長期優良住宅の固定資産税をお得に減らすことができる減額措置の効果



注文住宅を購入するときに住宅の購入費用と合わせて考えなければいけないのが、固定資産税です。評価額によって金額が決まってくるので、国がおこなっている固定資産の減額措置を活用して金額を減らしたいと考えている人は多くいると思います。

 

しかし、固定資産税について知らないと減額措置などを受けることはむずかしくなるので、減額措置を積極的に活用しましょう。

 

長期優良住宅であれば、一般住宅にくらべて固定資産税を減らすことができるので節税効果を高めることができます。

 

本記事では、長期優良住宅にかかる固定資産税について、適用される減額措置の期間や金額の計算方法、減税の条件、そして注意点を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

 

 

固定資産税を減らすことができる長期優良住宅の減額措置

長期優良住宅は認定制度の基準を超えた質の高い住宅のこと

長期優良住宅とは、長期的に利用しても良い状態を保つことができるように、長期優良住宅の認定制度にて定められた基準を満たした住宅のことを指します。認定制度の制定によって、長期間よい状態で保ち安心して生活できる家を創出することを目指しています。

 

具体的な基準としては、住宅の耐震性や省エネ性、住宅面積、劣化への対策、維持管理といった項目が設けられており、認定制度に制定された基準をクリアした住宅が認定長期優良住宅として認められます。また、認定制度を受けることで税制上の優遇措置を受けることができるようになります。

 

大切な家を長く使い続けながら、よりよい生活を実現する助けとなる制度と言えます。

 

長期優良住宅は固定資産税を半減できる期間が5年

一般住宅は3年しか減税措置を受けることができない

一般の新築住宅は、固定資産税の減税措置が3年間のみとされています。
減税措置は固定資産税が2分の1になるもので、新築の家を購入した場合3年の減税期間が設けられます。しかし、3年の期間が過ぎると4年目以降は通常の税額に戻ってしまいます。

 

一方で長期優良住宅であれば減税期間が5年と設定されているので、一般住宅より2年長く減税措置を受けられます。

 

引用元:認定長期優良住宅に関する特例措置(国土交通省)

 

 

固定資産税を減らすことができる節税効果シミュレーション

計算式

減税措置が適用されたときの計算式

固定資産税は、土地や建物などの価値を示す課税対象金額に税率を掛け、2分の1を掛けることで減税措置が適用された金額を計算できます。計算式は次のようになっています。

 

固定資産税=課税標準額×標準税率(1.4%)×2分の1

 

課税標準額は、固定資産の価値を示す指標です。課税標準額は住宅の評価額と同じ金額になります。ただし、税負担について特例措置があったり土地の調整措置などが適用される場合、住宅の評価額よりも低くなる可能性があります。

 

そして、課税標準額に税率1.4%をかけることで固定資産税を計算できます。税率1.4%というのは原則ですが、自治体によっては設定する税率が1.5%や1.6%になることもあるので、計算するときには各自治体のホームページなどから確認しておきましょう。

 

そして、算出された金額に2分の1をかけることで、減税措置期間における固定資産税を計算することができます。

 

引用元:固定資産税・都市計画税(東京都主税局)

 

課税標準額は住宅の評価額

課税標準額は「評価額」に基づいて決まりますが、家と土地では評価額の決め方が異なります。家の場合は課税標準額は評価額と同じになります。

 

一方で土地の場合、税負担額の調整措置などが適用される場合があり、特例のルールなどが適用されると課税対象金額は評価額よりも少なく設定されます。

 

2,400万円の節税効果シミュレーション

長期優良住宅のモデルケース

長期優良住宅を建てる人々を助けるために税金面での優遇措置が設けられており、減税措置も含まれています。たとえば新築の家が長期優良住宅に認定された場合、最初の5年間は固定資産税を2分の1にすることができます。

 

以下、購入価格2,400万円をモデルケースとして節税効果を計算していきます。

 

一般住宅と長期優良住宅で違う節税効果

一般の住宅と長期優良住宅では、142,800円の差が生まれます。

 

長期優良住宅の固定資産税減額措置を受けられる条件(2023年8月現在)

