新築時の贈与税が非課税に?制度の詳細や注意点を徹底解説!


新築住宅の購入は、多くの方にとって一生に一度の大きなイベントですが、その際に重要となるのが「贈与税」の問題です。実は、新築時の贈与税が非課税になる可能性があるのです。この記事では、新築時の贈与税が非課税になる制度の詳細や、利用する際の注意点を徹底的に解説します。(2023年12月現在の情報を掲載)

この記事を読めば、新築時の贈与税非課税制度を有効に活用し、スムーズに新築住宅を手に入れるための知識を身につけられます。

 

 

そもそも贈与税とは

新築を考える際、贈与税は避けては通れない問題です。ここでは、贈与税とは具体的に何か、そしてそれがどのように計算されるのかを詳しく解説します。税制の基本から、不動産を含むさまざまな贈与における税の適用方法まで、知っておくべき重要な情報をわかりやすく説明します。賢い資産計画の第一歩を踏み出しましょう。

 

暦年課税

暦年課税では、1年間に受け取った財産の総額から110万円(基礎控除額)を差し引いた後、残りの額に税率を適用して贈与税を算出します。例えば、35歳の息子が400万円の贈与を受けた場合、基礎控除後の290万円に対して15%の税率が適用されます。贈与税は、控除額10万円を差し引いた33万5,000円です。なお、贈与を受けた物の総額が110万円以下の場合は贈与税の申告義務は発生しません。なお、税率や控除額は贈与額によって異なります。

 

税率は、贈与者が祖父母の場合と親や兄弟姉妹の場合で異なり、受贈者が20歳以上か未満かによっても変わります。これらの要素により適用される税率が決定され、税額が計算されます。

 

相続時精算課税

相続時精算課税制度では、贈与された財産の合計額から2,500万円の特別控除を差し引き、その残額に対して一律20%の税率が適用されます。例えば、3,000万円の贈与を受けた場合、2,500万円を控除した後の残額500万円が課税対象となります。その20%にあたる100万円が、贈与税として課せられるのです。

 

重要なのは、この制度下で受け取った財産は、将来相続が発生した際にも相続税の計算対象となる点です。相続時に以前の贈与額が課税対象となることを意味し、贈与者と受贈者双方が将来の税負担に備える必要があります。この制度の適用を受けることで、贈与に対する税負担を大幅に緩和しつつ、将来の相続税計算においても透明性を確保できます。

 

 

新築時の贈与税が非課税となる制度とは

新築の計画を立てる際、贈与税の非課税制度は大きく節税できる可能性があります。ここでは、この制度の具体的な内容や適用条件を詳しく解説します。

 

最大1,000万円が非課税となる

贈与税の基本を理解した上で、マイホーム購入時の贈与税の扱いについて考えましょう。親子間や祖父母からのマイホーム購入資金の支援も、贈与税の対象となります。暦年課税では110万円まで非課税ですが、マイホーム購入時にはさらに多くの資金が必要になることが多いです。一方、相続時精算課税では2,500万円まで非課税ですが、小規模宅地等の特例が利用できなくなるため、将来の相続税への影響を考慮して判断しましょう。

 

親から息子夫婦や娘夫婦への住宅取得支援を望む場合、住宅取得等資金の非課税特例が有効です。この特例を利用すると、最大1,000万円までの贈与が非課税となります。ただし、この特例の適用には条件があり、マイホームの購入時期や消費税率、住宅の性能(耐震性など)によって非課税限度額も異なります。これらの要件を十分に理解し、計画的に資金援助を行うことが重要です。

 

住宅資金贈与の特例の適用条件

住宅資金贈与の特例の適用条件について、受贈者と住宅それぞれの要件を詳細に解説します。

 

受贈者の要件

住宅取得等資金の非課税特例を受けるための受贈者の要件は以下のとおりです。

 

