建て替えの流れは?全体の流れや主な費用なども徹底解説
建て替えを検討する際、その手順や費用について不安を抱える方は少なくありません。建て替えには、解体から再建築まで複数の工程が必要で、それぞれに時間とコストがかかるためです。
この記事では、建て替えの全体的な流れを、準備段階から完了手続きまで時系列に沿って詳しく解説します。また、建て替え時に活用できるローンの種類や、建築基準法の確認、補助金の活用など、失敗しないためのポイントも網羅しているため、参考にしてください。
建て替えの全体の流れとスケジュールの目安
建て替えを決意してから実際に新しい家に住めるようになるまでには、いくつもの工程があります。建て替え準備や設計・契約、各種申請手続き、住宅ローン審査、解体工事から建築工事まで、それぞれの段階で必要な時間は異なります。
ここでは、建て替えにかかる期間の目安と、各工程でやるべきことを時系列に沿って見ていきましょう。
建て替え準備(2~3ヶ月)
建て替えの準備段階では、約2~3ヶ月かけて具体的な計画を立てることが大切です。まず、現在の家の不満点や新しい家への要望を整理し、建て替えの必要性を明確にしていきます。建て替え計画では、完成時期の設定や資金計画、仮住まいの手配など、さまざまな要素を考慮する必要があるため、十分な時間をかけることをおすすめします。
予算面では、建て替えにかかる費用を把握し、住宅ローンの利用を検討するのはもちろん、自治体が提供する補助金や減税制度についても情報を集めましょう。古い家の解体費用も必要となるため、全体の予算を慎重に組み立てていく必要があります。
設計から契約まで(3~4ヶ月)
設計から契約までは通常3~4ヶ月ほどを要する重要な期間となります。最初に取り組むのはハウスメーカー選びです。複数のハウスメーカーの実績や特徴、対応範囲を比較検討し、古い家の解体から新築までをワンストップで請け負えるかどうかも確認していきます。
ハウスメーカーが決まったら、プランや間取りの具体的な打ち合わせに入ります。標準仕様とオプション仕様の選択では、予算内に収まるよう慎重に検討することが大切です。設計が固まったら建築請負契約を締結しますが、この際は工期や支払い方法、保証内容などの契約条件を入念にチェックしてください。
申請と仮住まい準備(1~2ヶ月)
申請と仮住まい準備の段階は、約1~2ヶ月を要します。建築確認申請では、建ぺい率や容積率、採光、換気などの基準を満たしているかを自治体や指定機関がチェックします。
住宅ローン審査(3~4ヶ月)
住宅ローンの審査期間は一般的に3~4ヶ月ほどかかります。最初に行う仮審査では、年収や勤続年数などの基本的な情報をもとに融資の可能性を判断します。仮審査を通過し建築確認申請が認められた後、より詳細な本審査に進むため、この順序を守ることが重要です。
金融機関への書類提出や審査の手続きは、ハウスメーカーが経験豊富なスタッフによってサポートしてくれるため、安心して任せることができます。特に注意したいのは、工事請負契約時にローン特約を必ず付けることです。この特約があれば、万が一ローンが通らない場合でも契約を無効にできるため、余計な負担を避けることができます。
解体から建築工事(5~7ヶ月)
解体から建築工事までは、通常5~7ヶ月を要します。木造2階建ての一般的な住宅の解体には1~2週間、鉄骨・鉄筋コンクリート造の場合は1ヶ月ほどの期間が必要となります。この際、工事による騒音や振動で近隣に迷惑をかけることもあるため、事前の挨拶と説明は欠かせません。
解体後は地盤調査を実施し、新しい家を支えられる強度があるかを確認します。調査の結果、地盤が軟弱だと判断された場合は地盤改良工事が必要となり、その状況によって工期や費用が変動します。家を取り壊してから初めて地盤の状態が判明することもあるため、予備の工期と予算を確保しておくことをおすすめします。
完了手続き(1ヶ月)
完了手続きには約1ヶ月を要します。完成時には、家全体を入念にチェックしてから引き渡し手続きに入ります。この際、ハウスメーカーの担当者や金融機関、司法書士が立ち会い、住宅ローンの融資実行や工事費用の残金支払い、不動産登記手続き、引っ越しなどを行います。
建て替えにかかる主な費用
建て替えを検討する際、気になるのが費用の問題です。建て替えには、本体工事費だけではなく、解体工事費や諸費用など、さまざまな費用がかかります。
ここでは、建て替えにかかる主な費用を項目ごとに詳しく解説します。具体的な金額の目安も示しているため、予算計画を立てる際の参考になるでしょう。
本体工事費
本体工事費は家を建てる際の中心となる費用で、仮設工事から基礎工事、木工事などの基本構造に加え、外装や設備工事まで幅広い工事を含みます。具体的には、屋根や断熱材の施工、電気・水道などの配線・配管工事、空調設備の取り付けなどが対象です。
工事費の相場は建物の構造や規模によって大きく異なり、木造に比べて鉄骨造や鉄筋コンクリート造のほうが高額となります。例えば50坪の家で坪単価60万円の場合、3,000万円となるでしょう。ただし、ハウスメーカーによってインフラ工事や外構工事の費用が含まれているかどうかは異なるため、見積もり内容の確認が重要です。
付帯工事費
新築住宅を建てる際には、本体工事費以外にもさまざまな費用がかかります。外構工事では、庭づくりや駐車場、門、塀の設置費用が発生し、水道やガス管の引き込み工事も必要です。
また、照明器具やエアコンの購入・取り付け、地盤調査や改良工事など、土地の条件や建物の仕様によって変わる費用も含まれます。これらの付帯工事費は、本体工事費の約20%が目安とされており、例えば本体工事費が3,000万円の場合、付帯工事費は600万円程度を見込む必要があります。
解体工事費