2024年3月31日までに建てられた住宅である

減税措置を受ける条件として、2024年3月31日までに新しく建てられた住宅である必要があります。減税措置を受けて費用を抑えたいと考えている方は、来年の3月31日までに住宅の建設を完成させるように計画するようにしましょう。期限を過ぎると半額になる措置の対象外となってしまう可能性があります。

 

住宅が50平方メートル以上・280平方メートル以下の延床面積である

長期優良住宅が50平方メートル以上・280平方メートル以下の条件を満たしている場合、新築後一定期間(3年または5年)、固定資産税が2分の1に減額されます。
また、長期優良住宅に店舗や事務所が併設されている場合や一定の立地要件を満たさない場合、減額措置が適用されないこともあります。減税措置を受けるには一定以上の基準を満たしている建物である必要があるので、細かい事項を理解し長期優良住宅のメリットを最大限に活用しましょう。

 

長期優良住宅認定通知書を取得している

長期優良住宅の認定基準を満たさないと取得できない

長期優良住宅として扱われるためには、認定基準を満たす必要があります。

 

認定基準を満たすには、たとえば住まいが長期間使用できるような構造と設備を持っていることが求められます。また、住人が快適に過ごせるような環境を意識した設計になっていることも必要です。さらに、一定の面積を確保しているか、維持や保全の仕組みを設けていることも条件の一部となっています。

 

また、自然災害に対する対策も施されているかも大切な要点になります。地震や風水害などのリスクを減らすための対策がされていないと長期的に住むことができないので、長期優良住宅に認定されない可能性があります。

 

長期優良住宅の固定資産税減額についてよくある誤解

固定資産税が逆に高くなる

長期優良住宅は年数が経っても固定資産税が下がりにくいは嘘

長期優良住宅について「年数が経っても固定資産税が下がりにくい」という認識がある方もいますが、実は間違いです。減税措置については、新築時から5年間の間は半額となる制度が存在しています。

 

固定資産税の評価額は「固定資産評価基準」に基づいて、各市町村(東京23区は都)が個別に決めています。そして、長期優良住宅は必ずしも高級な屋根材や壁材、設備を導入していません。
ですので、長期優良住宅だからと言って固定資産税は高くなるとは限らないのです。

 

購入額が高くなれば固定資産税は当然高くなる

長期優良住宅の購入金額が高い場合は固定資産税が高くなる可能性があります。

 

購入価格が高いほど物件の資産価値が高いと認識されて固定資産税も高額になります。また、ホームエレベーターの様な豪華な設備を備えた住宅は、設備の価値が影響を与えることになり、税額を押し上げる要因となる可能性があります。

 

固定資産税を抑えたい場合は、必要な設備だけを揃えて不必要な設備は設置しないことをおすすめします。利用頻度の少ない設備は、買わなかったり安いものを買ったりすることで費用を抑えることができます。

 

固定資産税の減額申請を忘れても後から還付請求できる

不動産取得税の還付請求はできるが固定資産税は還付されない

自治体によっては、不動産取得税の還付請求はできますが、固定資産税は還付されない可能性があります。

 

不動産所得税とは違い物件の取得や所得の税金では性質が異なるため、同じように捉えていると、本来減税措置を受けられるはずなのに忘れて受けられないという事態が起きる可能性があるので、注意が必要です。固定資産税を支払った後に減税措置を申請しても支払った分の金額は戻ってこないことが多いので、注意が必要です。

 

固定資産税の減税申請期限

新築は建築が終わった翌年の1月31日まで

新築の家を建てたら、建築が完了した翌年1月31日までに固定資産税減税の申告をしなければなりません。

 

1月31日という期日を過ぎてしまうと減税措置が受けられない可能性があるので、注意が必要です。特に長期優良住宅と認定される家を建てる場合、建物に対する固定資産税の減税を受けられる特例措置があるので、固定資産税を抑えたい場合は忘れずに申請するようにしましょう。

 

リフォームは工事終了から3ヶ月以内

長期優良住宅の固定資産税減税を受けるためには、リフォーム工事が終了してから3ヶ月以内に申請をおこなわないと、固定資産税の優遇措置を受けることができません。

 

 

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