土地権利の基礎を紹介!所有権と借地権の違いを徹底解説!

不動産取引で欠かせない「土地権利」は「所有権」と「借地権」で内容や影響が大きく異なります。この記事では、二つの権利の違いをわかりやすくまとめながら、土地を購入する時の注意点や登記手続きについても見ていきましょう。
所有権は土地を自由に使えるというメリットがありますが、固定資産税などの維持費がかかりやすいという特徴があります。一方、借地権は初期費用を抑えやすいものの、土地を借りるための代金や利用制限が生じる点に注意が必要です。
正しく理解しておくと、不動産取引をよりスムーズに進められるでしょう。
土地権利について
「土地権利」は、不動産の取引や所有においてとても重要な要素です。特に、土地を自分のものとして扱える「所有権」と、地主から土地を借りて建物を所有する「借地権」は、仕組みや費用、資産価値など多くの点が異なります。
ここでは、所有権と借地権の基本や注意点を解説していきます。
所有権の内容
民法206条で規定されている所有権は、土地を法令の範囲内で自由に利用・収益化・処分できる強力な権利です。具体的には、家を建てて居住する、駐車場として貸し出して収益を得る、売却して現金化するなど、さまざまな活用が可能になります。
地下部分を含め、土地全体を独占的に使えるのも大きな特徴です。ただし、都市計画法や建築基準法などによって建築や用途に制限がある場合もあります。土地を最大限に活用したいときに魅力的な権利ですが、法令に従う義務がある点は押さえておきましょう。
所有権が制限される法律
所有権は、土地を自由に使える権利ですが、無制限ではありません。法令によって、その行使が制限されることがあります。所有権に関係してくる法令は以下のとおりです。
- 建築基準法:建物を建てる際の構造、高さ、用途、建ぺい率、容積率などの基準を定めており、土地の所有者はこれらの基準に従う必要があります。
- 都市計画法:都市計画区域内での土地利用に関するルールを定めており、用途地域によって建てられる建物の種類が制限されたり、建ぺい率や容積率などの規制があります。
- 農地法:農地を宅地などに転用する場合、農業委員会に申請し、都道府県知事または指定市町村からの許可が必要となる場合があります。
- 国土利用計画法:一定規模以上の土地取引を行う際に、都道府県知事への届け出を義務付けています。
これらの法令は、土地の適正利用と公共の福祉のために不可欠なもので、所有権を持っているからといって自由に使えるわけではないということを頭に入れておく必要があります。
所有権を持つメリット
所有権の最大のメリットは、法律の範囲内ではありますが土地を自由に活用できることです。建物を自由に建築でき、リフォームや増改築も基本的に制限が少なく行えます。将来、土地を売却したり、子どもに相続したりする場合も自由度が高く、資産形成しやすい点も魅力です。
さらに、担保価値が高いため、住宅ローンを組む際も比較的スムーズに進みやすいです。長期的な視点で見ると、土地を所有することで得られる安心感や資産価値は大きいでしょう。
もう一つの土地権利の借地権とは?
「借地権」とは、建物を建てるために地主から土地を借りる権利のことです。土地自体は借りているだけなので、所有権ほどの自由度はありません。契約期間や更新条件、土地を借りるための代金である地代の支払い義務など、さまざまな取り決めがあるため、増改築や売買にも地主の承諾が必要になる場合が多いです。
一方、土地を購入しているわけではないのでその分の初期費用が抑えられることや、固定資産税を支払わなくて済むことも借地権の特徴です。土地を所有しないため、資金のハードルを下げやすい反面、権利の範囲が限られる仕組みといえます。
借地権の特徴
借地権では、土地の所有権は地主が持ち、借地権を得た人はあくまでも土地を借りて建物を所有する形になります。そのため、土地を売却したり他人に貸し出したりする自由はありません。
地代の支払いが必要になるほか、建物のリフォームや増改築も地主の承諾が必要になることが多いです。契約上の制約が比較的多いため、自由度は所有権よりも低めだと考えておきましょう。
借地権の種類
借地権には大きく分けて旧借地権、普通借地権、定期借地権の3種類があります。
- 旧借地権:1992年7月31日以前に契約されたもので、借地権者が強く保護されます。契約期間が長く、建物の構造によって契約期間が違い、更新することで期間を延長して借りることができるという特徴があります。
- 普通借地権:1992年8月1日以降に契約された借地権で、建物の構造による契約期間の違いはなく、契約期間は30年以上とされることが多いです。旧借地権よりは地主と借地権者のバランスが考慮されています。
- 定期借地権:契約期間の満了時に、建物を取り壊して土地を返還する義務があるため、更新ができません。一般定期借地権や事業用定期借地権など、いくつかのタイプに分かれています。
契約期間や更新の可否など、タイプによって大きく異なるため、契約内容をよく確認しましょう。
借地権のメリット・デメリット
借地権のメリットは、所有権と比較して初期費用を抑えられることです。土地を購入する費用がかからないため、資金が少ない場合でも、住宅を建てやすくなります。また、固定資産税などの土地にかかる税金を支払う必要がないのもメリットといえるでしょう。
