タンクレストイレのメリット・デメリットを紹介！後悔しない選び方

タンクレストイレの購入を検討している中で、本当に自分の家に合うのか、後悔しないかと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。タンクレストイレはスタイリッシュな見た目と高機能性で人気を集めていますが、停電時の使用や手洗い場の問題など、知っておくべきデメリットも存在します。

この記事では、タンクレストイレの基本知識からメリット・デメリット、選び方のポイントまでを詳しく解説します。これらの情報を参考に、あなたの生活スタイルに最適なトイレ選びを実現しましょう。

タンクレストイレについて
タンクレストイレの6つのメリット
タンクレストイレの5つのデメリット
タンクレストイレとタンク式トイレの比較
タンクレストイレのトラブル対策と解決方法
タンクレストイレで後悔しないための選び方のポイント
まとめ｜タンクレストイレのメリット・デメリットを理解して最適な選択をしよう

タンクレストイレについて

タンクレストイレとは具体的にどのような仕組みで、今までよく使われていたタンク式トイレとは何が違うのか気になっている方も多いのではないでしょうか。タンクレストイレは水道に直結した先進的な構造を採用し、見た目や機能面で大きな違いがあります。

ここでは、タンクレストイレの基本的な仕組みから寿命まで、購入前に知っておくべき重要な情報を解説します。これらの基礎知識を理解することで、自分の家に最適なトイレ選びができるようになるでしょう。

タンクレストイレとタンク式トイレの違い

タンクレストイレとタンク式トイレの最大の違いは、便器洗浄用の水を貯めるタンクがあるかどうかです。

タンクレストイレは、タンクがなく便器だけのスッキリした形状をしています。従来のタンク式トイレは便器の後ろにタンクがあり、そこにため込んだ水の重力と水圧を利用して流す使用する仕組みになっています。一方のタンクレストイレは水道管に直接接続されており、水道水の水圧を利用して洗浄する仕組みのトイレです。また、タンク式は流すためには水が溜まるまで少し待つ必要がありますが、タンクレストイレは連続で水を流すことができる、という違いもあります。

タンクレストイレの仕組みについて

上述の通り、タンクレストイレは水道管に直接接続された構造になっており、タンクに水を貯める必要がないため、水道水の水圧を利用して便器を洗浄します。多くのモデルでは、電気を使用してバルブの開閉を制御し、水の流れを調整する仕組みです。

この直結式の構造によりタンクに水が溜まるのを待つことなく、すぐに次の洗浄が可能になっています。また、多くのタンクレストイレは便器と温水洗浄便座が一体型になっており、デザイン性と機能性を両立させています。電子制御により、洗浄水量を最適化し、効率的な節水を実現している点も特徴です。

タンクレストイレの寿命について

一般的なトイレの便器部分は陶器製であるため、適切な使用により10年以上使用できるとされており、大手トイレメーカーのTOTOなどでは、トイレ器具一式の取り替えを検討する時期は13年～20年という場合もあります。

一方、タンクレストイレには電子部品が多く使用されているため、温水洗浄便座部分の寿命は約7年から10年と言われており、便器より先に交換が必要です。

なお、タンクレストイレの複雑な構造から、シンプルなタンク式トイレより故障リスクが高いという意見もあります。このため、多くのメーカーはタンク式と同等の寿命を想定して設計していることが多いです。

ここまで、従来のタンク式トイレと比較しながらタンクレストイレについておおまかに解説してきました。ここからはより詳細なメリット・デメリットをご紹介していきます。トイレ設備を選ぶときに後悔しないよう、しっかり把握して自分に合った設備や機能を選んでいきましょう。

タンクレストイレの6つのメリット

タンクレストイレの購入を検討しているものの、具体的にどのようなメリットがあるのか把握しきれていない方もいるのではないでしょうか。タンクレストイレには、日常生活を快適にする多くのメリットがあります。

ここでは、タンクレストイレの6つのメリットを詳しく解説します。これらのメリットを知ることで、タンクレストイレが自分のライフスタイルに合っているかを判断できるようになるでしょう。

省スペースなのでトイレが広く使える

タンクレストイレの最大のメリットの一つが、スペースを節約できることです。水を溜めるタンクがないため、奥行きが約10センチメートルから20センチメートル短くなり、限られたトイレの空間を有効に活用できます。高さもタンクがない分低くなるため、圧迫感が軽減され、視覚的にもスッキリとした印象を与えます。

