注文住宅の土地探しの方法とコツ・ハウスメーカー選びのポイント
注文住宅を建てる場合、土地探しからおこなう場合もあります。しかし、土地探しの方法や、よい土地を探すコツなどがわからないと理想的な注文住宅が建てられないかもしれないので、注意が必要です。
本記事では、土地探しのコツや土地探しから依頼できるハウスメーカー選びのポイントについて解説します。家を建てるための土地を探そうとしている人や土地探しで困っている人は、ぜひ参考にしてください。
注文住宅を建てる土地探しの5つの方法
土地検索サイトで探す
土地検索サイトにはたくさんの物件のなかから、エリアや電車の路線、価格などの希望条件を設定して絞り込めるので、希望に合った土地が見つかりやすいです。ただ土地を探したいだけでなく、土地の価格の相場も調べることができます。また、「2000万円以下の土地」や「角地の土地」などの特集もあるので、想定しなかった切り口でも土地を探せます。
情報誌で探す
地元の情報誌やフリーペーパーは、町や区単位での土地情報を持っているため、インターネットには掲載されていない土地を探せます。情報誌やフリーペーパーの広告主ごとに載せる土地情報は変わるのでいくつかの情報誌やフリーペーパーをチェックしてください。
自身の足を使って探す
実際に建築希望の地域を歩くことで、街の様子や人々の雰囲気、交通手段の便利さやお店など、生活するうえで身近に感じることを体感できます。
今住んでいる場所から遠くない場所に家を建てたいと考えている方は、実際に歩いて土地を見学してみるのもおすすめです。
不動産業者に依頼する
自分で探すのが面倒だったり不安という方は、不動産業者に依頼しましょう。専門家に依頼すれば、条件に合った土地が探しやすくなります。
不動産業者を選ぶときは、土地の売買経験が豊富で、希望エリアに精通している業者を選ぶことが大切です。契約実績や精通しているエリアなどから判断して、信頼できる業者を選びましょう。また、複数の業者に査定を依頼することで、複数の選択肢ができるため条件に適した土地を見つけられます。
何より大切なのは、選んだ不動産業者の担当者に対して、自分の希望や熱意を伝えることです。どんな家にしたいのかという意見を明確に主張すれば、理想的な土地を見つけられます。
ハウスメーカーに依頼する
ハウスメーカーによっては、建築だけでなく土地探しからサポートしてくれる場合もあります。不動産業者から提案される土地より条件に合った土地を発見できるかもしれないので、ハウスメーカーへ土地探しを依頼してみる方法も検討してください。
注文住宅を建てる土地探しの3つのコツ
最低限必要な用語の意味と内容を理解しておく
建築基準法
建築基準法とは、安全で快適な暮らしを実現するために、建物や土地に対して定められた法律のことです。家を建てる上で、守らなければならないことが明記されています。たとえば、道路に面した土地で建物を建てる際には、建築基準法では幅4メートル以上の道路に対して敷地の2メートル以上は道路に接していることが原則とされています。
建物や土地だけでなく、建物に取り付けられる設備や建物の構造といったルールについても、建築基準法では定められています。また、着工の工程における確認事項や建築物の検査もルールは建築基準法を元に決められています。
建築基準法を完璧に理解するまではいかなくとも、多少の理解がなければいけません。たとえば購入した土地に建てようとしていた建物が、建築基準法に反していれば建築を諦めなければいけません。ハウスメーカーや不動産会社の担当者が建築基準法に沿って土地を提供してくれますが、わたしたちも相談するときは知識を入れてから行きましょう。
接道義務
接道義務は建築基準法によって定められているルールの1つで、建物が建築される敷地が道路と2メートル以上つながっていることが必要とされるルールのことです。
接道義務は、災害が起きたときの避難路や緊急車両の通路の確保のために必要なもので、安全な生活を送るために守らなければいけません。接道義務を守っていない場合は、建築工事の中止や再建となってしまいます。
注文住宅を建てるための土地を探すときは、接道義務が満たされているかを業者に確認しましょう。接道義務が満たされていないと、土地を所有するだけで注文住宅が建てられないといった状況になりかねません。
建ぺい率
建ぺい率とは、敷地面積に対して建物の面積が占める割合のことを指します。建ぺい率も、建築基準法に基づいて決められたルールです。
建ぺい率は、建物の面積÷敷地面積×100(%)で算出できます。たとえば、100平方メートルの土地で建ぺい率が50%と決まっている場合、建物の面積は50平方メートルまでしか建てることができません。建ぺい率を超えてしまうと、隣の建物と密集になり、日当たりや風通しが悪くなります。また、建物が密集していると火事が起きたときに炎が広がりやすくなるため、建ぺい率は守らなければいけません。
容積率
容積率は地域の下水や道路などのインフラ整備を管理するために必要な数値です。人口密度を維持することで、地域住民が快適に共有できるインフラが確保されます。
