バリアフリー住宅の新築費用は?補助金や注意点までわかりやすく解説
バリアフリー住宅の新築を検討する際、通常の住宅との価格差がどのくらいあるのか気になる方も多いのではないでしょうか。バリアフリー住宅は、将来の介護に備えた住まいとして注目されていますが、具体的な費用相場や必要な設備について、詳しく知らない方も少なくありません。
この記事では、バリアフリー住宅の新築費用の目安から、設備ごとの追加費用まで詳しく解説します。
目次
バリアフリー住宅の新築費用は?
バリアフリー住宅の新築費用は、通常の新築住宅に比べて設備や仕様の追加が必要なため、予算の立て方に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、バリアフリー住宅の新築にかかる費用の相場から、設備ごとの追加費用を解説します。バリアフリー住宅に興味はあるものの、予算面で悩んでいる方は、参考にしてください。
新築でバリアフリー住宅を建てた際の費用相場
バリアフリー住宅の新築費用は、規模や土地の条件によって変動します。35坪の注文住宅で家族4人が快適に暮らすためには、廊下の幅の確保や手すりの設置、段差解消など、バリアフリー設計ならではの注意点があるため、一般的な住宅よりも広めの間取りが必要です。
費用面では、一般的な注文住宅に加えてバリアフリー設備のための追加費用が必要となり、ローコストなら1,000万円から、設備や間取りにこだわれば3,500万円程度の予算を見込むとよいでしょう。既存住宅をリフォームする場合は、400万円から500万円が一般的な相場となりますが、間取りの変更や設備の大規模な改修を行う場合は1,000万円程度まで費用が膨らむ可能性もあります。
バリアフリー設備ごとの追加費用
バリアフリー設備の設置費用は、場所や工事の規模によって異なります。浴室では転倒防止のための手すり設置が3万円から5万円、暖房設備の導入が10万円から15万円程度です。トイレの場合、手すりの設置は5万円が目安となります。
玄関まわりと廊下は、スロープの設置が5万円から45万円程度を見込む必要があるため、優先順位をつけて計画的に進めていくことが大切です。
バリアフリー住宅で金利を下げられる可能性がある
バリアフリー住宅の建築時には、住宅ローンの金利引き下げを利用できる可能性があります。特に注目したいのが「【フラット35】S」という商品で、バリアフリー性の基準を満たすことで金利が0.25%から0.75%引き下げられます。
段差の解消や手すりの設置など、高齢者が安全に生活できる設計が必要で適応には条件があります。さらに、各自治体独自の補助金制度が実施されている可能性があるため、お住まいの自治体に問い合わせて確認すると良いでしょう。
バリアフリー住宅のメリット
バリアフリー住宅は、建築費用が通常の住宅より高くなる分、その価値やメリットについて気になる方も多いのではないでしょうか。実は、バリアフリー住宅にすることで、将来の介護に備えるだけではなく、子どもから高齢者まで、すべての家族が安全に暮らせる住環境を実現できます。
ここでは、バリアフリー住宅を建てることで得られる具体的なメリットを詳しく解説します。
介護者の負担を軽減できる
バリアフリー住宅は介護を受ける方だけではなく、介護をする側の負担も大きく軽減します。たとえば、室内の段差をなくすことで、車いすの移動がスムーズになり、介護者の腰への負担を減らすことができます。
また、浴室やトイレに手すりを設置することで、入浴や排泄の介助も安全に行えるため、介護者の身体的・精神的な負担が軽くなるでしょう。このように、バリアフリー住宅は介護が必要な方はもちろん、家族全員が安心して暮らせる住環境を実現することができます。
突然の病気や事故にも対応しやすい備えができる
不慮の事故や病気により突然の身体障害を負った場合でも、あらかじめバリアフリーを意識した住宅にしておけば、その後も自宅で安心して過ごせるでしょう。たとえば、廊下の幅を広めに確保しておけば車いすでの移動にも対応でき、浴室やトイレにも手すりを設置する余裕を残しておくことができます。
さらに、将来的により充実したバリアフリー化が必要になった場合も、基本的な配慮がされているため、最小限のリフォーム工事で対応ができます。
家族全員が安全に暮らせる設計ができる
住宅内の段差は、予期せぬ事故の原因となり、特に高齢者や身体に不自由のある方にとっては危険です。バリアフリー住宅では、廊下の段差をなくし、手すりを適切に設けることで、安全に移動できる環境を整えることができます。
また、浴室や玄関には滑りにくい床材を使用し、キッチンには車いすでも使いやすい低めの作業台を設置すると、家族全員が安心して暮らせます。
バリアフリー住宅のデメリット
バリアフリー住宅は、さまざまなメリットがある一方で、建築時に考慮すべき課題もいくつかあります。
