注文住宅の住宅ローン契約の流れとは?審査の内容やつなぎ融資についても解説


注文住宅を建てる時、多くの場合住宅ローンを利用することになります。しかし住宅ローンを借り入れるまで、どのような流れで審査が行われるのかなど、詳細を知らない人は少なくありません。そこで今回は、注文住宅の住宅ローンについて解説します。

注文住宅で住宅ローンを借りて支払うまでの流れ

Point 住宅ローンの実行は物件の引き渡しの時に行われる!

注文住宅を建てる際、ほとんどの方が住宅ローンを借り入れします。まずは、住宅ローンをいつどのように支払うかについて解説します。

注文住宅の建築工事費用の支払いは、一般的に4回にわけて行います。初めに払うのが、工事の契約時に払う「契約金」です。これは自己資金でまかなう方もおり、その場合は当然ながら住宅ローンは使いません。

次に、工事の開始時に支払う「着手金」です。着手金から、住宅ローンを使うことが多くなります。次に支払うのが、「中間金」です。中間金をいつ支払うかはいろいろなパターンがありますが、骨組みが出来上がった上棟のタイミングになることが多いです。そして最後、家が完成して引き渡しをする際に「最終金(残金)」を支払います。

契約金は全体の10%、着手金、中間金、残金はそれぞれ30%が相場となります。ここで気をつけたいのが、住宅ローンの融資が実行される時期。原則として、住宅ローンは建物が完成して買主に引き渡されるタイミングでようやく実行されます。分かりやすいように、順を追って詳しく解説していきます。

注文住宅の住宅ローン申し込みから融資実行までの流れ

Point 住宅ローンを借り入れるには複数の手続きが必要!

注文住宅の住宅ローンはどのように実行されるのか、流れを解説します。

Step.1 事前審査

住宅ローンの申し込みは、事前審査から始まります。これは「注文住宅の契約を結んだのに、住宅ローンに落ちてしまった」というリスクをできるだけ回避するために設定された、正式な審査の前に受ける審査です。ここで、自分は住宅ローンを組むことができるのか、借り入れができるとしたらいくらになるのかなどを確認できます。

事前審査は1社だけではなく複数の金融機関に同時に申し込めるため、3~4社ほどピックアップしておきましょう。仮に1社落ちてしまっても、同じ書類を提出した別の金融機関では審査が通ることがあります。1社ずつ申し込むのは効率が悪いため、まとめて準備を進めることをおすすめします。

また、事前審査は物件情報が必要なので、どのような家にするのかプランを決めてから申し込む必要があります。その他、借り入れ希望金額や返済期間などを申請します。どのような項目が審査されるかは金融機関によって異なりますが、国土交通省の令和2年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書によると、調査に回答した金融機関のうち90%以上が以下の項目をチェックしています。

<住宅ローン事前審査で考慮する項目>
 ・完済時年齢(99.1%)
 ・借入時年齢(97.8%)
 ・年収   (95.7%)
 ・返済負担率(92.1%)
 ・担保評価 (98.2%)
 ・健康状態 (98.2%)
 ・勤続年数 (95.3%)
 ・連帯保証 (95.1%)
 ・金融機関の営業エリア(91.0%)
 ※カッコ内は、項目を審査すると回答した金融機関の割合

事前審査を受けるために必要なものは、申込書以外に3種類あります。1つ目が、本人確認書類です。運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなど、一般的に本人確認で使われるもので問題ありません。

2つ目が、収入証明書類です。給与所得者は前年分の源泉徴収票を、自営業者・個人事業主は過去3年間の確定申告書および付表の写しを、法人代表者は前3期分の決算報告書の写しです。

3つ目は、物件確認書類です。購入予定の物件の情報がわかるものとして、概要書や図面、価格表がこれにあたります。間取りプランや見積もりが未決定の段階でも可能です。

また、自動車など他の住宅ローンを組んでいる場合は、なるべく完済しておくことがおすすめです。住宅以外のローンがあると総返済負担率(年収に占めるローンの割合)が高くなってしまい、審査が通りにくくなります。なお、事前審査の結果は即日〜1週間ほどでわかります。

