抵当権抹消をしないとどうなる?概要や具体的なデメリットを解説!


住宅ローンを完済したことでほっとして、その後に必要な「抵当権抹消手続き」を忘れていませんか。抹消手続きを後回しにすると、不動産の売却や新たなローン契約、相続の場面で思わぬトラブルが発生する可能性があります。さらに、長期間放置すると、余計な費用がかかったり、手続きが複雑化したりすることも珍しくありません。

 

この記事では、抵当権抹消の重要性や抹消手続きを怠るリスク、スムーズに進めるためのポイントをわかりやすく解説していきます。

 

 

抵当権抹消について

「抵当権抹消」とは何かを理解することは、不動産取引を安全に行う上でとても大切です。まずは、抵当権の基本的な仕組みから確認し、抵当権抹消手続きがなぜ必要なのかを見ていきましょう。

 

抵当権の基本的な仕組み

抵当権は、住宅ローンなどの融資を受ける際、「もし返済が滞った場合に担保となっている不動産を競売にかけ、優先的にお金を回収できるようにする」ために金融機関が設定する権利です。抵当権を設定した後は、その情報が登記簿に記録される仕組みになっています。

 

住宅ローンを完済すると抵当権の効力はなくなりますが、登記簿に記録された抵当権の情報は自動的には消えません。そのため、正式な手続きである「抵当権抹消登記」を申請し、登記簿から抵当権の記録を抹消する必要があります。抹消登記を行うことで、不動産は担保の制限がない「自由な状態」になります。

 

抵当権抹消登記とは

抵当権抹消登記は、登記簿に残っている抵当権の設定記録を抹消するための手続きです。住宅ローンを完済しても、権利の記載そのものは残り続けるため、ご自身で抹消手続きを行う必要があります。

 

実際には、金融機関から渡される必要書類を用意し、法務局で所定の申請を行います。放置してしまうと、不動産の売却やローンの借り換えなどの場面で不都合が生じるケースがあるので、住宅ローンを完済した場合は早めに対処しておきましょう。

 

 

抵当権を抹消しないとどんなデメリットがあるか?

抵当権の抹消を先延ばしにすると、気づかないうちに大きな不利益を被る可能性があります。ここでは、代表的なデメリットを具体的に見ていきましょう。

 

不動産売却時の大きな障害となる

抵当権が残っているままの不動産は、住宅ローンが残っていないとしても売却に大きな支障が出やすくなります。買い手としては、登記簿上に抵当権がある物件を敬遠しがちだからです。

 

いくら「住宅ローンは完済済み」と説明しても、書類上で抵当権が残っていると、不安を完全には拭えないかもしれません。結果的に購入を見送られるリスクが高まり、売却自体が難しくなるケースも考えられます。

 

新たな住宅ローンの契約が難しくなる

抵当権が残ったままだと、新しい住宅ローンを組む際にも不利になることがあります。金融機関は、別の抵当権がついた状態の不動産を担保にすることをリスクとみなし、融資を断られたり、審査条件が厳しくなったりする可能性があります。

 

特に住宅ローンを借り換えたいときや、不動産を担保に追加で資金調達したいときは、抵当権が残っていない状態のほうが信用を得やすいでしょう。

 

手続きが複雑になる

抵当権を抹消しないまま長期間放置すると、抵当権を設定した金融機関が合併・統廃合で変わってしまい、書類の再発行や担当者探しが大変になる場合があります。さらに、借り主の転居や相続など、状況が変わるほど必要な手続きは増えがちです。書類の有効期限が切れてしまうと、再度の手続きが必要になるため、余計な手間とコストが増加する要因にもなりかねません。

 

相続時にトラブルの原因となる

もし名義人が亡くなった後で抵当権抹消手続きをしようとすると、相続登記をして名義を移し替えてから改めて抹消登記を進める必要があります。必要書類が見つからない、相続人同士の話し合いがスムーズにいかないなど、手続きが一気に複雑化する恐れがあります。相続人の負担を減らすためにも、早めに抵当権抹消手続きを済ませておくほうが安心です。

 

抵当権抹消手続きの流れと必要書類

抵当権抹消手続きは、一見複雑に思えますが、手順を踏めばスムーズに進めることができます。ここでは、手続きの流れと必要書類について詳しく解説します。

 

抵当権抹消登記の具体的な手順

抵当権抹消登記の手順は、まず金融機関から抵当権抹消に必要な書類一式を受け取り、内容を確認することから始まります。次に、法務局のWebサイトや窓口で登記申請書を入手し、必要事項を記入します。

 

登記申請書が記入できたら、必要書類と一緒に法務局に提出しましょう。法務局への提出方法は、直接窓口に持参するほか、郵送やオンラインでの申請も可能です。オンライン申請の場合、マイナンバーカードとICカードリーダーが必要になる場合があります。

 

申請後、法務局で審査が行われ、問題がなければ登記が完了します。登記が完了すると、法務局から登記完了証が交付されます。なお、申請書を作成する際には、法務局のウェブサイトにある記入例を参考にするとスムーズです。