たとえば、容積率の高い建物は階数も多くなり、必然的に人口が増加します。しかし、インフラ整備の不十分な住環境に多くの人が住んでしまうと、インフラ整備を超えて人が生活することになり、かえって環境悪化に繋がる可能性があります。住民の人口がインフラ整備を超過するというリスクを避けるために、容積率によって人口を規制しています。
容積率とは、敷地面積に対して延べ床面積が占める割合を示すものです。建ぺい率は土地に接している部分なのに対し、容積率はすべての階の床面積になります。
たとえば、敷地面積が100平方メートルのうち容積率が80%と制限されている場合、延べ床面積は80平方メートル以内に収めなければいけません。1階が50平方メートル、2階が30平方メートルの家であれば、合計で80平方メートルとなるので建築可能です。
容積率も、建ぺい率と同様に土地や地域によって異なるので、土地探しのときは容積率もチェックしましょう。容積率を満たしているかも、土地探しにおけるポイントになります。
用途地域
用途地域は都市計画法に基づいて、建築できる建物の種類や用途が決められた地域のことで、住居系、商業系、工業系の3つに分かれており、13地域に分類されています。住宅はほとんどの用途地域で建設可能ですが、住環境を重視するなら、住居系の地域を中心に探しましょう。 商業系や工業系の用途地域でも住宅を建てられますが、快適に過ごせるかは保証できません。
それぞれの用途地域ごとに建ぺい率や容積率、用途について定められています。用途地域を把握しておけば、土地の購入時に周辺環境や将来的な施設がどのように変化するか把握することができます。住居系では建物の大きさや高さ、周辺の住環境が異なるので、8つの地域がある住宅系の地域それぞれの特徴を理解しておきましょう。用途地域図は市区町村のホームページから確認できます。
斜線制限(道路に面している建物の高さの制限)
高い建物が建設されると、周辺に日陰ができたり風通しが悪くなったりする可能性があり、周辺環境を悪化させる要因になります。住環境を悪化させないために、斜線制限が設けられており、用途地域によって斜線制限が適用される可能性があります。
斜線制限とは、一定の日当たりや風通しを保つために設けられた制限です。斜線制限には、北側斜線制限、道路斜線制限、隣地斜線制限の3つがあります。建物を建てるときや土地を購入するときに、斜線制限の適用内かを確認しましょう。
北側斜線制限 | 敷地の北側高さ5メートルもしくは10メートル地点から架空の斜め線を引いた範囲内に建築物を収めなければならない |
道路斜線制限 | 接している道路の幅にもとづいて決められる高さ制限 |
隣地斜線制限 | 敷地周囲の高さ20メートルもしくは31メートル地点から架空の斜め線を引いた範囲内に建築物を収めなければならない |
斜線制限について把握していれば、建物の建設について問題なく進められますし、将来的に建て替えや増築をおこなうときも順調におこなえます。
土地に求める譲れない項目を明確にしておく
駅から徒歩で通える距離
徒歩圏内に駅があるエリアに住むことで、暮らしやすい生活環境を実現できます。家族の生活に合わせて、駅までの距離を考えて土地を選びましょう。
不動産公正取引協議会連合会によると徒歩所要時間は、徒歩1分=80mとして求められますが、実際に歩く速さや感じ方は人それぞれです。また、80m以下の距離についても1分と計算されるので、表示される時間と実際に歩いてかかる時間には若干のバラつきが生じます。
実際に歩いて確認することで、横断歩道や踏切の待ち時間などの事情が分かります。横断歩道や踏切は所要時間には含まれないため、現地に行ってみなければわからないことが多いです。同じ徒歩圏内でも、歩行者が多くて時間通りにたどり着けない場所などもありますので、実際に現地を訪れて確認することがベストです。
ショッピング施設や病院・学校といった近隣施設の充実度
土地を選ぶときは、ショッピング施設や病院・学校などが近くにあるかどうかも判断基準になります。毎日料理に使う食材や日用品を販売しているスーパーやコンビニが住宅の近くにあれば、移動距離が短くなり、暮らしやすさを実感しやすくなります。また、家族が病気になったときに、診てもらえる病院が近くにあるかどうかも大切です。他にも、子どもの通学や習い事の教室、学校があるかどうかもチェックしましょう。
住環境だけでなく、通勤や通学に便利な駅やバス停までの距離など、周辺環境の交通状況も確認しましょう。交通量の多い環境だと、騒音に悩まされることになるため、交通環境も把握しておきましょう。
土砂崩れ・水害・地震・台風といった災害のリスク
完全に安全な土地は存在しないため、リスクが高い場所や対策がむずかしい場所は避けるべきです。ハザードマップポータルサイトを参照して、洪水や土砂災害、高潮、津波のリスク情報をチェックしましょう。たとえば、低い土地は冠水被害のリスクが高まるため、洪水ハザードマップを確認してください。
