親子リレーローンの審査基準は厳しい?メリット・デメリットも徹底解説


住宅ローンには年齢制限があるため、親が高齢の場合は住宅購入を諦めなければならないと思い込んでいる方もいるのではないでしょうか。そんなときに検討したいのが、親子で返済を引き継ぐ親子リレーローンです。

 

親子リレーローンは通常の住宅ローンよりも審査が厳しいと言われていますが、実際にはどのような基準で審査が行われ、どんな対策をすれば通りやすくなるのでしょうか。

 

この記事では、親子リレーローンの仕組みや審査基準、メリット・デメリット、そして審査を通過しやすくするためのポイントを詳しく解説します。住宅購入をお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

 

親子リレーローンの審査基準は厳しいって本当?

親子リレーローンは、一般的な住宅ローンと同様の審査基準で判断されます。金融機関と信用保証会社は、住宅ローンを貸し出す際に借主の返済能力を確認するため、年収や貯蓄額、他の借り入れ状況などを詳しく確認します。

 

そのため、親子リレーローンだからといって、通常の住宅ローンよりも審査基準が厳しくなることはありません。むしろ、親世代と子世代の両方の収入を合算できる場合もあり、より柔軟な対応が可能となります。

 

 

親子リレーローンについて

親子リレーローンは、返済者を親から子へとバトンタッチできる住宅ローンとして注目を集めています。しかし、利用条件や審査基準、他の親子型ローンとの違いがわかりにくいと感じている方も多いのではないでしょうか。

 

ここでは、親子リレーローンの利用条件から、親子ペアローンや収入合算との違い、さらにはフラット35の親子リレー返済との違いまで詳しく解説します。

 

親子リレーローンの利用条件

親子リレーローンの利用には、いくつかの条件があります。まず、申込者の年齢は20歳以上70歳未満であることが必要で、最終返済時の年齢は80歳未満までと設定されているのが一般的です。

 

また、多くの金融機関では、親子が現在同居しているか、将来的な同居予定があることを条件としています。ただし、住宅金融支援機構の「フラット35」では同居要件が含まれていないため、別居していても利用できる可能性があります。

 

各金融機関によって細かな要件は異なるため、事前に確認することが大切です。

 

親子ペアローンや収入合算との違い

親子で借りる住宅ローンには、親子リレーローン、親子ペアローン、収入合算の3つの方式があります。親子リレーローンは1本の契約で親から子へ返済義務を引き継ぎ、住宅ローン控除は両者が利用できますが、団信加入は子のみとなります。

 

一方、親子ペアローンは親子がそれぞれ契約を結ぶため2本のローンとなり、費用は高めですが短期での完済が可能です。また、収入合算は親子の収入を合わせて審査を受ける方式で、連帯保証型と連帯債務型があり、住宅ローン控除は主債務者のみが利用できる特徴があります。

 

フラット35の親子リレー返済との違い

フラット35の親子リレー返済は、一般的な金融機関の親子リレーローンと比べていくつかの違いがあります。まず、後継者の範囲が広く、子や孫だけでなくその配偶者も対象となります。

 

また、親子の同居要件がないため、別居していても利用が可能です。さらに、団体信用生命保険への加入は任意で、フラット35独自の新機構団信に加入する場合は親子どちらか1名の加入で済みます。

 

ただし、新機構団信は加入者の変更ができず、親が加入した場合の保障期間は10年間のみとなるため、加入者の選択には慎重な判断が必要です。

 

親子リレーローンのメリット

親子リレーローンは、多くのメリットを持つ住宅ローンの制度です。高齢の親でも住宅ローンを組むことができ、返済負担を軽減できるだけでなく、税制面でもお得な点があります。

 

ここでは、親子リレーローンを選ぶことで得られる具体的なメリットを詳しく解説します。

 

親が高齢でもローンを組める

親子リレーローンは、高齢の親でも柔軟な住宅ローン設計を可能にする仕組みです。住宅ローンの借入時年齢は65歳まで、完済時は80歳までが一般的なため、高齢の方には返済期間が短くなり、毎月の返済負担が大きくなりがちです。

 

しかし、親子リレーローンでは親子二世代で返済するため、最初の10年を親が返済し、残りの20年を子が引き継ぐなど、年齢やライフステージに応じた長期の返済計画を立てることができます。

 

毎月の返済額を軽減できる

親子リレーローンの大きなメリットは、返済期間を長く設定できることによる毎月の返済負担の軽減です。通常の住宅ローンでは高齢の親の返済期間が制限されますが、親子リレーローンでは子の年齢に応じて返済期間を伸ばすことができます。

 

ただし、返済期間は元々の住宅ローン商品の上限を超えることはできず、例えば最長35年の住宅ローンの場合、親子の返済期間を合わせて35年以内となります。この範囲内で、親子の状況に合わせて柔軟な返済計画を立てることが可能です。

 

それぞれが住宅ローン控除を受けられる

親子リレーローンの魅力的な特徴として、親子双方が住宅ローン控除を利用できる点があります。控除額は所有権登記における持分割合に基づいて計算され、例えば親の持分が1/3、子の持分が2/3の場合、それぞれがローン年末残高にその割合を掛けた金額を基準に控除を受けられます。

