家を売却した際に確定申告は不要?必要なケースと損しない税金知識を解説!


家を売却したとき、確定申告が必要になるのはどんなときなのか気になりませんか。実は、売却したときに利益が出なかったり、特定の条件を満たす給与所得者の場合、確定申告が不要になるケースもあります。ただし、確定申告を行わないと税制上の特例が受けられず、損をしてしまう可能性もあるため本当にしなくても大丈夫なのかしっかり確認する必要があります。

 

この記事では、確定申告が不要になるケースや必要になるケース、主な特例の内容と確定申告の手続きについて詳しく紹介します。自分はどの状況に当てはまるのか把握して、売却後の税金対策に役立ててください。

 

 

確定申告が不要なケース

家を売却した際に、必ずしも確定申告が必要になるわけではありません。確定申告が不要になる主なケースは2つあります。

 

ここでは、どのような状況であれば確定申告が不要になるのかを詳しく見ていきましょう。この知識を持つことで、税務手続きをスムーズに行えるだけでなく、必要に応じて確定申告を行う準備もできます。

 

ケース①譲渡所得が発生しなかった場合

家を売却したときに、最も一般的な「確定申告が不要」になるケースは、譲渡所得が発生しなかった場合です。譲渡所得は「売却価格-(取得費+譲渡費用)」で計算しますが、この金額がマイナスになると所得がなかったとみなされ、確定申告をしなくても問題ありません。

 

ただし、譲渡所得がマイナスの場合でも、損失をほかの所得と相殺できる特例などを活用したいなら、確定申告が必要になることがあります。そのため、まずは売却で利益が出たかどうかを確認したうえで、特例を利用するかどうかも検討してみましょう。

 

なお、取得費には建物や土地の購入代金だけでなく、仲介手数料や登記費用なども含まれます。譲渡費用は売却時の仲介手数料や測量費用、印紙税などが該当します。

 

ケース②一部の給与所得者の場合

会社員や公務員など、給与を1社(1ヶ所)のみから受け取り、年末調整を受けている方であれば、給与所得以外の所得が合計20万円以下なら確定申告が不要になる場合があります。

 

たとえば、売却による譲渡所得が18万円、株取引などの所得が1万円であれば、合計19万円となるので申告しなくても問題ありません。ただし、譲渡所得が20万円を超えると給与所得者でも確定申告は必要です。また、給与が複数社から支払われている方は、この特例の対象にならない点にも注意してください。

 

 

確定申告が必要なケース

確定申告が不要になるケースがある一方で、確定申告が必要になるケースも存在します。ご自身が確定申告をすべきかどうかを判断するためにも、どのような場合に確定申告が必要となるのかを把握することが重要です。

 

ここでは、確定申告が必要になるケースを具体的に解説します。

 

ケース①譲渡所得が発生した場合

家を売却した結果、譲渡所得がプラスになったときは、確定申告が必要です。たとえば、5,000万円で購入した家を100万円の仲介手数料をかけて5,500万円で売却した場合、譲渡所得の計算式は以下のようになります。

  • 譲渡所得=5,500万円 -(5,000万円+100万円)=400万円

この400万円に対して税金がかかるため、原則翌年の2月16日から3月15日までに確定申告を行い、税金を納めることになります。万一、期限内に申告しないと追徴課税の対象となるため注意してください。

 

ケース②特例を利用する場合

不動産売却には、税負担を大きく軽減できる特例や控除が多数用意されています。ただし、これらを使うためには、たとえ税金がゼロになるケースでも確定申告が必須です。マイホーム売却時に利用できる3,000万円の特別控除や、所有期間が10年を超える居住用財産の軽減税率、マイホームの買い換え特例など、対象になる方は確定申告をすることで大幅な節税が期待できます。

 

申告を忘れると特例を受けられず、多くの税金を支払うことになりかねないため、条件を確認したうえで確実に申告を行いましょう。

 

家の売却後の確定申告で利用できる主な特例と控除

不動産売却における税金は、特例や控除を適切に利用することで大幅に軽減することが可能です。ここでは、主な特例と控除について詳しく解説していきます。これらの情報を参考に、ご自身がどの制度を利用できるのか確認し、賢く節税を行いましょう。

 

マイホームを売却した場合の3,000万円特別控除

居住用財産であるマイホームを売却したときは、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける特別控除が利用できます。たとえば、譲渡所得が4,000万円だった場合、この控除を使うと課税対象は1,000万円に減らせます。

 

この特例を受けるには、売却する家が自分や家族の居住用財産であり、売却先が親族などの特別な関係者ではないなど、いくつかの要件を満たすことが必要です。確定申告時に適用申請をしないと控除を受けられないので、忘れずに申告書を提出してください。

 

所有期間10年超の居住用財産を売却した場合の軽減税率の特例

マイホームの所有期間が10年を超えている場合、譲渡所得にかかる税率が軽減される特例があります。通常の長期譲渡所得税率である約20.315%より低い税率が一部適用され、3,000万円特別控除との併用も可能です。

 

ただし、居住用の不動産であることや、売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていることなどが条件となります。譲渡所得が大きい方ほど恩恵が大きい特例なので、該当しそうなときは早めに要件を確認しておきましょう。

 

