古い家を売る方法とは?具体的な手順や注意点も紹介!


古い家の売却について、建物の老朽化やメンテナンス費用の増加に悩む方は多いのではないでしょうか。放置しておくと固定資産税が上昇したり、防犯上のリスクが高まったりする可能性もあります。

 

この記事では、古い家を売る具体的な方法から、売却時の手順、注意点まで詳しく解説します。補助金制度の活用方法や譲渡所得税の知識も身につけておきましょう。

 

 

古い家について

古い家を売却する前に、まずは「古い家」の定義の理解が必要です。一般的に築年数だけで判断されがちですが、実は建物の状態や性能によっても評価が大きく変わってきます。

 

ここでは、古い家の具体的な定義から、早めに売却した方がよい理由まで詳しく解説します。

 

まずは「古い家」が何を指すかを確認

建物の古さを判断する際には、明確な基準を知っておく必要があります。

 

法定耐用年数は建物の構造によって大きく異なり、木造住宅では22年、鉄筋コンクリート造の住宅では47年と定められています。法定耐用年数は住宅・店舗・事務所で違ってくるのでご注意ください。一般的に、築20年を超えた住宅は「古い家」とみなされ、建物の価値算定や維持管理の面で注意が必要です。

 

物理的な耐久性に加え、建物の経済的な価値も重要な判断基準となります。例えば、木造住宅の場合、先ほども出てきた国が定めた減価償却のための法定耐用年数、建物の品質や性能を維持できる物理的耐用年数、そして不動産としての価値が残る経済的残存耐用年数を総合的に考慮する必要があります。

 

古い家を早く売るべき理由とは

古い空き家の所有には、予想以上の経済的負担とリスクが伴います。まず、固定資産税や水道光熱費、保険料などの維持費用は、建物を使用していなくても継続的に発生します。また、庭の手入れや建物の点検といった定期的な管理も欠かせず、これらの作業を業者に依頼する場合は、さらなる費用負担が発生するでしょう。

 

さらに、建物の放置は不法投棄や不法侵入といった防犯上の問題が発生する可能性があるほか、台風などの自然災害時に建物が崩壊して近隣に被害を及ぼすケースもあります。このような事態になると、所有者は損害賠償を請求される可能性もあるので、建物の維持が難しいと感じたら早めの売却を検討しましょう。

 

 

古い家を売る具体的な方法とは

古い家を売る方法には、建物をそのまま売却する以外にもさまざまな選択肢があります。例えば、建物を解体して土地だけを売る方法や、リフォームを施してから売却する方法などです。

 

状況によって最適な売却方法は異なるため、それぞれの特徴をよく理解しておく必要があります。ここでは、古い家の主な売却方法を紹介し、それぞれのメリットについて解説します。

 

古い家のまま売る

古い家の売却では、建物の状態によって適切な方法を選ぶことが重要です。適切な管理が行き届いている物件や、過去にリフォーム履歴がある場合は、現状のまま売却することで余計な費用をかけずに取引できる可能性があります。特に築40年程度の建物でも、古民家として価値を見出せる場合があり、周辺環境が自然豊かであれば、魅力的な物件として評価されます。

 

売却の可能性を正確に判断するためには、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。例えば、築48年の一戸建てでも、適切な不動産会社を通じて希望額を上回る価格で売却できる可能性もあります。

 

建物を解体してから売る

管理状態が十分ではなく、損傷が進んでいる古い建物は、取り壊してから売却するケースもみられます。一般的な木造住宅の解体費用は数百万円以上の費用が発生します。

 

そのため、建物の状態や立地条件によっては、現状のまま売却できる可能性も十分にあるため、すぐに解体を決断するのではなく、まずは不動産会社に相談してください。実際の相場や解体の必要性について、複数の不動産会社に査定を依頼することで、最適な売却方法を見極めることができます。

 