解体工事費は建て替え特有の費用として必要になります。木造の場合は一坪あたり3~5万円、鉄骨造の場合は4~7万円、鉄筋コンクリート造になると5~8万円が目安です。
また、建物本体以外にガレージやブロック塀の取り壊し、庭木の撤去や移植が必要な場合は、別途費用を見込む必要があるため、事前に施工会社に相談することをおすすめします。
諸費用
諸費用は建物本体以外にかかる費用の総称で、その内容は多岐にわたります。契約時の印紙代や手数料をはじめ、不動産取得税などの税金、住宅ローンの保証料や事務手数料などが含まれます。
さらに、新生活に必要な家具や家電の購入費用、引っ越し費用なども考慮が必要です。これらの費用は現金での支払いを求められることが多いため、総工費の10%程度を目安に準備しておくことをおすすめします。
建て替え時に活用できる住宅ローン
建て替えには多額の資金が必要となるため、住宅ローンの利用は避けられません。しかし、既存の住宅ローンが残っている場合や、年齢などの条件によって、通常の住宅ローンが組みにくいケースもあります。
ここでは、建て替え時に特に活用できる住宅ローンとして、つなぎ融資と親子リレーローンを紹介します。
つなぎ融資
つなぎ融資は、住宅ローンが実行されるまでの一時的な借り入れです。建て替えの場合、住宅ローンは完成した建物を担保にするため、着工時や工事途中の支払いには対応できません。そこで、工事代金の支払いをスムーズにするためにつなぎ融資を活用します。
ただし、通常の住宅ローンと比べて金利が高く設定されており、住宅ローン減税の対象にもなりません。このため、工事の進行状況や支払いのタイミングを考慮しながら、必要最小限の利用にとどめることが賢明です。
親子リレーローン
親子リレーローンは、親と子で一つのローンを共同で借り入れ、返済を引き継いでいく仕組みです。両者の借入可能額を合算できるため、単独で住宅ローンを組むよりも融資額を増やすことができます。
しかし、親の年齢制限があったり、団体信用生命保険に加入できるのは1名だけだったりと制限も存在します。また、金融機関によって親子リレーローンの取り扱いがない場合もあるため、利用を検討する際は事前に複数の金融機関に相談しておきましょう。
建て替えで失敗しないための注意点
建て替えはとても大きな買い物であり、一度失敗すると取り返しがつきません。建築基準法や敷地条件の見落とし、利用可能な補助金の未確認、税金の予測ミス、アフターサポートの不備など、後悔する原因はたくさんあります。
ここでは、建て替えで失敗しないために必ず確認しておくべきポイントを解説します。
建築基準法や敷地条件を確認する
建て替えを検討する際は、まず敷地条件の確認が重要です。古い家が建つ敷地では、現行の建築基準法に適合していない場合があり、特に道路の接道条件に注意が必要です。接道義務を満たしていない場合、建て替えができないなどの制限を受ける可能性があります。
敷地の正確な状況は素人では判断が難しいため、建築士や不動産会社などの専門家に相談することをおすすめします。また、役所で確認申請の履歴を確認するなど、事前の調査を入念に行うことで、建て替え計画をスムーズに進めることができるでしょう。
補助金や支援金がないか調べる
家の建て替えの際には、国や自治体が提供するさまざまな補助制度を活用しましょう。例えば、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の補助金や、長期優良住宅の認定による減税措置などがあります。
また、各自治体独自の住宅支援制度もあり、子育て世帯向けの補助金や、耐震性能を高める工事への助成金なども用意されています。これらの制度は年度ごとに内容が変更されることが多いため、建て替えを計画する際は、最新の情報を収集することが大切です。
建て替え後の税金を計算する
建て替えによって固定資産税の額は大きく変動する可能性があります。土地の固定資産税は変わりませんが、新築住宅は資産価値が上がるため、建物にかかる税金は増加するのが一般的です。
例えば、築30年の木造住宅を建て替えた場合、固定資産税が2~3倍になることも珍しくありません。ただし、新築住宅の場合は一定期間の軽減措置があるため、ハウスメーカーや不動産会社に相談し、将来的な税負担を含めた資金計画を立てることが重要です。
完成後の保証とサポートを聞いておく
アフターサービスは住宅選びの重要なポイントです。新築住宅には10年間の住宅瑕疵担保責任保険が義務付けられていますが、ハウスメーカーによってはさらに長期の保証やきめ細かなサポート体制を整えています。
例えば、構造部分は20~30年、設備は5~10年といった具合に部位ごとに保証期間が設定されているケースもあります。また、定期的な点検サービスや24時間対応の緊急コールセンターなど、アフターサポートの内容も会社によって異なるため、比較検討することが大切です。
まとめ|建て替えの主な流れを確認して後悔のない家づくりをしよう
この記事では、建て替えの流れやかかる費用、活用できる住宅ローン、注意点について詳しく解説しました。建て替えには、建て替え準備から設計・契約、申請、住宅ローン審査、工事、完了手続きまでの工程があり、全体で15~21ヶ月程度の期間が必要です。
また、本体工事費、付帯工事費、解体工事費、諸費用など、さまざまな費用が発生するため、事前に予算を把握することが大切です。建て替え時には、つなぎ融資や親子リレーローンといった住宅ローンも活用できます。
建て替えを成功させるためには、建築基準法や敷地条件の確認、補助金や支援金の調査、建て替え後の税金計算、完成後の保証とサポートの確認も重要です。これらのポイントを理解し、建築会社としっかり相談しながら進めることで、後悔のない家づくりが実現できます。
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