フルローンとは?メリット・デメリットや後悔しないための注意点を解説!


手元の資金が少ない状態でもマイホームを購入できる方法として、最近注目されているのが「フルローン」です。頭金なしで物件価格の全額を借りられるため、資金の準備に時間をかけずに理想の住宅を手に入れられる可能性があります。その一方で、借入金額が大きくなるぶん返済の負担は増えやすく、金利の変動リスクなども考えなければなりません。

 

これから住宅購入を検討している方はもちろん、「頭金なしでも購入は可能なのか?」と気になっている方も、ぜひ参考にしてみてください。しっかり知識を身につけておけば、将来の家計を守りながら安心してマイホームの夢を叶えることができるでしょう。

 

 

フルローンについて

フルローンとは、住宅購入時に物件価格の全額を金融機関から借り入れるローンのことです。今までの住宅ローンでは頭金が必要でしたが、フルローンでは自己資金が少ない方でも住宅を購入することができるようになりました。

 

ここでは、フルローンの仕組みと、その背景について詳しく解説します。

 

フルローンとは

フルローンとは、住宅を購入するときに、物件の本体価格をすべて金融機関から借り入れる融資の方法のことです。通常の住宅ローンでは、物件価格の何割かを「頭金」として自己資金で支払い、それを差し引いた残りをローンでまかなうのが一般的でした。

 

しかし、フルローンでは頭金を用意しなくても良いので、現在の貯蓄が少ない方や、他の目的で貯蓄を残しておきたい方にとっては大きな助けになります。たとえば若い世代で、結婚や子育てなど今後のライフイベントを控えている方にとっても、初期費用を抑えて住まいを購入できる方法として注目が高まっています。

 

ただし、物件価格だけを借り入れるフルローンは、諸費用分も組み込み可能な一部の住宅ローンとは違い、仲介手数料や登記費用などの諸費用分までは含むことができません。引っ越しやリフォームの費用以外にもさまざまな事務手数料や保証料などを含めると、数十万円~数百万円程度になるケースもあるため、見落とさないように気をつけましょう。

 

フルローンと住宅ローンの違い

フルローンと購入資金の一部を借りる住宅ローンのもっとも大きな違いは「頭金の有無」です。頭金を数百万円用意してローンを組む場合は、借入金額が少なくなる分、返済の負担も軽くなりやすいです。

 

一方、フルローンでは借りる金額が増えるため、毎月の返済額が高くなりやすく、総返済額も大きくなります。また、借入額が多いと金融機関の審査が一段と厳しくなる可能性もあります。

 

住宅ローン控除などの減税制度を受ける場合、ローン残高が大きいほど恩恵が大きくなるケースはあるものの、借入期間や上限額との兼ね合いもあるため、一概に得とは言い切れません。最終的には家計の状況や将来設計を踏まえて検討することが大切です。

 

フルローンとオーバーローンの違い

オーバーローンとは、物件購入価格よりも住宅ローンの借入額が上回っている状態のことです。フルローンが「物件本体価格」を全額借りるのに対し、オーバーローンは「物件本体価格」にプラスして、「諸費用」まで含めて借りられる点が特徴です。不動産の仲介手数料や手続きにかかる税金、引っ越しなどの初期費用を丸ごと融資してもらえるため、自己資金が極端に少なくても購入をスタートできるでしょう。

 

しかし、借入総額が増えるぶん毎月の返済額は膨らみ、審査もさらに厳しくなるのが一般的です。特に将来の収入が不透明な場合は、無理をして借りると返済に追われるリスクが高まります。自分の収入や貯蓄を総合的に見極めながら、どの程度まで融資を受けるかを慎重に検討しましょう。

 

 

フルローンのメリット

フルローンには、自己資金を温存できるという大きなメリットがあります。また、頭金を貯める期間が必要なくなるため、その分早く物件を購入できるようになります。

 

さらに、住宅ローン控除を最大限に活用できるケースもあり、賢く利用すれば大きなメリットが得られるでしょう。ここではそういったフルローンのメリットを詳しくご紹介します。

 