 

ただし、トラブルを避けるため、持分割合と返済負担割合は同じにすることが重要です。両者の割合が異なると、負担割合が多い方から少ない方への贈与とみなされ、贈与税が発生する可能性があるためです。

 

親子リレーローンのデメリット

親子リレーローンを検討する際、審査基準だけでなく、将来的なリスクや課題についても理解しておく必要があります。特に親の死亡時の返済や連帯債務の問題、税金面でのトラブルなど、慎重に考えなければならない点があります。

 

ここでは、親子リレーローンのデメリットと、それぞれの対策について見ていきましょう。

 

親が亡くなった後に住宅ローンの返済が残る

親子リレーローンにおけるデメリットとして、親の死亡時にも返済を継続する義務が挙げられます。一般的な住宅ローンでは、返済者が亡くなった場合、団体信用生命保険によって残債が清算されますが、親子リレーローンでは主に子が被保険者となるため、親の死亡時にも返済は継続します。

 

このため、親の予期せぬ死亡により、想定より早い段階で子が返済を引き継ぐことになり、月々の負担が急増するでしょう。返済計画を立てる際は、このような事態も考慮に入れる必要があります。

 

連帯債務者になる

親子リレーローンでは、子は親の連帯債務者として位置づけられるため、他のローンを組む際に影響が出る可能性があります。これは、子が自動車購入や別の住宅取得のためにローンを申し込む場合、親子リレーローンの債務が審査で考慮され、借入総額と年収のバランスによって審査に通らないケースがあるためです。

 

そのため、将来的な資金計画を立てる際は、親子リレーローンの債務が他の借入に与える影響も考慮する必要があります。

 

相続税や贈与税のトラブルが発生する可能性がある

親子リレーローンを利用する際は、将来の相続や贈与に関する問題も考慮する必要があります。二世帯住宅の登記方法によっては、親の所有部分が相続財産となり、他の兄弟姉妹との間でトラブルになる可能性があるためです。

 

また、そうしたトラブルを避けるために所有権の変更を行うと、贈与税が発生する場合もあります。このような問題を未然に防ぐためには、親子リレーローンの利用を検討する段階で、他の兄弟姉妹も含めた家族で十分な話し合いを持ち、将来の相続についても合意を得ておくことが大切です。

 

親子リレーローンの審査を通しやすくするための対策

親子リレーローンは、適切な対策を取ることで審査通過の可能性を高めることができます。たとえば、十分な頭金を用意することや、事前に借入を整理しておくことなど、実践的な準備が重要です。

 

ここでは、親子リレーローンの審査を通過するために効果的な対策を具体的に解説します。

 

頭金を準備する

親子リレーローンの審査をスムーズに通過するためには、十分な頭金を準備することが重要になります。頭金が多いほど借入額を抑えることができ、金融機関からの信用度も高まります。

 

そのため、住宅購入を考えている方は、早い段階から計画的に貯金を始め、できるだけ多くの頭金を用意するのがおすすめです。これにより、将来の返済負担も軽減でき、より安定した住宅ローン計画を立てることが可能になります。

 

他の借入を完済する

親子リレーローンの審査を有利に進めるためには、事前に他の借入金を完済しておくことが効果的です。特に、消費者金融からの借入は審査に大きく影響するため、優先的に返済を済ませる必要があります。

 

住宅ローン以外の借入を無くすことで、金融機関から見た返済負担率が改善され、より良い条件での融資を受けられる可能性が高まります。そのため、住宅ローンの申請前には、可能な限り他の借入金の整理を進めることが賢明です。

 

複数の金融機関に打診する

ローン審査を申し込む際は、複数の金融機関に同時に相談することで審査通過の確率を上げられます。ただし、一度に多くの金融機関へ申し込み、全てで落ちた場合にその後の審査がさらに厳しくなってしまいます。

 

そのため、審査を依頼する金融機関は2~3行程度に絞るのがベストです。まずは住宅ローンに強い金融機関や、メインバンクなど信頼できる金融機関から順番に相談を始めると良いでしょう。

 

まとめ|親子リレーローンの特徴を理解した上で適切な返済計画を立てよう

この記事では、親子リレーローンの審査基準や仕組み、メリット・デメリットについて詳しく解説しました。親子リレーローンは、親が高齢でも住宅ローンを組めることや、毎月の返済額を抑えられること、住宅ローン控除をそれぞれ受けられることなど、多くのメリットがあります。

 

一方で、親が亡くなった後の返済や連帯債務、相続税の問題など、注意すべき点もあるため、慎重な検討が必要です。審査を通過するためには、十分な頭金を準備することや、他の借入を完済すること、複数の金融機関に打診することがポイントとなります。

 

親子リレーローンを活用する際は、これらの特徴をしっかりと理解した上で、親子で話し合い、無理のない返済計画を立てることが大切です。住宅ローンの種類は他にも多くあるため、自身の状況に合った最適な選択をしましょう。

 

 

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