特に狭いトイレでは、このスペースのゆとりが大きなメリットとなるでしょう。余裕のある空間は、身動きがとりやすくなるだけではなく、掃除の際の作業性も向上します。また、空間に余裕ができることで、収納棚を設置したり、手洗い器を追加したりする選択肢も生まれます。

デザイン性が高く見た目がおしゃれ

タンクレストイレは、各メーカーがハイグレードモデルとして販売されていることが多く、デザイン性に優れた製品が多く揃っています。タンクがないシンプルな形状は流線型などの洗練されたフォルムを作り出せるので、トイレ空間をおしゃれに演出できるでしょう。

近年のトイレは単なる機能的な空間ではなく、住まいのインテリアの一部として重要視されています。タンクレストイレなら、壁材や床材、小物とのコーディネートがしやすく、統一感のある空間づくりが可能です。

凹凸が少なく掃除がしやすい

タンクレストイレは、タンクと便器の継ぎ目や複雑な凹凸が少ないため、日々の掃除が楽になります。フラットな表面は拭き掃除がしやすく、汚れが溜まりにくい構造になっています。多くのモデルではフチなし形状を採用しているので、面倒なフチ裏の掃除が必要ありません。

水を連続で流すことができる

タンクレストイレは水道直結方式を採用しているため、タンクに水が溜まるのを待つ必要がありません。朝の忙しい時間帯などの家族が続けてトイレを使用する場合でも待ち時間が少なく充分な量の水をすぐに流すことができます。

来客が多い家庭や、家族の人数が多い家では、この連続使用できる機能は大きなメリットといえます。

節水効果が高い

タンクレストイレの節水効果は、今までのタンク式トイレと比較して格段に優れています。タンク式トイレが1回あたり5リットルから6リットルの水を使用するのに対し、タンクレストイレは1回あたり3.3リットルから3.8リットル程度の少ない水量で洗浄可能です。この差は、年間で見ると大きな節水効果となります。

各メーカーは独自の節水技術を開発しており、少ない水量でもしっかりと汚物を流せるよう工夫されています。たとえば、渦巻き状の水流を作ることで洗浄力を高めたり、便器の形状を工夫したりすることで、効率的な節水を実現しています。タンクレストイレを導入する初期投資が高かったとしても、長期的に見ると家計のメリットが大きい場合もあるでしょう。

タンクレストイレの5つのデメリット

タンクレストイレは魅力的な機能が多い一方で、知っておくべきデメリットもあり、購入後に後悔される方もいます。

ここでは、タンクレストイレのデメリットを5つ紹介します。これらのデメリットを理解しておくことで、購入前に適切な対策を考え、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

故障したら全て取り替える必要がある

タンクレストイレの大きなデメリットの一つが、修理の難しさです。便器と温水洗浄便座が一体型になっているため、たとえばウォシュレット部分だけが故障しても、部分的な交換ができないことが多いです。

修理する場合もメーカー対応となることが多く、部品代や技術料が高額になる可能性があります。たとえ些細な故障でも、専門的な知識が必要なため、ご自身での修理も難しいです。最悪の場合、トイレ全体を交換する必要が出てくることもあるため、長期的なメンテナンスコストを考える必要があります。

停電時には水が流せない

タンクレストイレは電気制御でバルブを開閉し水を流すため、停電時には通常の自動洗浄機能が作動しません。これは災害時や計画停電の際に大きな不便となります。

もちろん、多くの機種には停電時用の手動レバーやハンドル、乾電池を使用した非常排水機能が搭載されているので緊急時の対処は一切できないことはありませんが、緊急時の操作方法を事前に把握しておかないと、いざという時に困ることもあるでしょう。また、非常時にはバケツで水を汲んで流すという対応も必要になる場合がありますが、機種によってはメーカーが推奨しない場合もあります。

手洗い器が別で必要になることが多い

タンクレストイレには、今までのタンク式トイレの上部にあった手洗い器がありません。パナソニックのアラウーノVなど、一部手洗い器つきのタンクレストイレもありますが、選択肢は限られています。（2025年5月現在）そのため、トイレ内で手を洗いたい場合は、別で手洗い器を設置する必要があるでしょう。

