制に則っている
土地を購入する場合は、事前に計画地が都市計画施設の区域内に該当するのか、都市計画道路の区域に近いかなどの確認をしましょう。また、自然災害による被害の発生防止の把握は欠かせません。
地すべり防止区域や急傾斜地崩壊危険区域、土砂災害特別警戒区域など、特定の区域に建築する場合は特に注意が必要です。
地区計画は、特定の地域を異なる用途地域に分類し、各地域に対して建築物の用途や高さ、建物の密度、駐車場の要件などを規制することです。たとえば、住宅地域、商業地域、工業地域などがあり、建物の高さ、建蔽率、間口、建物の配置などの建築制限を設けます。
75平方メートル以上の住戸面積がある
75平方メートル以上の住戸面積という条件は家族全員が快適に生活できる空間を確保するためです。具体的には、子ども部屋や書斎、趣味の空間など、生活習慣に合わせた部屋数や家具の配置を確保できる広さが必要です。
定期点検の計画をしている
定期的な点検は、建てた家を良い状態で長く快適に暮らすために大切なことです。点検をおこなっていなかったり、点検の基準に合格できなければ長期優良住宅の認定が取り消されることもあります。
自主的な点検や修繕に加え、大きな台風や地震後には特別な点検をおこなう必要があります。また、点検などの活動を記録で残し、保存しなくてはいけません。
災害への配慮がしてある
長期優良住宅は、自然災害による被害の防止や被害を減らすことを重視しており、具体的には、地すべりや急傾斜地の崩壊、土砂災害などが起きやすい地域では、認定がむずかしくなる場合があります。
地震、洪水、台風または人為的な原因によって、長期優良住宅が損壊した場合や災害により家が壊れてしまった場合は、特例措置を利用することで、災害によって損壊した長期優良住宅を再建し、再び長期優良住宅として認定を受けることができます。
長期優良住宅の認定を受けるときの注意点
確認検査機関に支払う審査料がかかる
審査料は自分の負担となるため、住宅を建てる場合の初期費用の一部として把握しておきましょう。
確認検査機関に対して払う審査料は、住宅が長期優良住宅の基準を満たしていることを検査するための費用です。具体的な費用は5~6万円が目安です。
住宅の性能を上げるための建築コストがかかる
高性能な住宅への投資は一見負担に感じられますが、得られる快適な暮らしや安心感は、計り知れない価値があります。より優れた機能を持つ住宅を完成させるためには、優れた素材の使用や確かな技術力が求められることで、費用が増加します。
しかし、確かな価値のある家が建設できるため、長い目で見れば投資は回収できます。
入居した後も定期点検をする必要がある
長期優良住宅は10年以内に1回の点検を30年以上求められます。入居後も家を長く良い状態で保つためには定期的な点検が必要です。家が年月とともに劣化してしまうのは避けることができないため劣化に気付いた場合は、早めに修繕をおこないましょう。
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