予算内で実現!平屋の価格相場と理想の住まいが実現可能かチェック


1階に居住空間が収まって、生活動線や家事動線を工夫できる平屋住宅。暮らしやすさが魅力で、近年人気となっています。国土交通省の「建築物着工統計」のデータより積水ハウスが試算した結果によると、最近10年間で1.8倍に増えています。こだわりを叶えつつ機能性を備えた平屋にするなら、価格相場を知っておく必要があります。あわせて、一人暮らしや大家族など暮らし方にあった間取りや坪数、二階建てとの違い、予算をかけたいポイントも押さえて理想の住まいを実現してください。

 

参考:株式会社共同通信社 平屋の建築数が近年増加 積水ハウスが試算を発表

 

 

平屋の価格を坪数別・間取り別で確認

「間取りや設備などにもこだわり理想の平屋を実現したい。一方で価格が気になる」という方も多いはずです。ここでは、坪数や間取り別で、平屋の価格目安を確認していきます。

 

坪数は国土交通省による「住生活基本計画」を参考にします。住生活基本計画では、「世帯人数に応じて、豊かな住生活の実現を前提として、多様なライフスタイルを想定した場合に必要と考えられる住宅の面積」(誘導居住面積水準)を以下のように定めています。

 

世帯人数 面積
1人 40〜55平米(約12〜16坪)
2人 55〜75平米(約16〜22坪)
3人 75〜100平米(約22〜30坪)
4人 100〜125平米(約30〜37坪)
5人 125〜150平米(約37〜45坪)

引用・参考:国土交通省 住生活基本計画における「水準」について

 

また、木造の平屋の場合坪単価の相場は40〜60万円程度です。そこでここでは、上記の広さを目安に坪単価を60万円として、平屋の価格を確認していきます。

 

【900〜1,300万円】16~22坪の1LDK

16〜22坪(約55〜75平米)の1LDKの平屋の場合、900〜1,300万円程度です。広さによっては1,000万円以下に抑えられます。

 

16〜22坪は、1〜2人暮らしで余裕のある広さです。20坪の1LDKなら、就寝部屋として使える個室は10帖ほど、LDKの広さは12帖程度まで広げられます。

 

1LDKは限られた空間を効率よく活用し、快適に暮らすためのレイアウトプランが複数あります。たとえば、LDKと個室を並べて配置し、仕切り扉をスライド式にすれば、来客時には大きなワンルームとして使うことができます。また、玄関からLDKまでを廊下でつなぎ、個室を廊下の隣に配置して独立させれば、就寝時は生活空間のLDKから離れてゆっくり休めます。

 

【1,500〜1,800万円】22~30坪の2LDK

22〜30坪(75〜100平米)の2LDKの平屋は、1,500〜1,800万円程度です。

 

2LDKは、2つの個室を夫婦の寝室と子ども部屋として使うことができ、3〜4人暮らしにあった間取りといえます。25坪の2LDKなら6帖程度の2つの個室と、18帖以上の広々としたLDKを実現できます。

 

LDKの広さを抑えて広々とした収納を確保することもできます。子どもが増えることを想定し子ども部屋に入り口を2つ設けておけば、将来部屋を仕切れば2部屋として使えます。また、LDK・トイレ・洗面所といった共有の場所と、1人の時間を過ごせる個室を独立させることにより、来客が多い家庭でも暮らしやすいレイアウトにできます。

 

【1,800〜2,300万円】30~37坪の3LDK

30〜37坪(100〜125平米)の3LDKの平屋は、1,800〜2,300万円程度です。

 

3LDKは4〜5人暮らしにあった間取りです。2つの個室を夫婦の寝室と子ども部屋として使い、3つ目の個室を来客用の部屋や書斎、趣味の部屋として使うといった余裕のある暮らしができます。

 

1階の面積が大きくなるため、暮らしやすい住空間とするには工夫が必要です。充分な光と風を取り入れることを考えて大きな窓やウッドデッキを配置したり、個室で一人ひとりの空間を確保しつつ、キッチンは対面式にしてコミュニケーションを取りやすくしたりするなど、趣向を凝らすことで快適な住まいを形にできます。

 

【2,700万円】45坪の4LDK

45坪(150平米)の4LDKの平屋なら、2,700万円程度です。

 

4LDKは夫婦の寝室のほかに個室が3部屋あるため、子どもが3人いても個室を用意できます。また、二世帯住宅もできる広さです。

 

部屋数が多くなるほど、柱やドア・窓といった建具も増えるため価格は上がります。しかし、暮らしやすさを実現するには価格面だけでなく、機能性も重視しなければなりません。水回りや収納を集中させて家事動線を短くしトイレを2箇所作るなど、暮らす人の習慣を考え、利便性の高いレイアウトにすることがおすすめです。

 

 

