住宅に地下室は必要?地上の部屋にはないメリットやデメリット、費用などを解説
「地下室があったら良いな」と思ったことはありませんか?地下室がある住宅はそれほど多くありませんが、もしつくるとしたら、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。今回は、地下室の費用やメリット・デメリットなどを解説します。
地下室のメリット
Point. 地下室は、地上階にはない機能的なメリットがある!
地下室には様々なメリットがあり、それに応じてたくさんの用途があります。
収納が増える
注文住宅を建てる時に、「できるだけ大きな収納が欲しい」と考えている方は多いでしょう。しかし、限られた面積の中でリビングやキッチンなどの部屋を広く取ろうとすると、どうしても収納スペースが小さくなってしまいます。
地下室をつくれば理想の間取りから妥協することなく、大きな収納を確保することができます。週に何度も買い物に行けない忙しい方でも、一度に大量に購入し、日用品などを地下室に置けるようになり便利です。
また、クリスマスツリーやひな人形、スノーボードの板など、「年にほとんど使わないが、捨てずに家に置いておきたい」という方にも最適です。
最近では、災害に備えて防災グッズを備蓄している方も増えています。飲料水や非常食など、地下室があれば十分な量を備えておくことができるでしょう。
防音性が高い
地下室は防音性が高く、大きな声や音を出しても騒音のトラブルになりにくいという性質があります。そのため、地下室をシアタールームとして活用している方もいます。プロジェクターとスピーカー、ソファなどを用意すれば、映画やライブ映像などを大音量で楽しめるようになります。
また、ピアノやギターなど楽器を演奏したり、カラオケルームとして活用するのにも適しているでしょう。わざわざスタジオに行かずとも自宅で練習できるようになり、時間を気にせず楽しむことができます。
小さい子供がいる家庭では、地下室をプレイルームとして使うと、声や足音に気を遣わず思いっきり遊ばせられるという目線もあります。
ただし、音がまったく漏れないというわけではありませんので、これらのような用途で地下室を使う場合は、一般的な地下室よりも防音対策を行いましょう。
地震に強い
地震が起きると、地面から高い位置ほど大きな揺れを感じます。地下室は地盤に囲まれているため、揺れが小さくなるメリットがあります。経路をしっかり確保しておく必要がありますが、揺れを感じた時に避難できるスペースがあることで安心感を得られるでしょう。
プライベート空間を確保できる
防音性に優れている地下室はプライベート空間にぴったりです。小さな土地に家を建てる場合は、リビングや浴室など生活に必要な部屋以外をつくる余裕がないことも多いため、地下室を書斎にすることもあるそうです。
静かな環境は仕事や勉強に集中しやすく、生活空間とわけることでメリハリも生まれます。特にリモートワークが主流となりつつある現代では、こうした活用がますます増えていくかもしれません。
ワインセラーをつくれる
地下室は日光が入らないため、1年を通して温度変化が少なく、ワインセラーとして利用する方もいるようです。湿度が高いイメージもありますが、空調設備などで環境を整えることができます。
ある程度の広さがあれば、カウンターなどをつくることで一角をバーコーナーにすることもできます。一人でワインを楽しんだり、友人を呼んで集まったりする空間を実現できるのは魅力的です。
ドライエリアがあれば快適性が高い
ドライエリアという言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは、地下室の周りを掘り下げ、採光や風通しを良くするための空間のことです。窓をつくることができるので換気や日当たりを確保できます。地上の部屋と変わらない用途で使えるようになり、リビングや寝室を地下にするという選択肢も広がるでしょう。
ドアを設ければ避難経路にもなりますし、ある程度の広さを設ければプライベートな庭として楽しむことができそうです。
地下室のデメリット
Point 地下室には、地上の部屋にはないデメリットもある!
