注文住宅の玄関をおしゃれで快適に!失敗例と11の対策ポイント



玄関は「住まいの顔」と言われている場所なので注文住宅を建てるときには、玄関にこだわりたいという方も多いです。家族が帰宅したときや来客があったときなど、気持ち良い空間でお出迎えしたいものです。

 

しかしいざ玄関のプランニングを進めてみると、「広さはどれくらい必要なのか」「どんな間取りが使いやすいのか」「おしゃれな玄関にするにはどんなポイントがあるのか」
などと、おしゃれで快適な玄関にするために迷う要素が出てきます。今回は注文住宅の玄関計画で失敗したくない方に向けて、玄関の広さ・間取り・機能・デザインの観点から最低限意識すべきポイントを紹介します。

 

 

注文住宅でよくある玄関の失敗例

【広さ】によくある失敗例

玄関が狭くて使いづらい

玄関が狭くて使いづらいと、生活に悪影響がでることがあります。たとえば家族が一緒に出入りするときや来客時に、玄関が狭いと動きづらさを感じることがあります。具体的には玄関先で靴を脱ぐ順番を待たなければならない不便さが生じます。

 

また、収納空間が十分に取れずに玄関がごちゃごちゃして見えることも問題です。靴や傘、子どもの外で使うおもちゃなど玄関に置きたいものは多岐にわたります。さらに近所の方との会話、配達の受け取りなど玄関での応対が必要な場面では、狭い玄関は印象が悪くなることがあります。

 

玄関の広さは考えて、ある程度の広さを確保して必要な収納を準備することが大切です。ただし、広すぎても他の部屋が犠牲になるため全体のバランスを見てから検討しましょう。

 

収納が狭くてモノが散らかってしまう

注文住宅の玄関で多く見られる失敗例の一つに収納空間が十分に確保できていないために物が散らかってしまうというケースがあります。特に家族それぞれの靴や傘、バッグなど必要な物が集まる玄関は大切な収納場所になります。計画して設計しなければ物が増えて散らかってしまい、せっかくの新築住宅でも雑然とした印象を与えてしまうことがあります。

 

さらに、散らかったモノが動線を邪魔すると一日の始まりと終わりにストレスを感じてしまい、住みよい家とは言えません。

 

物の出し入れが不便なくできるように高さや幅はもちろん、棚の段数も計算して設計しましょう。また頻繁に使う物は前に、あまり使わない物は奥に、という収納のコツも活用しましょう。

 

【間取り】によくある失敗例

玄関から家の中が丸見えになってしまう

たとえば、玄関とリビングを直接つなげてしまうとドアを開けた瞬間に家の中がすべて見えてしまいます。収納空間や書斎を設けるとドアを開けても家の中がすべて見えなくなるので、プライバシーを守りつつも開放感を損なわない家づくりができます。

 

南向き玄関にしたため他の生活空間が暗い

自宅の玄関を南向きにすると日差しがよく当たるという利点があります。一方で、他の部屋が暗くなるという問題も生じます。日が差し込むために開放的にした玄関が、逆に他の部屋への自然光を遮ってしまうからです。

 

自然光が当たらないことで室内の湿度も上がり、カビの発生なども心配されます。たとえば、採光窓の設置や吹き抜けの設計などで自然光を取り入れたりカビを防ぐことができます。部屋の雰囲気を明るくしたいなら、壁に大きな窓を設けて少しでも日差しを取り込むことがおすすめです。

 

玄関から駐車場へのアクセスが悪い

玄関から駐車場へのアクセスが悪いと、仕事やお買い物から帰ってきたときに、重い荷物を持って家まで辿り着くのに苦労します。また、荷物を車に積むのも一苦労です。さらには、外出が多い家族や高齢者、身体の不自由な方々が家族にいるときにはアクセスの悪さは大きな負担です。

 

玄関から洗面所・キッチンまでの動線が悪い

玄関から洗面所・キッチンまでの動線の長さと収納量を考えて設計しましょう。

 

直線的な動線が短いと家事がラクにこなせるように見えますが、収納場所が減るデメリットがあります。キッチンで使うものはキッチンの収納場所に、洗面所で使うものは洗面所に収納できると便利です。

 

【機能性】によくある失敗例

採光性が悪く玄関が暗い

玄関が暗い原因の一つとして窓が設けられていないことがあります。採光性を確保するためには窓を設置するのが最も効果的です。

 

しかし内部構造上、窓を設けることがむずかしい場合もあります。窓の設置がむずかしい場合は、採光用の小窓や、物の通りが見えない程度にスリットが開いているドアを選ぶことで、光を取り込めます。また、防犯面を考えるのであれば天窓などから光を取り入れるのもおすすめです。

