不動産売買契約書の注意点とは?購入時に確認するポイントを徹底解説!


住宅の購入を考えている方にとって、不動産売買契約書は避けて通れない重要な書類です。しかし、専門用語が多く内容が複雑なため、どのような点に注意すべきか迷う方も多いのではないでしょうか。

 

この記事では、不動産売買契約書の基本的な役割から、確認すべき重要ポイント、トラブルを避けるための注意事項まで詳しく解説します。契約内容を正しく理解することで、安心して不動産取引を進められるようになりましょう。

 

 

不動産売買契約書について

不動産の購入は人生における大きな買い物のひとつです。その取引をスムーズに進めるために重要な役割を果たすのが不動産売買契約書です。ここでは、この書類の意味や位置づけ、作成に関する基本的なことを解説します。

 

不動産売買契約書とは

不動産売買契約書は、土地や建物などの不動産を売買する際に、売主と買主の間で取り交わされる契約書です。この書類には、取引に関する詳細な条件がはっきりと記されており、契約当事者それぞれの責務と義務がきちんと示されています。

 

口頭での合意だけでも法的には契約は成立しますが、不動産は高額な取引であることが多く、トラブルを回避するために書面を作成するのが一般的です。契約書を作成することで、契約内容の認識の食い違いを防ぎ、万が一紛争が発生した場合の証拠としても役に立ちます。

 

不動産売買全体の流れにおける位置づけ

不動産売買契約書は、取引全体の流れの中で重要な節目となる書類です。売主側から見ると、不動産査定、媒介契約、売却活動を経て、購入申し込みを受けた後、条件の調整ができしだい、契約締結になります。

 

買主側では、物件選び、購入申し込み、ローン事前審査、重要事項説明を受けた後に売買契約の締結です。契約締結後は、ローン本審査、決済・引き渡しへと進んでいきます。

 

重要なポイントは、必ず重要事項説明を受けて内容を理解してから、売買契約の締結に進むという流れです。これを守ることで、物件に関する重要な情報を把握した上で、適切な判断ができるようになります。

 

重要事項説明書との違いと関係性

不動産売買契約書と間違われやすい書類に重要事項説明書があります。重要事項説明書は、売買契約が成立する前に宅地建物取引士が買主へ説明することが法律で義務付けられている書類です。

 

重要事項説明書には、売買する不動産に関する詳細な情報が記載されています。たとえば、登記情報、法令上の制限、インフラ状況などの物件情報や、取引条件に関する内容が含まれます。

 

一方、不動産売買契約書は、売主と買主が合意した契約内容を記載した書類です。売買代金、支払い条件、引渡し時期などの具体的な取引条件が明記されています。重要事項説明を受けて内容を理解・納得した上で、不動産売買契約を締結するという流れが一般的です。

 

不動産売買契約書の作成者と法的効力

不動産売買契約書は、宅地建物取引業者である不動産会社が仲介する場合、通常はその不動産会社が作成します。売主と買主の間で直接取引をしている場合、作成義務はありませんが、トラブル防止のため作成することが望ましく、作成者は当事者間で協議して決めます。

 

契約内容の決め方は原則自由ですが、公序良俗や強行法規に反する内容は無効です。たとえば、借地借家法などの強行法規に違反する条項は、契約書に記載しても効力を持ちません。

 

契約書に署名・押印することで、記載された内容について法的な拘束力が生じます。この時点で契約当事者はその内容を遵守する義務を負うため、サインをする前に内容を十分に確認することが大切です。

 

 

不動産売買契約までの流れ

不動産売買契約を締結するまでには、いくつかのステップがあります。ここでは、契約が成立するまでの流れと、各段階で確認すべきポイントを詳しく解説します。

 

媒介契約から売買契約までのステップ

売主の場合、まず不動産会社と媒介契約を締結し、売却活動を開始します。購入希望者が現れたら、価格や条件について交渉を行います。買主の場合は、物件を探し、購入したい物件が見つかったら購入申し込みを行います。その後、売主との間で売買価格や引き渡し時期などの条件交渉・調整を進めることになるでしょう。

 