手洗い器の設置には、給排水工事が必要になる場合があり、工事費用も追加で発生します。また、トイレの広さによっては、手洗い器を設置するスペースが確保できない場合もあるでしょう。タンクレストイレを選ぶ際は、そのスペースがあることを確認してから選びましょう。

水圧が弱いと設置できなかったり、きちんと動かなかったりする

タンクレストイレは水道直結で水を流すため、設置場所の水道の水圧が一定以上必要です。マンションの高層階や築年数の古い家など、水圧が低い環境では設置できない場合があります。また、設置できたとしても、水圧不足により水の流れが悪く、詰まりの原因になることがあります。

各メーカーや機種によって最低限必要とされる水圧は違っているので、事前に自宅の水圧を測定しておく必要があります。水圧が不足している場合は、加圧装置付きのモデルを選ぶ必要がありますが、その分価格も高くなるでしょう。設置後に水圧不足が判明すると、追加工事や機器の交換が必要になる可能性もあるため、事前の確認が重要です。

本体価格が高額になる

タンクレストイレは多機能でデザイン性に優れたハイグレードモデルが多いため、タンク式トイレと比較して本体価格が高い傾向にあります。初期投資として、本体価格だけではなく工事費も高くなるでしょう。

さらに、手洗い器を別途設置する場合は、その分の費用も加算されます。長期的には節水効果による経済的メリットがありますが、初期費用の高さは多くの方にとって大きなハードルとなります。

タンクレストイレとタンク式トイレの比較

タンクレストイレとタンク式トイレのどちらを選ぶべきか、それぞれの違いが明確でないために決断できない方も多いのではないでしょうか。

ここでは、5つの重要な比較ポイントを解説します。この比較を通じて、あなたの生活スタイルや住環境に最も適したトイレのタイプを見極めることができるでしょう。

節水性能と経済性

節水性能の面では、タンクレストイレが圧倒的に優れています。1回の洗浄水量が少なく、年間の水道代を大幅に節約できます。タンクレストイレは3.3リットルから3.8リットルで洗浄可能なのに対し、タンク式は5リットルから6リットルを使用します。

総合的に見ると、水道代はタンクレストイレの方が安くなりますが、電気代は多機能な分、タンクレストイレの方が高くなるでしょう。ただし、最新の省エネモデルでは電気代も抑えられているものもあります。初期費用はタンクレストイレが高額ですが、長期的な水道代節約効果を考慮すると、トータルコストでは差が縮まることもあります。ご自身の暮らしを踏まえながら、電気代と水道代の双方を加味して選択するのがポイントです。

デザインと空間活用

デザイン面ではタンク式よりもタンクレストイレの方が優れているとされ、比較的人気があります。タンクがないスッキリとした形状は、現代的でスタイリッシュな印象を与えるでしょう。一方、タンク式トイレはタンクがある分、どうしても野暮ったく見えてしまいます。

また、空間活用の観点からもタンクレストイレは有利です。コンパクトな設計により、トイレ空間を広く使うことができます。特に狭い住宅事情の日本では、この差は大きなメリットとなります。インテリア性を重視する方や、トイレ空間をおしゃれにコーディネートしたい方には、タンクレストイレが適しています。

掃除のしやすさ

掃除のしやすさは、タンクレストイレの大きなメリットです。凹凸が少なく、フチなし形状や汚れにくい素材を採用しているため、日々の掃除が格段に楽になります。また、自動洗浄機能付きのモデルも多く、清潔さを保ちやすいです。

タンク式トイレは、タンクと便器の隙間やタンク周りなど、掃除しにくい箇所があります。特にタンク内部の清掃も必要で、定期的なメンテナンスが欠かせません。ただし、最近のタンク式トイレでもフチなし形状など、掃除しやすいモデルが増えています。

機能性と利便性

比較的最新の形状であるタンクレストイレは、機能性に優れていることが多いです。自動開閉、自動洗浄、除菌、脱臭など、最新技術を駆使した多彩な機能が多くのモデルに初めから搭載されています。

但し、利便性の面では水をため込む機能の有無により評価が分かれます。連続排水が可能な点はタンクレストイレの大きなメリットですが、停電時の使用ではタンク式トイレの方が便利です。タンク式トイレは停電時も通常通り使用できることが多く、災害時の安心感があります。