 

通気性が悪く玄関ににおいがこもる

湿度が高い時期の玄関はにおいがこもりがちです。また、雨具や靴など湿ったものが玄関に持ち込まれることで、湿度が上昇して空気がこもりやすくなります。

 

また、新築の家は密閉されていることが多く空気の流れが悪くなる傾向にあります。空気の流れが悪いと、玄関全体に不快な臭いが満ちてしまいます。

 

通気性を確保するためには玄関ドアや窓を頻繁に開けて換気をおこなうことが大切です。また、玄関網戸を設置することで、室内の空気を外部とさせ、においを放出することができます。もしシューズクローゼットを設置する場合は、換気扇を取り付けることを検討しましょう。

 

通気性が悪いとカビやにおいが発生し、家全体の印象を悪くしてしまいます。玄関は靴の中の湿度やにおいがこもりやすいので、注意しましょう。

 

断熱性が悪く玄関が寒い

断熱と気密が十分におこなわれていないと、夏は暑く、冬は寒い場所になります。築年数とともに長く使っている玄関ドアの気密性が落ち、冷風が入ってくるようになることもあるので、断熱性の高い玄関ドアを選ぶことをおすすめします。

 

また、玄関に窓を設ける場合にも注意が必要です。窓は明かりを取り入れるために大切ですが、窓の断熱性は壁にくらべて低くなります。断熱性を考えると小さくて断熱性の高い窓を選ぶと良いです。

 

【デザイン性】によくある失敗例

玄関の外観や内装がありきたりでおしゃれでない

耐久性の観点から見たとき安価な材料を使用して費用を抑えようとすると結果的に見た目がありきたりで安っぽくなってしまう可能性があります。家づくりにおいて、価格と品質、デザインのバランスは大切なポイントです。

 

デザインはおしゃれだが汚れが目立つ

おしゃれなデザインを優先しすぎてしまうと、見栄えは良いものの汚れが目立つという問題に直面することがあります。たとえば、白やベージュの統一された玄関は清潔感があり、見た目も素敵な印象を与えます。

 

しかし、靴の裏に付いた泥やホコリなどの汚れが目立ちやすく、頻繁に掃除をしなければなりません。ブラウン系や濃いグレー系の、土や泥の汚れが目立たない色合いを選ぶと良いです。

 

また、滑りやすい材質のタイルは高齢者や小さな子どもがいる家庭では危険ですので、滑りにくい素材を選ぶのもおすすめです。おしゃれさだけでなく、実用性も考えた選択が求められます。

 

 

注文住宅の玄関で失敗しないためのポイント【広さ編】

家族構成にあった玄関の広さを確保する

3~4人家族向け「2畳」

3人から4人の家族向けには2畳ほどの玄関が良いです。なぜなら、一度に帰宅するメンバーの数など、家族の暮らし方に合わせた空間が必要となるからです。

 

4人家族の場合、各家族の靴やアウトドア用品などを収納でき、かつ不便なく出入りできる程度の広さが必要です。

 

4~5人家族向け「3畳」

4~5人家族の場合、玄関の広さは3畳がおすすめです。家族が増えれば増えるほど物も増えるため、各家族の靴や荷物を収納できる場所が必要です。

 

さらに家族の人数だけでなく日常生活にもよります。たとえば、子どもが多い家庭では、学校から帰ってきた時に鞄を置く場所、赤ちゃんがいればベビーカーを置く場所が必要です。

 

一方で、3畳以上にすると収納が余り過ぎてしまうこともあります。家族の日常生活や将来的な変化も考えながら、自分たちに合った広さを見つけてみてください。

 

5人以上家族向け「4畳以上」

5人以上の家族にあった玄関の広さは4畳以上がおすすめです。なぜなら家族が多いほど収納が必要となり、玄関は何人もが同時に利用する場面があります。

 

玄関が広いとそれぞれが不便なく行動することができて、訪れる人を迎え入れる空間としても適しています。しかし、余りにも広すぎてしまうと他の部分が狭くなってしまう恐れもあるため、全体のバランスを考えることが大切です。

 

今と将来のモノの量を踏まえた適切な収納を確保する

靴のみを収納するなら「シューズボックス」

靴を整理整頓するために、シューズボックスの利用がおすすめです。シューズボックスは家族の靴を一箇所にまとめ、見た目もすっきりと保つことができます。また、掃除の手間を減らし、玄関を清潔に保つうえでも効果的です。シューズボックスにはさまざまな種類があり、大きさやデザイン、収納力によって適した大きさが変わります。