マイホームの買い換え特例

自宅を売却して新たにマイホームを購入する場合、譲渡所得への課税を繰り延べできる特例があります。この仕組みを使うと、いったん課税を先送りできるため、買い替え後の資金計画に余裕が出ることもあります。

 

ただし、売却価格が1億円以下であることや、日本国内の不動産に買い換えるなどの条件を満たすことが必要です。さらに、3,000万円特別控除など他の特例との併用はできないため、どちらが有利かよく検討してから選びましょう。

 

譲渡損失が出た場合の損益通算と繰越控除の特例

家の売却で損失が出た場合も、確定申告をすれば損益通算や損失の繰越控除が受けられる可能性があります。損益通算とは、給与や事業所得などのその年のほかの所得と売却損を相殺して、所得税や住民税を減らすことのできる仕組みです。

 

さらに、相殺しても余った損失は翌年以降の所得と繰り越して相殺することもできます。利用には住宅ローンの残債や買い換え条件など、いくつかの要件を満たす必要があるため、売却前から確認しておくと安心です。

 

相続した不動産を売却する場合の特例

相続で取得した不動産を売却するときは、相続税の一部を取得費に加算できたり、空き家になった物件を売却して3,000万円の特別控除を受けられたりする場合があります。

 

たとえば、相続税を支払った不動産を相続税の申告期限から3年以内に売却すると、一部の相続税を取得費に加算でき、譲渡所得が減少する仕組みです。また、被相続人が住んでいた家を一定の条件で売却するときは、3,000万円控除が適用される特例もあります。

 

家を売却した際の確定申告の流れと必要書類

確定申告が必要となった場合、どのような手続きをすれば良いのか、どのように書類を準備すれば良いのかなど、不安に思う方もいるでしょう。ここでは、確定申告の基本的な流れと、必要な書類について解説します。これらの情報を参考に、スムーズに確定申告を行いましょう。

 

確定申告書の入手方法と記載方法

確定申告書は税務署で直接もらえるほか、国税庁のWebサイトからダウンロードすることやオンライン作成が可能です。

 

オンラインの「確定申告書作成コーナー」に必要項目を入力すると、自動的に計算してくれるため、初めての方でも比較的わかりやすく記載できます。手書きに抵抗がある場合は、オンライン作成がおすすめです。

 

確定申告に必要な書類リスト

確定申告をする際には、以下の書類は忘れずに準備しておきましょう。

  • 確定申告書(第一表・第二表・第三表など)
  • 譲渡所得の内訳書
  • 不動産の売買契約書(購入時・売却時)のコピー
  • 仲介手数料や登記費用などの領収書
  • 登記事項証明書
  • 本人確認書類(マイナンバーカードなど)のコピー

特例を利用する場合は、追加書類が必要になることもあります。売却手続きの段階から領収書や契約書を保管しておき、早めにチェックしておくと安心です。

 

確定申告書の提出方法と納税方法

作成した確定申告書は、税務署に直接提出するか、郵送、もしくはe-Taxを使ってオンライン提出できます。e-Taxであれば自宅から手続きを済ませられるので、忙しい方に向いています。

 

納税も銀行振込やクレジットカード払い、コンビニ払い、口座振替などさまざまな方法が用意されています。申告と納税の期限は、原則として毎年3月15日です。期限を過ぎると延滞税が課される可能性があるため、スケジュールに余裕をもって進めてください。

 

家を売却した際に確定申告をしないとどうなるのか?

確定申告が必要であるにもかかわらず、申告を怠ると、さまざまなリスクやペナルティが生じます。税務署は不動産の売買情報を把握しており、無申告の場合には税務調査が行われる可能性もあります。ここでは、確定申告をしないことで発生する具体的なリスクについて解説します。

 

税務署からの調査とペナルティ

本来、申告しなければならないのに行わないと、税務署から調査される恐れがあります。不動産の売買情報は登記簿などを通じて把握されているため、無申告で通せる可能性は低いです。

 

調査の結果、確定申告をしていないことが判明すると、本来納めるべき税金に加えて無申告加算税や延滞税などのペナルティが課される場合があります。

 

悪質なケースは重加算税

もし意図的に申告を行わなかったり、事実と異なる内容を申告したりすると、重加算税というさらに重いペナルティの対象になります。重加算税は通常の加算税よりも高率で、過去に同様の違反がある場合は税率が上乗せされることもあります。

 

最悪の場合、刑事罰に発展する恐れもあるため、正直に申告することが大切です。

 

まとめ|家を売却した際に確定申告が不要になるか確認しておこう

家を売却するとき、譲渡所得が発生しなければ必ずしも確定申告が必要というわけではありません。とはいえ、特例を使う場合や、譲渡所得が20万円を超えるときは確定申告が必須になります。

 

申告が必要かどうかを判断しておかないと、損をしたり、思わぬペナルティを受けたりするリスクがあるので注意が必要です。

 

早めに情報を収集し、自分が該当する要件や利用可能な特例をしっかり把握することが、税金面での負担を減らす近道です。面倒そうに感じるかもしれませんが、必要書類をそろえて期限内に申告すれば、節税メリットを最大限に活かせます。

 

状況によっては税理士や専門家に相談しつつ、安心できる手続き方法を見つけてください。なお、ウチつくでは、「オンライン相談サービス」にて1級ファイナンシャルプランナーへの相談も受け付けております。お困りの際はぜひウチつくまでお気軽にご相談ください。

 

 

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