引き込み戸にして後悔すると言われる4つのデメリットとは?メリットやポイントも解説
引き込み戸は、スペースを有効活用できる扉として人気があります。しかし、「設置して後悔した」という声も耳にします。扉の隙間から音やにおいが漏れる、メンテナンスの手間が予想以上にかかるなど、設置前に気づかなかった問題に直面することがあるためです。
この記事では、引き込み戸のメリットはもちろん、設置後に後悔する可能性のある4つのデメリットを詳しく解説します。さらに、引き込み戸の設置で後悔しないためのポイントもお伝えしますので、引き込み戸の設置を検討している方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
引き込み戸について
引き込み戸の設置を後悔しないためには特徴を正しく理解することが大切です。ここでは、引き込み戸の基本的な知識から、扉の種類、そして設置方法までをわかりやすく解説します。
扉の主要なタイプ
住宅の扉には、引き戸、開き戸、折れ戸という3つの主要なタイプがあります。左右にスライドして開閉する引き戸は、出入りがスムーズで前後のスペースを取らないものの、気密性が低くなります。
一方、前後に開閉する開き戸は、気密性と掃除のしやすさに優れていますが、開口部に広いスペースが必要になるため、車いすでの通行には適していません。折り畳んで開閉する折れ戸は、デッドスペースを最小限に抑えられる特徴がありますが、コストが高く、掃除も手間がかかります。
引き戸の種類
引き戸の種類は大きく4つに分類されます。戸を片側にスライドさせて開閉する片引き戸は、シンプルな構造で使いやすい特徴があります。戸を戸袋の中に収納できる引き込み戸は、開けた時に戸が見えなくなるため、すっきりとした空間を演出できるでしょう。
2枚の扉を左右に分けて開く引き分け戸は、広い開口部が必要な場所に最適です。そして、同じレール上を2枚の扉が重なり合うように動く引き違い戸は、和室でよく見かける伝統的なタイプとして知られています。
引き込み戸の設置方法の種類
引き込み戸の設置方法は、レールタイプと上吊りタイプの2種類があります。
床にレールを設置するレールタイプは安定感がありますが、埃がたまりやすく、段差による転倒リスクがあるため、注意が必要です。
一方、天井や壁にレールがある上吊りタイプは、床がフラットなので車いすの通行もスムーズで、掃除も簡単というメリットがあります。ただし、扉と床の間に隙間ができてしまうため、気密性や遮音性の低下は避けられないでしょう。
引き込み戸にして後悔すると言われる4つのデメリット
引き込み戸は空間を広く使えるメリットがあるため、注文住宅で設置する方が増えています。しかし、設置後に予想外の問題に直面し、後悔する方もいます。
ここでは、引き込み戸の4つのデメリットと、それぞれの解決策や注意点を詳しく解説します。
扉の隙間によるプライバシーの低下
部屋の入口に引き込み戸を設置することは、すっきりとした空間を実現できる一方で、実際の生活では不便な点があります。特に、扉の隙間は、気密性と防音性の低下を引き起こし、プライバシーを確保したい寝室や子ども部屋では大きな問題となるでしょう。
そのため、プライバシー性を重視する部屋の入口には、気密性の高い開き戸を選ぶことで、より快適な空間を実現できます。
スイッチやコンセントの配置
引き込み戸の設置では、扉を壁内に収納するための空間が必要となります。この範囲内にスイッチやコンセントを設置することができず、電気設備の配置に大きな制限が生まれてしまいます。
また、空間部分の壁が通常より厚くなるため、両側の壁面にスイッチやコンセントを設置する場合、配線ルートの確保が難しいでしょう。
メンテナンスの難しさ
引き込み戸を空間の間仕切りとして使用する際は、メンテナンスのしやすさを考える必要があります。壁内に収納される構造のため、扉の動きがスムーズでなくなった場合や、建具の調整が必要になった際の修理やメンテナンスが困難になります。
また、扉と壁の間の隙間に埃や髪の毛が入り込みやすく、清掃が行き届きにくいのも問題です。壁内に異物が入り込むと、取り除くことが難しく、長期的な使用において扉の動作不良の原因となることがあります。
コストの見落とし
住宅の室内扉選びでは、建築士や建築会社からの提案をそのまま受け入れるのではなく、引き込み戸のコストと特徴を十分に理解することが重要です。引き込み戸は扉を壁内に収納する構造のため、他の建具と比較して高額になる可能性があります。
壁内に空間を確保するための特殊な下地工事や、壁の厚みを増やすための追加材料費、さらには配管・配線の迂回工事が必要となります。
引き込み戸のメリット
引き込み戸にはいくつかの注意点がありますが、適切に計画することで快適に使うことができます。特に、スペースを広く使えることや、インテリアの幅が広がること、小さな子どもやお年寄りにも使いやすいといったメリットがあります。
ここでは、引き込み戸を設置して良かったと感じる3つのポイントを紹介します。
スペースを有効活用できる
引き込み戸を設置すると、開閉時のスペースを考える必要がなく、限られた空間を最大限に活用できます。例えば、開き戸の場合は前後に70cm程度の空間が必要となり、戸がぶつかる位置には家具や小物を置けないデッドスペースが生まれてしまいます。
一方、引き込み戸なら開口部付近のスペースを有効活用でき、戸の位置に合わせて家具を配置することができます。
デザインの自由度が高い
引き込み戸は戸を壁内に収納する構造のため、戸の位置を気にせずに自由な家具配置やインテリアコーディネートが可能です。玄関や廊下側の壁面には、コンソールテーブルやシューズラックを設置でき、リビング側には観葉植物やアート作品を飾るなど、空間の雰囲気作りの幅が広がります。
