準防火地域のメリット・デメリットを解説!後悔しない家づくりのコツも紹介

これから家を建てる土地が「準防火地域」だと知り、どのような制限があるのか、費用は高くなるのかと不安に感じている方も多いのではないでしょうか。準防火地域には建築上のルールがありますが、火災への安全性向上や保険料の割引など、多くのメリットも存在します。
この記事では準防火地域の基本的な知識からメリット・デメリット、後悔しない家づくりのコツまでしっかりと解説します。正しい知識を身につけ注意点を押さえることで、安全で快適な理想の住まいを実現する方法がわかるでしょう。
目次
準防火地域について
準防火地域は火災の危険を防ぐために定められたエリアのことで、家を建てる際には一定のルールがあります。ここでは準防火地域の基本的な知識から他の地域との違い、そして実際に建てる家の特徴までをわかりやすく解説していきます。
準防火地域とは
準防火地域とは将来的に市街地になることを見越して、火災の延焼を防ぐことを目的に都市計画法で定められたエリアのことです。主に都市部や住宅が密集している地域で指定されることが多く、万が一火災が発生したときに、被害が広範囲に及ぶのを防ぐ役割を担っています。準防火地域で家を建てる際には、建物に一定の燃えにくさ、すなわち防火性能が必要です。
なお、どの土地が準防火地域に該当しているかどうかは自治体のWebサイトや都市計画図で確認ができます。
準防火地域と他の地域との違い
防火に関する地域指定には、規制が最も厳しい防火地域や今回解説する準防火地域、そして特に指定のない一般地域の3種類があります。準防火地域は、防火地域ほど規制は厳しくないものの、一般地域よりは厳しいルールが設けられている、いわば中間的な位置づけです。たとえば、防火地域では大規模な木造建築が難しい場合がありますが、準防火地域では必要な対策を施せば木造住宅も建てられます。
準防火地域に建てられる家の特徴
準防火地域で家を建てる場合、建物の燃えにくさを高めるための工夫が必要になります。具体的には、外壁や屋根には防火サイディングや不燃材料といった燃えにくい建材の使用が必要です。
また、隣家からの延焼を防ぐために窓ガラスを網入りにする必要があったり、防火シャッターの設置が求められたり、開口部にも細かな規定が設けられています。木造住宅を建てることも可能ですが、その場合も柱や梁を石膏ボードで覆うなど、法律で定められた防火対策を施すことが必要です。
準防火地域で家を建てる5つのメリット
準防火地域には建築に関するルールがありますが、そのルールを守るからこそ得られる多くのメリットが存在します。火災への安全性はもちろん、保険料や光熱費といった経済的な恩恵も期待できます。ここでは、準防火地域で家を建てることで得られる5つのメリットについて、ひとつひとつ詳しく見ていきましょう。
火災保険料が安くなる
準防火地域の家は火災保険料が安くなるというメリットがあります。建物自体が燃えにくい「準耐火建築物」として保険会社から評価されるためです。火災リスクが低いと判断されることで保険料の割引が適用され、一般的な木造住宅に比べて年間で数万円の節約につながるケースも珍しくありません。さらに長期契約を結ぶことで割引率が大きくなる場合もあり、家計の負担を長期的に減らせるのは大きな魅力です。
火災に強い家になる
最大のメリットは、火災に強く安全な家が手に入ることです。準防火地域の建物は、外壁や屋根に燃えにくい材料を使い、窓なども防火仕様にすることが定められているため、万が一火災が発生した際の燃え広がりを遅らせられます。自宅からの出火だけではなく、近隣からの延焼リスクも大幅に減らせるため、家族が安全に避難する時間を確保しやすくなるでしょう。
資産価値が下がりにくい
準防火地域にある住宅は災害への強さから資産価値が下がりにくいというメリットを持つことも見逃せません。火災に強く耐久性の高い建材を使用している家は、一般的な住宅よりも長持ちしやすく、長期的に見て修繕費用の削減にもつながります。将来もし家を売却することになった場合「災害に強い家」という事実は、買い手にとって大きな安心材料となり有利な条件で評価されやすいでしょう。
光熱費を節約できる
意外に思われるかもしれませんが、光熱費の節約につながる可能性も秘めています。その理由は、準防火地域で義務付けられる防火窓や防火ドアの多くが、高い気密性や断熱性をあわせ持っているためです。高性能な建材によって家の断熱性が高まることで、外気の影響を受けにくくなり、夏は涼しく冬は暖かい快適な室内環境が実現します。
住宅ローンや補助金でお得になることがある
家づくりの初期費用を抑えるチャンスがある点も、メリットのひとつです。準防火地域で建てる「省令準耐火構造」の住宅は、一部の金融機関で住宅ローンの金利優遇措置の対象となることがあります。
また、自治体によっては、安全な街づくりを推進するために、防火性能の高い住宅に対して補助金制度を設けている場合もあります。これらの制度を事前に調べてうまく活用することで、建築にかかる初期費用の負担を軽くできる可能性があるでしょう。
準防火地域で家を建てる5つのデメリット
多くのメリットがある一方で、準防火地域での家づくりには知っておくべきデメリットも存在します。特に、費用やデザイン、工期に関する制約は、計画段階でしっかりと把握しておくことが大切です。ここでは、後悔しないために理解しておきたい5つのデメリットについて解説していきます。
建築費用が高くなりやすい
準防火地域での家づくりは一般的な地域に比べて建築費用が高くなる傾向にあります。主な理由は、法律で定められた防火性能を満たすために、高価な建材を使用する必要があるからです。たとえば、防火仕様の窓やドア、燃えにくい外壁材などは、そういった仕様のない建材よりも価格が上がります。
