新築で使える税金対策とは?補助金で費用負担を抑える方法も徹底解説
新築住宅の購入を考える際、気になるのが税金の負担ではないでしょうか。新築では、購入時の印紙税や登録免許税から、購入後も毎年支払う固定資産税まで、さまざまな税金が必要になります。
この記事では、新築住宅にかかる税金の種類から、活用できる減税制度まで、具体的な対策方法を詳しく解説します。知っておくと得をする税金対策のポイントを理解して、賢い住宅購入を実現しましょう。
新築購入時にかかる税金
新築住宅を購入する際には、住宅価格とは別に複数の税金を支払う必要があります。これらの税金は、金額が大きく家計への負担となるため、事前に把握しておくことが重要です。
ここでは、新築住宅の購入時に必要となる印紙税、登録免許税、不動産取得税について、それぞれの税率や計算方法を詳しく解説します。
印紙税
印紙税は、不動産売買契約書や建築請負契約書、住宅ローン契約書などの作成時に必要となる税金のことです。印紙税は、契約書に収入印紙を貼付して消印することで納付が完了します。
税額は契約金額によって異なり、例えば500万円超1,000万円以下の場合は通常1万円ですが、不動産売買契約書と新築工事の請負契約書については2027年3月末まで5,000円になる軽減措置があります。
登録免許税
登録免許税は、不動産の所有権移転や抵当権設定などの登記手続きの際に必要となる税金です。税額は、住宅の所有権保存登記では固定資産税評価額の0.4%、所有権移転登記では建物・土地それぞれの固定資産税評価額の2%、住宅ローン利用時の抵当権設定登記では借入額の0.4%となります。
ただし、床面積50平方メートル以上の住宅で、新築や取得後1年以内に登記を行う場合には軽減制度が適用され、2027年3月末までは所有権保存登記が0.15%、所有権移転登記の建物部分が0.3%、抵当権設定登記が0.1%に減税されます。
認定長期優良住宅や認定低炭素住宅は、さらに税率が優遇されます。
不動産取得税
不動産取得税は、土地や建物を購入したり新築したりする際に一度だけ課される税金のことです。税額は固定資産税評価額の4%ですが、住宅の場合は3%の軽減措置があり、宅地については2027年3月末まで評価額が2分の1になる特例措置が適用されます。
新築住宅では、50平方メートル以上240平方メートル以下の床面積であれば1,200万円が控除され、長期優良住宅なら1,300万円まで控除額が拡大します。納税時期は引き渡しから数ヶ月後で、行政から納付書が届いてからの納付となるため、1年以上かかるケースもあるでしょう。
新築購入後に毎年支払う税金
新築住宅を購入した後も、毎年支払わなければならない税金があります。固定資産税と都市計画税は、住宅の所有者として毎年発生する費用となるため、家計の支出計画に組み込む必要があります。
ここでは、税金の計算方法や支払い時期、さらには税負担を軽減できる制度について解説します。
固定資産税
固定資産税は、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している人に課される税金で、税額は固定資産の評価額に税率(ほとんどの自治体で1.4%)を掛けて算出されます。
納税通知書は毎年4~6月頃に市町村から届き、一括か年4回の分割で納付することができます。また、住宅用地については特例措置があり、特例の内容は200平方メートルまでの小規模住宅用地は6分の1に、それを超える一般住宅用地は3分の1に軽減されます。
新築住宅では税額が2分の1になる軽減措置があり、床面積120平方メートル以下の場合、新築後3年間、認定長期優良住宅は5年間適用されます。
都市計画税
都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業の費用を賄うために市町村が徴収する税金です。税額は固定資産の評価額に税率を掛けて計算され、税率は市町村によって異なりますが最高0.3%です。
この税金は固定資産税と同様に毎年1月1日時点の不動産所有者に課税され、納付書も固定資産税と一緒に送付されます。なお、市街化調整区域では課税されず、住宅の敷地については2027年3月末まで軽減制度が適用されており、200平方メートルまでは3分の1に、それを超える部分は3分の2に評価額が軽減されるため、新築を検討する際は事前に税額の確認が必要となります。
