注文住宅の予算の決め方は?相場や内訳、注意点を具体的に解説


注文住宅の予算設定に悩んでいる方は多いのではないでしょうか。住宅ローンを安心して組めるのか、総予算の中から土地と建物にいくら配分すれば良いのか、付帯工事費や諸費用はどのくらい見込めば良いのかなど、考えるべきことがたくさんあります。

 

この記事では、注文住宅の予算の決め方について、予算設定のポイントから、将来の維持費まで考慮した資金計画の立て方まで、具体的な金額を交えながら説明します。適切な予算設定と資金計画により、無理のない家づくりを実現できるでしょう。

 

 

注文住宅の予算の決め方のポイント

注文住宅の建築を考える際、多くの方が「予算をどう決めれば良いのか」「予算オーバーしないか」という不安を抱えています。実は、住宅の予算は、後から修正することが難しい重要な要素です。

 

そのため、予算設定が最優先となる理由と、具体的な予算相場を最初に理解することが大切です。ここでは、予算設定の優先順位について、誰もが知っておくべき重要なポイントを解説します。

 

予算設定が最優先の2つの理由

住宅ローンの借り入れ額を増やすと月々の返済額が膨らみ、日々の生活費を圧迫するだけではなく、貯金もできなくなります。また、やむを得ず既存の預貯金を取り崩すことになれば、子どもの教育費や親の介護費用、老後の蓄えまで影響が及んでしまいます。

 

一方で、予算を切り詰めすぎることにも注意が必要です。実際に入居してから「もう1部屋増やしておけばよかった」「高気密・高断熱の性能を重視しておけばよかった」といった後悔を避けるためにも、適切な予算設定は欠かせません。

 

家族のニーズを踏まえた資金計画を立て、ローンの返済額や将来の支出も考慮に入れながら、無理のない予算で満足できる家づくりを目指すことが大切になります。

 

注文住宅の予算相場

国土交通省の令和5年度住宅市場動向調査によると、注文住宅の建築資金は土地代を除いた全国平均で4,319万円となっています。これを世帯別に見ると、新築世帯は4,034万円、建て替え世帯では5,745万円です。土地購入費用は全国平均で1,929万円であり、建築資金と土地代を合わせた総額は5,811万円に達します。

 

一方、住宅金融支援機構が実施した2023年度フラット35利用者調査では、土地を含まない注文住宅の建設費用は全国平均で3,861万円となっています。また、土地付き注文住宅の場合、建設費用は3,405万円、土地取得費用は1,497万円です。調査によって多少の差はありますが、注文住宅の建設費用は概ね3,000万円から4,000万円台が一般的な相場といえます。

 

 

注文住宅の予算の決め方と具体的な手順

注文住宅の予算を決めるとき、年収や自己資金をどのように配分すれば良いのか悩む方は多いのではないでしょうか。土地代と建築費のバランス、住宅ローンの組み方など、考慮すべき要素は数多くあります。

 

ここでは、年収から算出できる借入可能額の目安や、自己資金の効果的な活用方法、土地と建物の適切な予算配分を解説します。

 

年収から借入可能額を算出する

住宅ローンの借入可能額は、一般的に年収の5~7倍程度が目安となります。例えば、年収500万円の場合、2,500万円~3,500万円が借入の上限となることが多いです。ただし、他の借入やカードローンがある場合は、それらの返済額も考慮した上で借入可能額が決定します。

 

自己資金と住宅ローンの配分を考える

注文住宅の資金計画では、自己資金と住宅ローンの配分を適切に検討することが大切です。国土交通省の令和5年度住宅市場動向調査によると、注文住宅を建てる際の土地と建物を合わせた費用の平均は5,811万円となっています。

 

このうち、平均的な自己資金は全体の29.0%にあたる1,685万円です。自己資金を検討する際は、単なる貯金額だけではなく、教育資金や介護費用、緊急時のための資金を差し引いて考える必要があります。

 

土地と建築費の予算配分を算出する

注文住宅を建てる際、土地を所有していない場合は土地購入費用と建物の建築費用の配分を検討する必要があります。一般的には、土地と建物の費用配分は3:7から4:6の割合が多く見られます。

 

例えば、総予算が4,000万円の場合、土地購入に1,200万円から1,600万円、建物の建築費用に2,400万円から2,800万円を充てることになります。土地の購入費用にこだわりすぎると建物の予算が圧迫され、理想の住まいが実現できなくなる可能性があるため、計画段階で適切な予算配分を決めておくことが大切です。

 

注文住宅の予算の内訳

注文住宅の予算には、土地代や建物の本体工事費以外にも必要な費用があります。具体的にどのような費用が含まれるのか把握していないと、予想以上の出費に困ってしまう可能性もあるでしょう。

 

ここでは、注文住宅の予算に関わる費用を土地代、本体工事費、付帯工事費、諸費用に分けて詳しく解説します。

 

土地代と本体工事費

注文住宅の予算で大きな割合を占めるのが土地代と本体工事費です。本体工事費は土地を除いた予算の70~75%を占め、基礎工事や構造体、内外装、設備などの費用が含まれています。

 

例えば、建物の総費用が5,000万円の場合、本体工事費は2,100万円から2,250万円程度となります。ただし、本体工事費に含まれる内容はハウスメーカーや工務店によって異なるため、見積もりの際に詳細を確認することが重要です。

 

付帯工事費

付帯工事費は建物本体の建築費用とは別に必要となる費用で、土地を除いた予算の15~20%程度を占めています。具体的には、門扉や塀などの外構工事、地盤調査や地盤改良工事、水道やガスの引き込み工事などが含まれます。

 