ここでは、バリアフリー住宅の新築時に直面する可能性のある課題を具体的に解説します。
費用が高くなる可能性がある
バリアフリー住宅の建築やリフォームには、一般的な住宅と比べて追加の費用が必要になります。たとえば、廊下の幅の拡張や車いす対応のトイレ、手すりの設置など、さまざまな設備が必要となるため、工事費用が膨らむ可能性があります。
しかし、最近は多くのハウスメーカーが段差のない設計を標準仕様としているため、追加費用があまりかからないこともあります。
広い敷地が必要になる可能性が高い
バリアフリー住宅では、車いすでの移動や介助者と一緒に動くことが多いため、一般的な住宅よりも広い敷地面積が必要です。たとえば、廊下の幅は車いすが回転できるスペース、浴室やトイレには介助者が付き添えるスペースが必要となります。
玄関ホールも車いすの方向転換ができるスペースを確保するのが理想的です。このように、十分なスペースを確保するために敷地面積が大きくなり、土地代を含めた予算が増える可能性があるため、将来の生活を見据えた計画的な土地選びが大切になります。
ハウスメーカーによっては対応が難しいケースがある
バリアフリー住宅の計画では、家族構成や身体状況に応じた細かな配慮が必要となります。大手ハウスメーカーは標準的なバリアフリー仕様を用意していますが、商品が規格化されているため、個別の要望に対応できないことがあります。
たとえば、介護度に合わせた手すりの位置調整や、病気に配慮した特殊な設備の設置などは、対応が難しい場合もあるでしょう。対応が可能だとしても、追加で費用がかかるケースが多いため、注意が必要です。
バリアフリー住宅を新築する際の注意点
バリアフリー住宅の新築を検討する際、どのような点に気をつければ後悔のない家づくりができるのでしょうか。
ここでは、バリアフリー住宅を建てる際に特に重要となる、予算配分の考え方から具体的な設計のポイントを解説します。これから新築を考えている方は、計画段階でぜひ確認してください。
予算と優先順位を考えた設計にする
新築住宅の設計段階から、予算と優先順位を考えたバリアフリー計画を盛り込むことが重要です。浴室、トイレ、玄関など、日常的に使用する空間は、最初から手すりの設置場所や段差のない動線を想定して設計することで、長期的な住みやすさを実現できます。
具体的には、予算にあった設備を選び、浴室の出入りのしやすさ、トイレの広さや設備の配置など、細部まで配慮した設計をすることで、将来的な改修の必要性を最小限に抑えることができます。
車いす利用を考慮した通路や出入口の設計にする
車いすでの生活を快適にするためには、十分な移動スペースの確保が重要となります。車いすでも余裕をもって通れるようにする必要があります。また、玄関やリビング、寝室など主要な部屋の出入口も十分な幅を確保し、車いすが180度回転できるようなスペースを設けることが理想的です。
1階で日常生活を完結させる設計にする
高齢者が快適な生活をするためには、階段の昇り降りを極力減らせる間取りが理想的です。そのため、寝室やトイレ、浴室、キッチンなど、日常的に使用する部屋はすべて1階に配置することをおすすめします。
具体的には、リビングに隣接した寝室を設けたり、水回りを1か所にまとめたりすることで、移動の負担を大幅に軽減できます。予算に余裕がある場合は、ホームエレベーターを設置することで2階も自由に行き来できるようになり、将来的な身体機能の低下にも対応できるでしょう。
メンテナンス費用も考慮する
住宅を購入する場合、購入時の費用に加えて、ランニングコストが必要となります。具体的には、毎年の固定資産税の支払いや、火災保険・地震保険の更新があります。また、長期的な視点では修繕やリフォーム費用も必要です。
建物の価格によって変わりますが、固定資産税だけでも年間数万円かかるのは一般的です。バリアフリー住宅の場合、通常の住宅よりも修繕箇所が多くなる傾向があるため、特に意識して費用を把握しておきましょう。
まとめ|バリアフリー住宅の新築費用相場を把握しておこう
バリアフリー住宅の新築費用は、通常の住宅と比べて高額になる傾向があります。しかし、住宅ローンの金利優遇制度を利用することで、費用負担を抑えることができます。バリアフリー住宅には、介護者の負担軽減や将来の備えといったメリットがありますが、広い敷地が必要になるなどのデメリットもあるため、初期の計画段階で十分な検討が必要です。
新築する際は、予算と優先順位を考えた設計にすることはもちろん、車いすでの移動を想定した通路の確保や、1階での生活動線の完結など、細かな配慮も重要となります。また、建物完成後のメンテナンス費用も含めて計画を立てることで、長期的に快適な暮らしを実現できます。
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