条件が合意に至ったら、重要事項説明を受けて内容を理解した後、不動産売買契約を締結するという流れになります。各ステップで焦らず、納得できるまで確認することが大切です。

 

購入申し込みと売買契約条件の調整

買主は購入希望物件に対し「購入申込書(買付証明書)」を提出しましょう。この申込書には、希望購入価格や手付金の額、引き渡し希望時期などの条件を記載します。

 

購入申込書をもとに、売買価格、手付金の額、支払い条件、引渡し時期、融資利用の有無やローン特約などの条件を売主と買主の間で交渉・調整します。この段階では、お互いの希望を出し合い、妥協点を見つけることが重要です。

 

重要事項説明の意義と確認のポイント

契約締結前に、宅地建物取引士が買主に対して物件や取引条件に関する重要事項を説明する義務があります。これは、買主が物件の状態や権利関係、法令上の制限などを正確に理解し、納得した上で契約判断をするための重要な手続きです。

 

確認すべきポイントとして、登記記録の内容、都市計画法、建築基準法などの法令上の制限、電気・ガス・水道といったインフラの整備状況、ハザードマップ情報などがあります。マンションの場合は、それに加えて管理規約や修繕積立金なども重要な確認項目です。

 

不動産売買契約を結ぶ当日の流れ

契約当日は、売主・買主・不動産会社が同席し、場合によっては司法書士も立ち会います。まず宅地建物取引士から買主へ重要事項説明が行われ、疑問点を質問して、納得できたら買主が署名・捺印します。

 

次に不動産売買契約書の内容を読み合わせ、最終確認を行いましょう。この時点で疑問点があれば遠慮なく質問してください。売主・買主双方が契約内容に合意したら、署名・捺印を行います。これは実印で行う場合が多いです。

 

契約締結から決済・引き渡しまでの手続き

契約締結後、買主は住宅ローンの本審査申し込みを行い、承認を得る必要があります。売主は引渡し準備として、引越しや抵当権抹消手続きの準備、境界確定などを進めましょう。

 

双方で決済・引渡し日の調整を行い、決済日当日には買主による残りの代金の支払い、売主による所有権移転登記の申請書の交付、鍵の引渡しを同時に行います。固定資産税・都市計画税、管理費などの日割り精算も行い、司法書士が所有権移転登記などの申請手続きを行います。

 

不動産売買契約書の重要な確認ポイント

不動産売買契約書には、多くの重要事項が書かれています。ここでは、特に注意して確認すべきポイントを詳しく解説します。

 

売買物件と境界を記載されているか

売買対象となる物件が、登記記録に基づいて正確に特定・表示されているか確認することが重要です。所在、地番、地目、地積、家屋番号、種類、構造、床面積などの情報が正しく書かれているかをチェックしましょう。

 

土地の場合は、隣接地との境界が明らかになっているか、境界標があるのか、越境物のあるのかなどを確認します。境界が不明確な場合は、引渡しまでに売主が境界を明示する義務があるか確認することが大切です。

 

売買代金・手付金などの額と支払い条件

売買代金の総額、手付金、中間金、残代金のそれぞれの金額が正確に記載されているか確認します。金額の誤りは大きな問題につながるため、細心の注意を払いましょう。

 

また、それぞれの代金の支払い期日と支払い方法がきちんと書かれているか確認します。支払い期日に遅れると契約違反となる可能性があるため、自分のスケジュールと照らし合わせて無理がないか検討しましょう。

 

手付金が契約の証拠、解約権を保留する、違約金の予定のいずれの性質を持つか確認します。通常は解約手付として扱われることが多いですが、その性質によって契約を解除する時の扱いが違ってきます。

 

所有権の移転と引き渡しの時期

所有権が買主に移転する時期と、物件が買主に引き渡される時期がきちんと書かれているか確認します。これらの時期がずれると、リスクや責任の所在がどこにあるのかわからなくなる可能性があります。通常、所有権移転と引渡しは、買主による売買代金全額の支払いと同時に行われるため、この原則が明記されているか確認しましょう。

 

引渡し時期が、自身の引越しスケジュールなどと照らし合わせて無理のない日程か確認することも重要です。引渡し日に間に合わないと、仮住まいが必要になるなど、余計な費用が発生する可能性があります。