デザインや間取りに制限がある
理想の住まいを思い描く上で、デザインや間取りに制約が生じることもデメリットのひとつです。準防火地域では、使用できる建材や窓の種類が法律によって限定されるため、デザインの自由度が下がることがあります。特に、壁一面の大きな窓や、柱のない開放的な大空間といったデザインは、防火上の規定から実現が難しくなるケースも少なくありません。
工期が長くなることがある
工期が通常よりも長くなる可能性がある点にも注意が必要です。防火性能の高い特殊な建材は、一般的な材料に比べて作られている数が少ないため、納品に時間がかかったり、施工に手間がかかったりすることがあります。また、これらの工事に対応できる専門の職人が限られているため、手配に時間がかかることも工期が延びる原因のひとつです。
対応できる住宅メーカーが限られる
すべての住宅メーカーが準防火地域の建築に精通しているわけではないという点も押さえるべきポイントです。準防火地域の建築には、専門的な知識と豊富な施工経験が必要です。それらの施工実績の少ない住宅メーカーに依頼してしまうと、後からトラブルになったり、希望どおりの家が建てられなかったりする可能性があります。
将来のリフォームに制約がある
新築時だけではなく、将来のリフォームにも制約が出てくる可能性があることを理解しておく必要があります。家は建てて終わりではなく、何十年も住み続ける中で、家族構成の変化に合わせて増築や改築をしたくなることもあるでしょう。その際にも、準防火地域の防火規定を守らなくてはなりません。壁を取り払って部屋を広くしたり、大きな窓を追加したりといったリフォームが自由にできない場合もあり、費用や工期に影響を及ぼす可能性があることも心に留めておきましょう。
ここまででデメリットを紹介しましたが、それを理解した上で、乗り越えるための具体的な方法を知ることが重要です。最後に、後悔しないための家づくりのコツを解説します。
準防火地域で後悔しないための家づくりのコツ
準防火地域での家づくりにはいくつかの注意点がありますが、ポイントを押さえて計画を進めればデメリットを乗り越えて理想の住まいが実現できます。ここでは、安全で快適な家づくりを成功させるために知っておきたい、5つの具体的なコツを紹介します。
準防火地域の実績が豊富な住宅メーカーを選ぶ
最も重要なコツは、準防火地域での建築実績が豊富な住宅メーカーを選ぶことです。実績の豊富な住宅メーカーは複雑な防火規定を熟知しているため、法律を守りつつ住宅購入者の希望を最大限に叶えるためのノウハウを持っています。
住宅メーカーのWebサイトで過去の施工事例を確認し、技術力やデザイン性をチェックしましょう。防火性能とデザイン性を両立させる提案力があるかどうかが、満足度の高い家づくりにつながるカギとなります。
予算を多めに見積もっておく
資金計画ではあらかじめ予算を多めに確保しておくことが大切です。準防火地域での建築は、防火仕様の建材費や特殊な工事費がかかるため、他の地域で住宅を建てるよりも費用が高くなる傾向にあります。目安として、通常の建築費よりも1割から2割程度は高くなる可能性を想定しておくと安心です。加えて、先述した住宅ローンの優遇措置や補助金制度の確認をしておけば、家計の負担を軽減できるでしょう。
また、複数の住宅メーカーから見積もりを取り、費用の相場感を把握することも重要です。予備費を設けておくことで、思いもよらない出費にも慌てず対応できます。
デザインの工夫で制限をいかす
デザインに制約があるからといって、理想の家を諦める必要はありません。制限を逆手にとり、工夫次第でおしゃれで快適な空間をつくることもできるでしょう。たとえば、防火窓の中にもデザイン性の高い商品はあります。
大きな窓が設置できなくても、中庭や吹き抜けをつくることで光と風を取り込み、開放感を演出できます。建物だけではなく外構や植栽で全体のバランスを整えるなど、トータルでデザインを考えることで、制限を感じさせないおしゃれな住まいが実現できるでしょう。
工期に余裕を持ったスケジュールを立てる
家づくりのスケジュールは、ゆとりをもって計画しましょう。特に準防火地域の工事は、特殊な材料の納品や専門職人の手配などで、通常よりも時間がかかる可能性があります。そのため、一般的な工期よりも1か月から2か月ほど長めに工期を設定しておくと安心です。
特にお子様の入学や転勤など、入居時期が決まっている場合は、その時期から逆算して早めに着工できるよう計画を進めることが、後から焦らなくてすむでしょう。
将来のことも考えて設計する
家を建てるときは、数十年後の暮らしまで見据えて設計することが後悔しないためのポイントです。将来、家族構成が変わったときにリフォームしやすいよう、間取りを変えられるようにしておくことをおすすめします。
たとえば、子ども部屋を将来はふたつに分けられるように設計したり、水回りのメンテナンスがしやすい配置にしたりといった配慮が重要です。新築時のことだけではなく、長く快適に住み続けられる柔軟性のある家づくりを心がけましょう。
まとめ|準防火地域のメリットを活かして理想の家づくりを実現しよう
準防火地域での家づくりは、費用やデザインに制約がある一方、火災に強く資産価値が下がりにくいといった大きなメリットがあります。デメリットを正しく理解し、予算や工期に余裕を持つなどの事前準備が、後悔しないためのカギです。
重要なのは、準防火地域の特性を深く理解し、さまざまな制約の中で希望を叶える提案をしてくれるパートナーを見つけることです。理想の住まいを実現するための第一歩として、まずは準防火地域の建築実績が豊富で信頼できる住宅メーカーを探し、相談することから始めてみましょう。
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