瑕疵(かし)担保保険をつけてから売る

古い家の売却価値を高める効果的な方法として、瑕疵(かし)担保保険の活用があります。瑕疵担保保険は、売却後に建物の傷や欠陥が見つかった際の補修費用を補填する仕組みで、購入者に安心感を与えることができます

 

リフォームしてから売る

古い家を売却する際、全面的なリフォームは必ずしも必要ではありませんが、特定の設備をリフォームすることで物件の魅力を高めることができます。特に古い家の浴室は、保温機能や追い炊き機能といった現代的な設備がない場合が多いため、この部分だけでも改修することで購入検討者の印象を大きく改善できます。

 

多くの購入希望者は自分の好みに合わせてリフォームすることを望むため、大規模な改修は必要ありません。しかし、建物の状態が比較的良好で、浴室設備だけが古い場合は、こういった部分的なリフォームが売却をスムーズにする効果的な方法となります。

 

空き家バンクに登録する

空き家バンクは、各自治体が運営する空き家の売買・賃貸情報を扱うプラットフォームです。一般的な不動産会社では取り扱いが難しい古い物件でも、このシステムを通じて売却できる可能性があります。特に地方の物件や、立地条件が厳しい物件の場合に効果的な選択肢です。

 

空き家バンクでは、自治体が仲介役となることで、売主と買主の双方に安心感を提供しています。ただし、このサービスはすべての自治体で実施されているわけではありません。利用を検討する場合は、物件が所在する地域の自治体に直接問い合わせるか、インターネットで「市区町村名+空き家バンク」というキーワードで検索することをおすすめします。

 

不動産買取業者に売る

不動産買取業者に売るという方法は、古い家を迅速に売却したい場合の有効な選択肢です。この方法では、不動産会社が直接物件を購入するため、通常の仲介売却に比べて売却価格は7~8割程度になりますが、数日から数週間という短期間で取引が完了するメリットがあります。特に取り壊しが必要な物件や、解体費用の捻出が難しい場合に適した方法です。

 

ただし、建物の状態が著しく悪い場合、解体費用と転売時の利益を考慮した価格設定となるため、売却価格がさらに低くなる可能性もあります。そのため、適切な売却方法を選ぶためには、複数の不動産会社に査定を依頼し、各社の対応や査定額、その根拠を慎重に比較検討することをおすすめします。

 

古い家を売る具体的な手順

古い家を売却する際は、具体的な手順を理解しておくことが重要です。売却価格の査定から確定申告まで、一連の流れを把握していないと、思わぬトラブルや手続きの遅れが生じる可能性があります。

 

ここでは、古い家を売却する際の具体的な手順を、時系列に沿って詳しく解説します。

 

売却価格の査定を依頼する

古い家の売却価格は、不動産会社によって大きな差が生じる傾向にあります。そのため、複数の不動産会社に査定を依頼し、それぞれの評価額や査定根拠を比較検討することが重要です。

 

特に古い家は、建物の状態や立地条件によって評価が分かれやすいという特徴があります。信頼できる不動産会社を選ぶことが、適正価格での売却を実現するカギとなります。

 

媒介契約を締結する

査定で適切な価格を提示した不動産会社と次に進める重要なステップが、媒介契約の締結です。媒介契約は不動産の売却を不動産会社に依頼する正式な取り決めとなり、契約形態は一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。それぞれの契約タイプでは、不動産会社に与える権限や売主の自由度が異なります。

 

販売活動をする

媒介契約を締結すると、不動産会社による本格的な販売活動がスタートします。不動産会社はインターネットや店頭広告、チラシなどを活用して物件の魅力を発信します。一方で、売主が担う重要な役割が「内覧対応」になります。

 

中古物件の場合は掃除や整理整頓で清潔な印象を演出できますが、築年数の古い物件では経年劣化が目立ちやすいため、より丁寧な清掃と使用できない家財道具の処分などの準備が大切です。

 

売買契約を締結する

不動産取引における重要な節目となる売買契約は、買主が決定してから行われます。一般的な売却活動の期間は約6ヵ月とされており、その後の売買契約に向けて必要な書類を準備する必要があります。

