バルコニーと建ぺい率の関係とは?算入条件や活用法を徹底解説!


注文住宅を建てる際、バルコニーの設計が建ぺい率にどう影響するか気になっている方も多いのではないでしょうか。バルコニーは住まいの快適性を高める重要な要素です。しかし、その設計によっては建築面積に含まれ、建ぺい率の制限に関わることもあります。

 

この記事では、バルコニーと建ぺい率の関係について、含まれる条件から活用法まで詳しく解説します。理想のバルコニーを実現しながら、法規制をクリアする方法を理解しましょう。

 

 

バルコニーと建築面積について

バルコニーの扱いは、建築面積や延床面積を考える上で重要なポイントです。

バルコニーが建築面積や延床面積に含まれる条件を正しく理解することで、法規制の範囲内で理想のバルコニーを実現できます。ここでは、建築面積の基本から、バルコニーの建築基準法上の扱いまで詳しく見ていきましょう。

 

建築面積とは

建築面積は、建物を真上から見たときの水平投影面積を指します。わかりやすくいえば、真上からまっすぐ影が落ちる、昼の12時の建物の影の面積です。多くの場合、建物の1階部分の面積が建築面積に該当します。しかし、2階が1階より張り出している場合は、2階を地面に投影した面積となります。

 

建築面積は、建ぺい率を算定する基準となる重要な数値です。そのため、正確に把握する必要があります。なお、建ぺい率とは防災や風通しを確保する目的から土地全体に建物を建てないように制限した割合のことです。

 

敷地面積・延床面積との違い

敷地面積、延床面積、建築面積はそれぞれ違うものです。敷地面積は建物が建っている土地全体の面積を真上から見た水平投影面積です。対して、延床面積は建物の各階の床面積を合計した面積を示します。この計算も壁や柱の中心線で囲まれた部分で行われ、生活や収納に利用できるスペースの総面積に近い数値となります。

 

建築面積と延床面積はそれぞれ「建物を真上から見た面積」と「各階の床面積の合計」という違いはありますが、どちらも建物の面積に関するものです。しかし、敷地面積はそもそも建物の面積ではなく、「土地全体の面積」という違いがあります。

 

平屋の場合、延床面積と建築面積が等しくなることがあります。しかし、建ぺい率がある以上、建築面積と敷地面積が同じになることは平屋であってもありません。

 

バルコニーの建築基準法上の扱い

バルコニーやひさしは、外壁や柱から突き出している部分が1メートル以下の場合は建築面積に含まれません。突き出している部分が1メートルを超える場合、バルコニーの先端から1メートル後退した部分を除いた部分までが建築面積に含まれます。1.5メートルのバルコニーの場合、1メートルを引いた0.5メートルだけが建築面積に含まれるということです。

 

ただし、突き出した部分の両サイドに壁や柱がある場合は例外です。その壁や柱に囲まれた内側の部分は、1メートル以下であっても建築面積に含まれます。床がない吹き抜けの部分や、バルコニーの先端から2メートルまでの部分は、一定条件を満たす場合は延床面積には含まれません。この点は建築面積のルールとは異なるため注意が必要です。

 

建築面積と建ぺい率の計算方法

建築面積の計算は、基本的に建物を真上から見て、外壁や柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積で行います。軒やひさし、バルコニーは先端から1メートル後退した部分を含みます。突き出している部分が1メートル以下の場合は含みません。

 

建ぺい率の計算は「建ぺい率(%)=建築面積(平方メートル)÷敷地面積(平方メートル)×100」で行われます。この数値は用途地域ごとに上限が定められており、それを超える建築面積の建物は建てられません。

 

防火地域内の耐火建築物や角地など、一定の条件を満たすと建ぺい率が緩和される場合もあります。これらの緩和措置を活用することで、より大きな建物を建てることが可能になります。

 

 

バルコニーが建築面積に算入されるケース

バルコニーが建築面積に含まれる条件を理解することは、適切な住宅設計において重要です。ここでは、建築面積に含まれるケースについて詳しく解説します。

 

バルコニーの幅が1メートルを超える場合

バルコニーが外壁から突き出している部分が1メートルを超える場合、その超えた部分が建築面積に含まれます。具体的には、先端から1メートル後退したラインまでが含む対象です。

 

延床面積の場合は異なる基準があります。バルコニーの奥行きが外壁から2メートルを超える場合、2メートルを超えた部分が延床面積に含まれます。両サイドに壁や柱がある場合は特別な扱いとなり、1メートル以下の突出でも囲まれた部分全体が建築面積に含まれることに注意が必要です。

 

屋根付きインナーバルコニーの場合

インナーバルコニーは建物の内側に入り込んだバルコニーです。このタイプで屋根がある場合、屋内的用途とみなされ、原則として建築面積および延床面積に含まれます。

 

建物の外壁ラインより内側にあるため、その部分は建築面積に含まれるのが一般的です。インナーバルコニーは雨天時でも利用しやすいメリットがありますが、建築面積への影響を考えた設計が必要となります。