手元の資金を温存できる

フルローンを利用する最大のメリットは、頭金を用意しなくても良いため、手元に自己資金を残せることです。通常の住宅ローンでは頭金として数百万円単位のお金が必要になりますが、そのぶんを教育費や車の購入、さらには緊急時の予備費として貯蓄しておけるのは安心感が大きいでしょう。

 

特に、子育て世代は習い事や進学など、突然まとまったお金が必要になる場面が多いものです。フルローンによって手元に資金を温存することで、そういったライフイベントにも柔軟に備えられるようになります。

 

物件を早めに購入できる

頭金を貯めるには数年の時間がかかるケースも少なくありません。フルローンを選べば、今頭金にできるだけの手持ちの資金がなくても住宅購入の話を進めやすくなります。気に入った物件が出たタイミングを逃さず買える点は大きな魅力です。

 

不動産は同じ条件の物件がそう多くは出ないため「もう少し頭金を貯めてから」と迷っている間に売れてしまうこともよくあります。フルローンであれば、好条件の物件に出会ったときに、スピーディーに購入手続きを進めることができるでしょう。

 

住宅ローン控除のメリットを最大限に活用できる可能性がある

住宅ローン控除は、年末時点のローン残高をもとに所得税や住民税の一部を軽減できる制度です。フルローンを利用すると借入残高が大きくなるため、その分だけ控除対象額も高くなる可能性があります。特に大きい金額の住宅ローンを組む場合は、この制度による税金軽減の恩恵を受けやすいでしょう。

 

ただし、住宅ローン控除には上限が設定されているため、単に借入額が多ければ多いほどお得になるわけではありません。また、返済計画によっては早めに繰り上げ返済をすることも選択肢として上がってくるため、控除額と返済負担のバランスをしっかり見極めることが重要です。

 

フルローンのデメリット

フルローンは、メリットがある一方で、返済負担の増加や金利変動リスク、担保割れのリスクなど、見過ごせないデメリットも存在します。これらのデメリットを理解せずにフルローンを利用すると、将来的に経済的な負担が大きくなる可能性もあるため、慎重な検討が必要です。

 

ここではそんなフルローンのデメリットをしっかり理解し、自分にはどんなローンの組み方が合っているのかしっかり理解しましょう。

 

返済負担額が増加する

借入金額が多くなるほど、毎月の返済額や総返済額は当然ながら高くなります。毎月のローンの支払いが増えると、生活費や教育費などのほかの出費を抑えなければならない場面が出てくるかもしれません。

 

急に収入が減少したり、思わぬ出費が重なったりすると、返済に追われるリスクが上がります。とくに長期のローン返済を考えると、今後の収入アップが期待できない状況や、支出が増えやすい子育て時期には、注意が必要です。

 

金利変動の影響を受けやすい

フルローンでは、借入額が大きいほど金利のわずかな上昇が返済額に大きく響きます。変動金利型ローンを利用している場合、将来の金利上昇局面では月々の返済が想定以上に増えてしまう恐れがあります。

 

固定金利型を選んだとしても、固定期間終了後の更新時に金利が上がっていると、その後の返済負担が一気に重くなることがあるでしょう。今の金利水準だけで判断するのではなく「数年後にはどうなるか」という長期的視点を持つことが大切です。

 

オーバーローン状態に陥りやすい

不動産の価値は、購入した瞬間から下がるケースが少なくありません。たとえばフルローンを組んで物件価格の全額である4,000万円を借りたとします。一年後に物件や土地の価格が下がり、価格が3,800万円に下がったとします。その場合、ローン残高のほうが物件の価格を上回る「オーバーローン」状態に陥るリスクが高まります。

 

この場合の「オーバーローン」は最初から計画的にオーバーローンを組むのとは違い、土地や不動産の価値が購入時より下がったことによって結果的にオーバーローンと同じ状態になってしまうということです。不動産価値の下落リスクも踏まえて、フルローンを組むか考えておく必要があります。

 

審査が厳しくなる傾向がある

フルローンは物件の価格をまるごと借り入れるため、金融機関からすると「貸し倒れリスク」が高まります。結果として、年収や職業、勤続年数といった審査基準が通常の住宅ローンよりも厳しくなる傾向があります。

 