新築で使える減税制度
新築住宅の購入では多額の税金がかかりますが、減税制度を利用することで税の負担を大幅に抑えることができます。新築住宅ならではの不動産取得税や固定資産税の軽減措置に加え、贈与税の非課税措置や住宅ローン控除など、さまざまな制度が用意されています。
ここでは、新築住宅で活用できる主な減税制度とその適用条件を詳しく解説します。
不動産取得税の軽減措置
不動産取得税の軽減措置は、新築住宅については床面積50平方メートル以上240平方メートル以下の物件が対象となります。土地については、取得から3年以内にその土地の上に住宅を新築し、継続して所有していることが条件となり、また、新築後1年以内にその土地を取得することも要件の一つです。
この軽減措置を受けるためには、不動産の登記完了から60日以内に都道府県税事務所へ申請する必要があり、建物部分の固定資産税評価額から1,200万円が控除されます。なお、認定長期優良住宅の場合は控除額が1,300万円に拡大されるため、新築を検討する際にはこれらの条件を確認しておくことが大切です。
固定資産税の軽減措置
固定資産税の軽減措置は土地と建物で異なる基準が設けられています。土地については、200平方メートル以下の小規模住宅用地では評価額の6分の1、200平方メートルを超える一般住宅用地では評価額の3分の1に減額されます。一方、新築住宅の建物部分では、120平方メートル以下の部分について税額が2分の1に軽減され、一般住宅は3年間、マンションなどの3階建て以上の耐火構造・準耐火構造住宅は5年間の適用期間となります。
なお、認定長期優良住宅の場合は、一般住宅で5年間と軽減期間が延長されます。これらの軽減措置は市区町村に申請が必要なため、忘れずに行いましょう。
贈与税の非課税措置
住宅取得のための親族からの資金贈与には、非課税措置が設けられています。2026年12月末までの期間、一般住宅は500万円まで、省エネ住宅は1,000万円までが非課税となる制度です。
この制度を利用するには、贈与される人が18歳以上で、その年の所得が2,000万円以下である必要があります。また、取得する住宅は40平方メートル以上240平方メートル以下の床面積で、その半分以上を居住用にする必要があります。
住宅ローン控除
住宅ローン控除の仕組みは、2024年の改正により大きく変わっています。この制度は住宅ローンの金利負担を軽減するもので、居住開始後の年末借入残高の0.7%が所得税と住民税から減税されます。適用対象となるのは認定長期優良住宅やZEH水準省エネ住宅などの環境性能の高い住宅です。
この控除を受けるには、ローンの返済期間が10年以上あり、床面積が50平方メートル以上で、その半分以上を居住用とすることが条件です。控除期間は最大13年間となり、2024年に入居する場合、子育て世帯や若者夫婦世帯は借入限度額が据え置かれるなど、優遇措置も設けられています。
認定住宅等新築等特別税額控除
認定住宅等新築等特別税額控除は、認定長期優良住宅と認定低炭素住宅が対象となり、1平方メートルあたり45,300円に床面積を掛けた金額が控除されます。適用を受けるには、年収2,000万円以下であることや、50平方メートル以上の床面積があり、その半分以上を居住用とすることが条件です。
また、新築または未使用の認定住宅を購入後、6か月以内に入居する必要があるのです。この控除を受けるには、住宅を取得した翌年に管轄の税務署で確定申告を行う必要があります。しかし、住宅ローン控除との併用はできません。
新築住宅で活用できる補助金制度
新築住宅の購入では、税金対策に加えて補助金制度を活用することで、さらに費用負担を抑えることができます。子育て世帯向けの支援や環境に配慮した住宅への補助金など、新築住宅ならではの制度が多く用意されています。
ここでは、新築住宅の建築時に利用できる主な補助金制度について詳しく解説します。
子育てエコホーム支援事業
子育てエコホーム支援事業は、子育て世帯や若者夫婦世帯の環境に配慮した住宅取得を支援する補助金制度で、2024年12月末までに申請をする必要があります。対象となるのは、2005年4月2日以降に生まれた子どもがいる世帯、または夫婦のいずれかが1982年4月2日以降生まれの若者夫婦世帯です。