 

バルコニーに格子などを設置する場合

バルコニーに格子を設置すると、状況によっては壁と同様にみなされることがあります。開放性が阻害されると判断された場合、建築面積や延床面積に含まれることになります。

 

特に格子が壁と一体化しているようなデザインや、密な格子で囲まれている場合は注意が必要です。ただし、具体的な判断は特定行政庁によって異なる場合があります。計画段階で事前に確認することをおすすめします。

 

3方壁のバルコニーの扱い

バルコニーの3方が壁で囲まれている場合、たとえ屋根がなくても、その壁に囲まれた部分は原則として建築面積に含まれます。これは、壁で囲まれている部分が「突き出している部分」とはみなされず、建物の一部として扱われるためです。

 

延床面積の場合は異なる判断がされることもあります。3方が壁でも屋根がなく十分な開放性があれば含まれないこともありますが、屋根があると屋内的用途とみなされ含まれる可能性が高まります。

 

バルコニーが建築面積に算入されないケース

バルコニーが建築面積に含まれない条件を知ることで、より効率的な設計が可能になります。ここでは、含まれないケースを詳しく見ていきましょう。

 

開放性のあるバルコニー

外壁や柱から1メートル以上突き出しておらず、かつ両側が壁や柱で囲まれていない、開放性の高いバルコニーは建築面積に含まれません。このような設計により、建ぺい率への影響を最小限に抑えることができます。

 

床材が網目状になっていて、地面が見えるような素材など一定の条件を満たす場合、奥行き2メートルまで建築面積に含まれないという緩和措置を設けている自治体もあります。これは隙間、奥行き、開放性などの条件をクリアすることが必要です。延床面積の場合も、壁に囲まれておらず、屋根がないなど屋外空間とみなされる開放的なバルコニーは、原則として含まれません。

 

突き出した長さが1メートル以下の場合

バルコニーやひさしが、建物の外壁や柱から突き出している長さが1メートル以下の場合は、建築面積に含まれません。これは建築基準法で定められたルールです。1メートルまでは建築面積の計算から除外されるため、この範囲内で設計すれば建ぺい率への影響を回避できます。ただし、バルコニーの先端を支える柱がある場合や、両サイドが壁で囲まれている場合は、このルールが適用されないことに注意が必要です。

 

3方壁に囲まれている場合でも不算入になるケース

原則として3方が壁で囲まれたバルコニーは、囲まれた部分が建築面積に含まれます。しかし、延床面積の場合は異なる判断がされることがあります。3方が壁で囲まれていても、屋根がなく、手すりの高さや隙間などの条件を満たし「十分に外気に開放されている」と認められれば、延床面積に含まれない場合があります。

 

これは建築面積のルールとは異なる点です。建築面積において3方壁で含まれないのは、床材が網目状になっていて、地面が見えるような素材でつくられたグレーチングバルコニーのような特殊な構造で、特定行政庁が認める非常に限定的なケースと考えられます。

 

格子があっても床面積算入しないケース

視線を遮るための格子があっても、その格子が非常に開放的であると認められる場合、床面積に含まれないことがあります。特定行政庁が定める基準を満たす場合も同じです。建築面積については、格子が「壁」とみなされるかどうかで判断が分かれます。開放性が高いと判断されれば、建築面積に影響しないこともあります。

 

バルコニー以外の部位と建築面積・延床面積の関係

バルコニー以外にも、建築面積や延床面積に含むかどうかに関わる部位があります。これらの扱いを理解することで、総合的な設計が可能となります。

 

玄関ポーチ・ひさしの扱い

ひさしは外壁からの突出が1メートル以下の場合は建築面積に含まれません。1メートルを超える場合は、先端から1メートル後退した部分が含まれます。延床面積には通常含まれません。玄関ポーチについては、屋根があり柱で支えられている場合、建築面積には含まれます。

 

ただし、壁で囲まれていない開放的なポーチは、通常、延床面積には含まれません。ポーチ部分を通行目的だけではなく、車庫や作業場として利用する場合は延床面積に含まれることがあります。

 

デッキ・テラスの算入条件

屋根がないデッキやテラスは基本的に建築面積に含まれません。屋根がある場合も、建物からの出幅が2メートル以下で柱がなく3方向以上が壁で囲まれていない開放的なものであれば、建築面積に含まれないことがあります。これは特定行政庁の判断によるものです。

 

延床面積については、壁で囲まれていないデッキやテラスは、基本的に含まれません。

デッキとは地盤または基礎の上にウッドや樹脂木材を敷き、リビングと同階でフラットにつながることが多い屋根のない屋外空間を指し、テラスとは1階の地面より一段高いスペースを指し、屋根がないことが一般的な空間のことを言います。

 

いずれも「屋根がなく外気に常時開放されている」状態なら延床面積に含まれませんが、開放性がなくなると算入対象になる点に注意が必要です。

 