間取りや広さだけじゃない!平屋の価格を左右する要素

注文住宅では間取りを含めた全ての設計を自由に決められる一方、希望を全て盛り込むと予算内に収まらない可能性があります。そこで、間取りや広さのほかにある価格を左右する要素を知っておいてください。

 

建物の形による違い

平屋の価格に影響する要素の一つに、建物の形があります。凹凸があると壁や屋根の形が複雑になり手間がかかるため、長方形や正方形のように建物の形をシンプルにすると費用を抑えられます。また、屋根は傾きが大きいほど屋根の面積が大きくなり費用は高くなる傾向です。

 

建材や設備による違い

平屋の価格は、建材や設備にも影響されます。注文住宅では自分で建材や設備を選べるため、選ぶものによって価格は大きく異なります。

 

建材とは平屋を建てるための建築材料のことで、セメントや木材、ガラス、タイル、フローリング、畳などが含まれます。また、設備とは設備機器のことで、照明やコンセント、冷暖房、換気扇、キッチン、洗面、浴室などがあります。

 

高品質な建材や設備を使うと、当然ながら費用が上がります。建材において1平米あたりの単価の差は小さくても、家全体での価格差は大きくなります。

 

また、ハウスメーカーごとに、標準仕様の設備が異なります。たとえば浴室の設備において、あるハウスメーカーではA社◯型を選ぶとオプション費用がかかっても、別のハウスメーカーではA社◯型が標準仕様で別途費用がかからないことがあります。

 

希望する設備がある場合は、希望する設備を標準仕様としているハウスメーカーを選ぶと安価になります。あるいは、標準仕様が豊富なハウスメーカーなら、価格を抑えつつ満足度の高い平屋になります。

 

エリアによる土地の価格の違い

平屋を建てるのに必要な費用において、土地の価格は大きな要素です。先ほど建築費用の目安を紹介しましたが、土地を持っていない場合は、建築費用の他に土地の購入費用もかかります。

 

土地は広ければ広いほど価格が高くなりますが、土地の価格は地域によって異なります。都心部では高額になり、郊外にいくほど安価になります。また、敷地の形状や周辺環境、商業施設の充実度、交通アクセスの良さといった要素の影響も受けます。

 

土地を選ぶときは土地に対する建築面積の割合を表す「建ぺい率」も確認してください。建ぺい率が高いと隣の家と距離が近くなり、防災上安全ではありません。

 

そのため建ぺい率は法律で定められています。建ぺい率の上限は地域によって異なるため、同じ家の大きさでもエリアによって必要な土地の広さが変わります。

 

費用面で二階建てとくらべた平屋のメリットとデメリット

二階建てとくらべたときの平屋のメリットとデメリットを具体的に確認していきます。

 

平屋のメリット

足場が不要なため修繕費が安価

平屋は、二階建てとくらべて修繕費が安価です。二階建ての外壁や屋根のリフォーム時は高い場所で作業します。足場を設置する必要があり、リフォーム費用とは別に足場設置費用として15〜20万円程度が必要です。そのため、同じリフォームでも平屋は二階建てより足場設置の費用分安くなります。

 

階段がないことで担保される安全性

平屋は階段がないことで、足腰が弱い高齢者や、小さな子どもの階段からの転倒事故を防げます。室内を移動しやすいため、日常生活で階段を踏み外して怪我をすることはありません。そのため、二階建てより安全性が高いといえます。

 

二階建ての場合、車椅子を利用する方や歩くことがむずかしい方にとっては暮らしにくく、高齢になってから平屋やバリアフリー設計にリフォームするケースもあります。しかし、平屋は階段をなくすためのリフォームは不要です。あらかじめ将来を見越した設計にすることで、リフォーム代を節約できます。

 

高さが低いことによる耐震性の高さ

平屋は二階建てより高さが低い分、耐震性が高い住宅です。建物の高さが低いほど揺れの影響が小さく、強い風にも耐えられます。また、正方形に近いシンプルな形であるほど耐震性は高まります。

 

しかし、平屋であっても柱や壁が少ない広い空間のある間取りは、耐震性は低くなります。耐震性は家を建てる方法である住宅工法によっても変わるため、地震で家が揺れても家全体を支える「ベタ基礎工法」や「剛床工法」を選ぶと安心です。

 

平屋のデメリット

建築面積が大きい分広い土地が必要

平屋は建築面積が大きくなるため広い土地が必要です。同じ床面積の二階建てとくらべると、平屋は二階建ての2倍の敷地面積が必要になり土地代が2倍かかります。また、建物の面積を制限する建ぺい率が50%の場合、建物を建てられるのは土地面積の50%までです。平屋を建てる場合は建ぺい率が高いエリアで土地を探すこともポイントです。

 

