公道と私道の違いとは?見分け方や売買する際の注意点を解説!


不動産を購入するときや手放すとき、その土地に接する道路が「公道」なのか「私道」なのかを把握することは、とても大切なポイントです。道路の種類によって通行の自由度や維持管理の費用、そして資産価値にも影響があるからです。この点をあいまいにしたまま契約を結ぶと、予想外のトラブルに巻き込まれるかもしれません。

 

この記事では、公道と私道の基本的な知識や見分け方、売買時の注意点をわかりやすく紹介します。トラブルが起きた場合の対処法も紹介しているので、後悔のない不動産取引を行うための参考にしてください。

 

 

公道と私道の違い

「公道」や「私道」という単語は広く使われていますが、両者が具体的にどんな特徴を持ち、どう違っているのかは意外と知られていないものです。土地活用や建築などを考えるときには、土地に接している道路が公道か私道かをしっかり見極めることが重要になります。

 

ここでは、それぞれの定義と特徴を整理してみましょう。

 

公道とは

国や都道府県、市区町村といった公共団体が管理し、誰でも自由に通行できる道路のことです。国道や県道、市町村道などが該当します。舗装の修繕や上下水道の工事なども公的機関の予算によって行われるため、個人で管理費用を負担する必要はありません。

 

道路交通法のルールが適用されるため、標識や信号なども整備されやすく、公共インフラとしての機能を果たしているのが大きな特徴です。

 

私道とは

個人や法人が所有し、管理義務を負う道路を指します。公道のように常に開放されているわけではなく、通行に制限がかかる場合もあるため、道路利用の自由度が異なるのが特徴です。道路の舗装や設備の維持管理にかかる費用は、原則として所有者が負担します。

 

また、私道には建築基準法上の道路として扱われるものとそうでないものがあり、法的制限や管理の内容が道路ごとに異なります。

 

公道と私道の違い

まず、公道とは国や地方公共団体が管理しており、誰でも自由に通行できるようになっています。国道や県道、市町村道などがその代表例で、舗装や修繕などにかかる費用は税金からまかなわれるため、個人が管理費を負担する必要はありません。道路交通法が適用されており、標識や信号なども整備されやすい点が公道の大きな強みです。

 

一方、私道は個人や法人が所有し、維持管理の責任を負う道路を指します。公道とは異なり、誰でも自由に通行できるわけではなく、原則として所有者の承諾が必要になるケースもあるため注意が必要です。さらに舗装や設備の維持管理にかかる費用は所有者が負担することが多く、建築基準法上の道路として扱われるかどうかによって制限の内容も変わります。

 

両者を比較すると、公道は国や自治体が維持管理と費用負担を担い、誰でも通行できる点が特徴です。私道は個人や法人が所有し、費用もその所有者にかかるため、計画段階でしっかり把握しておかないと思わぬ負担や利用制限に直面する可能性があります。交通ルールの適用範囲にも違いがあるので、公道か私道かを正しく見極めることが大切です。

 

 

公道と私道の見分け方

住宅街などでは、道幅や舗装の状態だけでは公道か私道かが判断しにくいことがあります。不動産を購入する前に、確実な方法で確認することをおすすめします。

 

ここでは、市区町村の役所や法務局を利用した代表的な3つの確認方法を見ていきましょう。

 

道路管理課で確認する方法

不動産がある地域の市区町村の道路管理課や建築指導課などの窓口で「前面道路が公道か私道か知りたい」と伝えれば、住所や地番をもとに教えてもらえます。役所での確認は制度上の情報に基づいているため信頼性が高いです。

 

平日に窓口へ出向く必要があり多少手間はかかりますが、あとから「知らなかった」という問題が起きるよりは安全といえるでしょう。

 

法務局の公図で確認する方法

法務局には公図と呼ばれる地図があり、土地の形状や地番が載っています。通常、公道には地番が割り振られていない場合が多く、道の部分に地番がついていれば私道である可能性が高いです。

 

公図は法務局で閲覧・取得ができるほか、オンライン上で交付請求できる地域も増えています。ネットを使うなら事前の登録が必要なこともあるので、余裕を持って手続きしてください。

 

登記事項証明書で確認する方法

法務局で発行している登記事項証明書には、土地の所有者や権利関係が記載されています。もし道路部分の所有者が国や自治体なら公道、個人や会社名が記載されていれば私道と判断できます。

 

こちらもオンライン請求が可能な一方で、一定の手数料と事務手続きが必要です。不動産取引を検討している場合は、早めに登記事項証明書を取得しておくと安心です。

 

私道における「私道負担」とは?