  • 贈与者:自分の両親や祖父母であること。配偶者の両親や祖父母からの贈与は対象外。
  • 年齢:贈与を受けた年の1月1日時点で受贈者が18歳以上であること。
  • 所得:受贈者のその年の合計所得金額が2,000万円以下であること。
    (新築等をする住宅用の家屋の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合、所得金額の上限が1,000万円以下であること。)
  • 購入・居住時期:贈与された住宅取得資金を受けた年の翌年の3月15日までに、全額を使って住宅を購入し住み始めること。または、住宅に居住することが確実であると見込まれること。贈与を受けた年の翌年12月31日までにその住宅に居住していない場合、特例の適用は不可。

 

これらの要件を満たすと贈与税の非課税特例を受けることが可能になり、資金面での負担を軽減できます。

 

住宅の要件

住宅取得時に適用される非課税特例の要件には、いくつかの重要な条件があります。

 

  • 対象住宅:日本国内に所在していること。
  • 住宅の床面積:40平方メートル以上240平方メートル以下であり、かつその面積の半分以上が受贈者の居住用に供されていること。(令和3(2021)年以降に贈与が行われる場合や受贈者の所得金額が1,000万円以下の場合、この床面積の要件が適用)
  • 増改築の場合:確認済証の写しや検査済証の写し、増改築等工事証明書などの書類の提出が必要。
  • 増改築費用:100万円以上であること。

 

これらの要件を満たすことにより、住宅取得における贈与税の非課税特例を適用できます。詳細な情報は国税庁のWebサイトで確認できます。

 

2022年からの改正ポイントとは

「令和4年度 税制改正大綱」により、2021年末で終了予定だった子や孫への住宅購入資金に対する非課税贈与制度が、2023年末まで延長されました。この改正により、非課税限度額が従来の1,500万円から1,000万円に減少しました。

 

改正の主な内容は以下のとおりです。

 

  • 適用期限:令和3年(2021年)12月31日から令和5年(2023年)12月31日まで2年間延長
  • 非課税限度額:耐震、省エネ、またはバリアフリーの住宅用家屋については1,000万円、それ以外の住宅用家屋については500万円に設定
  • 住宅取得契約の締結時期による条件:廃止
  • 中古住宅の築年数要件の見直し:登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降の家屋は新耐震基準適合とする
  • 贈与の受贈者の年齢要件:成人年齢の変更に伴いも20歳から18歳に引き下げ

 

これらの改正は、2022年(令和4年)1月1日以降に贈与により取得される住宅取得資金に関する贈与税に適用されます。年齢要件に関しては、2022年(令和4年)4月1日以降の贈与が対象となります。

 

新築時の贈与税を非課税にするためには確定申告が必要

贈与税の非課税を受けるためには、適切な確定申告が不可欠です。ここでは、贈与税の非課税を適用するための確定申告のステップを詳しく解説します。必要な書類や申告のタイミング、注意すべきポイントを明確にします。

 

贈与の翌年に申告する必要がある

贈与税の非課税特例を受けるためには、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに確定申告を行う必要があります。住宅取得資金贈与の非課税特例申告には、書類作成が必要です。申告書は郵送や持参、またはe-taxを通じて電子提出できます。

 

確定申告は、早めの準備が必要です。書類作成に自信がない場合は、税務署が主催する確定申告相談会へ参加し、専門家のアドバイスを受けると良いでしょう。このようなサポートを活用して、申告漏れや誤りを避けることが重要です。

 

確定申告時の必要書類

住宅取得資金贈与の非課税特例を申請する際、必要となる主要な書類は複数あります。

 

  • 贈与税の申告書:非課税特例の適用申請を記載。
  • 贈与を受けた方の戸籍謄本
  • 収入の証明:源泉徴収票など
  • 購入した住宅に関する書類:建築請負契約書や売買契約書の写し、登記事項証明書(不動産番号等がわかれば登記事項証明書は省略可能)
  • 住宅性能を証明する書類:省エネ住宅など(建築会社に依頼)

 

e-taxを利用して提出する場合、必要書類はPDF形式などのデジタルファイルで提出することになります。なお、必要書類は年度によって変更されることがあるので、必ず申請前に最新の情報を確認しましょう。これらの書類を正しく準備し、提出することで、住宅取得資金贈与の非課税特例の申請プロセスをスムーズに進めることができます。

 

