賃貸併用住宅とは?収入と支出のシミュレーションや間取りプランなど


家賃収入でローン返済したい方は、賃貸併用住宅を選択することがあります。賃貸併用住宅とはどのような住宅を指しているのでしょうか。

今回は、賃貸併用住宅の解説とともにそのメリット・デメリットや収入と支出のシミュレーション、間取りプランのパターンなどを紹介します。

 

賃貸併用住宅とは

Point 1つの建物の中に自宅部分と賃貸部分がある住宅のこと

 

賃貸併用住宅とは、1つの建物の中に自宅部分と賃貸部分がある構造の住宅のことです。建物の50%以上を自宅部分にし、賃貸部分は入居者と賃貸借契約を結んで貸し出します。賃貸付き住宅や自宅兼アパートと呼ばれることもあります。

 

住みながら家賃収入を得ることができ、その収入で月々のローン返済をしたり毎月の生活費を補ったりできます。また、将来的に親や子どもなどと一緒に住んで二世帯住宅とすることもできます。

賃貸併用住宅のメリット・デメリット

Point 家賃収入を得られるメリットがあり、売却しにくいデメリットがある

 

賃貸併用住宅には、メリット・デメリットがあります。どちらも理解したうえで、賃貸併用住宅を建てるかどうか判断しましょう。

賃貸併用住宅のメリット

家賃収入を得られる

毎月、家賃収入を得られるのは大きなメリットです。その家賃収入をローン返済や生活費の一部に充てることができます。

住宅ローンを組むことができる

基本的に賃貸物件の建設や購入の場合、不動産投資ローンやアパートローンを利用することになります。これらのローンは、審査が通りにくいうえ、金利が高く、ローン返済の期限が短いなどの特徴があります。

しかし、賃貸併用住宅は、自己居住用部分を50%以上にする条件などを満たすことで住宅ローンを組むことができます。この場合低い金利で、長期の返済期間が設定されます。

 

また、住宅ローン控除が適用されます。住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅を購入した場合、年末時点での住宅ローン残高の0.7%が最大13年間にわたって、所得税や住民税から控除される制度のことです。

 

節税効果がある

賃貸併用住宅は普通の賃貸物件とは違って自宅部分もあるため、固定資産税の軽減措置を受けることができます。固定資産税は、200平方メートル以下の場合6分の1に、200平方メートルを超える場合3分の1に軽減されます。

また、相続税の評価額を減らすこともできます。自宅よりも賃貸のほうが低い評価を受けるようになっているためです。

 

さらに、小規模宅地等の特例が適用できることがあります。被相続人(亡くなった方)が住んでいた土地や事業をしていた土地について、一定の要件を満たす場合に最大80%の評価減を受けることができます。

 

賃貸併用住宅のデメリット

売却しにくい

賃貸併用住宅は一般的ではないため売却しにくいというデメリットがあります。

売却しにくい理由としては1世帯だけが居住するにしては広すぎて、一般の住宅としても賃貸物件としても扱うには不便と捉えられるから、などが挙げられます。将来的に売却することを前提として考えているのなら、間取りを工夫する必要があります。

 

オーナーと入居者の距離が近くなる

賃貸併用住宅はオーナーと入居者の距離が近くなるデメリットがあります。親しくなることができたら何かあったときにすぐに相談できる安心感がある一方で、オーナーに見張られているような気がするという入居者もいるかもしれません。

 

 

賃貸併用住宅の収入と支出の項目とシミュレーション

Point 支出は、初期費用、ランニングコスト、税金がかかる

 

賃貸併用住宅の収入としては、家賃や礼金、更新料があります。主な収入源となる家賃は、3DKの部屋で月に10万円と設定すると、年間120万円となります。これに、礼金や更新料を合わせた金額が収入となります。一方、支出は初期費用とランニングコストの2つに分けられます。

 