不動産広告や物件情報で「私道負担あり」という言葉を目にすることがあるでしょう。これは、所有している土地の一部が私道として使われている状態を指しており、さまざまな影響があります。

 

ここでは、私道負担の種類やセットバックとの関係、固定資産税のポイントを解説します。

 

私道負担の種類

私道負担とは、自分の土地の一部が私道として利用されている状態を指します。第一に、自分の敷地の一部が道路として使われている場合、第二に、複数の所有者が共同で私道の一部を所有している場合、第三に、私道を通行するために使用料を支払う場合です。

 

これらのケースは、不動産の価値や利用に影響を与えるため、事前に確認が必要です。私道負担の状況によって、建物の建築や売却が制限される場合もあるため、注意しましょう。

 

セットバックと私道負担の関係

道路幅が4メートル未満の場合、建物を建てる際に敷地を後退させて道路を広げるセットバックを求められます。後退させた部分は、事実上私道扱いになり、建物を建てられなくなるので、有効に使える敷地面積が小さくなる点に注意が必要です。

 

道路としての安全性を確保するための制度ですが、私道負担と相まって管理や維持コストが増える場合もあります。

 

私道負担部分の固定資産税

所有地である以上、私道でも原則として固定資産税が課税されます。ただし、一般に開放されており公共性が高いと認められると、自治体の判断で非課税や減免措置が適用される場合があります。

 

実際に非課税などの特例を受けるには、自治体への申請が必要になることが多いです。私道を共有している場合は、持分に応じて各自が税金を負担することもあるため、共有者間でルールを取り決めておきましょう。

 

私道で起こりがちなトラブル例

私道に面している土地は、公道に比べると管理主体や権利関係が複雑なため、トラブルが発生するリスクがあります。ただし、あらかじめルールを明確にしておくことで回避できる問題も多いです。

 

通行に関するトラブル

私道は誰でも自由に利用できるとは限らないため、通行を禁止されたり、通行料を請求されたりすることがあります。また、道路形状の変更をめぐって所有者同士が意見を対立させるケースも想定されます。

 

スムーズに通行させてもらうためには、私道所有者と事前に書面で契約を結び、どのように使えるかをはっきり示しておくのがおすすめです。

 

掘削工事に関するトラブル

私道の地下には水道管やガス管などのインフラ設備が入っていることがあります。これらを修理・交換したり、新設したりする際には、私道の所有者の許可が必要です。

 

所有者が工事を承諾してくれなかったり、高い費用を求めてきたりするケースがあるため、購入前や売却前に必要な合意を取得しておくのが賢明です。

 

承諾書を巡るトラブル

私道に接する物件を売買する際には、通行や掘削を認める「承諾書」が求められます。私道の所有者が複数いる場合は、全員からサインをもらわなければ成立しないため、誰かと連絡が取れない・話がまとまらないなどの問題が起こりやすいです。

 

手続きには時間がかかるので、契約スケジュールを余裕を持って設定しておきましょう。

 

その他のトラブル

駐車やゴミの放置など、マナー面での問題も私道ではよく起こります。また、私道の補修費や清掃費を誰がどの程度負担するかについて意見が食い違う場合もあります。トラブルが長引くと近隣関係が悪化するため、ルールづくりとマナーの徹底が欠かせません。

 

私道付き不動産を売買する際の注意点

私道が絡む物件を取引する際は、通常よりも慎重に調査しておく必要があります。買う側・売る側それぞれの立場でチェックすべきポイントを押さえておくと、取引後のトラブルを防ぎやすくなるでしょう。

 

購入するときの注意点

私道に関する権利関係を明らかにするため、まずは誰が所有しているか、また共有の場合は持分がどうなっているかを確認することが大切です。通行や掘削に関する承諾書があるかどうかもチェックし、将来的に問題が起きそうな場合は事前に解決策を探しておきましょう。

 

また、私道の維持管理費や清掃費など、ランニングコストがどれくらいかかるかも検討しておくと安心です。

 

売却するときの注意点

私道付きの不動産を売却する場合は、買主に対して正確な情報をしっかり開示する義務があります。所有関係や通行・掘削の可否、維持管理ルールなどをきちんと伝えることで、買主が安心して契約を結べるようになるでしょう。

 

過去に何らかのトラブルがあったときは、その内容や解決状況を正直に説明し、通行掘削承諾書が必要な場合は早めに取得しておくと、取引がスムーズに進む可能性が高まります。

 

まとめ|公道と私道の違いを理解して不動産を購入しよう

公道は国や自治体が管理し、誰でも自由に利用できる道路です。一方、私道は個人や法人が所有・管理しており、費用負担や通行の制限など、公道とは異なるルールが多い点に注意が必要です。私道付き物件を検討しているなら、私道負担の有無やセットバックの必要性、通行・掘削についての承諾などをあらかじめ確認しておきましょう。

 

また、万が一トラブルが発生したときは、当事者同士の話し合い、自治体への相談、専門家への相談といった手段をうまく活用すると問題解決に近づきます。道路の状況をしっかり把握しておけば、不動産取引の失敗リスクを抑えられるので、住まい選びをより安心して進められるでしょう。

 

またウチつくでは注文住宅を建てたいという方に向けて「オンライン相談サービス」を行っております。注文住宅が気になるけれど何から始めればいいのかわからない、自分に合う住宅メーカーの選び方を知りたいという方はお気軽にご相談ください。

 

 

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