また、ウォシュレットについては、タンクレストイレは高性能な一体型ですが、タンク式トイレは交換の自由度が高いというメリットがあります。

初期費用と維持費

初期費用は、タンクレストイレの方が本体価格・工事費ともに高くなる傾向にあります。高機能でデザイン性に優れたハイグレードモデルが多いため、どうしても価格が高くなってしまいます。

維持費については、水道光熱費と修理・交換費用で考えましょう。水道代はタンクレストイレが安く、電気代は機能が多い分高くなる傾向がありますが、最新の省エネ機能により差は縮まっています。修理・交換費用は、タンクレストイレが一体型のため高額になるリスクがあります。

タンクレストイレのトラブル対策と解決方法

タンクレストイレを使用していると、水圧不足による流れの悪さや詰まり、停電時に使用できないなど、特有のトラブルに遭遇する可能性があります。これらの問題は適切な対処法を知っていれば、多くの場合自分で解決できることが多いです。

ここでは、タンクレストイレで起こりやすいトラブルとその対処法、日常のメンテナンス方法を解説します。これらの知識を身につけることで、トラブル時にも慌てず対応でき、快適にタンクレストイレを使い続けることができるでしょう。

水圧不足によるトラブルと対策

水圧不足は、タンクレストイレの最も一般的なトラブルの原因です。洗浄水量が不足すると、汚物が流れにくくなり、排水管が詰まりやすくなります。このような問題を防ぐため、事前の対策が重要です。

まず、専門業者に依頼して自宅の最低動水圧を測定しましょう。水圧が基準値に満たない場合は、低水圧対応モデルやブースター付きのタンクレストイレを選ぶことが必要です。施工業者に相談し、自宅の水圧に適した機種を選定してもらうことで、設置後のトラブルを未然に防ぐことができます。

詰まりが発生した時の対処法

タンクレストイレの詰まりは、水圧不足、トイレットペーパーの流しすぎ、節水目的で「小」を多用すること、異物の混入などが原因で発生します。詰まりが発生した場合は、段階的に対処することが大切です。

軽度の詰まりなら、ラバーカップを使用して解消できることがあります。また、50～60度のお湯をゆっくり注ぎ、しばらく置いてから流す方法も効果的です。市販のパイプクリーナーを使用する場合は、トイレの素材や説明書を確認してから使用しましょう。

停電時にタンクレストイレを使用する方法

多くのタンクレストイレには、停電時でも使用できるよう、手動排水機能が備わっています。手動レバー、ハンドル、または乾電池式の排水機能など、メーカーや機種により方法は異なります。

例えば、TOTOのネオレストLSは便器側面カバー内の手動レバーで排水でき、パナソニックのアラウーノは9ボルト角形乾電池で排水可能です（2025年5月現在）。

重要なのは、事前にトイレの取扱説明書を確認し、非常時の操作方法を把握しておくことです。

日常のお手入れ方法とメンテナンス

タンクレストイレは凹凸が少ないため、日常の清掃は比較的簡単です。便器の外側や床は拭き掃除がしやすく、便器内はトイレ用ブラシと中性洗剤で清掃します。各メーカーの自動洗浄機能や除菌機能を活用することで、清潔な状態を維持しやすくなります。

素材によってお手入れ方法が異なることにも注意が必要です。ノズルは自動洗浄機能がありますが、定期的に手動で清掃するとより清潔に保てます。脱臭フィルターや給水フィルターの清掃・交換など、取扱説明書に従った定期メンテナンスを行うことで、トイレの寿命を延ばすことができます。

タンクレストイレで後悔しないための選び方のポイント

タンクレストイレの購入を決めたものの、どのような基準で選べば後悔しないか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

ここでは、タンクレストイレ選びで失敗しないための4つのポイントを解説します。これらのポイントを押さえることで、自宅環境に最適なタンクレストイレを選び、長期的な満足度を得ることができるでしょう。

水圧が低い場所ならブースター付きを選ぶ

自宅の水圧が心配な場合は、事前に最低動水圧を測定することが重要です。メーカーが定める必要水圧に満たない場合は、ブースター内蔵モデルを選択しましょう。ブースター付きであれば、マンションの高層階や古い戸建てなど、水圧が低い環境でも設置できる可能性が高まります。水圧不足で上手に洗浄できなかったり、詰まったりするリスクを低減できるため、長期的に使用することを考えても安心です。