新築時の贈与税非課税制度を利用する際の5つの注意点

贈与税非課税制度を利用する際には、特に注意すべきポイントがあります。ここでは、非課税制度を利用する際の5つの注意点を解説します。

 

贈与税がかからなくても確定申告が必要

住宅取得等資金の非課税特例を利用するためには、贈与税の申告が必須です。贈与税が免除される場合でも、必要になります。贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に、税務署に申告書を提出しなければいけません。

 

申告の際には、申告書と一緒に戸籍謄本や住宅購入に関する契約書などの関連書類も提出する必要があります。申告期間内にすべての必要書類をそろえて提出することが、非課税特例を受ける上で重要です。

 

家の名義と贈与を受ける方の名義人を合わせる

住宅取得資金の贈与税非課税制度を活用する際、住宅の名義設定は重要なポイントです。この制度を活用するためには、「贈与を受けた方が住宅の名義者であること」が基本となります。例えば、妻が親から贈与を受けた場合に、住宅の名義を夫のみで設定すると贈与税が課されるリスクがあります。この場合、贈与を受ける妻が住宅の名義に名を連ねることが不可欠です。

 

夫婦の場合、共有名義にすることで、双方がこの非課税制度を利用できます。名義設定は贈与税の非課税制度を上手く利用するためのカギとなるため、事前にしっかりと検討し対応することが必要です。

 

贈与を受けるタイミングに気を付ける

住宅取得資金の贈与における非課税制度を活用するためには、贈与された翌年の3月15日までに住宅の取得が必要です。さらに、その年の年末までに住宅での居住を開始することも求められます。贈与を受けるタイミングが早過ぎたり、住宅完成後の受け取りになると、非課税枠を利用できません。建築会社の担当者には事前に贈与税の非課税制度の利用予定を伝え、スケジュールの相談をしておきましょう。

 

工期が遅れるリスクにも注意が必要です。例えば、2023年2月末の引渡し予定で2022年に贈与を受けたとします。しかし、工事の遅れで3月15日を過ぎてしまうと、非課税対象外になってしまうのです。災害などのやむを得ない事情で居住できない場合には、必要な書類を税務署に提出すれば非課税対象となる可能性があるため個別に確認しましょう。非課税制度の適用を受けるためには、贈与のタイミングと住宅取得のスケジュールを慎重に調整することが重要です。

 

贈与税の非課税枠では金額が足りない時は

住宅取得資金の贈与税非課税制度と、暦年贈与を組み合わせる方法があります。初年度に「住宅取得資金の贈与税非課税」を利用して500万円、加えて「暦年贈与」による110万円を非課税で受け取ることが可能です。省エネ住宅の場合は、この非課税枠が1,110万円に増加します。2年目以降は、暦年贈与の枠内で年間110万円ずつ贈与を受けることで、住宅ローンの返済にあてられるでしょう。ただし、同額を定期的に受け取ると贈与税の課税対象になる可能性があるため、注意が必要です。

 

また、住宅取得資金の贈与税非課税制度と相続時精算課税制度を併用することも可能です。これらの制度を併用することで、住宅取得資金の贈与における税負担を軽減できる可能性があります。各制度の詳細を理解し、個々の状況に最適な戦略を立てることが重要です。

 

相続時精算課税制度と併用できなくなることがある

住宅取得等資金の贈与税非課税措置と相続時精算課税制度を併用する際には、いくつか注意点があります。まず、相続時精算課税制度を利用した間柄に対しては、今後暦年課税制度は利用できません。また、年間110万円以下の贈与であっても、相続時精算課税制度を利用する場合は必ず申告しなければいけません。期間内に申告を怠ると、20%の贈与税が課される可能性があります。さらに、累計の贈与額が非課税枠の2,500万円を超える場合、超過分に対しては一律20%の贈与税が課されます。

 

最後に、相続時精算課税制度を用いて贈与した財産は、贈与時の価額で相続財産に持ち戻されることに注意しなければいけません。孫への贈与であっても、将来の相続税計算時に含まれることを意味しています。これらの点を十分に理解し、計画的に対応することが、税制上の利益を最大限に活用するカギとなるでしょう。

 

新築時の贈与税非課税制度を利用すると相続でトラブルが?