しかし、借地権にはデメリットも存在します。毎月、地代を支払う必要があること、建物の増改築や売却時に地主の承諾が必要になること、資産価値が低いことなどが挙げられます。特に、定期借地権の場合、契約期間満了後に土地を返還しなければならないため、注意が必要です。
所有権と借地権の違いを徹底比較
土地の権利には所有権と借地権の二つがあり、それぞれ性質や費用、資産価値に大きな差があります。所有権は自由度が高い反面、取得費用や固定資産税などの負担が発生しやすい点が注意点です。
借地権は初期コストが軽くなる一方、地代や承諾料などのランニングコストや制約がついて回ります。ライフスタイルや予算、将来の展望によって向き不向きがあるため、両者の違いをしっかり押さえておきましょう。
権利範囲と自由度の比較
所有権と借地権の最も大きな違いは、土地に対する権利範囲と自由度の差です。所有権の場合、土地を購入しているので自分のものとして自由に使うことができます。住宅を建てたり、駐車場として利用したり、建物を建て替えるのも所有者の自由です。また、売却や賃貸も自由にできます。
一方、借地権では、土地を借りているに過ぎないため、土地の売買や建物の増改築には地主の承諾が必要です。使用目的も契約内容によって制限されることがあります。借地権の自由度は、所有権と比較すると大幅に制限されるといえるでしょう。
費用面での比較
土地の取得にかかる費用を比較すると、所有権の場合は土地購入費用、登記費用、固定資産税、都市計画税などがかかります。一方、借地権の場合は、借りているだけなので土地の購入費用はかかりませんが、毎月の地代、契約更新時の更新料、建て替えや譲渡の際の承諾料が発生します。
また、借地権付きの建物を購入する場合、権利金が必要になることもあるでしょう。固定資産税や都市計画税は土地の所有者が負担するため、借地権者はこれらの税金を支払う必要はありません。しかし、長期的に利用することを考えると、地代や更新料の総額が、所有権よりも高くなる場合があるため、注意が必要です。
資産価値と担保価値の比較
一般的に、所有権のある土地は、借地権の土地よりも資産価値が高いとされています。所有権は、土地を自由に売却できるため、担保価値も高く、金融機関から融資を受ける際に有利に働きます。
一方、借地権の土地は、売却する際に地主の承諾が必要となることがあり、また、担保価値も低いため、住宅ローンの審査が通りにくくなる点には注意が必要です。借地権付きの建物は、所有権付きの建物よりも売却価格が低くなる傾向にあります。そのため、将来的な売却を考えている場合は、所有権付きの建物の方が有利といえるでしょう。
土地購入時に所有権と借地権のどちらを選ぶべきか?
土地を購入する際に、所有権と借地権のどちらがいいかは、購入者の状況や目的によって異なります。ライフプランと資金計画を総合的に考えながら選ぶと後悔しにくいでしょう。
所有権が向いているケース
所有権は、土地を自由に活用したいと考える方におすすめです。自分の好きなように家を建てたい、庭を改造したいなど、土地を自由にしたいと考える場合は、所有権を選ぶべきでしょう。
また、将来的に土地を売却したり、賃貸したりすることを考えている場合も、所有権の方が有利です。さらに、住宅ローンを利用する場合、担保価値が高いため、審査が通りやすくなります。将来、子どもに土地を相続させたい場合も所有権がおすすめです。
借地権が向いているケース
借地権は、初期費用を抑えたいと考える方におすすめです。土地を購入する資金が不足している場合でも、借地権であれば、住宅を取得することが可能になります。また、特定のエリアにこだわりがあり、どうしてもそのエリアに住みたい場合、借地権の土地であれば、所有権の土地よりも安く購入できる可能性があります。
さらに、固定資産税などの税金を支払いたくないと考えている場合も、借地権がおすすめです。しかし、借地権は、自由に土地を利用できない、地代を払い続ける必要がある、などのデメリットがあることも理解しておきましょう。
土地選びのチェックリスト
土地選びを成功させるためには、いくつかの重要なチェックリストを参考にしましょう。まず、土地の立地条件は非常に重要です。駅からの距離や学校、スーパーまでの距離など、生活に便利な場所を選びましょう。
次に、法令上の制限を確認することも重要です。都市計画法や建築基準法によって、建てられる建物の種類や高さ、用途などが制限されている場合があります。また、周辺環境も確認しておく必要があります。
騒音や振動、日当たりなども重要なポイントです。将来のライフプランを考慮することも忘れないようにしましょう。
まとめ|所有権と借地権の違いを把握しておこう
土地権利は、不動産取引における重要な要素であり、所有権と借地権の違いを理解することは、賢い不動産取引のために不可欠です。所有権は、土地を自由に利用できる一方で、購入費用や税金などの負担が大きいですが、借地権は、初期費用を抑えられるものの、さまざまな制約があります。
どちらを選ぶかは、自身の状況や目的に合わせて慎重に検討しましょう。また、土地の購入後は、所有権移転登記を忘れずに行うことが重要です。この記事を参考に、後悔のない土地選びと、確実な権利の取得を目指しましょう。
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