また、引き込み戸のデザインにおいても自由度が高いのが特徴です。フラットな面材を活かしたモダンなデザインや、ガラスを組み込んだ明るい印象のデザイン、木目調の落ち着いた和モダンなデザインなど、建具自体のデザイン性を高めることができます。
さらに、開けっぱなしにしても戸が見えず、目立つドアノブもないため、シンプルですっきりとした印象を作り出せます。こうした洗練された雰囲気により、実際の広さ以上に部屋を広々と見せることが可能です。
バリアフリーが実現できる
引き込み戸は、車いすの方でも楽に開閉できるため、バリアフリー性の高い戸として知られています。また、高齢者や小さな子どもにとっても出入りしやすく、安全性が高いのが特徴です。
引き込み戸は、開け閉めしても戸袋の位置は固定されているため、他の引き戸のように重なる部分が動くことがないため、安全性の高い空間づくりが可能となります。
引き込み戸の設置で後悔しないためのポイント
引き込み戸の設置を検討する際は、生活スタイルに合わせた適切な場所選びが重要です。特に、音やにおいの問題、お手入れの手間、安全面での配慮など、事前に確認すべきポイントがあります。
ここでは、引き込み戸の設置で後悔しないためのポイントを紹介します。
音やにおいが気になる場所での使用を避ける
引き込み戸は、構造上気密性や遮音性が一般的な開き戸より低くなります。そのため、トイレなど、音やにおいを外に漏らしたくない場所での使用は避けるのが無難です。特にトイレを引き込み戸にすると、リビングやダイニングに音やにおいが漏れてしまうことがあるため注意が必要です。
一方で、通気性には優れているため、湿気がこもりやすい脱衣所や収納スペースなどに設置すると、換気がスムーズになり快適な住環境を保つことができます。
掃除の手間を考慮する
引き込み戸の設置を検討する際は、掃除の手間についても考慮する必要があります。戸袋の内部を掃除したり、落としたものを取り出したりする場合は戸を取り外す必要があり、その作業が煩わしく感じることもあるでしょう。
日常のお手入れとして、レールに溜まった汚れを隙間掃除用のノズルをつけた掃除機で吸い取ることが大切です。また、頑固な汚れにはアルコールスプレーなどを使うと除去できます。
安全性に配慮する
引き込み戸の選び方で特に重要なのが安全性への配慮です。通常の引き込み戸は勢いよく閉まることがあり、指や足を挟んでしまう危険性があるため、特に小さな子どものいる家庭では注意が必要です。
そのため、最近は閉まる直前に自動でブレーキがかかるソフトクローズ機能付きの引き込み戸が人気となっています。この機能により「バタン」という衝突音も軽減され、扉が跳ね返ることもないため、静かで安全な住空間を実現できます。
引き込み戸の設置に適した部屋の特徴
引き込み戸は設置する場所によって、そのメリットを最大限に活かすことができます。逆に、部屋の特徴や使用頻度を考慮せずに設置すると、想定外の不便さを感じることになるでしょう。
ここでは、引き込み戸の設置に適した部屋の特徴と選び方のポイントを紹介します。
家族の出入りが多い部屋
リビングなど家族の出入りが頻繁な部屋には、引き込み戸が適しています。開け閉めの回数が多くなるため、通常の開き戸では音が気になりやすい一方で、引き込み戸なら開放した状態を保ちやすく、その都度開け閉めする手間も省けます。
特にリビングと子ども部屋が隣接している間取りでは、普段は開放して子どもの様子を見守り、成長に合わせて戸を閉めることでプライバシーにも配慮できるでしょう。さらに、戸を開けた際は戸袋にすっきりと収納されるため、人の出入りが多い空間でも広々とした印象を保つことができます。
バリアフリーを考慮した部屋
バリアフリー対応の住宅設計において、引き込み戸は重要な役割を果たします。戸を前後に開け閉めする必要がないため、車いすの方でもスムーズに通行することができるでしょう。特に上吊りタイプの引き込み戸は、床面に段差やレールがないフラットな状態を実現できるため、高齢者がつまずいたり、車いすの移動がスムーズにできなかったりする問題を解消します。
また、ドアストッパーがなくても開放した状態を保ちやすいため、頻繁な出入りにも対応できる使い勝手の良さがあります。
湿気が気になる脱衣所や水回り
脱衣所や水回りなど湿気がこもりやすい空間では、通気性の高い引き込み戸が適しています。普段は戸を開放状態にしておくことで自然な換気が促され、カビやニオイの発生を抑制することができます。
また、脱衣所内で着替えをする際も、戸が内側に開かないため、人とぶつかる心配がなく安全に利用できるのが特徴です。ただし、引き込み戸の設置には戸袋のためのスペースが必要となるため、脱衣所の広さや間取りによっては設置が難しい場合もあります。
まとめ|引き込み戸を設置して後悔しないためにデメリットも理解しよう
この記事では、引き込み戸のメリットとデメリット、そして後悔しないためのポイントを詳しく解説しました。引き込み戸には、扉の隙間によるプライバシーの低下やメンテナンスの難しさなど、4つのデメリットがあります。一方で、スペースの有効活用やバリアフリー対応といったメリットもあるため、設置を検討する価値は十分にあります。
後悔しない設置のために、音やにおいが気になる場所での使用を避け、掃除の手間や安全性にも配慮することが大切です。また、家族の出入りが多い部屋やバリアフリーを考慮した部屋など、引き込み戸の特徴を活かせる場所を選ぶことがポイントです。
デメリットをしっかりと理解した上で、適切な場所に設置することで、引き込み戸の魅力を最大限に引き出すことができます。
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