贈与税非課税制度は大きな節税メリットがありますが、相続時に予期せぬ問題を引き起こす可能性もあります。ここでは、贈与と相続税法の関連性と長期的な資産管理の観点から、この制度を利用する際の潜在的なリスクと対策について解説します。

 

小規模宅地等の特例が使えなくなる

相続財産には親が住んでいた家が含まれますが、一般的に敷地の評価額が高くなります。しかし、小規模宅地等の特例を利用すると、330平方メートルまでの敷地では評価額を80%減額できます。例えば、敷地の評価額が300平方メートルで1,000万円の場合、この特例を利用することで評価額を200万円に抑えられます。

 

ただし、この特例を利用するためにはいくつかの条件があります。特に重要なのが、「自宅を引き継ぐ方の条件」です。例えば、親と別居していた子が自宅を相続する場合、以下の条件を満たす必要があります。

 

  • 被相続人に配偶者や同居していた法定相続人がいない
  • 相続開始時までに自ら持ち家に住んだ経験がない
  • 相続開始以前3年以内に自分や配偶者、親、兄弟姉妹など3親等内の親族、または同族会社が所有する家に住んだことがない
  • 相続した家を相続開始時から相続税の申告期限まで所有している

 

親からの支援で住宅を購入していると、上記条件の中で「持ち家に住んだ経験がない」という条件に該当しないケースが多くみられます。1つでも満たせていなければ、小規模宅地等の特例の適用を受けられません。小規模宅地等の特例を適用するためには、必要条件を慎重にチェックし、適用可能かどうかを判断する必要があります。

 

不動産取得税や登録免許税は発生する

住宅を取得する際、通常は不動産取得税や登録免許税が課されますが、相続による取得では軽減される傾向があります。不動産取得税に関して、新築や購入で住宅用不動産を取得した場合、固定資産税評価額の3%(軽減税率適用後)が課税されます。しかし、親の家を相続する場合は、この税金は非課税となるのです。

 

次に登録免許税に関して、住宅の購入時には次の税金がかかります。(軽減税率適用後)

  • 土地:固定資産税評価額の1.5%
  • 建物:新築の場合0.15%、購入の場合0.3%

これに対し、相続による取得の場合は、土地も建物も固定資産税評価額の0.4%になります。建物の税率は自分で購入した場合の方が低いものの、土地に関しては相続する方が節税効果は高まります。

 

住宅を取得する際には、不動産取得税や登録免許税の違いに注意し、特に相続の場合の税金軽減を理解することが重要です。理解を深めておくことで、不動産取得に関わる金銭的な負担を適切に見積もることが可能になります。

 

遺産分割で揉めるケースもある

親からの支援を受ける際、兄弟姉妹など他の相続人候補が存在する場合、将来の相続争いを引き起こす可能性があります。特定の相続人が相対的に多くの贈与を受けると、他の相続人の取り分が減少するためです。取り分が減った配偶者や子どもたちは、法定された「遺留分」の権利を主張できるのです。遺留分の対象は、相続財産に限らず生前贈与も含まれます。

 

もし遺留分の主張が行われた場合、贈与を受けた相続人は金銭での補填を行う義務が発生します。親からの支援を受けることで、相続時に予期せぬ出費を強いられる可能性があるのです。そのため、親からの支援を受ける際には、他の親族との間のバランスを慎重に考慮しておくことで、将来的な家族間の争いを避けられるでしょう。

 

まとめ|贈与税非課税制度を有効活用して新築を購入しよう

新築住宅の購入における贈与税非課税制度は、1,000万円までの住宅資金贈与が非課税になる大きな節税対策です。しかし、この制度を利用するためには、贈与の翌年に確定申告と必要書類の提出をしなければいけません。贈与税が非課税でも、確定申告は必須です。

 

また、贈与を受ける方の名義と家の名義を一致させることや贈与のタイミングに注意してください。他にも、相続時の問題や、不動産取得税や登録免許税の発生も検討しておく必要があります。各制度の理解を深めて事前準備をしっかりと行い、制度を最大限に活用しましょう。

 

 

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