 

設備・備品などの確認と引き継ぎ条件

エアコン、照明器具、給湯器、カーテンレール、庭木、物置などの付帯設備について、何を引き継ぎ、何を撤去するかが明らかになっているか確認します。口頭での約束だけでは後でトラブルになる可能性があるため、必ず書面で確認しましょう。

 

物件状況等報告書の一部である「付帯設備表」で、それぞれ設備があるのか、状態が具体的に書かれているか確認します。故障している設備を引き継ぐ場合は、それを理解した上で契約することが重要です。

 

抵当権などの抹消に関する記載

売却物件には抵当権や差押え、賃借権など、買主の完全な所有権行使を妨げる権利が設定されている場合があります。これらを引渡し時までに売主の責任と負担で抹消することがきちんと書かれているか確認しましょう。

 

住宅ローンが残っている場合、売主が残代金受領と同時にローンを完済し、抵当権を抹消する手続きを行うことが一般的です。その段取りが明らかになっているか確認することで、スムーズな取引につながります。

 

公租公課などの分担と精算方法

固定資産税・都市計画税などの公租公課について、売主と買主でどのように負担を分担するかがきちんと書かれているか確認します。これらの税金は年間で課税されるため、引渡し時期に応じて日割り計算が必要です。

 

通常、引渡し日を基準日として日割り計算し、買主負担分を決済時に売主へ支払う形で精算します。その起算日である1月1日または4月1日の日付が明記されているか確認しましょう。地域によって起算日が違っている場合があります。

 

不動産売買契約書における注意すべき条件

不動産売買契約書には、さまざまな特約条項が含まれています。ここでは、特に注意して確認すべき条件について詳しく解説します。

 

ローン特約条項の確認ポイント

買主が住宅ローンを利用する場合、ローン審査が承認されなかった場合に、ペナルティなしで契約を解除できる旨の条項があるか確認します。この条項がないと、住宅ローンが通らなくても契約を履行する義務が生じてしまいます。

 

また、ローン特約の対象となる金融機関名、融資申込額、融資承認取得期限が具体的に明記されているか確認しましょう。これらが曖昧だと、特約の適用をめぐってトラブルになる可能性があります。

 

買主が住宅ローン申し込み手続きを怠った場合など、特約が適用されないケースについても記載があるか確認します。ローン特約による解除の場合、売主は受領済みの手付金を無利息で買主に返還することがきちんと書かれているかも重要なポイントです。

 

手付解除の期限と条件

契約の相手方が「契約の履行に着手するまで」の間、買主は手付金を放棄、売主は手付金の倍額を返金することで契約を解除できる「解約手付」がきちんと書かれているか確認します。これにより、一定期間内は契約解除の自由が保障されます。トラブル防止のため、「履行の着手」の判断基準が曖昧にならないよう、手付解除が可能な具体的な期日が定められているか確認しましょう。

 

契約不適合責任(瑕疵(かし)担保責任)の期間と範囲

引き渡された物件が、種類、品質、数量に関して契約内容に適合しない場合に売主が負う責任について、その内容と期間が定められているか確認します。民法改正により「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に変更されました。

 

買主が不適合を知った時から1年以内に通知が必要という民法の原則に対し、契約で責任期間を短縮または免責とする特約がないか確認してください。特に中古物件の場合、期間短縮や一部免責の特約が多く見られます。

 

雨漏り、シロアリ被害、主要構造部の腐食、給排水管の故障など、責任の対象となる具体的な範囲がどのように定められているか確認します。売主が知っていながら告げなかった不適合については、免責特約が無効になる場合があることも理解しておきましょう。

 

引き渡し前の物件滅失・損傷時の取り扱い

売買契約締結後、引渡し前に、地震、火災、台風などの天災地変その他、売主と買主双方が責任を取ることのできない理由で物件が失われたり、損傷した場合の取り扱いについて定められているか確認します。

 

一般的には、売主が修復可能な場合は修復して引き渡す義務を負い、修復が著しく困難な場合や失われた場合は、買主は代金支払いを拒否でき、契約を解除できることが定められているか確認します。契約解除となった場合、売主が受領済みの手付金などを無利息で買主に返還することがきちんと書かれているか確認することも重要です。