今回は3DKの自宅と同規模の賃貸部分を建てるケースを想定し、初期費用のシミュレーションをします。それぞれを25坪とすると、2階建てで合計50坪となります。坪単価60万円で賃貸併用住宅を建てたとし、建設費は3,000万円とします。

 

建築費

3,000万円

駐車場の整備費用やエアコンの設置費用など

100万円

諸費用

150万円

合計

3,250万円

 

次に、ランニングコストを考えます。固定資産税や修繕費(入居者退去時の補修費用)、保険料、入居者募集や管理を管理会社に依頼する場合、管理費も必要です。

 

これらは、概算で賃貸収入の10%程度と見込みます。今回は、年間120万円の家賃ですので12万円程度です。また、これに加えて不動産所得として、所得税と住民税がかかります。

 

賃貸併用住宅に向いている立地

Point 賃貸部分を活かせるかがポイント

 

賃貸併用住宅は、駅から近い人気のエリアに建てるのがよいです。駅から徒歩10分以内が目安になります。また、スーパーやコンビニなどが近くにあって便利で人口が増加しているエリアなら、入居希望者が多く現れます。

 

もし、女性に限定して家を貸したいということであれば、駅からの道に街灯が多く夜道も安全なところを選んだり、設備や防犯面にこだわったりするとよいでしょう。

 

賃貸併用住宅の間取りと構造について

Point 賃貸併用住宅には横割りと縦割りがある

 

賃貸併用住宅の間取りを考えるときは、そのエリアに誰が住むことが多いか考慮が必要です。たとえば、周辺に大学のキャンパスがある場合は学生向けの1R、公園や学校が多い住宅街の場合はファミリー向けの2~3DK、といったイメージです。

 

また、横割りあるいは縦割りのどちらにするかも重要です。横割りとは、階数ごとに賃貸と居住のスペースを分ける構造のことを指します。たとえば、2階建ての賃貸併用住宅の場合、1階を居住部分として2階を賃貸部分とするプランが考えられます。反対に1階を賃貸部分としても問題ありません。

ただし、賃貸併用住宅は建物の50%以上を居住部分にしなければいけないため、3階建てを建てた場合は1~2階すべてを賃貸部分とすることはできません。

 

一方、縦割りは、居住部分と賃貸部分を左右に分けた構造のことを指し、上下階の騒音対策に適しています。縦割りの場合、家の中に階段を設けることが多いため、その分のスペースが必要となります。

 

賃貸併用住宅で失敗しないためには

Point オーナーと入居者双方にとって快適な家づくりが重要

暮らしやすいように工夫する

それぞれの生活面に配慮した工夫は必要不可欠です。音が気になりにくい設計にしたり、オーナーと入居者の出入りの動線を分けてあまり顔を合わせないようにしたりと、様々な状況・条件を考慮しましょう。また、自身は住まず管理会社に委託する場合であれば入居者から直接クレームを言われる心配がない、という考え方もあります。

 

入居希望者が集まりやすい場所や間取りにする

賃貸併用住宅は入居者がいないと成り立たないため、間取りや設備を魅力あるものにする必要があります。また、立地は入居希望者が多くなるかどうかを左右するポイントのため、土地選びには慎重になりましょう。

 

収入と支出のバランスを考える

前述した収入と支出のシミュレーションから分かるように、賃貸併用住宅の経営を軌道に乗せるのは簡単ではありません。収益性にこだわって建てないと、結果的に大きなマイナスとなってしまうこともあります。

売却することも考えておく

ライフスタイルの変化に伴って、オーナーが引っ越しをしなければいけないことも考えられます。売却する可能性がある場合、賃貸併用住宅を特殊な構造にせず、万人受けして人気のある間取りにしておくとよいでしょう。

 

まとめ

賃貸併用住宅は、上手く活用できると安定的な家賃収入を得られる魅力的なものです。賃貸併用住宅を視野に入れた家づくりを考えたい場合は、資金計画やライフプランの検討はもちろん、立地や間取りなど賃貸経営に必要な要素についてもしっかりと考慮することが必要です。

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