 

大量の靴を収納する家庭では大容量タイプ、限られた空間を有効に活用したい場合にはスリムタイプがおすすめです。また、定期的に中を整理して不要な靴は処分することで、より快適な使用感を保つことができます。

 

アウトドア用品やコートを収納するなら「シューズクローク」

シューズクロークなら、靴だけでなく冬季の厚手のコートや防寒具、雨の日用のレインコート、そしてアウトドア用品はもちろんのこと、自転車やベビーカーも空間を確保して収納することができます。

 

ただし、収納するアイテムが増え過ぎると玄関全体の印象が乱雑になってしまうため、バランスを保つことが大切です。

 

家族動線と来客動線を分けたいなら「ウォークスルーシューズクローク」

ウォークスルーシューズクロークは家族が通る道と、来客が通る道を別々に設けることができます。

 

家族の動線は玄関から直接リビングやキッチンに通じる道に、来客の動線は玄関から直接リビングに通じる道にすることで。来客が家の中を移動するときには、家族の個人の時間を過ごせる場所を侵害しないようにすることができます。

 

家全体の広さとのバランスを考えて広さを決める

25~33坪なら「2~3畳」

家の延床面積が25~33坪の範囲である場合の玄関は2~3畳が理想的な広さとされています。2~3畳は家中を自由に行き来しやすくするために必要な広さであり、無理に玄関を広くすると他の部屋が狭くなる原因になります。

 

33~40坪なら「3~4畳」

33~40坪の家を考えている方は、玄関の広さは3~4畳が適しています。3~4畳あれば、家族全員の靴の収納はもちろん、来客時にも十分な広さが確保できます。

 

40坪以上なら「4畳以上」

40坪以上のお家を建てる予定の方は、玄関の広さは4畳以上がおすすめです。特に、家族や友達がよく集まる家庭や、5人以上の大家族の場合には玄関の広さが活きてきます。また、バリアフリーのお家を考えている方にも、4畳以上の玄関はおすすめです。

 

車椅子を使用されていたり、足腰が弱い方々にも安全に移動していただくことができます。ただし、他の部屋とのバランスを考えて玄関を広くしすぎることには注意しましょう。玄関だけが広すぎると、他の部屋が狭く感じてしまうかもしれません。

 

注文住宅の玄関で失敗しないためのポイント【間取り編】

玄関の方角別のデメリットを把握して対策する

「北向き玄関」:暗く寒くなりやすいため窓やドアは断熱性・採光性に優れたものを選ぶ

北向きの玄関は、自然と暗く寒さも感じやすいです。ドアは、家の暖かさを逃さず防寒対策になるよう、断熱性能の高いものを選ぶと良いです。

 

玄関は我が家の顔であり、ゲストを迎える大切な場所なので暗さや寒さを感じさせない工夫をすることでより良い住環境を実現できます。

 

「南向き玄関」:南向きの部屋が削られないよう玄関とリビングを南向き横並びに配置する

「南向き玄関」の配置は、南に面したリビングと玄関を並べることで、住宅内の日当たりを確保できます。特に冬はリビングに日が差しこみます。

 

「東向き玄関」:朝日がリビングに入りにくくなる分リビングは南向きに配置する

朝日が直接降り注ぐことは少ない南向きのリビングは直射日光が遮られるため、室内温度の急激な上昇を抑え、涼しい空間を維持できます。また、南向きリビングは一日中光が入り、夕方まで明るい空間を楽しむことができます。

 

「西向き玄関」:西日でドアや外壁の劣化が進みやすいため庇や屋根で日避けしたり紫外線に強いドア・外壁素材を選ぶ

西向きの玄関は、あたたかな夕日が降り注ぎますが、夕日の強さが玄関ドアや外壁の劣化を早めてしまいます。西向きの玄関を選ぶ場合は強い日差しを避けるための対策をましょう。

 

たとえば、庇や屋根を設けることで直射日光を避けて、ドアや外壁の負担を減らすことができます。また、日差しを遮断するだけでなく、紫外線に強い素材を選んで使用することで、さらに劣化の進行を遅らせることができます。

 

家事動線・家族動線・来客動線・子ども動線を意識する

「家事動線」:帰宅後キッチン収納まで最短で行ける配置にする

家族が帰宅したときに荷物を片付けられるように、玄関とキッチン収納が近い位置にある間取りを考えてみましょう。帰宅後の一連の動作を不便なくすることで、家事を始めるまでの時間を短縮し、家事も効率的に進められます。

 