例えば、建物の総費用が5,000万円の場合、付帯工事費は750万円から1,000万円程度が目安です。さらに、エアコンや照明、カーテンレールの取り付けなども付帯工事に含まれるため、これらの費用も含めた予算計画を立てることが大切になります。

 

諸費用

注文住宅の建築には、工事費以外にもさまざまな諸費用が必要となり、これは総費用の約10%を占めています。具体的には、不動産取得税や登記費用、住宅ローンの事務手数料や保証金、火災保険料などが含まれます。

 

例えば、建物の総費用が5,000万円の場合、諸費用は500万円程度の見込みが必要です。建て替えの場合は土地購入に関する費用は不要ですが、解体費用や仮住まいの費用が新たに発生するなど、状況によって諸費用の内容や金額は変わってきます。

 

注文住宅を建築する際に使用できる補助金と減税制度

注文住宅の建築費用を少しでも抑えたいと考えている方には、補助金や減税制度の活用がおすすめです。しかし、制度の種類は数多くあり、それぞれの申請条件や支援内容も異なるため、どの制度を利用すれば良いか迷ってしまいます。

 

ここでは、注文住宅の建築時に活用できる主な補助金制度や、省エネ住宅に関する支援制度、住宅ローン減税について解説します。

 

主な補助金制度と支援内容

注文住宅の建築時には、複数の補助金制度を活用できる可能性があります。例えば、子育てエコホーム支援事業では、2005年4月2日以降に生まれた子どもがいる世帯や、1983年4月2日以降生まれの若者夫婦世帯が対象となり、長期優良住宅で100万円、ZEH水準住宅で80万円の補助金を受けられます。

 

これらの制度は2024年12月末までの期限となっていますが、予算上限に達し次第終了となります。2025年以降にも同様の補助金制度が出る可能性もあるため、気になる方はチェックしておきましょう。

 

省エネ住宅に関する補助金の種類

省エネ住宅を建てる際には、さまざまな補助金制度を活用できます。例えば、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス補助事業では、最大125万円の補助金を受けられます。

 

また、国の制度以外にも都道府県や市町村が独自の補助金を設けていることがあるため、建築を検討している地域の制度も併せて確認することが重要です。

 

住宅ローン減税

住宅ローン減税は、住宅ローンを組んで新築や取得をした場合に受けられる税制優遇制度です。2024年1月以降は省エネ基準への適合が条件となり、年末のローン残高の0.7%が所得税から最大13年間にわたって控除されます。

 

例えば、3,000万円の住宅ローンを組んだ場合、年間で最大21万円の控除を受けることができ、13年間で最大273万円の減税効果が期待できます。また、住宅の省エネ性能によって借り入れ限度額が変わるため、金利や年収と併せて検討することで、有利な住宅計画を立てることができるでしょう。

 

注文住宅の予算を決める際の注意点

注文住宅の予算設定は慎重に行う必要がありますが、建築途中での予算オーバーや、入居後の予想外の支出に困る方は少なくありません。実際の支払いでは、住宅ローンの返済額や追加工事費用、さらには入居後の維持費など、考慮すべき項目が多岐にわたります。

 

ここでは、住宅ローンの適切な設定方法から、見積もりの確認ポイント、将来の維持費までを含めた資金計画の立て方まで、注文住宅の予算に関する重要な注意点を解説します。

 

住宅ローンは余裕を持って設定する

住宅ローンの設定は、将来の生活設計に大きな影響を与えるため、慎重な判断が必要です。一般的に、月々の返済額は手取り収入の25%以内に抑えることが推奨されています。

 

また、病気や失業などの不測の事態に備えて、借入可能額の8割程度に抑えることで、返済に余裕を持たせることができます。理想の住まいを手に入れることは大切ですが、将来にわたって安定した返済を続けられる計画を立てることが重要です。

 

予算オーバーを防ぐために見積もりを確認する

注文住宅の建築では、見積もり内容の確認が予算管理の重要なポイントとなります。標準仕様に含まれる設備や内装と、オプション扱いとなるものを事前に把握することで、予期せぬ追加費用を防ぐことができるでしょう。

 

例えば、食洗機やウォークインクローゼット、床暖房などの設備は、多くの場合オプション扱いとなり、1つ追加するごとに数十万円のコストが発生します。そのため、ハウスメーカーに予算上限を伝えた上で、標準仕様の内容を詳しく確認してその都度見積もりを取り直すことが、予算オーバーを防ぐ有効な対策となります。

 

将来の維持費まで考えて資金計画を立てる

注文住宅の資金計画では、建築費用だけではなく将来の維持費も重要な項目です。例えば、固定資産税や都市計画税は土地と建物の評価額に応じて毎年発生します。

 

さらに、10年間で100万円から150万円程度の修繕費用も見込む必要があります。これには水回りや外壁、屋根塗装などの費用が含まれます。火災保険や地震保険の年間保険料も加わるため、維持費を月々の積立金として計画的に準備することが大切です。

 

まとめ|注文住宅の予算を適切に決めて無理のない資金計画を立てよう

この記事では、注文住宅の予算の決め方について、具体的な手順から注意点まで詳しく解説しました。予算設定は住宅建築の出発点であり、自己資金と住宅ローンの配分、土地と建物への予算配分を適切に行うことが大切です。

 

予算内訳は、土地代と本体工事費に加え、付帯工事費や諸費用まで細かく把握する必要があります。また、補助金制度や住宅ローン減税を活用することで、費用負担を軽減できます。

 

住宅ローンは余裕を持って設定し、予算オーバーを防ぐために見積もりの確認も欠かせません。さらに、将来の維持費まで考慮した資金計画を立てることで、長期的に安定した住宅づくりが可能となります。これらのポイントを押さえることで、無理のない注文住宅の予算設定ができるでしょう。

 

 

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