住宅土地を決めるポイントとして、土砂崩れや水害、地震、台風といった災害のリスクを事前に把握しておきましょう。
日当たりや風通し
日当たりの良い土地は太陽の光をたっぷり取り入れ、室内を明るくします。また、風通しの良い土地は、空気が淀まず健康面や節電にも役立ちます。一方で周辺に高い建物が多いと、日当たりや風通し環境が閉鎖的になってしまいます。
日当たりや風通しが良いかを決める要因は、住宅を建てる土地が大きく影響します。窓の大きさや方角、位置によって多少は日当たりや風通しを良くできますが、立地条件が悪ければいくら工夫しても日当たりや風通しは良くなりません。選ぶ土地によって日当たりや風通しは左右されます。
今後予想される土地周辺の環境の変化
土地を選ぶうえでは、安心して暮らせる環境が続くかを見極めましょう。たとえば周辺に大型マンションの建設が予定されているとすると、高い建物によって日当たりの良さが変化する可能性があります。農地の住宅地化が進んでいる地域では、土地探しのときと暮らし始めたときとで緑が変化し、自然環境が変化することも考えられます。
選んだ土地の環境が永久的に変わらないことはありません。土地探しの段階で環境が変化している場合もあるので、土地周辺の環境が変化するか把握しておきましょう。
環境変化を調べる方法として、地域の開発計画や用途地域の変更などの情報を確認しましょう。開発計画や用途地域の情報は、市役所や区役所の都市計画課などで入手できます。また、現地に足を運び、近隣住民や不動産会社に話を聞く方法もあります。
施工会社を早めに見つける
建築を依頼する施工会社を早めに見つけておくと、購入する土地が決まった段階で手際よく建築作業に進められます。
好条件の土地が見つかったとしても、建築工事を担当する大工さんや現場担当者の技術や応対が良くない施工会社に建設を依頼してしまうと、満足のいく家は建てられません。土地探しも大切ですが、実績のある優良な施工会社を見つけ、建設を依頼できるように手配しておくことも大切です。
また、施工会社を選ぶポイントは、大工さんや現場担当者の技術や応対、建築実績に加え、サポート体制を見ておきましょう。家が完成してからもアフターサービスが充実している施工会社を選ぶことで、万が一のトラブルにも対処してもらえます。さらに、家づくりの相談相手として親身になってくれる担当者がいる会社を選ぶことで、ストレスがかからず家づくりを進められます。
土地探しを重視してしまうと、好条件の土地を見つけたときに家を建てたくなってしまいます。早まった判断で後悔しないように、信頼できる施工会社を早めに見つけておきましょう。
注文住宅用の土地探しから依頼できるハウスメーカー選びのポイント3選
土地探しと建築どちらも豊富な実績があるか
「土地調査」と「建設」の両方の実績が豊富なハウスメーカーかを調べてみましょう。
土地の形や道路の状態によって、家の大きさや間取りが大きく変わるため、事前に希望のプランを考えて条件に合う土地を探す必要があります。実績豊富なハウスメーカーは、土地探しから建築まで手際よく進めてくれるので、問題が発生したときでも対処してくれます。
自分で土地探しをするよりハウスメーカーへ依頼する方が、理想の土地が見つかる可能性は高くなります。土地探しに行き詰まったときは、ハウスメーカーに相談してみましょう。
土地調査を丁寧に実施してくれるか
たとえば、古い測量図を基にして土地を探すと、実際の土地の面積が異なっていたなどのトラブルが起こる可能性があります。土地の情報がずれるといった問題を避けるためには、最新の土地情報について細かい調査をおこなってもらえる会社を選びましょう。土地の売買に詳しい実績のある会社を選ぶことで、正確な土地情報を基に土地探しを進められます。
丁寧な調査を実施してくれるハウスメーカーは、土地探しに対して真摯に向き合ってくれる優良な会社とも判断できます。土地探しを依頼したときの調査の精度も、ハウスメーカー選びのポイントになります。
担当者は信頼できそうか
要望や相談に対してはっきり回答してくれる担当者が望ましいです。あいまいな返答をしたり回答を避けるような態度を取ったりする担当者だと、後々問題が起こる可能性があります。経験豊富な担当者であれば、明確な答えを出してくれます。もし答えられない場合でも、調べて連絡をくれるような担当者であれば信頼できると言えます。
誠意を持って応対してくれる担当者であれば、土地探しも順調に進められますが、一方的に土地探しを進めたり要望や相談を受け付けてくれなかったりする担当者だと、条件に合う土地に家を建てられない可能性があります。
担当者との相性が悪いと感じた場合は、担当者を変えてもらうか、別のハウスメーカーへの依頼も検討しましょう。また、新人の担当者がついた場合は、新人担当者の受け答えや知識を確認して、信頼できるか判断することも大切です。
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