補助金額は、長期優良住宅で100万円、ZEH住宅で80万円となっています。2023年11月2日以降に基礎工事より後の工程に着手した住宅が対象となり、申請はハウスメーカーなどの住宅事業者が建築主に代わって行います。
2025年以降も同様の補助金制度が出る可能性があるため、住宅の購入・建築を検討している方は、対象の補助金制度がないかチェックしておきましょう。
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス補助金
環境性能の高い住宅建築を促進するため、国は「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」の建設に対して補助金制度を設けています。中小工務店による木造ZEH住宅では、施工経験に応じて最大125万円から140万円の補助金を受け取ることができます。
ZEHは55万円、より高性能なZEH+は100万円の補助が用意されています。さらに、蓄電システムを導入する場合は、1kWhあたり2万円(上限20万円)の追加補助を受けられるため、環境にやさしい住まいづくりの後押しとなっています。
自治体の補助金制度
住宅建築に関する補助金は、国の制度だけではなく、各自治体独自の支援制度も用意されています。新築住宅の建築を考えている方は、お住まいの市区町村の窓口やWebサイトで利用可能な補助金制度を確認してみましょう。予算を上手に活用することで、より理想的な住まいづくりが実現できます。
新築住宅の税金対策のポイント
新築住宅の税金対策は、適切な制度の活用と計画的な準備が重要です。両親からの資金援助を受ける際の贈与税の特例や、認定住宅による税額控除など、賢く活用できる制度があります。
ここでは、新築住宅の購入を検討している方に向けて、税金対策の具体的なポイントを解説します。
贈与税の特例を利用する
新築で使える減税制度でもご紹介した贈与税の非課税措置を利用するのも良いでしょう。住宅取得時の資金援助として、親や祖父母からの贈与を受けた場合に一定額までの贈与につき贈与税が非課税になる制度です。この制度では、一般住宅の場合は500万円まで、省エネ性や耐震性に優れた質の高い住宅では1,000万円までの贈与を非課税で受けることができます。
新築住宅の建築は、親世代から次世代へ資産を移転する絶好の機会となるため、多くの方がこの制度を活用しています。ただし、利用にあたっては申告が必要で、年齢や年収などの条件を満たす必要があるため、国税庁のWebサイトで詳細を確認することが大切です。
認定住宅の控除を確認する
環境性能や耐久性に優れた住宅を取得する場合「認定住宅等新築等特別税額控除」を活用できます。長期優良住宅や低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅が対象となり、床面積に45,300円を掛けた金額(上限650万円)の10%が所得税から控除されます。
この制度は住宅ローン控除との併用はできませんが、要件を満たす方は積極的に活用すると良いでしょう。
資金計画に税金を組み込む
新築住宅の資金計画には、税金面での支出も重要となります。税額は土地の評価額や建物の仕様によって変動するものの、長期的な家計の見通しを立てる上で欠かせません。住宅ローン控除のお金を固定資産税などの納税に充てることも可能ですが、この控除は13年で終了するため、その後の支出も見据えた無理のない資金計画を立てることが大切です。
まとめ|新築の際は税金対策や補助金も検討しよう
この記事では、新築住宅にかかる税金と、活用できる減税制度や補助金について解説しました。新築住宅を購入する際には、印紙税や登録免許税、不動産取得税など、さまざまな税金が必要になります。また、購入後も固定資産税や都市計画税を毎年支払う必要があります。
ただし、住宅ローン控除や贈与税の非課税措置、認定住宅新築等特別税額控除など、新築ならではの減税制度を利用することで、税負担を抑えることができます。さらに、子育てエコホーム支援事業やネット・ゼロ・エネルギー・ハウス補助金、自治体独自の補助金制度も活用できます。
新築住宅の購入を検討する際は、これらの税金対策や補助金制度をしっかりと確認し、資金計画に組み込むことで、より賢い住宅購入が可能になるでしょう。
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