Step.2 注文住宅の請負契約・着手金支払い

事前審査が通ったら、注文住宅の工事請負契約を結びます。この段階までに間取りや設備などを決めておいて、正式な契約書を交わしてください。

契約を交わしてから変更をするとなると、追加料金がかかります。細かな内装やデザイン、外構など見落としがちなポイントもしっかり確認しましょう。また、万が一に備えてキャンセルになった場合の手続きについても見ておきましょう。

そして、契約時に着手金を支払うこともあるので、事前に期日や金額を確認してください。

Step.3 申し込み・本審査

住宅の契約を終えたら、住宅ローンの本審査に進みます。申し込み時には、下記の書類が必要となるケースが多いです。

<住宅ローン本審査に必要な書類>
 ・個人ローン借入申込書(兼)保証委託申込書
 ・団体信用生命保険申込書兼告知書
 ・本人家族全員が記載された住民票
 ・印鑑登録証明書
 ・印鑑登録証明書に使用した実印
 ・本人確認書類
 ・収入証明資料
 ・対象となる物件の詳細資料
 ・預金口座通帳など

本審査にかかる日数は1~2週間程度です。本審査では事前審査と同様の項目が審査されますが、融資した金額を本当に返済することができるのか、より厳密な審査になるため事前審査は通っても本審査で落ちることもあります。

審査基準は金融機関によって異なりますが、特に通りにくくなるのが個人信用情報に延滞や債務整理の履歴があるケースです。過去にクレジットカードの支払いが滞ったことなどがある方は注意が必要です。

Step.4 住宅ローン契約・注文住宅の建築・中間金支払い

本審査に通れば、無事に住宅ローンを契約できます。金融機関の指示に従って所定の書類を集めてください。

そしてようやく注文住宅の建築が始まります。工事の内容は土地の状態や建てる家によって様々です。ここで注意しておかなければならないのが、工事途中で支払う必要がある「中間金」についてです。タイミングは会社によって様々ですが、上棟時に支払うことが多いです。工事途中は住宅ローンに頼ることができないので注意が必要です。

Step.5 融資実行・残金支払い・引き渡し

住宅ローンは、引き渡し時の残金決済の際に融資が実行されます。金融機関から不動産会社に直接振り込んでもらうことも多いです。残金を支払い、物件をチェックしたら引き渡しとなります。

引き渡しの後はライフラインの手続きや引っ越しを行い、注文住宅での新生活がスタートです。

注文住宅ローンのつなぎ融資とは?

Point つなぎ融資は着手金や中間金の支払いに利用できる!

注文住宅を購入する際、土地の代金や着手金に住宅ローンを使うことはできません。なぜなら、融資の実行が物件の引き渡し時になるためです。しかし手元にまとまったお金がない場合、困ってしまいますよね。

そこで活用できるのが、つなぎ融資です。これは住宅ローンが実行されるまでに必要な資金を融資してもらうためのものです。

つなぎ融資を借り入れる場合は、住宅ローンの申し込みと同時につなぎ融資の申し込みも行います。審査が通れば契約を結び、必要であれば土地購入時につなぎ融資を実行し、支払いを完了します。その後、着手金や中間金をつなぎ融資を使って支払い、注文住宅が完成し引き渡しする際に住宅ローンを使ってつなぎ融資を全額返済します。

非常に便利に見えるつなぎ融資ですが、デメリットもあります。それは金利が割高なことです。金融機関によって異なるものの相場は2〜4%程度で、別途事務手数料なども発生します。また、すべての金融機関でつなぎ融資を実施しているわけではありませんので、事前に確認するようにしてください。

まとめ

今回は、注文住宅の住宅ローンについて解説しました。注文住宅を建てる時には、内装や間取りをどうするかだけでなく、お金の面でどういった計画を立てるのかも非常に重要です。予算の目処が立たなければ、どんなに理想の注文住宅を考えても建築することができません。

間取りプランの検討と並行して返済プランも計画し、どの金融機関で借り入れをするか早めに検討をはじめましょう。申し込みに必要な書類には手続きが面倒だったり時間のかかるものもあるので、余裕を持って準備することが得策です。また、自己資金や予算を考え、つなぎ融資が必要かについても考慮するようにしてください。

そもそも予算計画をどう立てたらいいのか分からないと悩んでいる方は、「ウチつく オンライン相談サービス」の利用をおすすめします。中立的な立場から、注文住宅の予算やスケジュールなど基本計画についてご案内しますので、家づくり初期段階の方にぴったりの内容です。

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