地下室にはデメリットもあります。後悔しないよう、事前に確認しておきましょう。
結露や湿気の対策が必要
地中の温度と部屋の温度差により湿気がたまりやすいので、除湿器を導入するなど結露やカビの対策が必要です。湿度は快適性に直結しますので、じゅうぶんに検討しましょう。
浸水の可能性がある
地下室は浸水の可能性が高いです。台風や集中豪雨で下水が逆流することもあるので対策が必要です。止水できるようにコンクリートの壁を設けるなど、もしものときを考えて計画する必要があります。
土地によってはつくれないことがある
土地の条件によっては、地下室をつくることが難しいこともあります。地盤の強さや下水道管の位置、周辺道路の拡張計画など、注意しておく必要があります。いま土地探しをされている場合は、購入する前に住宅メーカーへ相談することをおすすめします。
費用がかかる
地上だけの住宅では発生しない、地下室をつくるための費用がかかります。地上に部屋を増やすよりも高額になるので、予算の検討が必要です。防音室やワインセラーを設けたいなど地下室ならではの部屋をつくりたいということでなければ、まずは地上階で工夫ができないかどうかを考える方が良さそうです。
地下室をつくる費用と半地下室との違い
Point 地下室も半地下室も、地上の部屋をつくるより高額な費用がかかる!
地下室をつくる際は、費用が大きなポイントとなります。どんな工事にどのくらいの費用がかかるかは住宅メーカーや地盤の状態などによって大きく左右されるため、下記の金額は大まかな目安と考えてください。
地下室の費用
地下室をつくるためには、様々な費用がかかります。
ボーリング調査費用:25万~30万円
穴を掘って地盤状況や地層境界深度などを調べることです。これにより、どのくらい深く杭を打つか、地下水の対策が必要かなどが決まります。
構造計算費用:30万~45万円
住宅の重さを想定し、住宅の材料がその重さに耐えられるか、地震や台風が発生した場合も問題がないかなどを調べます。地上の居室とは別に、地下室の構造計算が必要になります。
構造図作成費用:30万~80万円
構造図とは、柱、梁、壁、床など建物の構造に関する図面のことです。建築に必要な情報が書かれており、構造図に基づいて住宅を建設します。
土留費用:150万~200万円
地中を工事する場合、穴を掘ったままにしていると周辺の土が崩れ、事故につながる可能性があります。そうしたトラブルを防ぐために行うのが、土を留めておく土留(どどめ)という作業です。様々な工法があり、地盤の状態などによって適切な施工が行われます。
残土処分費用:200万円
地中を掘り進める過程で出た大量の土を処分するための費用です。黒土や赤土だけでなく、汚泥なども含まれる場合は産業廃棄物として取り扱わねばならないため、費用が高くなります。
地盤改良工事費用:100万~300万円
住宅を建てる際、地盤が弱いと耐震性などに問題があるため、地盤改良工事を行います。方法は複数あり、土地の広さや状態により費用は大きく変動します。
浸水対策費用:90万~180万円
外壁の防水処理や二重壁にする工事など、雨水や汚水が浸水しないように様々な処理を行います。防水材の種類により、耐久性や施工期間、費用などが大きく変わります。
結露対策費用:5万~60万円
地上の居室に比べて結露しやすいため、対策が必要です。換気扇の換気経路の作成、調湿素材の壁紙やタイルなどを使います。
これらのように様々な費用がかかり、総じて坪単価90万〜150万円ほどかかることが多いようです。
半地下室と地下室との違い
地下室について調べていると「半地下室」という言葉をよく目にします。建築基準法では地下室と半地下室の区別はされていませんが、一般的には部屋全体が地下に埋まっている状態のものを地下室、フロアの1/3以上が地下に埋まっている状態のものを半地下室と呼びます。
地下室の費用と半地下室の費用に大きな差はなく、半地下室をつくる場合も先ほど紹介した地下室の費用が目安となるでしょう。
まとめ
今回は、地下室について解説しました。地上の部屋よりも防音性やプライベート性が高く、様々な使い道があります。収納が足りない住宅では、収納スペースとして利用することも可能です。
その一方で地下ならではの様々な対策が必要となり、工事費用が高額になりやすいです。「地下室をどう活用したいか」を明確にし、費用に見合っているかどうかを検討しましょう。
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