「家族動線」:通勤通学の準備・帰宅後の手洗いがしやすい配置にする

たとえば、通学や通勤に必要なものを置く場所を近くに設けることや、帰宅後に真っ先に手を洗える場所があると便利です。玄関には荷物を置く空間や鏡を設置して、朝の準備が不便のないようにおこなえるようにしましょう。

 

「来客動線」:家族動線と分けてプライバシーを確保する

来客を招き入れるときは、個人の時間を過ごせる場所に立ち入ることなくリビングまで誘導できると良いです。また、家族同士の生活空間の近さはアットホームな雰囲気を醸し出しますが、ときには家族のプライバシーまで暴露する可能性もあります。

 

たとえば、親戚や友人がリビングでお茶を飲んでいる最中、子どもがパジャマや下着姿で部屋を横切ってしまう…なんて場面も考えられます。玄関から廊下を通ってリビングに向かう来客動線を設け、一方で家族用の玄関から直接キッチンやリビングに入れる家族動線を作ることが一つの解決策です。

 

「子ども動線」:汚れて帰ってきても入浴・着替えがすぐできる配置にする

たとえば、玄関のすぐ側に洗面所や浴室がある配置がおすすめです。子どもたちが泥だらけで帰宅したときでも、他の部屋を汚すことなく浴室で体を洗えます。

 

また、子どもたちが手や靴を洗うための場所を玄関に設けるのも一つの方法です。

 

注文住宅の玄関で失敗しないためのポイント【機能性編】

窓やスリット入り玄関ドアから日光が入るようにする

日光ががたっぷり差し込むと、心地よく思えるような場所になります。
たとえば、ガラス張りのドアや窓ガラスの多いドアを選ぶと良いです。また、小窓やスリット入りの玄関ドアもおすすめです。

 

一方で、ガラス張りのドアは防犯の観点から心配される方もいるかもしれません。たとえば、玄関を吹き抜けにして、天窓などから光を取り入れるのも良い方法です。

 

玄関ドア・窓は断熱性能の高いものを選ぶ

季節を問わず快適に暮らすためには、ドアや窓の断熱性能が鍵です。また、熱の出入りをコントロールできることで、冷暖房の効率も向上します。

 

玄関ドアには、多くのメーカーから断熱性能が高いものが発売されています。見た目だけでなく、断熱性もドア選びの基準としましょう。同様に、窓も断熱性能が高いフレームや窓ガラスを選ぶことがおすすめです。

 

玄関吹き抜けは採光性・通気性におすすめ

たとえば、天井の高い場所に窓を取り付けると、日中は自然光だけで玄関全体を明るく照らすことができます。

 

玄関全体が明るいと、窮屈な印象がなくなり、家を訪れる人たちに良い印象を与えます。また、通気口の設置により、玄関の空気を常に新鮮に保つことができます。玄関にこもった湿気やにおいを防ぎ、より快適な空間が実現できます。

 

ただし、吹き抜けを設けることで2階の部屋の広さが狭まることも理解しておきましょう。

 

注文住宅の玄関で失敗しないためのポイント【デザイン性編】

飾り棚・観葉植物・絵画などで工夫する

注文住宅の玄関を自分好みに彩る方法として、飾り棚や観葉植物、絵画などのデザインを考えてみましょう。壁に小さな棚をつくり、そこにはモンステラやテーブルヤシを置くのがおすすめです。

 

さらに、壁や棚の一角には好みの絵画を飾ると、一段とオシャレな空間に変わります。それぞれの季節で花を変えることで、玄関に季節感を演出することもできます。また、小さな窓を設け、窓の下に観葉植物を配置することで、自然光を活かした演出も楽しめます。

 

暗めの床にすれば土・泥の汚れが目立たちにくい

靴底についた土や泥は、乾くと白っぽい色になるので、同じような暗さの床だと汚れがよく溶け込みます。また、暗めの床は室内に落ち着きをもたらす効果もあります。

 

ただし、選ぶ色は内装や壁の色とバランスを考えることも大事です。掃除のしやすさも考え、どの色が汚れを見つけやすいかもチェックしてみてください。

 

床・壁・建具・ホールは統一感を持たせる

まず、玄関の床材について考えてみましょう。床材の張り方一つで奥行き感が変わります。たとえば、フローリングを次の部屋へ流れるように張ると、玄関からリビングまでが一体の空間と感じられます。次に、壁や建具です。どちらもデザインにこだわることが大切です。

 

おしゃれなガラス入りの建具やデザイン性の高い壁にすると、玄関からの明かりがリビングに流れ、広がりを感じさせます。また、玄関は家の第一印象を決める場所です。玄関に美しさを持たせることは、家全体の印象をアップさせることにつながります。

 

 

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