 

手続きに必要な書類

抵当権抹消手続きに必要な書類は、抵当権解除証書(または弁済証書)、金融機関からの委任状、登記識別情報(または登記済証)があります。これらは、住宅ローンを完済した際に金融機関から交付されます。自分で用意する書類としては、法務局で入手するか、法務局のWebサイトからダウンロードできる抵当権抹消登記申請書、申請者の印鑑証明書、運転免許証などの本人確認書類が必要です。

 

また、不動産の登記事項証明書も必要になります。こちらも法務局のWebサイトや窓口で入手できます。これらの書類を全て揃えて、法務局に提出します。書類に不備があると、手続きがやり直しになるため、事前にしっかりと確認しましょう。

 

抵当権抹消にかかる費用

抵当権抹消には、登録免許税や書類の取得費用など、いくつかの費用が発生します。必要経費を把握し、あらかじめ予算を考えておきましょう。

 

登録免許税

登録免許税は、不動産の登記を行う際に国に納める税金です。抵当権抹消登記の場合、不動産1つにつき1,000円の登録免許税がかかります。例えば、土地と建物の両方に抵当権が設定されている場合は、合計で2,000円の登録免許税が必要です。登録免許税は、法務局の窓口で収入印紙を購入し、申請書に貼り付けて納付します。登録免許税は、手続き費用の中で必須となる項目の一つです。

 

司法書士への依頼費用

司法書士に抵当権抹消手続きを依頼した場合、司法書士への報酬が発生します。司法書士報酬は、事務所によって異なり、おおむね20,000円から30,000円程度が相場です。ただし、手続きが複雑になる場合や、他の登記手続きと併せて依頼する場合は、報酬が加算されることもあります。

 

司法書士に依頼することで、手続きをスムーズに進められ、書類作成のミスを防ぐことができるため、費用はかかりますが、時間や手間を削減できるメリットがあります。

 

その他の費用

抵当権抹消手続きには、登録免許税や司法書士報酬のほかに、登記事項証明書の取得費用や郵送での手続きを行う場合の郵送費用などが発生することがあります。登記事項証明書の取得費用は、1通あたり数百円程度で、法務局の窓口またはオンラインで取得できます。

 

郵送費用は、簡易書留を利用すると数百円程度です。これらの費用は、手続きを進める上で必要となるため、事前に把握しておきましょう。

 

自分でも抵当権抹消登記できる?

抵当権抹消手続きは、ご自身で行うことも可能ですが、専門家である司法書士に依頼するという方法もあります。ここでは、それぞれの場合のメリットとデメリットを比較検討し、ご自身に合った方法を選びましょう。

 

自分で手続きするメリット・デメリット

自分で抵当権抹消手続きを行う最大のメリットは、費用を抑えることができる点です。司法書士に報酬を支払う必要がないため、登録免許税や書類取得費用など、実費のみで手続きを完了できます。

 

しかし、手続きには手間と時間がかかります。法務局で申請書や必要書類を入手し、作成する必要があり、不備があると修正が必要となる場合もあります。また、平日日中に法務局に出向く必要があり、時間がない場合は手続きが難しくなるでしょう。自分で手続きを行う場合は、時間に余裕があり、手続きに慣れている方におすすめです。

 

司法書士に依頼するメリット・デメリット

司法書士に抵当権抹消手続きを依頼するメリットは、手続きを全て任せられるため、時間と手間を大幅に削減できる点です。司法書士は、抵当権抹消に関する専門知識を持っているため、正確かつスムーズに手続きを進めることが可能です。また、書類の作成や法務局とのやり取りを代行してくれるため、自分で手続きを行う手間を省くことができます。

 

一方、デメリットとしては、司法書士への報酬が発生することです。しかし、手続きの確実性や時間効率を考えると、専門家に依頼する価値は十分にあるといえるでしょう。

 

どちらを選ぶべきか?

自分で手続きを行うか、司法書士に依頼するかは、個人の状況や価値観によって異なります。費用を抑えたい場合は自分で手続きを、時間や手間をかけたくない場合は司法書士に依頼するのがおすすめです。

 

また、手続きに不安がある場合は、司法書士に相談することをおすすめします。ご自身の状況に合わせて最適な選択をしましょう。

 

まとめ|抵当権抹消は放置せずに早めに手続きをしておこう

住宅ローンを完済したら、速やかに抵当権抹消手続きを行うことを強くおすすめします。手続きを後回しにすると、不動産の売却や新たなローン契約が滞りやすくなったり、相続の際に混乱を招いたりするリスクが高まります。時間が経つと金融機関の書類再発行や手続きの見直しが必要になり、費用や手間が増えてしまうこともあるでしょう。

 

抵当権抹消は、特に資格がなくても行えますが、手続きに不安を感じるなら司法書士に相談する方法もあります。いずれにしても、不要なトラブルを防ぐためにも早めに対応し、安心して不動産を活用できるようにしましょう。

 

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