基礎や屋根が大きくなる分坪単価が割高

平屋は二階建てとくらべて、土台となる基礎や屋根の面積が大きくなる分、坪単価が高くなる傾向です。坪単価とは1坪あたりの建築費用のことで、たとえば建築費用2,000万円の50坪の家なら坪単価は40万円になります。

 

同じ延べ床面積で平屋と二階建てをくらべると、平屋の方が大きな面積の基礎と屋根が必要です。そのため建築費用が大きくなり坪単価が高くなります。また、建築面積が同じ場合でも、平屋の方が延べ床面積が小さくなるため、坪単価が高くなります。

 

平屋の設計でお金をかけたいポイント

平屋を建てる場合できるだけ費用は抑えたいところですが、安心して快適に過ごすためにお金をかけたいポイントがあります。

 

防犯対策

平屋は窓や出入口が全て1階にあるため、空き巣に狙われやすい作りです。二階建て以上に防犯対策を意識する必要があります。

 

具体的には以下のような対策が効果的です。

 


・窓ガラスを2枚のガラスの間に特殊なフィルムを挟んで貫通を防ぐ防犯ガラスにする
・窓ガラスに防犯フィルムを貼る
・窓に格子を取り付ける
・シャッターをつける
・鍵をカードキーや電子ロックにする
・人の動きを感知して明かりがつくセンサーライトを設置する
・防犯砂利を敷く
・録画ができる防犯カメラを設置する

 

侵入に時間がかかることがわかると空き巣をする犯人は諦めやすくなります。また、近づくと明かりがついたり音がしたりする家は警戒します。

 

防犯対策はおこなわなくても暮らせますが、安全に日常生活をおくるにはお金がかかっても対策することをおすすめします。

 

断熱性

平屋は、二階建てとくらべて夏場は暑く冬場は寒くなりやすい作りです。快適な平屋とするには断熱性も意識したいポイントです。

 

建物の屋根の面積が大きくなるほど、室内へ伝わる熱が増えます。そのため、平屋は二階建てより夏は室内が暑くなる傾向です。また、平屋は地面に接する面積が大きいため、冬は床下からの冷気の影響を受けやすくもあります。

 

平屋の断熱性を高めるには、断熱材やトリプルガラスを用います。屋根から基礎まで断熱材を用いることで、屋外の温度の影響を受けにくくなります。

 

また、窓に3枚ガラスのトリプルガラスを使用すると窓から熱が入ったり逃げたりするのを防げます。断熱性の高い平屋は冷暖房費を抑えられるため、光熱費の節約においても効果的です。

 

高い断熱性能の建材を使うと建築費用は高くなりますが、快適な住まいのためには必要な費用と考えられます。

 

日当たりと風通しの良さ

平屋の家づくりでは、日当たりや風通しの良さも気にしたい点です。

 

平屋は床面積が広いため、窓から距離ができる中心部は日が当たらず風通しも悪くなりがちです。解決策として、家の形をL字型やU字型にして中庭を作る方法があります。

 

中庭によって窓から距離ができる空間が少なくなり、日当たりと風通しが良い平屋になります。また、天窓を作る方法もあります。雨センサー付きの自動開閉タイプを選ぶと、雨を感知して自動で閉まるので便利です。

 

建物の形がシンプルで、ドアや窓といった建具が少ない方が建築費用を抑えられます。しかし、あらかじめ日当たりと風通しを考えた設計にすると、カビや結露が発生しにくく、点検・修理の費用を抑えられます。

 

日当たりと風通しは家の作りに因ることもありますが、隣の建物の高さや距離にも影響されます。土地を選ぶ時は周囲の環境も確認してください。

 

納得の価格の平屋にするための依頼先の選び方

建築実績を確認

ホームページやパンフレットなどで会社が手掛けた住宅を確認し、豊富な建築実績をもつ会社に依頼してください。

 

外観や内装だけでなく、熱効率や耐震性など住み心地・安全面が考えられた平屋を手掛けている会社を選ぶことがポイントです。

 

住み心地や安全面が考えられているか確認するために、各会社が提供している住宅性能に注目してください。以下のような特徴がわかるはずです。

 


・耐久性が高く、お手入れやお掃除が簡単にできる構造や素材を使っている
・省エネ住宅づくりに取り組んでいる
・地震に強い家づくりをしている

 

各会社の特徴を知ることで、信頼できる会社を選びやすくなります。

 

また、長期間住み続けることを考えて、点検・修理やアフターサポートについても確認してください。

 

複数のハウスメーカーや工務店に見積もりを依頼

希望する平屋の相場を把握することも必要です。見積もりは、複数のハウスメーカーや工務店から取り寄せると良いです。

 

提案された見積もりがあると、希望の平屋を予算内で実現できるか検討できます。また、ハウスメーカーや工務店の強みや弱みをくらべてください。複数の会社から見積もりを取ることで、料金やサービスの違いが把握できます。自分たちが求めるサービスが具体的になり、会社を選びやすくなります。

 

 

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