 

特に自治体や金融機関が発行する書類は取得までに時間がかかるため、売却を決めた段階から計画的に準備を進めることが大切です。スムーズな売買契約の締結には、早めの書類準備が重要になります。

 

引き渡しと代金を受け取る

売買契約の締結から約1~2ヵ月後に物件の引き渡しが行われます。この期間中には、売買代金の決済や所有権の移転手続き、住宅ローンがある場合は抵当権の抹消手続きなど、さまざまな手続きを進めていきます。

 

内覧対応の前から不要な家財道具の処分や引越し業者の手配など、計画的に準備を進めることが重要です。これらの手続きは不動産会社のサポートを受けながら進めていきましょう。

 

翌年に確定申告をする

不動産を売却して譲渡所得が発生した場合、原則翌年の2月16日から3月15日までの期間に確定申告が必要になります。

なお、年度によっては時期がずれる可能性があるため注意が必要です。2024年分の申告期間は、2025年の2月17日から3月17日までとされています。

 

また、売却において売却価格が取得価格を上回る譲渡益が出た場合は、譲渡所得税と住民税の納付が求められます。

 

確定申告の手続きは税理士に依頼することもできますが、不動産会社から提供される売買契約書や取得時の資料をもとに自身で行うことも可能です。ただし、申告期限を過ぎると加算税が課される場合があるため、期限内の手続き完了が大切になります。

 

古い家をそのままにしておくリスクとは

古い家を売却せずにそのままにしておくと、予想以上のリスクが発生する可能性があります。特に、固定資産税の上昇や建物の安全性の問題は、所有者に大きな負担を強いることになりかねません。

 

ここでは、古い家を放置した場合に直面する具体的なリスクについて解説します。

 

固定資産税が高くなる

空き家の放置は深刻な税負担の増加につながる可能性があります。市区町村長は、特定空き家の所有者に対して、修繕や除却などの必要な措置を講じるよう指導できます。特定空き家というのはそのまま放置すれば倒壊などの恐れがある危険な空き家のことを言います。

 

特定空き家の所有者が行政からの助言や指導に従わず勧告を受けた場合、住宅用地特例による固定資産税の軽減措置が適用されなくなり、税額が3~6倍になるのがデメリットです。さらに、勧告を無視し続けると、最大50万円の過料が科される可能性もあるため、行政からの指導には迅速な対応が求められます。

 

倒壊のリスクや治安悪化のリスクがある

古い家を管理せずに放置すると、建物の老朽化による深刻な問題が生じる可能性があります。具体的には、建物自体の倒壊や屋根・外壁の落下といった構造的な危険性に加え、浄化槽や排水設備の劣化による環境衛生の悪化が懸念されます。

 

また、手入れされない庭の雑草や立木は歩行者の通行を妨げ、不法投棄を誘発する原因にもなるでしょう。さらに、野生動物の住処となることで周辺地域の治安や衛生状態が悪化するリスクもあります。

 

古い家を売る際の6つの注意点

古い家を売却する際には、いくつかの注意点を忘れないことが大切です。例えば、家財の撤去や不動産会社の選定など、事前の準備が不十分だと売却がスムーズに進まない可能性があります。

 

ここでは、古い家の売却を成功させるために押さえておくべき6つの注意点を解説します。

 

家財を撤去する

古い家の売却や解体を進める際には、家財道具の撤去が重要なステップとなります。撤去費用は、不動産会社による買取や解体工事会社による工事をするかによっても変動しますが、数十万円以上かかることもあります。

 

特に解体工事会社は免許の制約上、一般廃棄物である家庭ゴミの処分ができないため、家財が残されたままでは工事を請け負えない場合があります。そのため、売却や解体のどちらを選択する場合でも、家財の撤去は必須の工程となります。

 

解体は不動産会社に相談する

古い家の取り壊しを検討する際は、事前に複数の不動産会社に相談することが賢明な選択となります。これは、物件の状態や立地条件によっては、取り壊さずに現状のまま売却できる可能性もあるためです。