 

容認事項と告知事項の確認

売主が物件に関するネガティブな情報を事前に買主に告知し、買主がそれを理解・承諾した上で購入することを明らかにするための「容認事項」や「告知事項」の記載があるか確認します。

 

物件状況確認書に記載された内容と相違がないか、具体的にどのような事項を容認するのかを正確に把握します。後になって「知らなかった」では済まされないものもあるため、十分な確認が必要です。

 

反社会的勢力排除条項の意味

売主および買主が、自身や関係者が暴力団などの反社会的勢力ではないこと、および将来にわたっても関与しないことを相互に確約する条項です。この条項は、安全で公正な不動産取引を確保するために設けられています。

 

契約当事者の一方がこの条項に違反した場合、相手方は催告なしに契約を解除でき、違約金を請求できることが定められているのが一般的です。不動産取引から反社会的勢力を排除し、安全で公正な取引を確保することを目的としています。

 

土地売買契約における特別な注意点

土地を購入する場合は、建物付きの物件とは違っている特有の注意点があります。ここでは、土地売買契約において特に確認すべきポイントを解説します。

 

土地売買契約ならではの重要確認事項と境界確定

土地の面積について「公簿売買」か「実測売買」か、契約条件を確認します。実測売買の場合、測量結果によって売買代金が変動する可能性があります。隣接地との境界が確定しているか、境界標が設置されているかを確認することが大切です。

 

境界を確定する作業が遅延した場合の取り扱いについても確認が必要な場合があります。境界の問題は後のトラブルの大きな要因となるため、慎重に確認しましょう。

 

地盤や埋設物に関する調査と契約条件

土地の地盤状況について、売主からの情報提供や調査報告書があるかどうかを確認します。地盤の状態は建物の安全性に直結するため、重要な確認事項です。また、土地の下に思いもよらないものが埋まっているリスクについて、売主の告知義務や発見された場合の責任がどのように定められているか確認しておきましょう。

 

建築条件付き土地契約の注意点

建築条件付き土地契約は、土地売買契約と併せて、指定された建築会社と一定期間内に建物の建築請負契約を締結することが条件となっている契約形態です。土地だけを購入することはできないため、注意が必要です。

 

建築請負契約が期間内に成立しなかった場合に、土地売買契約も白紙解除となることがきちんと書かれているか確認しましょう。この条項により、建物の計画が進まない場合のリスクを回避できます。

 

隣地との関係性を考えた売買契約のマナー

越境物があるかどうかを確認し、ある場合はその解消方法や引き継ぐか否かについて取り決めます。越境物の問題は隣地との関係に影響するため、適切な対応が必要です。隣地との間で通行や排水などに関する取り決めがないか確認します。

 

将来の建築計画などにおいて、隣地への日照やプライバシーへの配慮が必要になる場合があることを認識しておきましょう。良好な近隣関係を保つことは、快適な生活を送る上で重要です。

 

土地の形や接道状況による価値と契約条件

土地の形状や、道路への接道状況は土地の利用価値や価格に大きく影響するため、重要事項説明書や現地で確認します。再建築が可能な土地か、建築できる建物の種類や規模に制限がないかを確認しておきましょう。これらの条件によって、将来的な土地の活用方法が決まります。

 

まとめ|不動産売買契約書は内容をしっかり確認しよう

不動産売買契約書は、高額な取引におけるトラブルを防ぐための非常に重要な書類です。契約書に記載されている内容は多岐にわたり、専門用語も多いため、細部まで注意深く確認する必要があります。

 

売買物件の特定、代金、引渡し時期、各種特約の内容を正確に理解し、不明な点は必ず質問して解消しましょう。特に土地売買では、境界確定や地盤調査など特有の注意点もあります。

 

一度契約を締結すると、一方的な解除は困難であり、違約金が発生する場合もあるため、署名・捺印は慎重に行うことが大切です。不安な場合は、不動産会社の担当者だけではなく、弁護士などの専門家に相談することも有効な手段です。

 

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