カーポート・車庫の扱い

柱と屋根のあるカーポートは建築物とみなされ、建築面積に含まれます。ただし、一定の条件を満たせば緩和される場合があります。外壁のない部分の間隔4メートル以上、柱の間隔2メートル以上、天井高2.1メートル以上などが条件です。屋根のない青空駐車場は含まれません。

 

延床面積については、ビルトインガレージや壁のある車庫は含まれます。しかし、延床面積の合計の5分の1までは容積率を算定する上で延床面積から除外される緩和措置があります。容積率とは、建築物の延床面積の合計を敷地面積で割った値で、敷地に対してどれだけの規模の建物を建てられるかを規制する指標です。たとえば容積率200%なら、100m平方メートルの土地に延床面積200平方メートルまでの建物が建てられるという意味になります。

 

ロフト・出窓・地下室の扱い

ロフトは天井高1.4メートル以下、設置階の床面積の2分の1未満、固定はしごでないなどの条件を満たせば、延床面積に含まれません。外壁の外側に飛び出ているわけではないので、もちろん建築面積には影響しません。

 

出窓は床面からの高さ30センチメートル以上、外壁からの突出50センチメートル未満、見付面積の半分以上が窓であるという3つの条件を満たせば延床面積に含まれません。見付面積とは建物を横から見た状態で、1階の床から1.35メートル上の範囲の面積のことです。

 

地下室については、地下部分の天井が地盤面から高さ1メートル以下にある場合、その地下部分の床面積のうち、住宅として使える部分の床面積は容積率を算定する上での延床面積に含まれません。限度は建物全体の住宅用途部分の延床面積の3分の1までです。建築面積には、地上部分と同様に投影面積が含まれます。

 

バルコニー設計で注意すべきポイント

バルコニー設計では、建築基準法だけではなく、安全性や快適性、維持管理などさまざまな視点が必要です。ここでは主な注意点を詳しく解説します。

 

安全面への配慮

手すりの高さや強度を十分に確保し、落下防止対策を施す必要があります。建築基準法では3階以上のバルコニーには高さ1.1メートル以上の手すりの設置が義務付けられています。小さな子どもやペットがいる場合は、手すりの隙間を狭くしたり、よじ登りにくいデザインにするなどの配慮が求められます。

 

プライバシー対策

隣家や道路からの視線を遮るため、目隠しフェンスやルーバーと呼ばれる細長い板を一定の間隔で並べた柵、植栽などを効果的に配置することを検討しましょう。これらの要素を組み合わせることで、プライバシーを確保できます。バルコニーの配置や高さを工夫することで、プライバシーを確保しつつ開放感を得られるようにします。

 

断熱・防水・排水機能

ルーフバルコニーなど階下に部屋がある場合は、直下の部屋の断熱性能への影響を考慮します。適切な断熱措置を施すことで、快適な室内環境を維持できます。雨漏りを防ぐため、確実な防水工事と定期的なメンテナンスが不可欠です。排水溝が落ち葉やゴミで詰まらないよう、清掃しやすい設計にし、適切な勾配を確保して水はけを良くします。

 

リフォームするときのことを考えた設計

将来的な防水層の再施工や手すりの交換など、メンテナンスやリフォームのしやすさを考えた構造・素材選びが望ましいです。長期的な視点で設計することが重要です。設備の追加や変更の可能性も視野に入れ、配線・配管ルートを考えておくと良いでしょう。

 

法律・規制面の確認事項

建築基準法に基づく建ぺい率・容積率の制限を超えないように計画します。バルコニーの形状や構造が、建築面積や延床面積に含む条件にどう影響するかを正確に把握することが重要です。特に外壁から1メートルを超えていないか、超えている場合は2メートルまで含まれない条件を満たしているかは注意が必要です。

 

手すりの高さや構造、避難経路の確保など、安全基準や防火関連の法規を確認します。地域によっては独自の条例や指導があるため、計画地の特定行政庁や専門家に確認することが重要です。グレーチングバルコニーなどの特殊な緩和措置を利用する場合は、その適用条件を詳細に確認します。

 

まとめ|バルコニーと建ぺい率の関係を正しく理解しよう

バルコニーの設計は、建築面積に影響し、ひいては建ぺい率の制限に関わるため、正しい知識を持つことが重要です。バルコニーが建築面積に含まれるか否かは、突き出し幅の1メートル基準、屋根があるかどうか、壁の状況など細かな条件によって決まります。

 

建ぺい率の上限を超えると違法建築となるため、敷地に対して建てられる建物の大きさを正確に把握しましょう。グレーチングバルコニーなどの特殊な緩和措置もありますが、適用条件は自治体によって異なる場合があります。

 

用途地域による建ぺい率の違いも理解し、土地選びの段階からバルコニー計画を考慮に入れることが望ましいです。バルコニーの活用法と法規制のバランスを考え、理想の住まいを実現するためには専門家への相談が不可欠です。

 

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