 

具体的な判断材料を得るには、古い家が建っている状態で査定を依頼し、取り壊した場合と取り壊さない場合の両方の売却価格を比較検討することが有効です。このとき、不動産会社に「取り壊した場合と取り壊さない場合の両方の査定額を知りたい」と伝えることで、より正確な判断が可能になります。

 

固定資産税が上昇するタイミングを知る

住宅が建っている土地には「固定資産税の軽減措置」が適用され、税負担が軽減されます。しかし、建物を取り壊すとこの軽減措置がなくなるため、土地にかかる固定資産税が上昇します。

 

固定資産税は毎年1月1日時点の状況で算出されるため、取り壊しのタイミングを賢く選ぶことが大切です。1月2日以降に取り壊して12月31日までに売却すれば、軽減措置を受けたまま取引できるため、税負担を抑えることができます。

 

利用できる補助金制度がないか確認する

古い家の売却を考える際は、自治体が提供する補助金制度の活用も視野に入れると良いでしょう。各自治体で、独自の支援制度を設けていることが多いです。

 

ただし、自治体の予算には限りがあるため、これらの制度は年度によって変更や廃止される可能性が高いです。支援を受けたい場合は、お住まいの地域の制度をこまめに確認し、早めに申請することをおすすめします。

 

ホームインスペクションを実施する

ホームインスペクションは、住宅の状態を専門家が調査し、欠陥や劣化状況について詳しく診断するサービスです。専門の資格を持つホームインスペクターが、建物の構造や設備の状態を細かくチェックし、具体的なアドバイスを提供します。

 

建物の安全性や耐久性に関する専門家の評価が得られるため、中古住宅の売買時には特に重要な役割を果たします。また、建物の状態が明確になることで、売り手と買い手の間で認識の違いによるトラブルを防ぐことができるでしょう。

 

不動産会社の実績を確認する

古い家を売却する際は、適切な不動産会社の選定が成功のカギを握ります。不動産会社にはそれぞれ得意分野があり、マンションの取引が得意な不動産会社が必ずしも古い一戸建ての売却に精通しているとは限らないためです。

 

不動産会社の実力を見極めるには、過去の取引実績を確認することが大切です。会社のホームページで古い一戸建ての売却実績を確認したり、直接営業担当者に相談して経験値を確認したりするのが良いでしょう。

 

古い家を売ると譲渡所得税が発生する

不動産の売却時には譲渡所得税について理解しておくことが重要です。譲渡所得税は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた金額に対してかかる税金です。取得費は、土地の場合は購入額そのもの、建物の場合は購入額から減価償却費を控除した金額となります。

 

税率は所有期間によって異なり、5年以下の短期譲渡所得では所得税30%と住民税9%、5年超の長期譲渡所得では所得税15%と住民税5%が適用されます。なお、2037年までは復興特別所得税として所得税額の2.1%が上乗せされるため、注意しましょう。

 

相続した物件の場合は、親などの被相続人の所有期間を引き継ぐため、親の所有期間が5年を超えていれば、相続後すぐに売却しても長期譲渡所得として扱われます。

 

まとめ|古い家を売る際には注意点を理解しておこう

この記事では、古い家の売却方法と具体的な手順、注意点について解説しました。築年数が経過した建物は、そのまま売却する以外にも、解体して土地だけを売る、リフォームしてから売るなど、状況に応じてさまざまな選択肢があります。

 

また、古い家をそのままにしておくと、固定資産税の上昇や建物の倒壊リスクなど、さまざまな問題が発生する可能性があります。売却を検討する際は、家財の撤去や不動産会社の選定、補助金制度の確認など、いくつかの注意点があります。

 

実際の売却では、査定から媒介契約、販売活動、売買契約の締結、そして引き渡しまでの手順を踏む必要があります。さらに、譲渡所得税の発生も考慮しなければなりません。古い家の売却を成功させるためには、これらの知識を理解し、適切な準備を整えることが大切です。

 

 

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