場合によっては希望額をそのまま借りられなかったり、金利を高めに設定されたりすることもあるでしょう。事前に複数の金融機関で仮審査を受けるなど、早めのリサーチが大切です。

 

売却時にローン残債が残る可能性がある

フルローンによって借入金額が大きいまま物件を購入すると、将来的に売却を検討した際、売却価格がローン残高を下回りやすくなります。そのような状態を担保割れといいます。築年数が経つほど物件の価値が下がるのはもちろん、経済状況や地域の需要によって不動産価格が想定以上に下がる場合もあります。

 

そうなると、売却金だけではローンを返しきれず、自己資金で補填する必要が出るかもしれません。将来の住み替えプランなども頭に入れて、余裕を持った融資金額を考えておくと安心です。

 

フルローンで後悔しないための注意点

フルローンは、計画的に利用すれば便利な手段ですが、後悔しないためには事前の準備と対策が不可欠です。ここでは、フルローンを検討する際に注意すべき点と、後悔しないための具体的な対策を解説します。

 

綿密な返済計画を立てる

フルローンを利用する際には、毎月の支払いを無理なく続けられるかどうかを、将来のライフプランも含めて検討することが不可欠です。たとえば子どもの進学費用や親の介護費用、あるいは自分たちの老後資金など、大きな出費が控えている場合は事前に想定しておきましょう。

 

返済額が増えすぎて家計を苦しめることがないよう、複数の返済プランを比較検討し、万が一収入が減った場合や金利が上がった場合もシミュレーションしておくと安心です。

 

事前にシミュレーションを行う

フルローンを含む住宅ローンを選ぶときは、まずは複数の金融機関で返済シミュレーションを実施しましょう。金利タイプや借入期間などを変えながら試算しておくと、どのタイミングでどのくらいの支払いが必要か把握しやすくなります。

 

繰り上げ返済を視野に入れているなら、シミュレーション時に繰り上げ返済後のメリットも確認しておくと、より正確に返済計画を立てられるはずです。検討段階で手間を惜しまないことが、後悔しないマイホームの購入につながります。

 

住宅ローンの専門家に相談する

フルローンを組むかどうかを迷っている場合は、ファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーなどに相談してみるのもおすすめです。家計の支出バランスや保険の見直し、子どもの教育費などを総合的に考慮したうえで、最適なローンプランを提示してもらえます。

 

特に住宅ローン商品は種類が多く、自力で比較検討するのが難しい部分もあるため、プロの視点を取り入れることで客観的に判断しやすくなるでしょう。

 

フルローン以外の住宅ローンも検討する

住まいを購入する方法はフルローンだけではありません。たとえば親子リレーローンなら親と子で協力して返済期間を延ばすことができますし、夫婦それぞれがローンを組むペアローンなら、住宅ローン控除を夫婦それぞれが活用できる可能性があります。

 

頭金を少しでも用意できるなら、その分借入額を減らして毎月の返済を軽くする選択肢もあるでしょう。最初からフルローン一択ではなく、さまざまな方法を比べて、最終的に自分たちのライフスタイルや収支に合う形を見つけることが大切です。

 

まとめ|住宅の購入費用を全額ローンで賄う融資形態のこと

フルローンは、頭金なしで住宅を購入できるため、今すぐマイホームが欲しい方や貯蓄を温存しておきたい方にとっては魅力的な選択肢です。しかし、返済額が多くなるぶん家計を圧迫するリスクが高まり、金利の変動や不動産価格の下落などにも注意が必要になります。審査が厳しくなる可能性もあるため、しっかりとした返済計画とシミュレーションが欠かせません。

 

フルローンを検討するときは、他のローン形態も含めて情報を集め、専門家の意見を取り入れながら検討を進めましょう。将来のライフイベントや収支を見据えつつ、無理のない返済プランを立てておけば、後悔しにくい住宅購入が実現しやすくなります。念入りな準備をして、理想の住まいで安心できる暮らしを手に入れてください。

 

ウチつくでは1級ファイナンシャルプランナーにも相談できる「オンライン相談サービス」を行っております。注文住宅を建てる前にお金のプロに話を聞いておきたいという方はぜひお気軽にご相談ください。

 

 

最新記事をもっとみる